あんな話こんな話

会津生まれの会津育ち…三匹の猫と柴ワンコや家族に囲まれ、家庭菜園に勤しみ都会には住めそうにないローカルな私の日常。

夫の退院

2021-07-30 00:46:07 | 介護
保育園の塀に脱皮中の蝉を見つけた。
殻から体を半分ほど抜け出して、それでも早く早くと足掻いて居るように
手足をわずかに動かしていた。
殻から抜け出している部分は、ほんのりと緑色で
いつ完全に脱皮するのか、次に保育園へ行くまでには
すでに脱皮は完了して、どこかへ飛び去ってるだろうなって思っていた。
 
 


しかし、その蝉は夕方ちびっ子達をお迎えに行くまで
朝のままから進行してなくて…こんなに時間が経ってしまっては
もう無理なんじゃないかって思ったが
次の朝にはもう抜け殻もなにもなくなっていて
結局どうなったのか?


蝉は7年もの間土の生活をして
ようやく時満ちて地上の世界へと
最後の輝きのようなものを求めて
残りの一週間ほどの残された蝉の人生を
一生懸命に生きて行くものだと思っていたけど
そうでない蝉だっているわけで…なんだか切ない気がした。






そうそう、我が家の夫肺炎で入院生活を余儀なくされていたけど
ようやく退院の目途が付いた。
主治医の説明があり夫にも会える事になったのだが
病室に入ってベッドの横たわる夫は
入院前と随分違ってしまっていた。


入れ歯を外した夫は頬がこけて
まるで80歳代のお爺さんのようだった。
人相ってこんなに変わるものなのかどうか。


じい、分かる?って聞いたら
かすかにうなずいた様で、元々足腰の弱っていた夫だったが
この入院で、すっかり歩けなくなってしまった。


移動手段は車椅子となって、年を取ってからの歩行困難は
若い時とは比べ物にならないくらい治癒能力が落ちてるのだと思った。
足に力が入らずに、看護師さんの肩を借りてようやく車椅子へと。
リハビリもやってはいたのだろうけど
…そういう事なんだよね。


夫はベッドの上での生活になるようだ。
取りあえず退院となると、介護用のベッドに車椅子は必要不可欠のようで
ソーシャルワーカーさんと相談してケアマネさんに手配をしてもらう事になった。


ずっと昔、ばあちゃんが脳梗塞で寝た切りになって
3カ月の治療期間を終え、あとは自宅へ戻るか
当時の看護師さんには施設で看てもらったほうが良くはないかと
そう言われたけど、若気の至りと言うか
当時私も若かったし、深く考えもせずに
やるだけやってみて、無理だったらその時は施設にって思っていたけど
思いがけなくも15年ほどの介護生活を送ってしまった。
 

菜の花系の種を食べてるのかカワラヒワ

当時愚痴や苛立ちなどブログに吐き出して
いろんな方に助けていただいて過ごして来た。
このブログがなかったら、私はとっくに壊れていたかもしれないと
なんだか、いろんな事を思い出して…。


あれから随分時が過ぎて、私も年を重ねて
決して若くはない年代になり…戸惑いを感じている。
あの時のように出来るだろうか。
夫とばあちゃんとでは、かなりの違いがあって
足は歩行困難ではあるけど、起き上がれるし手も動く。


それが良いのか悪いのかどうか。


それにしても、なんだか入院するたびにどんどん悪くなって行くような
体力の衰えは仕方ないとしても
まさか、ばあちゃん同じようなベッド上の生活になるとは思ってもみなかった。


思い描いていた老後は、何となく漠然とあったけど
時には二人で日帰り温泉へ行ったりとか
ころり観音の思入りにでも行こうか
時には二人で食事とかしちゃって。


たまに浜通りの次女の所へ行ったり
そうそう、夫の姉様とまたどこかへ行きたいなあ。
こういう生活になる前に、やり残した事がたくさんあって
それは私にとって残念なことでもあるのだけど
夫も切ないに違いない。

老後ってみんな同じようなものだと思っていたけど
一人一人姿かたちが違うように
100人いれば100通りの老後があるのだと
夫と同じ年でも、すでに亡くなってしまわれてる方も
まだまだお元気で働いておられる方もいる。
 
ならば後者であって欲しいと思っていたけど
夫には夫なりの老後があるのかもしれない。
ネガティブに考えていても仕方のない事で
まあ、何とかなるだろうってね!
 
遠く夕焼けの中を恐竜が歩いているように見える。
 
前の入院の時床屋さんに行ったばっかりで良かったって思ってたけど
今回の入院騒ぎがなかったら、床屋さんで髪の毛をサッパリしてもらい
足が痛くて、あんまり出歩けなくなった夫の姉様んとこへでも
行ってみようかって思っていた矢先の今回に入院になってしまったので
夫の頭ヤマアラシみたいになってるのが可笑しくとも悲しい。

 
 
 
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