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「再びマルクスに学ぶ」斎藤幸平:「成長すれば社会全体が潤う」という論理がでたらめだ!「資本主義そのもの」が問題だ!

2019-11-24 21:24:44 | 日記
※参考:「再びマルクスに学ぶ」大阪市立大准教授斎藤幸平(1987-)(『朝日新聞』2019.10.30)

(1)「自己責任」の問題vs「構造」の問題!
私(斎藤)が大学に入学した2005年は、改革ブームの時代だった。私は格差や貧困は「自己責任」の問題だと思っていた。だがそれだけでは解決できないと知った。それがマルクスだった。身の回りの人間関係や自分の意識を「構造」的に考える必要がある。
《感想》人は利害関心のもとづいて行動する。経済的利害、政治的利害、権力的利害、声望的利害、軍事的利害、出世的利害、名誉的利害等々。これらの利害関心を方向付ける制度・構造を設計し、「正義」の社会構造を実現しなければならない。さらに理念的利害関心もある。
(2)脱成長モデル!
すでに国連が「経済成長だけを求めるモデルは持続可能性がない」と脱成長モデルを検討しつつある。
(3)市場原理主義的資本主義(グローバリズム)!
1991年、冷戦体制崩壊(ソ連崩壊)で市場原理主義的資本主義(グローバリズム)が地球を覆った。そして今、インターネットや情報技術の発展で、政治や社会のメカニズム(構造)を変えず、技術と市場メカニズムで問題を解決できるとの見方も強い。
(4)「成長すれば社会全体が潤う」という論理がでたらめだ!
しかし「人間と環境を破壊しない」形に資本主義を変えなければ問題は解決しない。この30年間(1990-2019)、「成長すれば社会全体が潤う」という論理がでたらめだとわかった。非正規雇用が増え、低賃金労働・長時間労働が蔓延しただけ。
(5)「再分配を強化し景気をよくする」という問題でない!
「再分配を強化し景気をよくする」という問題でなく、「資本主義そのもの」が問題だ。
(6)「自然」は「私有」されるものでなく「コモン(共有財産)」だ!
「地球=環境」つまり「自然」は、本来、「私有」されるものでなく「コモン(共有財産)」だ。資本主義は一部の人がこれを私有化し、利益を生み出す元手とする。
(7)資本主義:人々をたえざる労働と消費に駆り立てるシステム!
資本主義は「希少性」を人工的に作り出し人々をたえざる労働と消費に駆り立てるシステムだ。技術発展でこれだけ生産力が上がったのだから、本来労働時間を減らしてもよいはずだ。
(8)「人間と自然の循環システム」!
マルクスは人間の生活の本質は「自然とのたえざる物質代謝」(人間が労働を通じて自然に働きかけ、受け取り、廃棄する循環システム)だと考えた。資本主義はこの「人間と自然の循環システム」を徹底的に破壊し、また人間と自然を破壊する。
(9)ソ連は成長第1主義で資本主義と同じだ!
ソ連はマルクスの思想の体現でない。成長第1主義で資本主義と同じだ。
(10)人間と自然の両者を包括する「ポスト資本主義」の構想!「グリーンニューディ―ル」!
資本主義の問題を解決するため、人間と自然の両者を包括する「ポスト資本主義」の構想が必要だ。「グリーンニューディ―ル」だ。(1)公共事業で各産業分野での再生可能エネルギーへの転換を後押しし、新しい雇用を生み出す、(2)生活に欠かせないものは気候変動対策の観点から「公有化」する。Ex. 自家用車を減らすため、公共交通機関を無償化する。
(10)-2 経済成長を一義的な目標にしない!
「グリーン・ニューディール」は、経済成長を一義的な目標にしない社会をめざす。(Cf. 成長を目的としたオバマ大統領のグリーン・ニューディールと異なる。)
(10)-3 「反緊縮」の議論は成長を重視し、「グリーン・ニューディール」と異なる!
「反緊縮」の議論は再分配重視だが、成長を重視し、環境(自然)を無視する点で20世紀型であり、「グリーン・ニューディール」と異なる。
(11)人々が「コモン」を資本の支配から取り戻さなければならない!
民主主義においては、選挙だけでなく社会運動によっても政治や経済を変えられる。人々が「コモン」を資本の支配から取り戻さなければならない。
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