ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

仏教彫刻探訪 石山寺・園城寺編

2016-12-04 23:59:44 | 仏教彫刻探訪

今年はどこで仏様に会えるかな…、そんな気持ちで年度末になると仏像チェックをするのだが
体調の悪さとなんやかんやの忙しさで、石山寺のご本尊ご開扉のことはすっかり忘れていた。
すっかり忘れていたが、11月8日のブログ記事に下さったコメントでやにわに思い出し
「行くなら、今でしょだって次まで待っていたら、ぴすけは82歳になっちゃうもん
と、ダーリンの呆れ顔をしり目に、こういう時だけはてきぱきと、宿と新幹線の手配を済ませた。


12月1日(木)、家を出た時は雨だったが、石山寺に着いた時には雨がやんでいた
駅から道なりに歩き、10分弱で石山寺に到着。
33年に一度のご開扉とあって、相当な人出を予想していたが、あにはからんやそうでもなかった。
参道右手のくぐり岩をくぐり、石段を上がると、本堂は左手にある。
ご開扉は、内々陣に上がって、ご本尊・如意輪観世音菩薩の前まで行って参拝できる。

この写真は、石山寺のパンフレットから転載したものです


おおーっ
間近に見るお顔は、ホームページや写真で見るよりずっとお美しい。
たいていの仏様は、「写真はさすがに上手いこと写すよな」と思うことがほとんどだが
こちらの如意輪観世音菩薩は、全体的な雰囲気もお顔の美しさも実際に見た方が良い。
雰囲気の良さは、如意輪観世音菩薩の手の表情がとても艶めかしく感じられるからだと思う。
その艶めかしい如意輪観世音菩薩の手から伸びる結縁の紐を掌に収め、手を合わせる。
こうして古の人々も仏様と結縁したのかと思うと、今までの人々の思いの重なりを感じる。

本堂を出て、波打つ岩が累々と重なっているのが硅灰石で、これが石山寺の名の由来となっている。
豊浄殿で開催されている御開扉記念特別展示(石山寺と紫式部展)「ほとけの誓ひおもきいしやま」を見て
境内をぐるりと回り、次の目的地、園城寺に向かう。
石山寺はご本尊のご開扉がなければ、申し訳ないが今後の参詣はないな

石山寺から石山寺駅の途中にあった大津市のマンホールの蓋。
図柄は「大津市制100周年記念マンホールふたリニューアルバージョン」で
頭に星を載せているのがホール・まん蔵、和歌を詠んでいるのがおおつ光ルくんだそうだ。
石山寺駅から京阪電車に乗り、三井寺駅で下車。

園城寺に行く途中で運良く見つけた禁煙の店、「お食事どころ にしお」でお昼を食べた。
三井寺駅からは琵琶湖疏水に沿った道を歩いていくと、突き当りが園城寺である。
園城寺に行く手前にあった三尾神社(みおじんじゃ)はうさぎだらけ
言い伝えによると、三尾明神が太古、卯の年・卯の月・卯の日・卯の刻、卯の方より出現され
昔からうさぎは神様のお使いとされ、卯年生れの方の守り神として崇められているそうだ。
我が家には、可愛いうさちゃん()が1人いるのだよ
そのうさちゃんの健康と心穏やかなることを祈って、お参りする。


三尾神社から園城寺はすぐで、拝観受付を済ませ、本来とは逆コースの観音堂に向かう。

この観音堂の形は、鎌倉長谷寺の観音堂と似ておりますな。

観音堂から石段を降りる時のカエデが美しく、園城寺ではまだまだ紅葉が残っていた。
毘沙門堂の前を通り、三井寺文化財収蔵庫に入館(入館料300円)。
展示の点数は少ないが、彫刻・絵画ともに見ごたえのある展示である。
こちらの良かったところは、タブレット端末とイヤホンを無料で貸し出ししており
それを利用して解説を聞きながら展示を見られること。
少々使いづらくても、このタブレット端末を借りる価値はあると思う。
展示と画面のアイコンが順番に並んでいるか、共通番号が振られていればさらに良かったのだ。
今後の改善を望む。

大師堂・潅頂堂・三重塔のある唐院を過ぎると、一切経蔵が見えてくる。

こちらが一切経蔵の中にある、一切経を収める回転式の八角輪蔵。
これがまた巨大で、ちょっと異国情緒漂う感じなのが面白い。
こちらも、鎌倉の長谷寺にもう少し小型の輪蔵があった。
長谷寺では、観音様の縁日である18日に限って回転させることができるそうだ。 

こちらが金堂。

この建物は、金堂に向かい左手にある閼伽井屋(あかいや)で
この水を天智・天武・持統天皇の産湯に使ったことが三井寺の名前の由来になっているそうだ。
今でも水が湧いていて、格子に顔を使づけると「ゴボッ、ゴボゴボッ」と音がしている。
この閼伽井屋の格子の上部にあるのが左甚五郎の龍とされている彫刻である。

説明には、「むかし、この龍が夜な夜な琵琶湖に出て暴れるため
甚五郎自ら眼玉に釘を打ち込み静めたと伝えられる」とあった。
ちょうど前日の11月30日(水)に、桂歌丸の高座で「ねずみ」を聴いたので
左甚五郎が彫った龍が動いたという話に、思わずニヤリとしてしまう

近江八景の一つ、三井の晩鐘を見やりながら、金堂を後にして振り返ると
そこにはまだ紅葉が美しく残っていた。
仁王門を出て、左に道なりに進むと圓満院である。
圓満院には大津絵美術館が併設されているというので、立ち寄ってみた。
こちらの僧の説明では、圓満院は門跡寺院の一つで、宸殿は元和5(1619)年に
2代将軍徳川秀忠と御台所江姫の五女・和子(東福門院)が後水尾天皇に入内した際に
禁裏に造営されたものと伝わるそうだ。

こちらは室町時代の造園家・相阿弥の作と伝えられる池泉観賞式庭園である。
宸殿から本堂を回り、2階に上がると大津絵美術館である。
多数の大津絵だけでなく、丸山応挙のスケッチや作品も展示されている。

圓満院を後にして、再び道なりに左へと歩いて行くと、大津市歴史博物館に出る。
さらっと見学後、別所駅から京阪電車で京都に向かう。


石山寺も三井寺も静かで人もそれほど多くはなかったので、京都では河原町の人の多さにびっくり。
ホテルで一休みした後、近くの京漬物店でお土産を送った後は
錦天満宮から錦小路を抜けて高倉にある禁煙の店「楽菜(rakusai)」に向かう。

「楽菜」では、思う存分京都の旬の料理を堪能し、大満足。
こんなに良いお店を知ってしまったからには、京都に来たら必ずここに寄りたいし
今度はダーリンと一緒に来たいな。

帰りは店仕舞いをした錦小路で、伊藤若冲の作品が描かれたシャッターを眺めながら
思いがけない美術鑑賞。

錦小路は、若冲の生誕地である。
後はホテルに帰って風呂に入り、爆睡

 



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2 コメント

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なかなかいいですね (芝刈り爺さん)
2016-12-05 11:33:02
追体験できますね、石山寺、三井寺、今度行くときは、博物館も行こうと思いました。細かなところも良く観察されていて参考になります。私はズボラなので、雰囲気で、うん!!イイね、という感じで終わっちゃうのですけど。いいダビができてよかったですね。ダーリンを山は山でも、膝と腰に優しい、~~山~~~寺に連れ出しましょう。遥かに体にいいですからね。
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やっぱり奈良が好き (ぴすけ)
2016-12-05 12:59:11
芝刈り爺さん、今回の滋賀・京都のお寺巡りで「やっぱり奈良が好き~~~」と、実感しました(何しに行ったのやら)。
でも、33年に一度のご開扉に行けて良かったです。
こんなことでもなければ、石山寺や園城寺は私の射程圏外にありましたから。

三尾神社ではうさちゃんのダーリンの健康と心穏やかなることを祈りましたが、ダーリンはいつまで山を走るつもりなのでしょう。
「年寄りの冷や水」にならないうちに考えた方が良いのではないかと、私は真剣に考えていますが、ダーリン本人はそう思っていないようです
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