風の数え方

私の身の回りのちょっとした出来事

ボールペンの替え芯

2020年07月12日 | 清水ともゑ帳
父の葬儀に際して、葬儀社との打ち合わせのなかで、故人の人柄、エピソード、愛用の品などを書き込む用紙を渡された。
どんなことを書いたらよいのか、妹と相談しながら記入欄をうめていった。
おおむねのところはすらすらと書けたけれど、「愛用の品」の項目でペンが止まってしまった。
と妹が、「お父さんは文具が好きだったよね」と話し出した。
そうだ、そうだった、父は文具店に行くのが好きだった。

30数年間、散歩を欠かしたことがなかった父は、「散歩日記」を付けていた。
午前中の3時間の散歩から帰ると、午後は「散歩日記」にその日歩いたコースや目に留まったものや雑感を記していた。
その日記を書くためもあってか、文具店に寄っては使い勝手の良いノートやペンを探し、父なりのこだわりがあって選んでいたように思う。

5、6年ほど前だったか、父が妹と私に揃いのボールペンを買ってきてくれたことがある。
青インクのペンを私は日ごろ使うことはないのだけど、157円の正札の付いたそのペンは書き味がとても良く、私の下手な字でも見栄えよくしてくれるように感じ、備忘録を付けるときに使っている。
もらったときの状態のままにしておきたくて、あえて正札を剥がさないでいる。
そういえば、父が使うペンはいつも書き心地が良かった、と思い出し、葬儀社へ渡す用紙には、”父は特別な愛用品はなかったけれど、安価なペンでも書き味の良いペンを選ぶのが上手だった”というような内容を書いた。

数ヵ月前のこと、父からもらった青いペンのインクが無くなり、替え芯を買った。



家に帰り、早速書いてみると、残念なことに書き味が……
芯の太さは同じなのに、文字を2、3字書いただけで、ボテボテとインクの塊がノートに滲んできて、ペン先が滑らかに動かない。
店頭で書き味を試したペンは、これまで替え芯でも失敗したことはなかったから、こういった品質のバラつきがあるのを初めて知った。
替え芯も試し書きできたらなぁ。
次に買う替え芯にハズレがないことを願いながら、青インクのこのペンは大切に使いたいと思う。

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