ピアノを最初に習う先生に、ピアノの音の出し方を教わった日本人はどのくらいいるのだろう、と思います。
少なくとも私は教わりませんでした。
教わったのは20歳の時が初めてです。
その先生は、最初のレッスンで「体の使い方を知ったらもっと音が鳴るようになる」と仰いました。
私は音が弱いとか、指が弱いとか、そのようなことは言われたことはなく、その先生がおっしゃった本当の意味をその時は理解できていませんでした。
本当に理解したと思えたのは、それから30年以上経ってからです。
こちらのイリーナ先生のレッスン。
受講しているのは4歳の生徒さんです。(実はこのミラちゃんという生徒さんは、イリーナ先生のお孫さんなのだそうです)
深く弾くことを何度も仰り、足で体重を支えてとも。
足がぶらぶらしているから、手もヨロヨロするということも仰っています。
良い音を探しましょう、と。
立っている時は足が体重を支え、座っている時は指が体重を支えるのを助ける、と。
小さな子供に体の重さを使ってピアノを弾くことを教えられる日本人の先生はまだ多くないかもしれません。
イリーナ先生のレッスンを拝見していると、東欧でのピアノ教育の歴史を感じます。
どの教材を使うかを論じる前に、ピアノを学ぶ学生さんやピアノを教える講師は、ピアノという楽器にとって必要不可欠なことを学ばなければいけないと思います。
そのようなことを知らずに、長い間ピアノを教えてきたのが私です。