2月3日、突如発症したインフルエンザで頭がフラフラの状態で朝のTVを見ている中、プリキュアシリーズ栄光の第10作目「ドキドキ!プリキュア」が放送開始されました。残念ながら昨年のように、おひろめカーニバルは開催されませんでしたが、その分この新シリーズに期待を寄せた方々も多いのではないでしょうか。昨年の「スマイルプリキュア!」は、スーパー戦隊シリーズで例えるならば、「激走戦隊カーレンジャー(96年)」「炎神戦隊ゴーオンジャー(08年)」のような位置づけで、盛り込めるネタは徹底して盛り込み、伝えるべきことは声を張り上げて叫ぶ、ファンや子供たちに向けたメッセージ性が特に強く、また例年以上に大量のグッズが発売され、それまでプリキュアに縁のなかったファン層を取り込み、アニメージュではシリーズ9年目にして初の表紙を飾る等、数々の功績を残しました。
本作は「フレッシュプリキュア!(09年)」~「スマイルプリキュア!(12年)」まで、4作を担当してきた梅澤淳稔プロデューサーに代わり、「ワンピース」の映画等を手がけた柴田宏明プロデューサーにバトンタッチ、音楽も梅澤Pと歩んできた高梨康治氏に代わり、「侍戦隊シンケンジャー」等の音楽を手がけた高木 洋氏、演出も「金色のガッシュベル!!」を担当した古賀 豪氏、そしてメインライターとシリーズ構成には、古くは「セーラースターズ」や「発明BOYカニパン」、近年では「青のエクソシスト」等のシリーズを手がけた山口亮太氏と、主に男児向けアニメで活躍されている方々がメインに来られており、10作目という大きな節目の本作で、一気に作風を刷新しようという試みが見られます(キャラクターデザインは「スイートプリキュア♪」の作画を担当した高橋 晃氏)。前作のスマイルが、それまでのプリキュアの集大成的な内容が多かったことは、これを狙ってか、はたまた偶然か。いずれにせよ、新たなプリキュア伝説は幕を開けました。今回もスマイル同様、アバンタイトルは必要程度に短く、トランプ王国滅亡を食い止められなかった、王国最後のプリキュア・キュアソードが立ちすくむシーン。これだけでも、本作が抱える世界観の暗部が一気に見えたと言えます。
1話は当然、主人公・相田マナちゃんを中心に動きますが、登場するプリキュアはトランプ王国の生き残りたるキュアソード、そしてラストでマナちゃんが覚醒するキュアハートです。本作では敵が倒された後、破壊された箇所とかは謎の光(グリッドマンのフィクサービーム!?)で修復されるので、思う存分暴れられます。2話のAパートだけでも本格的な戦闘が見られるのですよ。ソードがカニジコチューを投げ飛ばそうとする際に、乗っていた柵がその重さでひしゃげたり、落下していくソードの手を掴んだハートが、スピードを落とすためワイヤーを掴んだ際に出る煙(イタタタタ…!!!)等、演出面が凝っています。
演出面と言えば、各キャラの細かい仕草や行動等にも注目です。2話放送後に脚本の山口氏がツイートしていたように、立花ちゃんが、マナちゃんが隠し事をしているのを見抜いた根拠として、マナちゃんは隠し事や嘘をする時、髪の毛をいじる癖があるのです。他にも「ニャー♪」という挨拶で六花ちゃんに通じたり、六花ちゃんがAパートでも「幸福な王子」の話でマナちゃんのことを指摘していた流れで、信号ジコチューに立ち向かおうとするマナちゃんに向かって放つ「私はあなたのツバメにはなれない!?」という台詞。これがもう小粋でジーンときてしまうほど、2人の絆の深さを物語っていると感じました。
3話目で六花ちゃんがキュアダイヤモンドに覚醒。2人目が第1話から登場しながら、3話で覚醒するパターンは、「ハートキャッチプリキュア!」のキュアマリン以来となります。この話のポイントは「手紙」。六花ちゃんのお母さんは医者で普段家におらず、お父さんは世界を回る写真家で、六花ちゃんが手紙に記すお父さんへの気持ち。やがて登場する手紙を食べるヤギジコチューから、六花ちゃんの手紙を守ろうとするキュアハート。手紙という要素だけで戦闘まで話を連鎖させる芸当は見事でした。ちなみに六花ちゃん、学校の理科室でキュアラビーズ調べてましたが、うちのツイッターのフォロワーさんによれば、X線透過光検査とかしないと地球上の物質かどうかわからないから、理科室レベルでは無理だそうです(笑)。そこはまぁアニメですし(笑)。でもこの話で笑ってしまったのは、Aパート冒頭で放置されたランスが終幕まで忘れ去られていたことですな…。
4話で今回の黄色枠として期待されているありすちゃんがメインにきました。1話でちょい出、2話には全く登場せず、3話ではラストのみの登場と、控え気味だった彼女がついに満を持しての登板。家が無駄にハイテク過ぎて笑ってしまいました。しかもセバスチャンがこの上ないほど優秀な執事さんです。前情報では、ありすちゃんが変身するキュアロゼッタは「優しすぎる故に敵でも攻撃出来ない、そのかわり防御のエキスパート」という前情報がありました。実際ありすちゃんは、ランスがどれだけ説得してもプリキュアにはならないと言ってました。これは前情報のみではわからなかったありすちゃんの過去、武道も含む習い事を多くたしなんでいたため、幼い頃自分を守ってくれたマナちゃんが逆にいじめられる立場になった際、怒りに我を忘れて返り討ちにしたこと…。前作のあかねちゃんのように、友達や友情をバカにする者には激しい怒りをぶつけるというプリキュアは過去にもたくさんいましたが、ありすちゃんの場合、その怒りで我を忘れ凄まじい報復を行うという、何とも斬新な描写に驚きました。この戦闘狂な面を恐れ、武道を全てやめ、今またプリキュアになることもためらうという、幼い頃からの心情の流れが非常に丁寧に描かれてました。そして「力は守るためのもの」と再認識し、キュアロゼッタに覚醒(これまたあざとい!可愛い!!)、合気道技で敵をぶん投げ、敵の攻撃を防御技で防ぐばかりか、瞬時に攻撃にも転用するという、防御技を備えたプリキュアの中では間違いなく最強スペックでした。
いよいよ次回は第1話より登場しているキュアソードとの再接触。王国を守れなかった自責に苦しむ彼女の頑なな心を、3人は癒やせるでしょうか…。
今回の敵・ジコチュートリオ(今のところイーラだけ)が放つ敵は、人間の心・プシュケーが、自己中心的な考えに染まった時に、それを倍増して抜き取り、それに準じた怪物「ジコチュー」に変えてしまいます。今までと異なり、素材に特定物体を取り付けるのではなく、黒く染まったプシュケーそのものがジコチューになり、どんな考えを持って誕生したかによって姿形が異なりますが、信号ジコチューの背面に「押して下さい」のボタンがあったり、音漏れジコチューがバッテリー切れになったり等、わかりやすい弱点や特徴があって面白いです。
主題歌は、現在「アイカツ!」でおとめちゃんの声を担当している黒沢ともよさんが歌唱、オープニングテーマは「Happy Go Lucky! ドキドキ!プリキュア」。テンポのいい出だしとAメロが特徴で、胸にグッとくるのが、Cメロの「トモダチだったら…力になりたい…」の部分、しかも雨の中のまこぴーに3人が語りかけるシーンも相乗してまさにGJ!!
EDは前回に引き続き吉田仁美さん、元気溢れる唄い方は勿論ですが、テクノポップを連想させる歌になっており、フレッシュ以降の伝統となった、モーションキャプチャーを使ったダンスムービーとそれに合わせたダンスソングになっています。もはやCG技術がフレッシュの時とは比べものにならないほど進歩しており、おそらく今CGでダンスシーン等を描いているアニメの中でもプリキュアのEDが最も高水準と断言出来るほどです。なお、振り付けは梅澤組4作のED振り付けを担当した前田 健氏に代わり、Perfumeの振り付け、アニメではシンフォギア等でも担当をしたMIKIKOさんで、今までとは異なるイメージのポップなダンスに仕上がっています。主題歌CDの発売は昨年とほぼ同じ時期である3月7日、DVD付限定版と通常版が同時発売(やはりジャケットイラストが異なる)です。
スタッフがガラリと変わったこと、それに伴ってか、今まで以上にキャラ1人1人の描写が細かく描かれていること等、「ドキドキ!プリキュア」はまさに10作目にふさわしい好調な出だしを切りました。六花ちゃんがマナちゃんを心底信頼していることや、ありすちゃんが力を恐れる過去があったこと等、前情報だけではわからなかったことが、エピソードが進む度にわかっていくのがとても素晴らしいです。この調子なら、彼女らをメインにした同人誌を描くのは、もう少し彼女らのことを知ってからでも遅くはありませんね。
我がサイトはプリキュアシリーズを応援しています。