虹色雑談

気ままにダラダラと書き綴るブログ

平成ライダー脚本家

2010-03-13 02:37:07 | ヒーロー

 随分久しぶりのブログです。このところ仕事量が増え(それでも以前のように発狂に陥るほどではない)、弟が事故で全治2ヶ月のケガを負うなど、仕事、私生活面で結構忙しかったもので。
 そんなわけで久しぶりのブログは、平成ライダーシリーズを支えてきた主な脚本家たちについて語ろうと思います。

 まずは「仮面ライダークウガ」のメインライターを務めた荒川稔久氏。見解としては、五代雄介のように、懸命なキャラを主軸にすることに長けている人です。93年の「五星戦隊ダイレンジャー」では将司と三バカの奇妙な友情劇の専属ライターを務めており、03年の「爆竜戦隊アバレンジャー」でもメインライターを務めるなど、戦隊シリーズへの参加数が多く、ここにあげただけでもわかるように、相手に何度裏切られても信じようと懸命なキャラのドラマを描くのが得意な方です。氏はクウガ以降長らくライダーには関わっていませんでしたが、「仮面ライダーW」の7,8話「Cを探せ」でライダーシリーズに帰ってきました。
 クウガの総集編ではきだつよし氏が担当、氏は「仮面ライダー響鬼」の前半部も大石真司氏と共同執筆しています。とはいえ、きだ氏はむしろサブ的な立ち位置で、響鬼前半部の後半になると、大石氏が単独で執筆するようになったため、きだ氏の作風はここでは判断出来ないので割愛します。ご了承下さい。大石氏は「TVチャンピオン」のTVヒーロー通選手権で二度連続で優勝した方で、特撮関連映像ソフトの解説書などでも活躍していたライターです。クウガでは文芸を担当しており、細かい設定を生かす作風が特徴です。
 次に紹介するは井上敏樹氏。電王とWを除く全ての平成ライダーに関わり、「仮面ライダーアギト」「仮面ライダーファイズ」「仮面ライダー響鬼(後半)」「仮面ライダーキバ」のメインライターを担当しています。尋常ではない執筆速度で有名な方で、メインを担当した作品のほぼ全てのエピソードを1人で手がけ、ことにファイズに至っては全ての脚本を担当しています。作風は言わずもがな癖が強くインパクトがあり、やはり癖が強く一歩間違えば奇人変人の集まりとも取れるキャラによる群像劇を得意としていますが、キャラ重視の作風故に終盤のほとんどがまとまらないのが問題です(盛り上げるのは上手いが畳むのが苦手)。故にその作風について来られる者と来られない者を振るいにかける、見る者を選ぶタイプで賛否両論ですが、さすがに多く関わっているだけあって、ライダーのことを真剣に思っている方です。
 「仮面ライダーカブト」のメインを担当したのは米村正二氏。カブト以降もゲストで数話担当することがあり、ディケイドの後半は事実上のメインライターです。作風は井上氏を多少薄めたようなカンジで、やはり見る者を選ぶタイプです。カブトにおいて、多くの謎や伏線を振りまいて視聴者の興味を牽引することに大きく貢献しましたが、途中の展開を遊びすぎたことが大きな痛手となり、後半がごった煮の状態に。それ以降の作品やTVSPの「仮面ライダーG」でも、展開や台詞回しがクドい面が見受けられます。
 続いて「仮面ライダー龍騎」「仮面ライダー電王」のメインライターを務めた小林靖子氏。人物描写は勿論のこと、伏線回収と構成力に関しては高い手腕を持つ方です。両作において共通している人物描写力に関しては、人間の心の弱さをクローズアップし、自らの弱さを克服して成長していくヒーローという流れを丁寧に描く、心理描写のプロです。伏線回収に至っても電王において確かな手腕を見せていますが、龍騎時代はさすがに13人のライダーを捌ききるのは小林氏の腕をもってしても無理があったようです。
 「仮面ライダーブレイド」は当初、今井詔二氏がメインを務めていましたが、展開が唐突かつダラリとしていることから、出だしを大きくしくじり、助っ人として會川 昇氏が参入、途中から會川氏が事実上のメインライターとなりました。會川氏は、一部では原作クラッシャーと表されるほど、原作付きであっても独自の作風を入れ込むことで有名ですが、それだけに作品に注ぎ込む力は大きく、小林氏と並んで伏線回収と物語構成力に優れた実力者です。そしてブレイドの中心アイテムでもあったラウズカードの組み合わせやそれによる効果を、スタッフたちすら理解しきれていない中で、全てのカードの効力、コンボ、それによる複合効果などを完全に把握していた数少ない人物、故にブレイドにかけた情熱は凄まじいと言えます。戦隊やウルトラにも関与しており、日本のヒーロー三柱全てに携わっています。氏は「仮面ライダーディケイド」でも当初メインライターであったものの、12話で離れてしまいました(本人曰く、とても悲しいことがあったとのこと)。もし氏が最後までディケイドを執筆していたら、どのような作品になっていたかが惜しまれます。
 そして現在放映中の「仮面ライダーW」でメインライターを務めているのが、ライダー初参戦となる三条 陸氏。三条氏は「ドラゴンクエスト・ダイの大冒険」の原作で有名な方で「ウルトラマン超闘士激伝」も瑳川 竜名義で原作を担当、それ故構成力はお墨付きで、脚本関連は近年では「ゲゲゲの鬼太郎(第5期)」で知られています。
 三条氏と共にWを執筆しているのが同じくライダー初参戦で、現在実質上サブライターである長谷川圭一氏。氏は鬼太郎でも三条氏と共に執筆していたので、今回も連名参加です。平成ウルトラシリーズで多くの脚本を描いていた氏は、井上氏とは違うベクトルで人間ドラマを重厚に描く方で、ことに女性、怨念や怨恨が絡んだ話を得意としています。

 以上駆け足ではありましたが、ライダーに関わった主な脚本家をあげてみました。平成ライダー10周年記念読本で井上氏がインタビューの最後の方で、「『電王』みたいなのって言うけどそれじゃダメなんだよ。平成ライダーってシリーズ自体が進化してるっていうか、毎年いい意味でも悪い意味でも冒険心があって、決して凡庸なものを作ろうとしていない」と語っています。その言葉の通り、ずっと同じメンツでやっていけばいずれマンネリに陥るのは目に見えてています(一時期の戦隊がそうでした)。故に今回の三条氏や長谷川氏のように、今までライダーに関わってなかった脚本家をこれからどんどん登板させていくことが、今後の第二期平成ライダーがより新鮮味を出していくためのポイントだと思います。今後ライダーに関わっていく脚本家たちを、応援していきたいと思います。