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ラスト・ナイツ

2015-11-18 | 劇場映画れびゅー
面白かったと感じた映画はひとつも無いのに、何故かハリウッドで映画を撮ってしまえた紀里谷和明監督の『ラスト・ナイツ』を観てきました。
★★

前回も書いたけど、この監督は毎度毎度どうやって資金を集め、どうやって豪華な俳優達の出演交渉に成功しているのか本当に謎。
しかも毎度評価が低い割に、成功したかのように次の作品ではステップアップして行っているように見える。
豪華なキャスティングってネームバリューで客が入るし、そういう役者さんってほおっておいても良い演技してくれるし、そんな感じだから期待して観に行くのに、肝心の映画自体にがっかりするってパターンが続いているように思うんですけど。

映像だけは映像クリエイターだった頃から綺麗だし、カメラワークや、アクションシーンの構成は回を重ねてマニアックな上手さを感じる仕上がりになっているように思います。
でも、そいうったポイントだけなので、実写映画の総監督をするよりはプロデュース業をしながら口を出す方が向いてるんじゃないかな。

等と監督をdisっておきながら、続いて本作の中身についても厳しいコメント。

始まって直ぐに人種が入り混じってるこの映画の世界観についてのナレーションが有りますが、最近のハリウッド映画では妙なルールのせいで通常の歴史モノでも史実を無視して人種混ぜて描く事が有るくらいなのに、いちいち説明してしまっていてイケてない。
これにはじまり、登場人物たちの口から出る説明台詞がやたら多く、親しい間の会話でも初対面のような説明から始まることに違和感を感じてばかり。

全体的に陰鬱な音楽がしつこくて気持ち悪いし、何より今回気に入らないのはモチーフにしている忠臣蔵の物語が何故語られ続けているかへの理解の無さ。

ネタバレ
まるで、浅野内匠頭(あえて原作の名前で書きます)が、自身の罪の意識を拭う為、独断で突然全ての責任を放棄する行動に出てしまい、家臣から民まで全てを巻き込んで路頭に迷わせてしまったというような話になっている。
吉良上野介は悪い役人として描かれていますが、この物語の中で恨むべきは冷静な判断で放棄した浅野内匠頭であって、吉良上野介ではない。
上司なら部下への責任を持った上で動けよって、死んで逃げてどないすんねん。

序盤のこの辺りから吉良上野介退治を押し付けられた家臣たちが不憫でならず、「どうせ忠臣蔵がベースなんだから最後はみんなであだ討ちでしょう」と言う先の読めた展開の中で起きる事の全てが空虚に観え透けていてどうもノリきれない。
と言うか、あだ討ちじゃなくて押し付けられた吉良退治。

まさかとは思いながら観ていたけど、最後はみんなで散って…と言う美学もやっぱり否定されてしまっていて、エンドロールが始まったら即映画館から出ました。
あ、でも『47RONIN』よりはマシかw



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