Strigolactones Are Transported through the Xylem and Play a Key Role in Shoot Architectural Response to Phosphate Deficiency in Nonarbuscular Mycorrhizal Host Arabidopsis
Kohlen et al. Plant Physiology (2011) 155:974-987.
doi:10.1104/pp.110.164640
オランダ ワーゲニンゲン大学のBouwmeester らは、リン酸欠乏条件に置かれたシロイヌナズナの根の浸出液が寄生植物Phelipanche (Orobanche )ramosa の発芽を誘導することを見出した。そこで、根浸出液から発芽刺激物質をHPLCにより分離精製し、オロバンコール、オロバンキル酢酸、5-デオキシストリゴールを検出した。リン酸欠乏によるオロバンコール生産の増加は野生型植物(Col-0)とmax2 変異体において観察されたが、max1 変異体やmax4 変異体では殆ど見られなかった。また、リン酸が十分にある条件でmax2 変異体のオロバンコール生産量は野生型よりも高くなっていた。リン酸が十分にある条件で野生型植物は平均して4つの二次分枝を形成するが、すべてのmax 変異体はそれよりも多くの二次分枝を形成した。リン酸欠乏条件では野生型植物の形成する二次分枝数は減少したが、max 変異体ではそのような減少は見られなかった。リン酸欠乏により根からシュートに輸送される分枝に関するシグナルを調べるために、木部溢泌液を集めP. ramosa の発芽試験を行なったところ、リン酸欠乏条件の野生型植物の木部溢泌液はP. ramosa の発芽を高めることがわかった。また、リン酸欠乏条件で育成した野生型植物の木部溢泌液オロバンコール濃度はリン酸が十分にある条件で育成した植物よりも27%高くなっていた。合成ストリゴラクトンのGR24を加えた水耕液でシロイヌナズナを栽培し、液に触れていない地上部から調製した抽出液にGR24が含まれていることが確認された。以上の結果から、リン酸欠乏条件で根においてMAX1、MAX4活性によって生産されたストリゴラクトンは、木部によって地上部へ輸送され、二次分枝形成を抑制していると考えられる。