前回に引き続き、ウルトラシリーズの戦闘機の歴史を辿ってみます。今回は「ウルトラマンレオ」のMACからです。
MACは宇宙空間に基地を持ち、基地上部にマッキー1号という巨大母艦がドッキングしています。この1号は限りなく光速に近い最高速度を持ち、2号、3号など他の機体を搭載させることも可能な、タックファルコンより始まった輸送型大型戦闘機の一機です。そして主力戦闘機となるのはマッキー2、3号。2号は4人乗りの機体で、本体部のA号機と翼部のB号機に分離するディバイドシーケンスを持ち、連携攻撃を行えます。3号は2人乗りの小型多目的機体で、ダン隊長がよく乗ります。球体状の後部パーツが特徴的なデザインで、バイブ星人に特攻したことでも有名な機体です。なお、MACの戦闘機は、基地が宇宙空間にある都合上、全て大気圏内外航空が可能かつVTOL機能を搭載しています。MACは大型母艦、中型ディバイドシーケンス機、小型多目的機と、空の戦力としては十分申し分ないほどバランスの取れた戦闘機群を保有したチームでしたが、シリーズ後半で全滅するというウルトラシリーズ中かなりショッキングな展開がありました(そのためMAC全滅後現れた円盤生物は全て、メビウスにおいては「アウトオブドキュメント」に登録されています)。
続いてアニメシリーズである「ザ・ウルトラマン」。この作品には科学警備隊という組織が登場、輸送型大型戦闘機・スーパーマードック、小型主力戦闘機・バーディーとベータミーが登場。バーディーは1人乗りの赤い機体でオーソドックスなデザイン、ベータミーは2人乗りの橙色の機体で両翼ノズルを回転させることでVTOL機能も持つ優れた機体です。いずれもオーソドックスな機体に思われますが、本作にはシリーズ初となる、超巨大戦艦・ウルトリアが登場します。古代ウルトラ人が残した機体で、アミアによって科学警備隊に譲渡されました。ウルトラの星U40の技術で作られているため、無補給、無点検で100年間もの航行が可能、しかも中央部(α号)と後部両翼部(β号)に分離するディバイドシーケンスも備えているという、まさにアニメならではのド迫力に優れた、超巨大宇宙戦艦です。
5年ぶりの実写シリーズとなった「ウルトラマン80」に登場するUGM。この時期になるとリアリティとSFの理想的融合への挑戦が見られるようになり、UGMの基地もこれまでのチームのように山の中に隠れていたり、町中にぽつんと建っていたりではなく、なんと滑走路まで整備された本格的なもので、整備員が戦闘機の発進を合図したり、管制塔からのシーンもあったりなど、かなりリアリティへの挑戦が見られます。そんなUGMの主力戦闘機は、スカイハイヤーとシルバーガルの2種類。スカイハイヤーは1人乗りの多目的VTOL戦闘機。オーソドックスなデザインではあるもののかなりの活躍を見せ、さらに設定のみではあるものの、戦車形態への可変機能を搭載しています。一方のシルバーガルは、2人乗りの多用途VTOL戦闘機で、機体前部(α号)と後部(β号)に分離するディバイドシーケンスを搭載、連携攻撃を得意とします。そして本作では前作の科学警備隊同様、そして実写版では初となる、超巨大宇宙戦闘母艦・スペースマミーが登場。無補給で半年近い航行が可能で、内部にスカイハイヤーとシルバーガルを搭載可能な巨大母艦です。また、正確にはUGMの機体ではありませんが、地球防衛軍の機体としてエースフライヤーという戦闘機が存在します。ここで光の国シリーズはメビウスまで一旦途絶え、これから25年はそれぞれ異なる世界観のウルトラ世界となります。
次に再びアニメとなる「ウルトラマンUSA」のウルトラフォース。実働隊員3人全員がウルトラマンという異色のチームで、ウルトラジェットという1人乗り戦闘機を保有しています。3人が元々アクロバット飛行チームだったことから、かなり小回りのきく小型戦闘機で、デザイン自体はオーソドックスですが、キャノピーの色が各人によって異なるという特徴があります。また、この3機のウルトラジェットを搭載する母艦・マザーシップも有り、小規模なチームであることから、母艦と隊員3人分の戦闘機という必要最低限の配備となっています。
10年ぶりの実写新シリーズとなった「ウルトラマングレート」にはUMAというチームが登場、隊員服もかなり実際の軍服に近いイメージになっています。そんなUMAが保有する戦闘機はハマー。2人乗りの超高性能小型戦闘機で、最大の特徴は、胴体下部にホバーを装備、空中で停止してもそのまま滞空することが可能という、ヘリの特性も兼ね備えた優れた機体です。
「ウルトラマンパワード」のW.I.N.R.はストライクビートルという機体を所持。元々本作が初代ウルトラマンの海外版リメイクということもあって、ストライクビートルもジェットビートルのアメリカ版アレンジです。ジェットビートルと違い、大きく前に着きだしたノーズが特徴で、かなり格好いいデザインにアレンジされています。勿論ビートルの名前通り、可変二次元ノズルによるVTOL機能も搭載しています。そして本作にもビートルを格納する超巨大母艦・スカイハンターが登場しますが、その巨大さはさすがアメリカ、スケールがとんでもないです。何せ巨大さをこれでもかとアピールするように、ほとんど下から見た姿しか見せず、関連書籍にもスカイハンターは下から見た図がほとんどです。これだけ巨大なものが基地から発進して、事件現場では司令室となるわけですよ。もはや母艦という域を通り越して、移動要塞とも言えるスカイハンターは、全シリーズの巨大母艦の中でも特に異彩を放っていると言えます。
16年ぶりの日本実写となった「ウルトラマンゼアス」にはMydoという組織が登場、普段はガソリンスタンドを経営し、事件が発生すると専用戦闘機スカイフィッシュを発進させるのですが、その発進シーケンスがこれまた他に例を見ない特殊なものです。何とガソリンスタンドの屋根看板がスカイフィッシュの模様に変わり、平面である看板からうにゅ~っと出てきて発進するという、一体どんな原理を使っているのか全くの謎なシステムです。そのスカイフィッシュ、映画第一弾に1号機、第二弾に模様を変えた2号機が登場しますが、1号機は黄色地に水色や橙色を熱帯魚の模様のように配色するという、ニュースキャスターに「品のねぇ色」と酷評されるほどの機体になっています。第二弾に登場した2号機は一般公募によって決定した、銀色に赤いラインというウルトラマンを連想させるような配色で、1、2号機とも色は違えど形も性能も同じで、大気圏内外問わず飛行出来ます。また、映画第二弾の方では巨大戦艦スカイシャークが登場、シャドーのカラータイマーを破壊すべく、ゼットンがウルトラマンのカラータイマーを破壊した光線と同威力のゼットン光線を発射することも可能ですが、シャドーのカラータイマーに防護シャッター機能があったため反射され、見事撃沈した不遇な戦艦です。ちなみに本作は初代ウルトラマンがゼットンに倒されたことや、カプセル怪獣の話など、初公開された1996年がウルトラマン30周年だったことから、歴代のシリーズに繋がっているように見えますが、後のネオスやマックス、メビウスなどのM78星雲ウルトラマンの作品の登場や、80までのシリーズと直接繋がるのがメビウスのみであることから、一種のパラレルワールド的な扱いになっています。ちなみにスカイシャークが放ったゼットン光線ですが、6000万アンペアの電流と2500万ガウスの電磁を交錯させる事で再現可能だと示されており、もしメビウスにおいてこの技術を用いれば強力なメテオールとして使用出来たと思われます。
次回はウルトラマンティガ以降のシリーズを取り扱います。
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