今日は先日ウルフェスのブログでも触れた、「ウルトラマン超闘士激伝」のことについて語りたいと思います。まず、超闘士激伝のことを知らない方のために、簡単に説明致しましょう。
「ウルトラマン超闘士激伝」は、90年代前半~中盤にかけてバンダイが展開していたガチャポン、カードダスの商品の一種で、同時期にコミックボンボンでも連載されていました(原作:瑳川 竜、漫画:栗原 仁)。この作品、どういった作品かと言いますと、当時人気絶頂だった「ドラゴンボールZ」をウルトラキャラに置き換えたかのような熱い物語を描いています。事実、設定面や展開面にドラゴンボールとの類似点が多く、当時はファンの間でかなり話題にもなったほどです。ちなみに僕は中1の頃に漫画版を知り、以後連載終了までボンボンを買い続けました。ここでは漫画版をメインに語っていきたいと思います。
漫画版は大きく分けて、第一編「メフィラス編」、第二編「ヤプール編」、第三編「ゴーデス、伝説魔神編」、第四編「エンペラ星人編」の四部構成となっています。ちなみに第一編のみをモチーフにしたゲームボーイソフトも発売されていました(難易度はそれなりに高いが慣れると結構簡単。現在入手困難)。ドラゴンボールに置き換えると、ウルトラマンが悟空、タロウが悟飯的な立場です。第一編でウルトラマンと激闘を繰り広げたメフィラス大魔王は、その後第二編で打倒ウルトラマンを誓いながらも強敵マザロンと戦うべく彼と共闘するようになるという、ピッコロ的な役割。そしてマザロンとの戦いでウルトラマンはついに超闘士として覚醒、マザロンを倒すものの命を落としてしまいます。そしてヤプール軍の本格的な侵略が開始された後、ウルトラマンにかわり主役となったのが、タロウと彼の師匠を買って出たメフィラスです(まさに悟飯を鍛えたピッコロのキャラそのもの)。やがてタロウはウルトラマンをも越える超闘士として覚醒、ヤプールを敗り、滅亡の危機に瀕していたヤプールの故郷すらも救いました。ちなみに、ヤプールはフリーザ的なキャラで、登場当初はループ星人ヤンドと名乗り、浮遊カプセルに乗ったオカマ口調のキャラで、第一強化形態が巨大ヤプールにメタルブレストを装着させた姿、メタルブレストを砕かれ、パワーが暴走した第二形態が、フリーザ第二形態のように顔が長い醜い姿、そして最終形態がウルトラ戦士を思わせるようなスマートな姿と、フリーザの強化変身をほぼそのままトレースしたキャラとなっています。なお、コミックスは全6巻が発売され、このヤプール編完結までが収録されています。現在もなお、これ以降の話の完全版を望む声があるほどです。
コミックス化されていない第三編「ゴーデス、伝説魔神編」はグレートの体を乗っ取ったゴーデスが、伝説の二大魔神・コダラーとシラリーを復活させるべく、戦士のエネルギーを集めるという、魔神ブウ編をモチーフにした物語です。ゴーデスはバビディ的キャラ、二大魔神はブウですね。コダラーとシラリーはその後合体して、究極魔神シーダとなります(これは邪悪そのもののブウを表していると思います)。そして第四編である「エンペラ星人編」ですが、実はこの前に第三・五編「ツイフォン編」があります。このツイフォン編は1996年秋頃にOVAとして発売、レンタルされたもので、現在これを置いてある店はかなり貴重だと思います。但し、視聴するにはある程度超闘士激伝の世界観を知っていることをオススメします。意外にも声優陣や主題歌が豪華で、このツイフォン編でメフィラスは命を落としてしまいます。故にOVAを見ずに第四編を読んだ場合、いつの間にかメフィラスが死亡していることに驚くことになるので注意が必要です。この第四編最大のポイントは、それまで存在のみが語られ、メビウスに登場するまで姿が謎とされていたエンペラ星人が登場したことで、メビウス版とは違うものの、円谷プロ公認のデザインが作られたほどです。メビウスに登場したエンペラ星人は、「ウルトラマンタロウ」で映されたウルトラの星歴史イラストで描かれたシルエットに沿ったデザインにされ、超闘士激伝に登場した格好いいデザインの方が出ることを期待していたファンを大きく裏切りました。しかし、激伝版が強敵さをイメージしたデザインに対し、メビウスに登場したエンペラ星人は立っているだけでも威圧感を与える、邪悪さを通し越した悪っぽさをイメージしたものになりました(立っているだけで威圧感を与える悪キャラは彼以外にはライダーBLACKのシャドームーンとライダー龍騎のオーディンくらいしか思いつかない)。
話を激伝に戻しましょう。第四編では、当時各地アトラクションで活躍していたネオスとセブン21がメインに活躍し、彼らの友情と対立を鋭く描いています。そしてエンペラ星人の全銀河征服を阻止すべく各地に散ったウルトラ戦士たちも、かなりたくましい姿になっていました。物語は敵に操られたセブン21をネオスが救うところで終わってしまいますが、今また激伝が作られるとしたら、今度はメビウスやマックスなどの、ニュージェネレーションが主役になりそうですね(キン肉マン的なカンジで)。
「ウルトラマン超闘士激伝」が連載されていた当時、SDヒーローが流行していて、他にも「仮面ライダーSD」、そして現在も続く「SDガンダム」なども展開されていました。「仮面ライダーSD」は二種類ある物語が双方とも近年完全版としてコミックスが発売されました。「ウルトラマン超闘士激伝」も、コミックス化されていない分も含めた完全版の発売を、切に願っています。