DIARY yuutu

yuuutunna toki no nikki

井坂幸太郎(1971ー)「ルックスライク」(2013年):「He looks like his father.」(和人は外見が父親邦彦とそっくりだ。)

2018-06-14 20:38:59 | 日記
(1)高校生
深堀先生が英語の問題を出した。「He looks like his father.」と「He is just like his father.」はどう違うか?久留米和人(カズト)が指されたがわからない。深堀先生が、「looks like(ルックスライク)」は外見が似ていること、また「is just like」は性格が似ていることと、説明した。先生は、三十代後半で既婚。久留米和人は、いつも、外見が父親とそっくりと言われ、嫌だった。
(2)若い男女(※20年前の出来事)
笹塚朱美が、ファミレスのアルバイト(ウェートレス)をしていた。注文された料理が間違っていて、年輩の男が怒った。笹塚朱美は謝罪したが、男が激昂する。そのとき「あの・・・・」と若い男が横から入り、怒る男に言った。「誰の娘かも知らずに、怒っているんなら、あなたは命知らずだと、心配なんですが・・・・」年輩の男は、これを聞き、警戒する面もちになり、興奮が冷めた。笹塚朱美は救われた。
(3)高校生
同じクラスの美人の織田美緒が、「駅の駐輪場に一緒に来てほしい」と言った。「駐輪場代を払って受け取ったシールを、自転車のサドルに貼ったんだけど、誰かにはがされた。その者が無賃駐輪するため、はがして、自分の
サドルに私のシールを貼ったに違いない。」「犯人を捕まえたいので、一緒に来てほしい」という。
(4)若い男女(※20年前の出来事)
笹塚朱美は、自分を救ってくれた彼(邦彦)が、次に来店した時、礼を言った。それをきっかけに交際が始まった。彼は2歳年長で、二人は実は同じ大学だった。笹塚朱美は教育学部、彼は工学部だった。彼女は、先日の行為を「この子がどなたの娘かご存じですか」作戦と名付けた。それから1年が経った。この日、笹塚朱美は「邦彦は、胸の大きい女のこが好きなんじゃないの?今、眺めてた」と少し怒った。
(5)高校生
久留米和人と織田美緒が、駅の駐輪場にやって来た。二人は、シール自動券売機を使わないまま、中に入って来る者を、入り口で見張ることにした。
(6)若い男女(※20年前の出来事)
今や、笹塚朱美は大学4年で教育実習、邦彦はすでに就職していた。この日、邦彦は職場でのサプライズパーティーの話をした。笹塚朱美は、「それはサプライズする側の満足で、傲慢じゃないのか」と批判した。笹塚朱美は、「いつも彼が自分を驚かせ、楽しませる立場で、自分はそれを受け止めるだけ」という関係性に、苦痛を感じ始めていた。(やがて、二人は別れた。)
(7)高校生
織田美緒と久留米和人が、無賃駐輪の犯人を見つけた。会社員風の男だった。だが男は居直り、居丈高に怒った。そのとき、深堀先生が駐輪場に来た。先生が男に「そんな口調で怒るなんて命知らずですね」と言った。そして「私もこれ以上関わりたくないので退散します。お父さんに言わないでくださいね」と織田美緒に頭を下げた。その後、男は態度を変え、「駐輪代50円払うよ」と言った。「顔覚えました」と久留米和人が言う。「私のお父さんに言いつけたくはないんだけれど・・・・」と織田美緒が続けた。男は顔を隠すように、そそくさと遠ざかっていった。
(8)高校生
二人は深堀先生をさがし、経過を報告した。そのとき、久留米和人の父親、邦彦が自転車を引いて駐輪場に現れた。和人が「親父、こっちが担任の深堀先生だよ」と紹介した。「はじめまして、和人の父です」と邦彦が挨拶した。すると深堀先生が「お久しぶりです」と言った。
(8)ー2
深堀先生は、久留米和人の担任になったとき、「和人の父が邦彦だ」とわかったのだ。(和人は、20年前の久留米邦彦にそっくりだった。)驚いた邦彦に対し、深堀先生は、「私は、サプライズをする側になってみたかった」と言った。そして「『この子がどなたの娘かご存じですか』作戦は、今も有効です」と邦彦に報告した。笹塚朱美は、結婚して今は、深堀だった。深堀先生が、父親の邦彦に言った。「You look like your son.」(ルックライク)

《感想1》
現在と20年前が、交錯する。鍵は、和人に関する「He looks like his father.」という英文。(和人は外見が父親邦彦とそっくりだ。)落ちは、父の邦彦に対して深堀先生が言った「You look like your son.」という英文だ。(あなたは息子と外見がそっくりだ)お見事!
《感想2》
「この子がどなたの娘かご存知ですか」作戦が、20年前と現在と、2度にわたって有効な点が愉快だ。
《感想3》
20年の時の経過が、父と息子の外見がそっくり(ルックスライク)という仕掛けで、《現在の息子(和人)=20年前の父親(邦彦)》という等式を可能にした。深堀先生の記憶に残るのは、20年前の邦彦だ。ところがその《20年前の邦彦その人の姿》が、現在において、突然出現した。(《現在の和人》!)深堀先生は、とても驚いたことだろう。
《感想4》
深堀先生は、20年前の現実に、いわばタイムトリップした。彼女は、20年前の彼女になって、改めて、今度は、自分が主体的に自分の側から「この子がどなたの娘かご存知ですか」作戦をやり、また自分がサプライズする側に回り、20年前の負債を返還した。《20年前》の仇(カタキ)を《現在》において討った。(Cf.「江戸の仇を長崎で討つ」)
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映画「妻よ薔薇のように」(2018年):(1)女性蔑視・「両性の本質的平等」、(2)「親しき仲にも礼儀あり」、(3)セクハラ、(4)経済力、(5)「結婚は人生の墓場だ」・「子はかすがい」!

2018-06-14 12:16:29 | 日記
平田家の長男・幸之助の妻・史枝が、コツコツ貯めたへそくり50万円を、泥棒に盗まれる。
史枝は、落胆しながらも、泥棒に入られたことを、夫・幸之助に謝る。
ところが夫は、「俺の稼いだ金でへそくりをするなど、ピンハネだ!」と許さない。
夫は、定額の家計費を毎月、文枝に渡すが、文枝が「ダンス教室に通いたい」と言っても金を渡さないし、他方、パートも「家事がおろそかになる」と許さない。
史枝は、我慢が限界に達し、家を飛び出す。
史枝は専業主婦で、家計をやりくりし、三世代家族の面倒を見、掃除・洗濯・食事の準備をこなし、さらに育児・子育て・子供の教育も一人で担当してきた。
へそくりは、史枝にとって、いわば臨時費引当金だ。
史枝が家を飛び出し、平田家の人びとは、これまで史枝がこなしてきた家事の数々をやるハメになり、大混乱となる!

《感想1》
専業主婦労働の価値を、夫・幸之助が、全く評価しない。非合理であり、女性蔑視の典型だ。彼は「両性の本質的平等」を全く理解しない。日本は、女性の地位が低い。
《感想1-2》
幸之助が、妻・史枝に「パートを許さない」との設定は、幸之助程度の稼ぎでは、普通ありえない。幸之助が、例えばオーナー社長で、収入が圧倒的に多く、豪邸に住むなら、史枝に要求してもよい。しかし、威張り散らすには、幸之助の稼ぎが少なすぎる。甲斐性がない。
《感想2》
爺さんの平田周蔵は、昔の男で、我儘・無神経だ。妻・富子に、嫌味しか言わない。ひどい発言ばかりで、女性蔑視の典型だ。「親しき仲にも礼儀あり」の語を、噛みしめるべきだ。富子が、「お墓に一緒に入りたくない」と言うのは当然!
《感想3》
この映画は、「昔の男(今の爺さん)なら、女性へのセクハラは当然だ」との視点で描く。だが立場が弱い女性へのセクハラは、性犯罪と紙一重だ。この映画は、セクハラに無神経すぎる。
《感想4》
幸之助は、結局、史枝に謝る。しかし、映画と異なり、普通、男は自分の女性蔑視に気づかず、謝らないし、簡単に変わらることもない。かくて妻が「離婚したい」と思うのが普通だ。しかし経済力が妻になければ、離婚できない。子育て終了後の熟年離婚も、経済的条件で決まるだろう。
《感想5》
「結婚は人生の墓場だ」という言葉は、しばしば、当たっている。では、なぜ結婚するのか?「若気の至り」だ。
《感想5-2》
法律婚で、結婚し子供がいて、すでに子供の養育・教育を引き受けている場合、離婚しないor別れないケースも多い。(Cf. 「子はかすがい」!)事実婚(同棲)の場合は、子供がいても、別れるケースが多い。
《感想5-3》
事実婚(同棲)で、子供がいなければ、別れるのは簡単だ。法律婚の場合は、子供がいなくても、離婚は、財産分与や慰謝料の問題が法的に必ず発生するから大変だ。


[参考] 日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団の2017年12月調査(20-70代、既婚者694人)(朝日新聞2018/05/26号)
(1) 「パートナー(配偶者)より自分が先に死にたい」男性78%、女性50%。
(1)-2 「先に死にたい」理由の上位3位:①「パートナーを失う悲しみに耐えられない」、②「死ぬときにそばにいて欲しい」、③「パートナーがいないと生活が難しい」。
(1)-3 「先に死にたい」理由で女性が(男性より10ポイント以上)高いのは、①「葬儀や墓について考えたくない」、②「パートナーの介護をしたくない」。
(2) 「パートナーより自分が後に死にたい」理由:①「最期をみとってあげたい」(男女とも6割)、②「パートナーの生活が心配」(男性3割、女性5割)。

《感想1》
「パートナーより自分が先に死にたい」と男性の78%が思う。どうもあまり、男らしくない。
①「悲しみに耐えられない」、②「そばにいてほしい」とは女々しい。(※セクハラ語だが、昔の言い方!)「男は黙って・・・・・・」とか「花は桜木、人は武士」と言われた時代から、様変わりしたものだ!
③「パートナーがいないと生活が難しい」とは、男性の場合は、家事が苦手ということだ。独立心が無さすぎて、恥ずかしい。
《感想2》
女性が①「葬儀や墓についてか考えたくない」、②「パートナーの介護をしたくない」から、「先に死にたい」と思うのはもっともだ。
①「葬儀や墓」は、女性の場合、夫が先に死ぬと、夫の親戚との関係が大変だ。
②夫が年長だったり、また夫(男性)が平均余命が短いので、一般的に妻が夫を介護することが多い。その苦労を見ているので、女性は夫より先に死にたいのだ。
《感想3》
「パートナーより自分が後に死にたい」理由は、美しい愛の証(アカシ)だ!①「最期をみとってあげたい」と優しい。②「パートナーの生活が心配」(男性3割、女性5割)は、男性は金銭面を、女性は身の回りの世話など家事の面を考えているだろう。
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