EIN3/EIL1 cooperate with PIF1 to prevent photo-oxidation and to promote greening of Arabidopsis seedlings
Zhong et al. PNAS (2009)106:21431-21436.
doi:10.1073/pnas.0907670106
暗所で発芽させたシロイヌナズナ黄化芽生えに光照射すると子葉が緑化するが、暗所で育成する期間が長くなると緑化しなくなるものが現れ、9日間暗所で育成した場合、80%以上の芽生えの子葉が緑化しなくなる。これは、暗所育成期間が長くなるとクロロフィル前駆体のプロトクロロフィリドの過剰蓄積やプロトクロロフィリドからクロロフィリドを合成するプロトクロロフィリドオキシドリダクターゼ(POR)の活性が失われるために、光照射によって子葉に活性酸素種(ROS)が蓄積して光酸化傷害を生じることによる。中国 北京大学のGuo らのグループは、9日間暗所で育成した芽生えであってもエチレン前駆体1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(ACC)を添加することで75%の芽生えが緑化することを見出した。エチレン非感受性突然変異体のein2 やein3eil1 二重変異体はACC添加の有無に関わらず子葉の緑化割合が大きく低下し、恒常的に三重反応を示すctr1 やeto1 変異体、EIN3-過剰発現形質転換体では野生型に比べて子葉の緑化割合が増加していた。黄化子葉のプロトクロロフィリド蓄積量とエチレン応答変異体の子葉緑化割合の間には負の相関が見られ、光照射後のエチレン非感受性変異体の子葉のROS量は野生型よりも多かった。また、シロイヌナズナに3つ存在するPORのアイソフォーム(PORA、PORB、PORC)のうち、PORA とPORB の発現がEIN3/EIL1を介したエチレンシグナルによって誘導されること、PORA 、PORB 遺伝子のプロモーター領域にはEIN3結合サイトが存在し、両遺伝子はEIN3の直接のターゲットとなっていることがわかった。フィトクロームをを介した応答に関与しているbHLH型転写因子PIF1はPORC の発現を直接誘導することが知られており、pif1ein3eil1 三重変異体は子葉の緑化割合が大きく減少し、プロトクロロフィリドの蓄積量も大きく増加することから、EIN3/EIL1とPIF1は協調して子葉の緑化を促進しているものと思われる。さらに、EIN3/EIL1タンパク質はPIF1タンパク質と同様にCOP1によって安定性が増すこと、遠赤色光やフィトクロームAを介したシグナルによる緑化抑制を打ち消すことがわかった。以上の結果から、エチレンは黄化芽生えが緑化する際に光酸化傷害から保護し、芽生えの生存を高める作用があることが示された。
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