東京流れ者 A Wonderer in Tokyo
風が吹いたら 吹かれます When wind blows, I am blown.
雨が降ったら 濡れまする When rain falls, I become wet.
馬鹿な男と 云わりょうと Even though I am told that I am a stupid man,
馬鹿は承知の 一本気 I am definetely single-minded accepting that I am stupid.
あー 東京流れ者 Ah, I am a wonderer in Tokyo.
《感想1》
俺は、運命を受けとめる。しかし認めるわけでない。俺は馬鹿と言われる。それは承知の上だ。俺は俺の人生を生きる。俺は、一本気だ。一人で生きる流れ者だ。
あの娘可愛い かれん花 The young woman looks like a pretty, lovely flower.
俺がいたんじゃ トゲを持つ However, I give her thorns when I love her.
すねるつもりじゃ ないけれど I don’t intend to be timid and sulky,
情け知らずの 恋知らず but I neither become sentimental, nor fall in love with anyone.
あー 東京流れ者 Ah, I am a wonderer in Tokyo.
《感想2》
可愛いと思う娘(コ)と出会うこともある。しかし俺は堅気(カタギ)でない。すねるわけでないが、愛や恋は、俺に似合わない。俺は一人で生きる。
姓は誰々 名は誰と I decidedly say to myself
一人自分に きる啖呵(タンカ) what my family name is and what my personal name is.
笑いなさるな 極道の Don’t laugh at me. Though I am even an outlaw,
こんな俺にも 意地がある I have backborn and pride.
あー 東京流れ者 Ah, I am a wonderer in Tokyo.
《感想3》
一体、俺は誰か。俺は、自分で確かめる。道を外れると言われるが(極道)、俺にも、意地がある。俺は、自分の意地に従って生きる。誰からも指図(サシズ)されない。
男一匹 革ジャンに I am an independent man. I want to decorate
飾りましょうか 白い花 a white flower onto my leather jacket.
聞いてくれるな 身の上は Don’t ask me about my life history.
明日も一人で 流れてく Tomorrow also, I will wander from place to place alone.
あー 東京流れ者 Ah, I am a wonderer in Tokyo.
《感想4》
一人で生きる流れ者で、極道の俺だが、自分の意地に生きることを誇りに思う。俺が受けとめてきた運命が、どんなものだったか、言うつもりはない。明日も、俺は一人で生きていく。
《感想5》
運命を受けとめ、しかし認めるわけでない人間の決意と悲哀を、藤圭子が歌う。名曲だと思う。腹が座っていて、その迫力が、どこか嬉しくさせてくれる。啖呵をきるような、ドスのある最高の歌。生きていてほしかった。合掌。