ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

矢倉岳と足柄古道

2018-01-01 13:31:13 | 登山(伊豆・箱根・富士山周辺)

12月29日(金)

矢倉沢バス停→矢倉岳→山伏平→足柄万葉公園→足柄峠→地蔵堂バス停


年末恒例の富士山眺望登山を計画したまでは良かったが
利用を予定していた大宮駅始発の富士山駅行き高速バスは満席で
仕方がないので行き先を富士五湖周辺から、南足柄の矢倉岳に変更。
1年前からの体重増加に加え、運動不足で体が鈍っているダーリンのたっての希望で
累積標高差のあまりないきつくない山を選ぶつもりだったのだが
行き先変更で結果的に矢倉岳になり、きつくはないが緩くもない山になった
最寄駅6時の宇都宮線に乗り、途中赤羽駅で埼京線に、新宿駅で小田急線に乗り換え
新松田駅で下車後は、新松田駅北口8時45分発の地蔵堂行バスに乗車。

9時15分、矢倉岳登山口のある矢倉沢バス停で下車し
身支度を整えて歩き出したのが9時22分だった。

矢倉澤公民館の敷地にある公衆トイレをお借りした際に、見つけた解説板。
矢倉岳は、地質学的に興味深い場所のようだ。
もしかしたら、タモリ垂涎の地?
集落の中を道標に従い進み、白山神社手前を左に曲がり、徐々に集落から離れていく。

周辺一帯は茶の栽培が盛んなようで、膨大な面積ではないものの、茶畑が多く見られた。

風もなく、天気は上々だったが、箱根方面を見やると上空には厚い雲が居座っていて
富士山眺望の可能性にも暗雲が漂っているようだった。

9時53分、イノシシ対策のゲートから、矢倉岳の登山道に進入。
南足柄はイノシシが多く出没するようで、以前矢倉岳に登った時もイノシシ猟が行われていたが
この日も下山した地蔵堂周辺では、猟友会の方がイノシシ猟をしているところだった。
運動不足のダーリンは、登りでぴすけとの差が徐々に開き
最初のうちは振り返るとダーリンの姿を目視できていたが、だんだん離れて目視は不可能に。
バスで一緒だった方が、ぴすけが一人で歩いているのに驚いて
「ダーリンさん、大丈夫なんでしょうか。怪我でもしていないかしら」
と、優しい言葉をかけてくださった。

イノシシ対策のゲートを入ってから約50分後に、高低差のある土留めの木段が続く。

傾斜が緩み、まるで茅の輪くぐりのような円形になっている部分を進むと…

10時57分、カヤトの原の山頂に到着。

富士山は山頂部だけがかろうじて雲の上に出ていたが、時間の経過でどうなるか微妙で
慌ててカメラのシャッターを押す。

風がないので休憩するのには大いに助かったが、雲が流れないため富士山は姿を現さない。

目を転じれば、海岸線の向こうに相模灘が広がっている。

こちらは箱根方面。
左のピークが明神ガ岳で、中央奥には噴気が上がる大涌谷、右のラクダの瘤状の山が金時山。

山頂には、山の神の石祠と宝篋印塔の一部と思われる石塔が祀られている。
写真を撮りながら待つこと10分、11時6分にダーリンが青息吐息で現れた
広い山頂は、霜が融けて一部ぬかるんでいる箇所もあるが、概ねカヤトの枯草で覆われており
たくさんのパーティーが思い思いにお昼休憩をとっている。
我々も湯を沸かし、カップラーメンをすすりながら
せめて富士山からもう少し雲が除かれることを待つことにした。
しかし、12時になっても、変化がないどころかますます雲が厚くなってくるので
山頂を後にして下山を開始。

山頂部に近い場所は、アブラチャンと思われる植物が、枝を広げていた。
下山開始後10分で、洒水の滝への道を分ける山伏平に到着。

12時48分、左に折れれば地蔵堂へと下りられる万葉ファミリーコースだが、そのまま直進。

万葉ファミリーコースからわずか2分後、足柄万葉公園の園内に入る。
園内には、アジサイの傍にはアジサイに、ウメの傍らにはウメに因んだ万葉歌碑が立ち
足柄の地を歌った歌には、石像の立派な歌碑と解説板が建てられている。

13時20分、万葉公園を抜けて舗装道路を足柄城址に向かう途中、右手にある聖天堂に到着。

聖天堂の入り口右手にあったのが、足柄山の金太郎の像であった。
もうこの辺りは、なんといっても金太郎。
いたるところに金太郎に因んだ場所があったり、道路脇には金太郎の巨大看板が出現したりで
今、少々後悔しているのだが、それら全てを写真に収めてくれば良かったと思っている。
現地で見た巨大看板は、熊の表情があまりにも不気味というか、狂気を孕んでいて
正直な気持ちとしては写真に収める気にもならなかったのだ。
しかし、今改めて考えてみると、観光地における金太郎利用の一例として
ありとあらゆる金太郎関連の物を撮影してくるのだったと惜しまれる。
まあ、そんなことを言っても仕方がない。

気を取り直して、足柄関所跡にあった顔ハメ看板でお遊び。

足柄峠は古代より、駿河国と相模国の国境の峠で
かつては足柄坂(あしがらさか)と呼ばれていたことから、ここから東を坂東と称し
足柄峠はその入り口の役割を果たしていた。
都人にとって坂東の地は辺境の未開の地であり
そこに住む人々は武骨で野蛮であるとして、東夷(あずまえびす)と蔑まれた。
しかし、万葉公園にあった万葉歌碑を読むと
たとえ東夷と罵られても、愛しき人や故郷を思う気持ちは都人と変わりなく
この地に人間味あふれる人々が生きていたことを、まざまざと感じることができる。

聖天堂から歩いて5分とかからない足柄城址公園は、富士山の眺めが良い場所だが
この日は富士山の前面に雲が立ちはだかっていた。
ベンチに座って、雲の向こうにある富士山の稜線を心眼で眺めながら暫し休憩。

この広場は、足柄峠笛まつりで、神奈川県南足柄市と静岡県小山町の小学生が
足柄城址広場の領地を争奪する綱引き合戦を行うことで有名である。
どうやら2017年は小山町の勝利だったとみえ、この広場は小山町の領地だそうである。

足柄城址を後にして、いったん足柄関所跡まで戻り、その少し先から伸びる足利古道に入る。
足柄古道は車道をショートカットするように伸びており、その一部は車道と一体化しており
風情もあったものではなく、むしろ車道出現によって興ざめしてしまうのがとても残念だ。

足柄古道からは、ドーム型の矢倉岳がよく見えた。
地蔵堂の集落に出ると、猟友会の方々が出て、イノシシ猟の真っ最中であった。

14時40分、地蔵堂に到着。

地蔵堂バス停15時40分発のバスに乗るまで、万葉うどんで休憩。
入店すると、行きのバスでご一緒だった方が先に到着して休んでおられた。
登りで、私とダーリンが離れてしまったことを心配してくださった、心優しい方だった。
お言葉に甘えて席をご一緒し、バスの発車時刻まで山や趣味の話など。
楽しい時間を過ごした後は、地蔵堂バス停15時40分発のバスに乗り、帰途に就いた。


富士山眺望登山と謳いながら、富士山の全貌が見られなかったことで
ちょっとした不満感を抱くに至った我々は、正月休みの間にもう一度
富士山が見える山に登ろうと目論んでいる。
しかし、大宮駅から富士五湖方面への高速バスが2便から1便の減便されたことはかなり痛く
早い時期に座席の予約をしないと席の確保が儘ならないようであるし
天候の予測は難しいため、気軽に利用することができなくなるだろう。
新宿駅、あるいは東京駅からの高速バス利用も視野に入れて、検討するとしよう。



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
信仰やら山やらいい山ですね (芝刈り爺さん)
2018-01-02 10:02:49
ダーリン様、、これを機会に,ご復活を,期待しております。どこかの山でトレランの方がなくなったりしてますし,,お互い気をつけつつ頑張りましょう。
私の方も,昔の山仲間で,年上の方が,ばりばり頑張っているのを年賀で見て,正直へこんだり、、という悟りきれない凡夫の浅ましさを感じています。まあぼちぼちと言うところです。富士山が見えたり,静かなカヤトがあったり,祠お寺、いい感じですね。大宮からバスが出ているんですね。知りませんでした。この春でも,伊豆の仏様を訪ねて,車で行きたいと思っています。上原美術館、運慶の伊豆の国市にあるお寺などです。行けたらいいんですけどね。よいお年をお過ごしください。
返信する
富士山眺望登山再挑戦! (ぴすけ)
2018-01-02 21:47:49
芝刈り爺さん、たいへんのどかで良いお山なのですが、富士山がドカーンと見えることを期待しすぎて不満が募り、明日、富士山眺望登山に再挑戦してきます。
行き先は、バスで一緒になった方からヒントを頂戴しました。

伊豆の国市のお寺、運慶…、ということは、願成就院ですね。
昨秋の運慶展では、ご本尊は東京までお出ましになりませんでしたので、お寺でお会いになるのが良いかと思います。
ご参考になるかわかりませんが、4年前に行った時のブログ記事です。
http://blog.goo.ne.jp/pisuke_pisuke/e/d5d4a27f0a531ed7a62066d70d5caeb0
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。