DIARY yuutu

yuuutunna toki no nikki

最果タヒ(1986-)「未完小説の詩」『死んでしまう系のぼくらに』(2014):君は一方で《不死》に憧れ、他方で《死》こそ完成と思う!君にとって生は両価的だ!

2020-04-01 12:32:40 | 日記
きみが信じていた本を、書いた人が自殺をしていなかったこと。 You believe a book. The author dodn’t kill oneself.
それが夜の星みたいに、きみの瞳の奥を照らす。 It illuminates deeply in your eyes.
死にたいとか、消えたいとか、 You say, you want to die, or you want to vanish.
いうなら生まれなければよかったのに。 You had better not be born.
きみはもう失敗したんだよ。忘れたふりをして、 You are already a loser. You pretend to forget.
憂鬱をうたいたがっているだけ。 You only sing sadness.

未完小説の詩 A poem about an unfinished novel

《感想1》「きみが信じていた本」。実は君が信じていたのは「本」でない。「本」は紙の束。君は宇宙を信じた。「本」の向うに存在する意味宇宙。
《感想1-2》君はその意味宇宙を信じた。その宇宙の創造者は自殺していなかった。生き続ける創造者。
《感想1-3》創造者の自殺は、意味宇宙の無力の証明。君は力が欲しい。超人(Cf. ニーチェ)が創造する意味宇宙に憧れる。意味宇宙の創造者は超人でなければならない。
《感想1-4》意味宇宙の創造者はまだ自殺していない。生きている。「それが夜の星みたいに、きみの瞳の奥を照らす。」君は超人に憧れる。
《感想2》「死にたいとか、消えたいとか、いうなら生まれなければよかったのに。」君は自分に言う。だが迷っている。君は自殺しない。生きている。
《感想2-2》生きている限りで「きみはもう失敗した」。君は「未完小説」だ。
《感想2-3》だが君が信じる意味宇宙の創造者も生きている。生きている限りで、その創造者も「もう失敗した」。
《感想3》君は両価的なのだ。一方で超人の不死に憧れる(「きみの瞳の奥を照らす」)。他方で「生まれなければよかった」人間が自殺しないという「未完」。一方で完成は《不死》、他方で完成は《死》。一方で《不死》に憧れ、他方で《死》こそ完成と思う。君にとって生は両価的だ。
《感想4》詩人は、超人の不死に憧れつつ、《死》が完成であること(自殺願望)を「忘れ」ることもできない。
《感想4-2》詩人がうたう「憂鬱」は、《死》こそ完成であるのに生きている(未完である)ことのカモフラージュだ。生きている限りで君は「未完小説」だ。
《感想4-3》君は一方で《不死》に憧れ、他方で《死》こそ完成と思う。君にとって生は両価的だ。
Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 永井荷風『あめりか物語』(1... | TOP | 配視的現持は《予期的把持》... »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | 日記