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~音楽好き(ニッチーくん改め)マロくんのCD日記や、あれこれ~

178 JANIS JOPLIN 『PEARL』〈'71 アメリカ〉

2010年07月03日 20時08分04秒 | CD日記 '70洋楽編
                      

                      1. MOVE OVER
                      2. CRY BABY
                      3. A WOMAN LEFT LONELY
                      4. HALF MOON
                      5. BURIED ALIVE IN THE BLUES
                      6. MY BABY
                      7. ME AND BOBBY McCGEE
                      8. MERCEEDS BENZ
                      9. TRUST ME
                     10. GET IT WHITE YOU CAN

高校時代に読んだ音楽誌で、'60~'70年代のロックについての特集記事の一部に“天へ旅立ったミュージシャン”という欄がありました。その記事に4人の写真…、ジミ・ヘンドリクス、ジム・モリソン、デュアン・オールマン、そしてジャニス・ジョプリン。女性が一人いることに衝撃を受け、そしてそれが初めてジャニスを知った時でした。
レコ屋で彼女の作品を手に取って見た時、ジャケに写し出されている彼女の笑顔に惹かれるものがありました。「彼女どんな歌を歌うのだろう…」と思い、また彼女の人懐っこそうな笑顔を見て「何で、若くして亡くなったのだろう…」とも思いました。死因は、薬物摂取によるもの。「当時、アメリカ文化にはいろいろあったからな…」と認識したものです。
さて、初めて彼女の歌う姿を見たのは(以前お話しした)『僕らの子守歌はロックだった』という深夜スペシャル番組。
その中で、彼女の十八番とも言える“ボール・アンド・チェーン”を歌う姿が放送されました。
それを見た瞬間、私が抱いていた彼女へのイメージが崩れ去りました。
どこから出ているのかと思えるくらいのパワフルな歌声。そして完全に歌に感情移入。歌に“入ってしまっている”彼女の表情は、それまで自分の中にあったチャーミングな笑顔のイメージを壊し、見ていて恐ろしさ感じショックでした。
まぁ、現在ではその姿がカッコよく思えるのですが。(笑)

そんな出会いだったのですが、私が初めて買った彼女の作品が、この作品。
現在編集盤、ライブ盤も含めいくつか作品がありますが、彼女が“生前”残した作品は、バンドヴォーカリストとしての、ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニー時代の2枚と、ソロで2枚の計4枚。
この『パール』(邦題:ジャニスの祈り)はソロ2作目で最後の作品。厳密に言えば完全なレコーディング終了とならず、彼女は急逝。その後のリリースとなりました。
遺作になってしまったとはいえ、全体の雰囲気は溌剌としたもの。
躍動感のある1は彼女の名曲。スタートから気合いが伺えます。
2は渾身のブルース曲。思い切り“ぶつけて”きます。
5は彼女のヴォーカルトラックを入れられなかった曲で、インストとして収録。「Voが入っていたら、どんな曲だったのかな?」と想像が巡ります。
8はアカペラ曲。彼女は美声ではありませんが、ヴォーカリストとしての力量が感じ取れます。
また3のように静かに歌い上げる曲では、何かとても切なく、悲しいものが伝わってきます。

“名盤ガイド”なる本には必ず紹介されている作品です。
しかし、完成度が高いという訳ではありません。何か今一つ中途半端な感があります。
ある音楽誌で“彼女の作品には傑作はない”という論評を読んだことがあります。何でもバックの演奏を務める面々が“お友達(いっしょにいて楽しい仲間で結成)”という傾向にあるからだとか。
私も“傑作はない”という意見には同感です。彼女の作品を聴く時、“完成度云々…”というより、彼女の魂から歌い上げるヴォーカルを“感じ取る”必要があるのかもしれません。
この『パール』も彼女へのヴォーカリストとしての評価、そして遺作となってしまったことが、(意地悪な意見かもしれませんが)この作品の位置づけを高めている気がします。

まだ彼女のヴォーカルを聴いたことが人は、一度耳にするのもいいかもしれません。

[CD日記 '70洋楽編 # 35]
コメント (3)
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