想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

言葉に乗る想い

2014-02-18 12:07:23 | Weblog
吸い込まれそうな瞳、この瞳、今も同じ感覚が伝わってくる。
(2年ほど前のベイビー、ゴロゴロが日課だった)

花屋の店先で、師匠が言った。
「お、アレはどうした、ボウズ、おたくのボウズ、アレは
もういないんだったかね…そうだったよね」

わたし、それに答えず
「お宅の猫ちゃん、生きてる? あの家出するコ、元気に
してる?」
「ああ、元気元気、蹴っ飛ばしてるよ」

そばから店員の兄さんが、「ウソばっか、かわいがってるくせに、
奥さんより命って感じじゃないっすか、猫のことばっかいつも
言ってるんですよ」とまぜっかえす。

師匠は「そんなこたあねえよ、もううるさくってよ、みゃあみゃあ
みゃあってオレが家に帰ると足元にくっついてくるからさー
けっとばしてやんのよ、なんであんなにくっついてくるかねえ」
「師匠、よかったねえ、最近は家出しないの? 怪我してこない?」
「うん、そういやそうだ、どっこもいかねえよ」

また店員、おやじさんのいない時行ってんですよ、と横から言うと
「そうかー、いやあオレのそば離れねえんだよ、うるさいって
言ってんだよ、カミさんとこ行けってさー」
「よかったねえ、好かれてて、お宝だもんね」

「はい、出来上がり。
まいど、ありがとさん。ボウズ、さみしいね」

雪がこれでもかと降って、降りやまない山からようよう
降りてきて、立ち寄ったいつもの花屋でチューリップを
買ったときの、いつものなんてことない会話。
春待ちの淡いピンクの花束を抱えて歩いていると、さっきより
胸のなかがふわっとあたたかくなっていた。

人の言葉におもいがけなく救われることがある。
なにげなく放たれた言葉に、その人の真情が乗ってくる。
意図せず、他意なく、飾らない物言いで運ばれてくる。
そのやさしさの粒粒が染み透ってきて、わたしを明るい方へ
いざなってくれるのだ。

またある日、もらった電話から弾んだ声が聞こえ、
声の主が元気になったことを告げてくる。
ありがとうを何十回も言う代わりに、生き生きと話してくれる。
こちらこそありがとうと、思う。
書いた言葉も声と同じように伝わるとき、よかったと心から思う。

仁、春のこころ。











コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 青い光波 | トップ | 雪景色2014ver. »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。