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論文)ヒストン脱メチル化によるFLOWERING LOCUS T の転写抑制

2009-12-26 12:09:13 | 読んだ論文備忘録

Repression of FLOWERING LOCUS T Chromatin by Functionally Redundant Histone H3 Lysine 4 Demethylases in Arabidopsis
Jeong et al.  PLoS ONE (2009)4:e8033.
doi:10.1371/journal.pone.0008033

移動する花成誘導因子であるFLOWERING LOCUS TFT )の発現は、ヒストン修飾による制御を受けていることが知られており、ポリコーム群複合体タンパク質によるヒストンH3リジン27のトリメチル化(H3K27me3)はFT の転写を抑制している。韓国 ソウル国立大学のNoh らのグループは、シロイヌナズナに21個存在するJmjCファミリーヒストン脱メチル化酵素遺伝子のT-DNA挿入突然変異体の花成の解析を行い、AtJmj4 (At4g20400)にT-DNAが挿入された変異体2系統は日長に関係なく花成が早まることを見出した。この変異体での花成に関連する遺伝子の発現を調査したところ、atjmj4 変異体ではFT の発現量がプロモーター活性の上昇により増加していることがわかった。しかしこの変異体でのFT 発現の組織特異性(葉脈での発現)は維持されていた。AtJmj4はFLCGICO などのFT の発現を制御している因子の影響を受けずにFT の発現を抑制していた。AtJmj4 の発現量は短日/長日条件で差が見られないことから、何らかの転写後制御を受けているものと思われる。AtJmj4 の発現は茎頂、一次根根端、若い葉のトライコーム、葉の維管束、花糸、花柱で見られ、葉での発現部位はFT の発現部位と一致していた。AtJmj4 と同じくJmjCファミリーに属するEARLY FLOWERING 6ELF6 ; At5g04240)もFT の転写を抑制しており、両者は冗長してFT の発現を負に制御している。クロマチン免疫沈降試験により、AtJmj4とELF6はFT 遺伝子座のH3K4meを脱メチル化していることが確認された。以上の結果は、AtJmj4とELF6はFT クロマチンのH3K4を脱メチル化することでFT の発現、花成を抑制していることを示している。

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