(1)
戦争のトラウマを抱え、暴力に不感症の元軍人ジョー。彼は、必要ならば、極めて残酷となり、平然と人を殺す。彼は、年老いた母と暮らす。彼は母を愛する。そのような彼は、行方不明の少女たちを捜し出す報酬で生計を立てていた。
(2)
彼のもとに、「上院議員の娘ニーナを捜してほしい」との依頼が舞い込む。報酬は5万ドル。ニーナは、誘拐され、少女売春をさせられていた。ジョーは、警備する連中等、数名を殺し、ニーナを救出する。見つけ出したニーナは、感情を失っていた。
(3)
だが、不可解な事件が起こる。依頼者の上院議員が自殺する。ジョーたちは襲われ、ニーナはジョーの目の前で再びさらわれてしまう。
(4)
ジョーが自宅に戻ると、母は殺されていた。ジョーは、悲しみに打ちのめされ、母親を湖に水葬した。
(5)
その後、ジョーは襲撃者の一味に反撃し、下手人が、知事だとわかる。(知事は、表面上は上院議員の協力者だった。)知事は少女を犯す嗜好を持ち、ニーナもそのために連れ去った。襲撃者たちは、証拠を消すため、《ニーナ救出をジョーに仲介した組織》の関係者も、殺害した。
(6)
ジョーは、知事に復讐し、またニーナを救出するため、知事の屋敷に侵入する。ここでジョーは知事の警備官、数名を殺す。ところが、知事はすでに、ナイフで喉を切られ殺害されていた。
(7)
知事を殺したのはニーナだった。彼女は知事を油断させ、ナイフで平然と殺した。彼女の精神は異常だ。ジョーは、ニーナを連れ、逃亡する。
(8)
ニーナを大切に扱うジョーと、ニーナの間には信頼関係が成立する。ジョーは、自分が殺されたと妄想する。戦争のトラウマは、彼の精神を壊したままだ。ニーナが、「外はいい天気(a beautiful day)だから散歩する」とジョーに言う。
《感想1》
戦争のトラウマを抱え、暴力に不感症の元軍人ジョーが、平然と人を10名以上殺す様子は、精神の異常を示す。
《感想2》
ジョーは心の平安を、母との相互的信頼&愛の関係で、かろうじて保った。母を殺されたジョーは、悲しむとともに、襲撃者に対して、無慈悲に反撃し殺害する。
《感想3》
ニーナは、精神に異常をきたしている。だが、ジョーとニーナの信頼関係が、ジョーにとっては母親との信頼(or愛)の関係の代替物になるだろう。ただし、精神に異常を持つ二人の信頼関係は、危うい。
《感想4》
原題「君たちは決してここにいなかった(You Were Never Really Here)」とは、「彼らの精神は、実はここになかった」ということだ。元軍人ジョーの精神は過去にのみリアリティを感じ、少女ニーナも彼女を傷つけた過去の時間に縛られている。精神にトラウマを持つ二人にとって、ここ(かつ今)は、空虚だ(空虚に出現する)。
戦争のトラウマを抱え、暴力に不感症の元軍人ジョー。彼は、必要ならば、極めて残酷となり、平然と人を殺す。彼は、年老いた母と暮らす。彼は母を愛する。そのような彼は、行方不明の少女たちを捜し出す報酬で生計を立てていた。
(2)
彼のもとに、「上院議員の娘ニーナを捜してほしい」との依頼が舞い込む。報酬は5万ドル。ニーナは、誘拐され、少女売春をさせられていた。ジョーは、警備する連中等、数名を殺し、ニーナを救出する。見つけ出したニーナは、感情を失っていた。
(3)
だが、不可解な事件が起こる。依頼者の上院議員が自殺する。ジョーたちは襲われ、ニーナはジョーの目の前で再びさらわれてしまう。
(4)
ジョーが自宅に戻ると、母は殺されていた。ジョーは、悲しみに打ちのめされ、母親を湖に水葬した。
(5)
その後、ジョーは襲撃者の一味に反撃し、下手人が、知事だとわかる。(知事は、表面上は上院議員の協力者だった。)知事は少女を犯す嗜好を持ち、ニーナもそのために連れ去った。襲撃者たちは、証拠を消すため、《ニーナ救出をジョーに仲介した組織》の関係者も、殺害した。
(6)
ジョーは、知事に復讐し、またニーナを救出するため、知事の屋敷に侵入する。ここでジョーは知事の警備官、数名を殺す。ところが、知事はすでに、ナイフで喉を切られ殺害されていた。
(7)
知事を殺したのはニーナだった。彼女は知事を油断させ、ナイフで平然と殺した。彼女の精神は異常だ。ジョーは、ニーナを連れ、逃亡する。
(8)
ニーナを大切に扱うジョーと、ニーナの間には信頼関係が成立する。ジョーは、自分が殺されたと妄想する。戦争のトラウマは、彼の精神を壊したままだ。ニーナが、「外はいい天気(a beautiful day)だから散歩する」とジョーに言う。
《感想1》
戦争のトラウマを抱え、暴力に不感症の元軍人ジョーが、平然と人を10名以上殺す様子は、精神の異常を示す。
《感想2》
ジョーは心の平安を、母との相互的信頼&愛の関係で、かろうじて保った。母を殺されたジョーは、悲しむとともに、襲撃者に対して、無慈悲に反撃し殺害する。
《感想3》
ニーナは、精神に異常をきたしている。だが、ジョーとニーナの信頼関係が、ジョーにとっては母親との信頼(or愛)の関係の代替物になるだろう。ただし、精神に異常を持つ二人の信頼関係は、危うい。
《感想4》
原題「君たちは決してここにいなかった(You Were Never Really Here)」とは、「彼らの精神は、実はここになかった」ということだ。元軍人ジョーの精神は過去にのみリアリティを感じ、少女ニーナも彼女を傷つけた過去の時間に縛られている。精神にトラウマを持つ二人にとって、ここ(かつ今)は、空虚だ(空虚に出現する)。