Gary Moore (1952~2011)
去る2月6日、ギタリストのゲイリー・ムーアが逝去されました。享年58歳。
彼を初めて知ったのは、ある音楽誌で、彼の作品のCD化の広告記事を見た時でした。歯を食いしばり、厳つい表情でギターを弾いている写真を見て、「この人のギターを聴いてみたいなぁ」と思ったのを記憶しています。
初めて彼のギタープレイを聴いたのは、元クリームのジャック・ブルース、ジンジャー・ベイカーとの組んだトリオバンド、BBM('94)でした。彼の鋭いギターの音色が印象的した。
彼が17歳でデビューを飾ることとなったバンド、スキッド・ロウ('70)(←アメリカの同名バンドとは別物)も聴きました。“プログレ・ブルース・ロックバンド”と表現し方がいいかもしれません。すでに曲中で、高速なギタープレイを聴くことが出来ます。
私の好きな曲を挙げてみましょう。
それまでHRサウンドを展開していた彼が、ブルースを中心に吹き込んだアルバム『STILL GOT THE BLUES』('90)。2曲目収録の“OH PRETTY WOMAN”では、粘りのある尖ったギターが聴けます。
そしてタイトル曲の“STILL GOT THE BLUES”は、泣きのスロー・ブルース。ゲイリーの切ない泣きのギターは文句なし。その泣きのギターに「(プレイのよさに)もぉ、ずるいよぉ~」と思えてしまいます。同じフレーズでも少し弾き方を変えている所など、微妙な違いを聴くこともでき、またそこに感動するものがあります。↓↓↓
『STILL GOT THE BLUES』('90)
あと彼は今は亡きドラマー、コージー・パウエルのソロ作品にも参加しています。
コージーの1981年の作品『TILT』。この作品収録のバラード・インスト、“SUNSET”もいい曲です。日が沈む海岸などを想像してみてください。切なくもあり、美しくもある日没の光景をギター・プレイで表現しているように思える名曲だと思います。↓↓↓
『THE BEST OF COZY POWELL』('97)
“ SUNSET ”以外にもゲイリーの参加曲が聴ける、お手頃なベスト盤です。
正直なところ、彼の作品をたくさん聴いている訳ではありません。鋭く尖ったギターを聴かせたかと思えば、とことん泣きのギターを聴かせるギター・プレイが大好きでした。
彼の名曲“パリの散歩道”収録の『BACK ON THE STREETS』('78)や、コロシアムⅡの作品はまだ未聴なので、是非聴いてみたいと思っています。
7日に彼の訃報を聞き、上記の“STILL GOT THE BLUES”を聴いていました。彼がステージ上で、上半身を横に倒し、「あぁぁぁぁ~」と叫んでいるかのような苦悶(?)の表情をしながら渾身のギターを弾いている姿が思い浮かび、「いいギタリストが一人いなくなったなぁ…」感じ、また“STILL GOT …”のギターが身にしみ、胸が熱くなりました。
享年58歳。まだまだ頑張ってほしかったですね。
しかし、彼の残した熱いギター・プレイは永遠に残っていくことでしょう。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
[音楽コラム # 75]