ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

日金山(十国峠)ハイキング

2012-12-10 21:17:21 | 登山(伊豆・箱根・富士山周辺)

【12月9日(日)】
落合橋バス停→日金山ハイキングコース→日金山東光寺→十国峠→土沢→来宮神社
→熱海駅



新調した登山靴の足慣らしに、横瀬か皆野辺りの山を歩こうと計画していたが
天気予報で、マイナスの最低気温を見て、まさに「震え上がった」ぴすけは
温暖で人の少ない東海地方の山に変更。
平地の最低気温がマイナスでは、山の上はマイナス二桁になるだろう。
せっかく治ったしもやけ(え?もうできていたのかって?)が復活してはつまらないので
まだ最低気温がマイナスにならない、湯河原から熱海へ抜ける
日金山(ひがねさん)ハイキングコースを歩くことにした。

6時22分最寄駅発の湘南新宿ラインに乗り、戸塚駅で8時4分発の東海道線に乗り継ぎ
9時15分、土肥実平夫妻の銅像が建つ湯河原駅に到着。
電車の中からも、外はそこそこの風があるのがわかり
停車駅ではヒューヒューと風の音が聞こえてきていた。
外に出ると、気温はそれほど低く感じなかったが、風が強くて冷たい。
これでは、山の上は強風だろう

9時20分発の不動滝行きバスに乗り、湯河原駅を後にする。

バスに揺られること約10分、9時30分に落合橋バス停で下車。
バス停からは、来た道を若干戻って橋を渡り、道標が示すとおりに歩く。

ハイキングコースに入るまでは舗装路を歩くことになる。
この道は、日に数本しかない大丁橋行きのバス道路になっている。

バス停から歩き始めて35分、右手に日金山ハイキングコースの登山口がある。
ここからはよく整備された山道で、家族連れのハイキングコースとしても適している。

1丁目から42丁目まで、丁目石(ここでは丁仏というらしい)が道案内をしてくれる。

途中にあった石柱には、「昭和五十六年九月 日金丁佛保存会」と刻まれている。
この時に、欠けている丁仏を新たに再建したり、新しく丁仏を建てたりして
石仏のあるハイキングコースとして整えたようで、こちらの湯河原からの道の丁仏は
ほとんどが大正初期か、この昭和56年の物であるようだ。
大正・昭和の丁仏でも、このように日当たりの良い乾燥した場所の石造物は
未だに新しさを保っているが、樹林帯の日陰などの石造物は苔むして
かなりの年代物に見えてしまうから面白い。

10時13分、まだ山道に入って8分しか経っていないのに、「日金登山半程」の碑が。
丁仏は、舗装路を歩いていた時からあったので、既に半分来てしまったということだろう。

何度か橋を渡りながら、沢沿いを歩くので、途中に小さな滝などもある。
この先で、パンを食べて小休止。

10時37分、林道を横断し、向かい側の登山道に入る。
道標には、東光寺まで60分、十国峠展望台まで70分とある。
ここを入ってほどなく、すれ違った下山途中の女性の話では
日金山霊園から上は突風が吹き荒れていてとても歩けないし
十国峠ケーブルカーは運転を休止していて、もちろんお弁当なんて広げられないので
上まで行かずに引き返して下山することにした、ということだった。
強風は嫌だったが、行けるところまで行ってみようと、そのまま進む。

いくら温暖とはいえ、標高が高くなるにつれ、霜柱が随所に見られる。
樹林帯では、木々のお蔭でほとんど風の影響は受けずに済んだが
上空に風が舞っていることが、ヒューヒュー、ゴーゴーといった音と
木々が風に揺られてザワザワと音を立てていることでわかる。

11時14分、東光寺と岩戸山へ分かれる三叉路へ到着。
ここから東光寺までは、背の高いササが両脇に生えている道になる。

三叉路から5分で、日金山東光寺に到着。

本堂に向かって右手におわす、閻魔大王。

本堂に向かって左手におわす奪衣婆。
奪衣婆の座り方は、片膝を立てて座っているものがほとんどのようだが
これは古来の日本において、女性の座り方として一般的なものであった。
古くは女性も胡坐か片膝を立てて座っており、正座をするようになったのはかなり新しいのだ。

東光寺の梵鐘台からは、相模湾と湯河原の街並みが見下ろせる。
本堂左の舗装路を歩き、三仙人塚へと向かう小道を右に見送ると
ほどなく右手に日金山霊園、左手に姫の沢公園が現れる。
本来のハイキングコースは、日金山霊園を過ぎて右手に折れるようだが
吹きさらしの斜面を歩くことを避けたかったので、墓地から行けるか、ためしに墓地の中へ。
墓地には区画地図があり、それを見ると、11区手前から十国峠へと抜けられるようだ。
そのまま、11区手前の階段を上ると…
そこは強風の吹き荒れる、なだらかな芝生の日金山山頂だった。
あまりにも風が強く、どうしたものかと思ったが、山頂はなだらかで広く
危険な物も危険な個所もないとみて、十国峠山頂駅兼展望ハウスを目指して歩く。
身体が持って行かれそうになるほどだったので、風速15m~20m/秒くらいはあるだろうか。
風が冷たく、まともに風が当たる顔がちぎれそうに痛く、手袋をしている手もかじかんで痛い。

ぐああああー
せっかく温暖な場所を選んだのに、
これではしもやけが復活してしまうではないか


風に流されないよう、体勢を保ちつつ、必死で展望台へ。
11時39分、展望台のドアを開けると、売店の店員さんが一人で店番をしていた。
「こんな風の中を歩いてくるのが見えたから、男の人かと思ったら、あら
と言われてしまった
風速20mに達すると警戒ブザーが鳴って、ケーブルカーが運休になるのだと
店員さんに教えてもらったが、風速20mは台風並みの強風ということになる。

2階の展望室はガラス張りなので暖かく、窓枠の揺れる音がしていたが快適そのもの。
南の、日金山山頂の向こうに見えるのは、太平洋である。

東には真鶴半島。

北には箱根。

北西には愛鷹連峰と富士山(富士山は山頂部に雲が停滞)。

南西には沼津アルプスと駿河湾。

南には伊豆半島の山並み。
ケーブルカーは運休しているので当分誰も来ないし、風のない展望室を独占。
ベンチに座って、景色を眺めながらお昼にする。
のんびりしている間に、富士山上空の雲が流れてくれれば良いと思ったが
悪天なのだろう、上空の雲が取れることはなかった。
暖かくて居心地が良く、寒さが解消するまでのんびりしていたら
あっという間に30分経ってしまい、展望ハウスを出たのは12時10分だった。

展望ハウスを出てから、湯河原と岩戸山へ分かれる三叉路まで戻り、土沢方面へ直進。

少し進むと、富士山に山岳仏教を定着させ、日金山で修行をしたといわれる
末代上人(富士上人)の一千年遠忌に建立された宝筐印塔がある。

12時33分、左手に岩戸山へ分かれる道を見送り、草原を太平洋めがけて下る。

冬だというのに青々とした木々に囲まれ、海に入り組む伊豆半島や
彼方に浮かぶ大島を眺めながらの、爽快な下りだ。

土沢に至る道も、日金山の参道だったとみえ、丁仏が佇む。
こちらの道の丁仏は、湯河原からの登山道にあった丁仏より古いようだ。
だが、奉納者の名前が読み取れ、念仏や経文が刻まれている物が多いが
建立年代を読み取ることはできなかった。

広々とした太平洋を眼前に眺めながらの下りは、道の良さもあって快適で
ついつい歩みも早まるが、足元を注意して見れば、まだアキノキリンソウが残っている。

リンドウも傷んでいる様子はなく、美しい色合いで咲いている。

富士山周辺の山に生育するという、ホソエノアザミか。

十国峠展望台を出てから1時間8分後の13時18分、土沢に出る。
ここからの舗装路歩きが、この日いちばんの急傾斜だった

さすが熱海、いたるところに温泉の圧力調整施設(?)があり、もうもうと湯気を立てている。

13時40分、道なりにずんずん下っていくと、来宮神社(きのみやじんじゃ)に到着。
小学校6年生の時に、ぴすけが当てた年末宝くじ(5等だった!)は、なぜか家族旅行に化け
その時の宿泊施設が近かったこともあり、来宮神社にも散歩で来たことを思い出す。

来宮神社の霊木、大楠。
この写真だけではわからないので、どれだけ大きいかというと…

下にいる参拝者と比べてみると、お分かりいただけると思う。

こちらは参道途中にある第二大楠。

13時55分、来宮神社を後にして、熱海駅まで歩く。

途中にあった野中の湯。
温かい湯気が、ごうごうと音を立てて噴き出していた。


日金山山頂で寒い思いをしたので、予定より早く下山できたら
温泉で温まってから帰ることも候補に挙げていたが、下山してみれば
多少風が吹いていても、熱海の市街地は温暖そのもので、すっかりその気はなくなった。
その代わり、今となっては大変珍しいムロアジの干物を発見
今はアジの干物といえばマアジしか見かけなくなったが
ぴすけの実家は江戸っ子の食卓だったので、子供の頃はアジの干物といえばムロアジだった。
温泉に入る代わりに、ムロアジとエボダイの干物を購入。
熱海駅14時35分の東海道線に乗り、途中小田原駅で湘南新宿ラインに
大宮駅で宇都宮線に乗り継ぎ、17時11分に最寄駅に到着。
新しい登山靴の履き心地は、まだ工夫の余地がありそうな具合である



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2 コメント

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富士山がいいところですね。 (can)
2012-12-14 17:42:35
私は湯河原の岩戸山を経由し、落合橋へ下りました。十国峠からの富士山と、沼津アルプス・相模湾・駿河湾も確認できるハイキングでした。
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帰りは温泉かな? (ぴすけ)
2012-12-15 18:09:03
canさん、落合橋に下りたということは、帰りは湯河原で温泉に入ったのでしょうか?
寒いのが苦手な私は、どうも冬になると東海道線で伊豆まで出張ってくることが多くなるような気がします。
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