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手嶋龍一・佐藤優『米中衝突、危機の日米同盟と朝鮮半島』(2018)「第4章 日本の援助などいらない!?北朝鮮が狙うカネとカジノ」

2019-08-07 22:47:59 | 日記
A カジノ王アデルソン、B 北朝鮮元山のカジノ建設、C 国に忠誠を誓うエリート層、D 金正日の個人的財布、E カジノは賄賂受け渡しの装置、F 腐敗した役人たちは経済援助10億円より自分の賄賂100万円を選ぶ、F 北東アジアの集団安全保障体制!     

A 米朝首脳シンガポール会談前日の2018/6/11、金正恩が「マリーナベイ・サンズ」を訪問した。
A-2 このホテルを所有するラスベガスのカジノ王シェルドン・アデルソンを表敬訪問したとみられる。
A-4 彼は世界屈指のカジノ・運営会社ラスベガス・サンズの会長。
A-5 カジノ王アデルソンは、ユダヤ人で、トランプ政権の最大の資金提供者だ。
《感想》トランプ政権はユダヤ人票を支持基盤とする。従ってイスラエル寄りだ。

B 北朝鮮は金正恩の指示で元山(ウォンサン)にワールドクラスのカジノホテル建設中。
Bー2 米朝修復後の「復興需要」の一つがカジノ。そのパートナーがアデルソン。
B-3 カジノは北朝鮮情勢を一変させるインパクトを持つ。
Bー4 元山のカジノは年間、外貨5000万ドル(約50億円)を稼ぎ出す見込み。(114頁)
《感想》北朝鮮の元山のカジノは年間50億円稼ぐ見込み。国レベルでは、少ない金額だ!(Cf. カルロス・ゴーンの報酬が年20億円だ!)

C 北朝鮮は、国に忠誠を誓うエリート層を食べさせていく必要がある。北朝鮮の人口2500万人。うちエリート層は0.1%、2万5千人。1人月1万円で2.5億円、年30億円あればよい。これは元山のカジノでまかなえる。(133頁)
Cー2 カジノの「胴元」である国が必ず儲かる。
《感想》国に忠誠を誓うエリート層の面倒をみるのが権力維持に不可欠だ。それに必要なカネは権力者(金正恩)が個人的にまかなう。

D 北朝鮮の金正日の個人的財布がマカオのバンコ・デルタ・アジアの北朝鮮預金30億円だった。(2002年)(134頁)
《感想》権力はカネの源だ。国のカネであっても、使用先を決めることができれば、それは自分のカネと同じだ。

E カジノの顧客は主として中国の富裕層や役人だ。(115頁)
E-2 カジノは中国の役人が賄賂の資金洗浄をする場(124頁)、つまりカジノは賄賂受け渡し装置だ。(126頁)
《感想》カジノは、何よりも賄賂受け渡し装置だ。カジノのこの側面に注目すべきだ。

F 日本の援助から北の幹部が抜けるのは1割程度。(10億円で1000万円程度。幹部10人分なら一人100万円。)
F-2 カジノなら簡単に100万円位、手に入る。腐敗した役人たちには国家の10億円より、自分の100万円だ。
Fー3 かくて北のカジノで、日本の経済援助の存在感が揺らぐ。(136ー7頁)
《感想》「唯物論」は正しい。人は食べなければ生きていけない。(131頁)「国家」への忠誠より、まず役人の糊口の道の確保だ。

G 日本政府は日朝首脳会談をめざす。しかし安全保障の観点からは、六者協議の枠組の活性化が重要だ。(139頁)
Gー2 二国間同士の安全保障だと、周囲に緊張を生む可能性がある。OSCE(欧州安全保障協力機構)のような多国籍の不可侵の仕組み、要は北東アジアの集団安全保障体制の構築がベストだ。(139頁)
《感想》北東アジアの集団安全保障体制の構築こそ、日本の安全保障に不可欠だ。
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手嶋龍一・佐藤優『米中衝突、危機の日米同盟と朝鮮半島』(2018)「第3章 韓国を取り込み、アメリカを拘束した~米朝『共同宣言』を読み解く~」

2019-08-07 22:35:24 | 日記
A.非核化の「期限」「行程」「検証」、B.米韓合同軍事演習中止、C.米の「民間」北朝鮮進出をねらう、D.拉致問題の仲介をトランプに頼んだのは誤り、E.「共同宣言」は「板門店宣言」を再確認し韓国を平和体制構築の当事者と認めた、F.北朝鮮の中距離核弾道ミサイルが日本の脅威だ、G.米による北朝鮮攻撃(「朝鮮戦争」)があれば日本は「100%」攻撃を受ける、H.2002年「日朝平壌宣言」は「拉致」「核ミサイルの廃棄」への言及がなく誤りだ!    

A 2018/6/12シンガポール米朝首脳会談の最大の焦点は「北朝鮮の非核化」だ。しかし「共同宣言」に非核化の「期限」「行程」「検証」、いずれも約束されず。
《感想》アメリカは全部バツ(失敗)だ。金正恩は「非核化を実現する」と口で言うだけ。

B 北朝鮮は大きな果実を得た。①米軍に攻め込まれる危機が去る。②米韓合同軍事演習中止。③非核化の資金援助を日韓両国から取り付ける仲介を米が約束。
Bー2 中国は安全保障上、最も取りたい玉を取ってくれた北朝鮮に感謝している。
《感想》中国はアメリカの力を殺(ソ)いで喜んだ。

C 米トランプ大頭領は「アメリカの納税者の金は北朝鮮にビタ一文出さない」と言うが、米「民間」は、虎視眈々と北朝鮮進出をねらう。
《感想》昔から強欲なカネの亡者は、悪魔を仲間にする。「死の商人」が強欲の本質だ。カネの亡者はニヒリストだ。米「民間」はカネの亡者だ。

D 拉致問題の仲介をトランプに頼んだことは日本にマイナスだ。事前折衝の段階で日本が「不都合な」回答を拒否することができない。トランプがOKし受け取った回答を、日本が拒否するのは大変だ。
《感想》そもそも今回、日本は米朝交渉の蚊帳(カヤ)の外だった。

E 1953年朝鮮休戦協定の当事者は、国連軍(米)・北朝鮮人民軍・中国義勇軍の3者で、韓国は署名を拒否した。
E-2 2018/5/23南北朝鮮「板門店宣言」は「戦争終結」に言及し、韓国は半島の「安定した平和体制」構築の当事者となった。
E-3 今回「共同宣言」(2018.6)は「『板門店宣言』(2018.5)を再確認」し、韓国が平和体制構築の当事者であることを、追認した。
《感想》韓国・北朝鮮は、明らかに共同歩調をとっている。

F 米国はICBM開発のみ禁止し、自国に届かない中距離弾道ミサイル開発は北朝鮮に認め、そこで手を打つ可能性がある。そうなれば日本は北朝鮮の核の脅威にさらされ続ける。
Fー2 「共同宣言」(2018.6)はミサイル開発中止に言及さえしない。
《感想》日本は北朝鮮の核搭載中距離弾道ミサイルの脅威にさらされ続ける。

G 米による北朝鮮攻撃(「第2次朝鮮戦争」)が始まったら日本は「100%」攻撃を受ける。
Gー2 朝鮮戦争の際の「朝鮮国連軍地位協定」によると日本は、有事の際、朝鮮国連軍に、ホワイトビーチ、嘉手納、普天間、佐世保、横須賀、座間、横田(朝鮮国連軍後方司令部あり)の7カ所の米軍施設を提供する。これに基づいて米軍が日本から出動できる。(日米安保条約の事前協議は不要。)
Gー3 これら米軍施設(基地)に向け、可能なら必ず北朝鮮が攻撃する。
《感想1》2018/6/12米朝シンガポール首脳会談は「第2次朝鮮戦争」の危機を一応封じた。
《感想2》米軍の北朝鮮攻撃が、北朝鮮による日本攻撃になると、マスコミは全く言わなかった。むしろ新たな「朝鮮特需」が来るなどと言う愚かな意見さえあった。
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手嶋龍一・佐藤優『米中衝突、危機の日米同盟と朝鮮半島』(2018)「第2章 OSを共有する米朝トップが『歴史的』合意を演出した」

2019-08-07 21:48:36 | 日記
A.2018.6月シンガポール米朝首脳会談、B.日本は文在寅政権を「甘く見ていた」、C.金正恩のはリアリストだ、D.トランプは反知性主義者かつ長老派だ(自分を選ばれた者と思う)&共有される0Sはプレスビテリアン(長老派)、E.米中対立下で最大限の利を得る「小国」北朝鮮の処世術(朝中対米の図式)、F.かつて中ソ対立が核戦争になる可能性があった!     
  
A  2018年6/12米トランプ・北朝鮮金正恩「シンガポール」首脳会談。 
A-2 最高人民会議常任委委員長金永南は「官僚」なので行動が慎重だ。
《感想》北朝鮮では「官僚」は、《指示に従う》以上のことは、危険なので絶対にやらない。

B 日本は、シンガポール首脳会談に関し米朝橋渡しした文在寅政権を「甘くみていた」。
Bー2 韓国は米トランプ大統領から「お願い事」をされる位、深い関係を短期間で構築した。対米ロビイング活動、インテリジェンス能力で韓国は日本にまさる。
Bー3 (ア)「トランプ・安倍関係」は親密、(イ)文在寅は反米・容共政権だと、日本はタカをくくっていた。
《感想》「トランプ・安倍関係」が親密とは、トランプの機嫌をとる《ポチ》だということだ。

C 北朝鮮は「殺られるくらいなら対話を」とトランプに賭け、方針転換した。
Cー2 「脅威=《意思+能力》」だ。米国の能力は変わらないから、北朝鮮は、米国の「意思」を変えようとした。
C-3 「目に見える成果を求め、我が道を行く」トランプなら、直談判で活路が開けるだろうと金正恩は判断した。
《感想》北朝鮮が「何をしですかわからない、ならず者」との見方は甘い。金正恩の判断は鋭い。リアリストだ。

D. トランプは反知性主義者かつ長老派(プレスビテリアン)だ。
Dー2 反知性主義は、エリート(知識と権威の結合)の支配に反対する。もちろん決断するトップが、責任もとる。アメリカには、反知性主義の大変太い流れがある。
Dー3 トランプは長老派(プレスビテリアン)で、自分は神に「選ばれた人間」だとの信念がある。(予定説!)ただし傲慢で危険。
Dー4 20世紀以降の米大統領で長老派は、ウィルソンとアイゼンハワー。
Dー5 金日成も元長老派だった。「選ばれし民」は必ず苦難を乗り越え勝利するとの信念。これを金正恩も引き継ぐ。
Dー6 トランプから見た「選ばれし者(光の子)」は安倍、ネタニヤフ、プーチン。「闇の子」は、知性主義のヒラリー・クリントン、ハーメネイ。(Cf. 佐藤優も長老派!)
Dー7 金正恩にとって処刑した叔父の張成沢は「闇の子」。
《感想1》アメリカの反知性主義の太い流れ!アメリカの半分は反知性主義の「田舎」だ。
《感想2》「選ばれし人間」・「光の子」であるとトランプも金正恩も思っている節が確かにある。(長老派!)

E 北朝鮮は、米朝交渉が失敗し戦争になる可能性があるので、中国を巻き込んだ。
Eー2 金正恩はリアリストだ。彼は「朝中対米」という対決図式を作りたかった。
Eー3 金正恩は「米中対立」下で、どちらからも危害を加えられず、最大限の利を得るとの「小国」の処世術を知る。
Eー4 金日成も中ソ対立の時代、「等距離外交」で利を得た。Cf.ソ連(スターリン)は旧満州の権益(Ex. 旅順)を取り戻したかった。
《感想》金正恩がリアリストで「朝中対米」という対決図式を作ったのは、賢かった。「小国」の知恵だ。

F 中ソ対立が核戦争になる可能性があった。1974年池田創価学会名誉会長が訪ソする。彼はコスイギン首相と会い、「中国を核攻撃しない」との言質をとる。それを池田が周恩来首相に伝えた。
《感想》当時、日本政府は、中ソ対立が核戦争に至る危険性を感じなかった。池田大作会長は卓見だ。
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手嶋龍一(1949ー)・佐藤優(1960ー)『米中衝突、危機の日米同盟と朝鮮半島』(2018)「まえがき」「第1章 『北朝鮮』が炙り出す日本のインテリジェンス」

2019-08-07 20:57:52 | 日記
「まえがき」中国からの核の脅威が、日本に対し格段に高まる!A. INF全廃条約、B.経産省の「中国カード」
「第1章」C. 米中対立の世紀、D.「北の脅威」の政治利用、E. 化学生物兵器、F.脅威への対処、G.政権のインテリジェンス!
    
「まえがき」(手嶋龍一)
A 2018年、トランプ政権のINF全廃条約離脱で、「米中衝突」の幕が上がった。射程500キロを超す巡航ミサイルの開発・製造の縛りがなくなる。米露中が軍拡競争へ突入するだろう。
《感想》INF全廃条約の縛りがなくなり、中国からの核の脅威が、日本に対し格段に高まる。

B 安倍晋三は2018年10月、中国訪問。経済産業省の官僚群の意向で保護主義に傾くトランプ政権の牽制のため「中国カード」を切った。
Bー2 しかし日米同盟に楔を打ち込もうとする中国習近平政権を利するものだ。経産省の発想は浅薄だ。
《感想》対中国のため、日米同盟は不可欠だ。日米同盟は東アジアの安定に資する。

第1章「北朝鮮」が炙り出す日本のインテリジェンス(※情報分析能力)
C 20世紀は「アメリカの世紀」だが2001年9.11テロで黄昏がおとずれ、2017年トランプ政権の誕生で凋落のペースが速まった。
C-2 トランプ旋風は一過性でない。超大国アメリカの経済力が落ち、アメリカ白人労働者層の所得が縮んだ。彼らの不満がトランプを誕生させた。
《感想》「アメリカの世紀」が終わったのは確かだ。経済力からみると次は《米中対立の世紀》だ。

D 2017年9月、安倍政権が国難突破解散。当時、《官邸と防衛省》詰めの「新聞記者」のほとんどが、北朝鮮に対する米軍の空爆があると信じていた。(34頁)
Dー2 しかし韓国に在留登録するアメリカ人が10万人もいる状況で、北朝鮮への米軍空爆はありえない。(32頁)
Dー3 しかも安倍政権が国難(北朝鮮危機)を、Jアラート等を使い煽った。それを的確に判断できなかった愚かなメディア。「戦争」の政治利用だ。
Dー4 Jアラートのコマーシャルはメディアのいい収入だった。
《感想》2017年9月、安倍政権の国難突破解散は、明らかに、「戦争」(Ex.「北の脅威」)の政治利用だ。また《官邸と防衛省》詰めの「新聞記者」のほとんどが、北朝鮮に対する米軍の空爆があると信じていた!何と愚かなメディアだ!

E 中距離弾道ミサイルは、飛行中に数百度の高熱となり、サリン等化学兵器また生物兵器は無害化する。
《感想》化学兵器、生物兵器は中距離弾道ミサイルに搭載しても無効だと、知っておくべきだ。

F 脅威は「意思と能力」の関数だ。北の「能力」が変わらないのに、「北の脅威」が低下したと政府が判断したのは、北の「意思」が軟化したためか?軟化などしていない。
《感想》政府は「北の脅威」を政治利用しただけで、まともに「北の脅威」に対処する気がなかったとしか考えられない。

G 「北の脅威」に関し、①アメリカが日本を信頼し第1級の情報を提供したか怪しい。②受け取る安倍政権にインテリジェンスを正しく扱う能力と公正さがあったか怪しい。
G-2 政権は「本気」で対北朝鮮「クリスマス開戦」を信じていた節がある。
《感想》
政権のインテリジェンス(※情報分析能力)が怪しい。
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原民喜(1905ー1951)「鏡のやうなもの」『小さな庭』(1946)所収:底なしのor無限の異世界に詩人は入っていく!

2019-08-07 20:25:17 | 日記
 「鏡のやうなもの」 It is like a looking-glass.

鏡のやうなものを、 It is like a looking-glass.
なんでも浮かびだし、It shows everything.
なんでも細かにうつる、 It reflects everything in detail.
底しれないものを、 It is bottomless.
こちらからながめ、 I look at it from this side.
むかふにつきぬけてゆき。 I get it through to the other side.

《感想》それは鏡のようなものだ。それをこちらから眺め、向うに突き抜けてゆく。向うに何があるか?全てがある。しかも詳細に現れる。詳細な全てという存在の無限、つまり底なし。鏡のようなものの向うに存在の無限がある。だが鏡のようなものには境界がある。境界の向うに突き抜け異世界に入る。底なしのor無限の異世界に詩人は入っていく。
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