DIARY yuutu

yuuutunna toki no nikki

楽しかった思い出の人々はみな死んでしまった 

2018-06-11 23:27:54 | 日記
君は壊れそうだ。なんとか正気を保っている。暗い世界。あるのは不安だけ。
だが住居がある。食事がある、服がある。生きていける。
単調な毎日。疲れている。
記憶は化物ばかり。嫌な奴ばかり。後悔ばかり。
君は、じきに消え去るだろう。冴えない見通しだ。
侮蔑され、軽蔑され、非難され、憎悪され、苦い思い出ばかりだ。
空虚が君を待つ。虚無。
あの悲惨だった日々を思いだす。
楽しい思い出もあった。子供時代の幻。だが幻だけだ。楽しかった思い出の人々はみな死んでしまった。
正気を保たねばならない。生きるのは大変だ。平静が必要だ。
少し落ち着いた。
人を悲しませてはならない。自暴自棄は、ろくな結果にならない。
君は修行者になる。だが胃が痛む。正気を保とうとすると体が持たない。
この世は憂き世だ。眠れるなら、眠るのだ。眠りと死は同類だ。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

藤圭子「東京流れ者」:運命を受けとめるが、しかし認めるわけでない一本気の人間、その決意と悲哀を、藤圭子が歌う。名曲だ。 

2018-06-11 21:01:46 | 日記
 東京流れ者 A Wonderer in Tokyo        

風が吹いたら 吹かれます When wind blows, I am blown.
雨が降ったら 濡れまする When rain falls, I become wet.
馬鹿な男と 云わりょうと Even though I am told that I am a stupid man,
馬鹿は承知の 一本気 I am definetely single-minded accepting that I am stupid.
あー 東京流れ者 Ah, I am a wonderer in Tokyo.

《感想1》
俺は、運命を受けとめる。しかし認めるわけでない。俺は馬鹿と言われる。それは承知の上だ。俺は俺の人生を生きる。俺は、一本気だ。一人で生きる流れ者だ。

あの娘可愛い かれん花 The young woman looks like a pretty, lovely flower.
俺がいたんじゃ トゲを持つ However, I give her thorns when I love her.
すねるつもりじゃ ないけれど I don’t intend to be timid and sulky,
情け知らずの 恋知らず but I neither become sentimental, nor fall in love with anyone.
あー 東京流れ者 Ah, I am a wonderer in Tokyo.

《感想2》
可愛いと思う娘(コ)と出会うこともある。しかし俺は堅気(カタギ)でない。すねるわけでないが、愛や恋は、俺に似合わない。俺は一人で生きる。
 
姓は誰々 名は誰と I decidedly say to myself
一人自分に きる啖呵(タンカ) what my family name is and what my personal name is.
笑いなさるな 極道の Don’t laugh at me. Though I am even an outlaw,
こんな俺にも 意地がある I have backborn and pride.
あー 東京流れ者 Ah, I am a wonderer in Tokyo.

《感想3》
一体、俺は誰か。俺は、自分で確かめる。道を外れると言われるが(極道)、俺にも、意地がある。俺は、自分の意地に従って生きる。誰からも指図(サシズ)されない。

男一匹 革ジャンに I am an independent man. I want to decorate
飾りましょうか 白い花 a white flower onto my leather jacket.
聞いてくれるな 身の上は Don’t ask me about my life history.
明日も一人で 流れてく Tomorrow also, I will wander from place to place alone.
あー 東京流れ者 Ah, I am a wonderer in Tokyo.

《感想4》
一人で生きる流れ者で、極道の俺だが、自分の意地に生きることを誇りに思う。俺が受けとめてきた運命が、どんなものだったか、言うつもりはない。明日も、俺は一人で生きていく。

《感想5》
運命を受けとめ、しかし認めるわけでない人間の決意と悲哀を、藤圭子が歌う。名曲だと思う。腹が座っていて、その迫力が、どこか嬉しくさせてくれる。啖呵をきるような、ドスのある最高の歌。生きていてほしかった。合掌。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

(1)「コミュ力」の空間!(斎藤環) (2)「コミュニケーション能力」は「コミュ力」と異なる!(川嶋太津夫)

2018-06-11 13:55:33 | 日記
(1)精神科医・斎藤環(タマキ)(1961-):若者の3割は「コミュ力」の空間に加わらないor排除される!
若者の間では、しばしば、人間の価値が「コミュ力」で決まる。《相手を傷つけず、ほどよい距離感をとり、誰とでもやり取りする作法》を身に着けていることが「コミュ力」と言われる。原型はお笑いだ。今、若者は、スマホやネットで、「コミュ力」の空間に生きる。こうした状況が成立し、すでに10年間経っている。ただし「コミュ力」の上位者1割、空気を読む取り巻きの中間層6割、違和感を持つ下層3割だ。下層は「コミュ力」の空間から排除される。若者たちは、スマホもネットもない石器時代に戻りたくない。彼らは、カネや高級乗用車がなくても、つながっていさえすれば、何となく満足できる。

《感想1》
これは、学校でのいじめの構図だ。だが、成人して現実の生活は、「いかに稼ぐか」こそが問題だ。だから仕事がきちんと出来なければならない。仕事の能力は、スマホやネットの「コミュ力」と相関しない。「コミュ力」の空間に加わらないor排除される3割の者も、いわば《仕事力》で生きていける。(※次項「コミュニケーション能力」参照。)

(2)阪大教授・川嶋太津夫(1954-):「コミュニケーション能力」は「コミュ力」と異なる!
経団連の企業アンケートによると新卒採用で「選考に重視した点」のトップは、2017年まで、15年連続で「コミュニケーション能力」だった。「主体性」、「チャレンジ精神」、「協調性」はトップでない。
(2)-2 「サービス産業」中心の経済&グローバル経済の進展
背景①:産業構造が「モノづくり」中心の経済から、新しいアイデア・知識が重要な知識基盤社会、つまり人間相手の「サービス産業」中心の経済となった。
背景②:グローバル経済の進展(グローバリズム)で異なる文化・価値観を持つ相手との意思疎通が必要となった。
(2)-3 「コミュニケーション能力」
「コミュニケーション能力」の中核は、(ア)口頭でうまく伝える能力、つまり「きちんと話す能力」と、(イ)文章を書く力だ。依頼、報告、連絡など、あらゆる仕事は「きちんと書く能力」を必要とする。対人スキルとしてのいわゆる「コミュ力」は、「コミュニケーション能力」と異なる。「コミュ力」は、《空気を読む、雰囲気を和ませる、うまくその場を仕切ってまわす》という能力だ。

《感想2》
(ア)学生はしっかり勉強しなければならない。知識は力だ。まず専門知識をきちんと学ぶ。
(ア)-2 文化的・哲学的教養も重要だ。人間の厚みができる。
(イ)また部活動・サークル活動・ボランテイア活動・NPO活動なども、組織を運営するスキルが身に付くので重要だ。

《参考》朝日新聞2018/06/11号「コミュ力と言うけれど」
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高樹のぶ子(1946ー)「トモスイ」(2009年):著者は、エロティシズム(有性生殖)に執着する! またホモセクシュアリティが、もう一つのテーマだ!

2018-06-11 11:19:40 | 日記
(1)
早春、ユヒラさんと、わたしが、夜釣りに出かける。(※小説は63歳の時の発表だが、「わたし」が何歳か不明。夜釣りに出かける体力・運動能力があるから、40歳代位だろう。)ユヒラさんは、男だが、男らしくない。「髪型がふんわり丸い」。「胸や下腹部が女のように肉付きがよい」。ユヒラさんとわたし(女性)の二人の夜釣りだ。
《感想1》
《ホモセクシュアリティがある程度、市民権を得ていると言われるタイ》に触発された小説だと、言われる。

(2)
長々とした岬が、女が足を放り出している形状だ。輪郭がぼやけて柔らかそう。船が岬を回り込む。
《感想2》
景色が、エロティックだ。著者は、事態をエロティックに描きたい。「岬を回り込む」とは、女性器を覗くことに相当する。

(3)
「わたしはユヒラさんと、一度何かの折にキスしたことがある。その時、ユヒラさんは男の匂いがしなかったので、気に入っている。」「ユヒラさんが男かどうかわからない。」船は進み、やがて、二本の足に見える岬の付け根に、さっと光が入り込んだ。ユヒラさんは、「ね」と意味不明の声をもらした。
《感想3》
テーマが、エロティックな事態であることが、あらためて示される。Ex. 「キス」、「男の匂い」、「二本の足」の「付け根」。またホモセクシュアリティの事態が、もう一つのテーマだ。男のユヒラさんについて、「男かどうかわからない」とされる。

(4)
「万一、水に落ちて死んだときのことを考えて、ファンデーションと口紅で、お化粧しといたほうがいい」と、ユヒラさんが言う。わたしが化粧すると、ユヒラさんも化粧した。「おあいこですね。同じ穴の狢(ムジナ)です」とユヒラさん。
《感想4》
《化粧する男性》は、《女装する男性》と同義だ。女性が化粧し、女性と同じ化粧を男性もするから「おあいこ」だ。ユヒラさんは、ホモセクシュアリティに憧れる。

(5)
トモスイを釣る時の餌は、豆のタマリンドだ。「トモスイはちゅるちゅる食べる。旨いんです。」とユヒラさんが言った。餌のタマリンドに釣り針を刺し、ユヒラさんが、海に投げた。「さてと」とユヒラさんが言った。「あと待つだけですな。」私は、「さてと、のあとに、そろそろ死にますか、なんて言われたらどうしようと思っていたので、ほっとした。」ユヒラさんは、「あるがままのものが見えていないフリをする」のが好きだ。
《感想5》
「さてと、そろそろ死にますか」とは、確かに、怖い話だ。エロスは本来、永遠性・完全性への憧憬だ。不完全な男性と女性が、一体化し完全となることが性的交渉なら、それは不完全性である個人(男性or女性)の死だ。エロティシズムが主題なら、死も当然、主題となる。しかし、この小説では、今回、死は主題でない。
《感想5-2》
「トモスイ」という造語(生物名)は、釣れた直後、船上で中身を二人で共に吸うので「トモスイ」だ。

(6)
「男でいるのもイヤだ、女になるのもイヤだ」とユヒラさんは言うが、「それは無理だ」と私は思う。「誰かと溶け合う」のがユヒラさんの理想なら、「自分が無くなってしまうほど、遠くまで行かなくてはならない」と私は思う。しかし、ユヒラさんは「体力も気力もお金もない」。
《感想6》
ユヒラさんは、「男」も「女」も「イヤだ」と言う。だが、彼は、《男と女の融合》(つまり接合する雌雄の合体型生物)を期待するのであって、《雌雄以前の無性別》(つまり接合と無縁の単性生殖生物)を考えていない。ユヒラさんは、エロティシズム世界の徒だ。無性生殖の非エロティシズム世界を願っていない。生臭い男だ。

(7)
トモスイが釣れた。トモスイは、「赤ん坊ほどの大きさの、貝の剥(ム)き身みたいなもの」で、「体温」があり、「求肥(ギュウヒ)のように肌触りがいい」。トモスイは、「ひゅっ、ひゅっと、身体の先端から管のようなものを出して、呼吸している」。トモスイは、中味を「吸い尽くす」ことができる。腹のように膨らんでいる端に「飛び出したもの」(「突起物」)がある。もう一方の端には「縦長に割れた臍のような穴」が開いている。
《感想7》
トモスイの「突起物」と「穴」は、男性器と女性器を思い起こさせる。

(8)
トモスイは、触ると「くすぐったそうに身をよじった」。また「全身のあちこちに盛り上がった襞(ヒダ)のようなもの」がある。やがて、トモスイは静まった。
《感想8》
「くすぐったそうに身をよじった」とのトモスイの描写は、女性の身体を思わせる。トモスイは、男性器と女性器を持つ両性具有で、かつ女性的身体をもつ生物だ。

(9)
ユヒラさんは、「結構でかい。吸い甲斐がある」とトモスイが釣れて喜ぶ。そしてこんな大きなトモスイの内容物を好きなだけたくさん吸えるなら「死んで本望だ」、「こんな旨いもんを吸ったら、死んでもいい」と言った。
《感想9》これは性行為の絶頂期に、《死んでもいい》と思うことの比喩に見える。

(10)
私(女性)は、トモスイの「突起物を口にくわえ」、吸った。
《感想10》これは、女性が、男性器を口に入れ、吸うことに似る。
(10)-2
私(女性)は、トモスイの内容物を、突起物から「ごくごく」飲み、「飲み下すたびに次が欲しくなり」、呑み込んだものは、「私の下腹部」に溜まっていく。「美味しいです」と私が言う。
《感想10-2》
これは、男性器から射精された精液を、女性が飲み込む場面を思い出させる。

(11)
ユヒラさん(男性)は、「穴に吸い付いて」、「ちゅるちゅると音をたてて」、トモスイの中身を吸っていた。
《感想11》
これは男性が、女性器に口をつけ、その中身の汁を吸う行為に似る。

(12)
今度は、私(女性)が穴を吸った。すると「穴の周りの皮膚が口の中に入」る。それを「舌を使って掻(カ)き分け」、「穴を舌の先端でこじ開ける」ようにして、中身を吸い出す。中身は「ぷよぷよとした卵」のような粒々で、歯でつぶすと、とろりと甘くおいしい。
《感想12》
これは、女性が、別の女性の女性器を吸う行為に似る。卵は、卵子の比喩、あるいは卵巣の比喩だ。

(13)
ユヒラさん(男性)が、次に、トモスイの突起を吸う。
《感想13》
これは、男性が、別の男性の男性器を吸う行為に似る。

(14)
かくて「わたしとユヒラさんは、トモスイを間にして一つの身体になり、繋がっている。」
《感想14》
トモスイは、両性具有の人間型身体を持つ生物で、人間の男性器と女性器に相当する「突起物」と「穴」を両方持つ。わたし(女性)がトモスイの女性器を吸い、中味を味わう。ユヒラさん(男性)が、トモスイの男性器を吸う。
《感想14-2》
わたし(女性)がトモスイの男性器を、自分の女性器に入れ性交に似た状態になり、ユヒラさん(男性)が、トモスイの女性器に、自分の男性器を入れ性交に似た状態になるという設定を、著者はしない。
《感想14-2》
著者は、両性具有のトモスイを介し、ホモセクシュアルな場面を描く。ヘテロセクシュアルな場面を描かない。

(15)
わたし(女)とユヒラさん(男)は、「コの字形の生き物」になった。「どの部分がオトコでオンナなのか、すっかりわからなくなった。」
《感想15》
「コの字形の生き物」が成立すれば、《男(ユヒラさん)、両性具有のトモスイ、女(私)》は、不可分の全体となる。かくて全体としての「コの字型の生き物」の性別は、不明だ。(しいて言えば、その性別は、《男・両性具有・女》だ。)《男・両性具有・女》という各部分の性別は、全体として融合し一体だから、「どの部分がオトコでオンナなのか、すっかりわからなくなった」のは当然だ。

(16)
「トモスイは両方から吸われて、だんだん小さくなっていく。」
《感想16》
この状況を具体的に描写すれば、男(ユヒラさん)がトモスイの男性器(「突起物」)を吸い、中味を吸われて死んだトモスイの皮があり、そこに女性器(「穴」)がついていて、それを女(私)が吸っている。今や、トモスイは男性器と女性器のみからなる物体だ。(トモスイは、身体の内容物を吸われ、死んだ。)
《感想16-2》
補論1:著者は、有性生殖(エロティシズム)に執着するが、評者は、無性生殖の方が良い。無性生殖は、平穏な世界だ。自己増殖は面倒がなく、それは美しい。つまり他者が要らない。他者などいなくていい。
補論2:そもそも、増殖する生物など存在しない無生物の世界の方が、世界(宇宙)は、平穏・平安だ。無生物の世界は、死の世界と嫌がられるが、それは生物中心の考え方にすぎない。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする