DIARY yuutu

yuuutunna toki no nikki

津村節子(1928ー)「初天神」(1997年):「家に居られない年寄り」①《夫婦の衝突回避型》、②《いびられて家に居られない型》、③《狭いところ嫌い型》、④《外出楽しい型》

2018-06-25 20:07:07 | 日記
(1)
京都・北野天満宮の初天神と寺社巡りツアー(2泊3日)に、東京から、私(幸世、60歳)と高校の同級生の智子が、参加した。

(2)
智子はずっと独身。私(幸世)(1937ー)は、結婚したかったが、父(1911ー1996)の世話をして婚期を逃し、独身。父が昨年亡くなった。(1996年、85歳)父は、昔の男で、家では、何から何まで母にやってもらい、自分では何もできなかった。
《感想1》
幸世の父は、典型的な昔の男(M44生まれ)だ。家のことは何も知らず、一人では暮らせない。

(3)
母がいないと父はお茶も飲めず、食事にもこと欠く。母は旅行などできなかった。母は52歳で、癌で亡くなった。「母の一生は何だったのだろう。子を産み育て、夫の世話に明け暮れするのみだった生涯」と幸世は思う。
《感想2》
「子を産み育てること」を、このように否定的に評価する根拠がどこにあるのか?「子を産み育てること」より重要な、何か特別な出来事が、人生にあるのか?いずれの人生も、喜び怒り悲しみ楽しみなど、感情生活があるだけではないのか?
《感想3》
夫の世話をすることは、夫との人間関係だ。人生は、諸人間関係だ。問題は、誰とどういう関係を作り出すかだ。母親は、こういう父親を好きだったかもしれない。好ましい人間関係か、そうでないかだけが問題だ。好ましい人間関係であったとしたら、「夫の世話に明け暮れする」ことを、否定的に評価するのは、変だ。

(4)
母が52歳で死んだとき(1964年)、幸世は27歳だった。父親は53歳だった。母が死ぬまでは、幸世に、縁談が色々あったが、父一人娘一人となると縁談は遠のいた。また、話が進展しかけると、父が必ず難癖をつけた。父は、娘が自分の許から離れていくのを、極度に恐れていた。
(4)-2
幸世が53歳の時(1990年)、《妻に死なれて息子2人を抱え苦労する56歳の槙原》との縁談があった。幸世は結婚したかったが、父親(79歳)のことを心配し、結局やめた。父にしてみれば、《親の世話をするのは当たり前、親を捨てて他人の面倒を見るなど到底許せない》のだ。その2年後、1992年、81歳で父は脳出血、寝たきりとなるが、入院は頑強に拒んだ。5年間の在宅看護の後、父は1996年、85歳で亡くなった
《感想4》
娘が結婚したいのに、それを許さない父親。実は、父親は、一方で、人前では外聞を考慮し「いい話なら結婚して貰いたい」と言う。(社会の新しい価値観を否定できない!)ところが、他方で、父親のこれまで身についた価値観は強固だ。娘が親の世話をするのはあたりまえで、父親を捨てて結婚するなどもってのほかだ。(父親の昔ながらの古い価値観!)父親の価値観(感情&倫理)が分裂するが、結局、父親の心の中で勝利するのは、昔ながらの古い価値観だ。

(5)
今(1997年)、幸世(60歳)は、ようやく父親から解放された。
《感想5》
女性の60歳は若い。これから恋もできる。胸がときめくときがあるだろう。肉体の恋も可能だし、精神の恋も可能だ。幸世という女性は、自由になったのだ。これまで結婚したかったのだから、恋をし、実質的に結婚(同居)すればいい。
《感想5ー2》
法律婚は、財産(相続)問題があるので、やめる。事実婚、パートナーとの同居、相手の家を訪れるなど、恋or結婚(同居)の形式は、いろいろ可能だ。

(6)
今回の初天神と寺社巡りツアー(2泊3日)に、ずっと、つまらなそうに参加している70歳過ぎの金持ち風の女性がいた。幸世は、その女性の事を、ずっと気にしていた。その女性は、誰とも打ち解けず、見学もほとんどせず、バスに座っているだけだった。ツアーの最後に、幸世が声をかけた。するとその70歳過ぎの女性が答えた。「嫁は私に家にいてほしくないので、勝手にツアーに申し込むんです。」
(6)-2
「家に居られない年寄りだ」と、父が昔、公園のベンチに並ぶ年寄りを見てよく言っていた。しかし、彼らは、仲間が居るのだから幸せかもしれないと、幸世は思う。
《感想6》
「家に居られない年寄り」といっても色々ある。
①夫婦二人暮らしで、一年中、家で顔つき合わせているのも、大変だ。かくて家に居ない。《夫婦の衝突回避型》
②嫁さんに、嫌われ、いびり出される義理の父母、つまり舅・姑。追い出され型。(Ex. 上述のツアーでつまらなそうにしている70歳過ぎの女性。)《いびられて家に居られない型》
③単純に家が狭い。家にいると狭苦しい。《狭いところ嫌い型》
④家にいるより、出かけた方が楽しい。仲間もいる。気晴らしにもなる。歩けば健康にいい。《外出楽しい型》
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『万引き家族』(2018年、日本)監督是枝裕和:「血縁を超えて繋がる」《結婚》の絆が成立しうるなら、原理的に、「血縁を超えて繋がる」《家族》の絆も可能だ!

2018-06-25 19:15:12 | 日記
(1)
親の死亡届を出さず年金を不正受給していたある家族の、実際にあった事件が、物語のモデルだ。
(2)
マンションの谷間の古い平屋に、家主である初枝の年金を当てにして、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀が暮らす。彼らは初枝の年金では足りない生活費を、父治と息子翔太の万引きで補う。救いは、カネはないが、笑いが絶えない毎日だ。ある冬の日、近所の団地の廊下で震えていた幼い女の子、ゆりを見かね、治が家に連れ帰り、娘として育てることにした。
(3)
治と信代は、元客とキャバクラのホステスの関係だった。治は昔も今も、日雇いまたは窃盗・万引きで暮らす。かつて治と信代を殺そうとした信代の亭主を、治が正当防衛で殺した。そして信代は元夫を床下に埋めた。なお祖母初枝と治は、血縁ある親子関係だ。治は初枝の年金を当てにして同居している。
(3)-2
翔太は、父治に教えられ、万引きを繰り返す。ただし翔太は、実は、DV等のため家出し、治についてきただけだ。だから、治は父でなく、血縁関係のない「おじさん」だ。
(3)-3
亜紀は風俗で働く。初枝は、別れた夫の(初枝の子でない)息子夫婦の家をたびたび訪ね、帰り際に金一封を受け取る。その家の長女が、亜紀だ。亜紀は、現在はオーストラリア留学中ということになっている。
(3)-4
ゆりは、母親から暴力・虐待を受ける。他方、母親は亭主からの家庭内暴力を受ける。ゆりにとっては、治たちの家で、娘として育てられるのが、最も幸せだ。
(4)
初枝は、家族で出かけた海水浴のあと、突然死した。「カネがないので葬儀や火葬は難しい」と判断した治と信代は、家の基礎下に初枝の遺体を埋める。また、こうすれば死亡届を出さないので、今まで通り、初枝の年金を受給できる。
(5)
息子・翔太が、万引きの失敗から、警察に捕まる。そこから家族の秘密がすべて、明らかになる。①祖母・初枝の死体遺棄。②初枝の年金の不正受給。③治には、翔太に対する親権がないこと。(翔太は施設に入る。)④ゆりを誘拐したこと。(ゆりにとって幸福でも誘拐罪にあたる。)
(5)-2
ゆりの誘拐、初枝の死体遺棄の容疑で治と信代は逮捕される。治は再犯になるので、信代が自分ひとりで罪をかぶり(懲役5年)、治をかばう。
(6)
本作のテーマは、「血縁を超えて繋がる家族はあるのか?」だ。結婚自体が、すでに、血縁を超えた任意の社会関係だ。「血縁を超えて繋がる」《結婚》の絆が成立しうるなら、原理的に、「血縁を超えて繋がる」《家族》の絆も可能だ。とりわけ、家庭内暴力のもとで虐待を受ける子供にとって、「血縁を超えて繋がる」家族あるいはそれに相当するものが不可欠だ。
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A「親しき仲にも礼儀あり」、B「自主独立の精神」

2018-06-25 10:01:38 | 日記
問題A:人と共に暮らしたところで、我儘になるだけ、そしてくたびれるだけ。
問題B:一人で暮らすのは、話し相手がいないのが寂しい。

問題Aの解答例:「親しき仲にも礼儀あり」と言う。心がけるべきだ。
問題Bの解答例:「自主独立の精神」を養うこと。必要なら、誰か友人を作ること。

Problem A: If you live with other person, it only makes you rude and exhausted.
Problem B: If you live alone, it mekes you lonely because you cannot talk with anyone.

Example answer to problem A: They say, “A hedge between keeps friendship green.” You shouldn’t forget this proverb.
Example answer to problem B: You should strengthen spirit of independence. If you need, you had better make friends with others.
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