おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

鍵盤を下ろすだけ

2023年12月29日 | レッスン

案外できていないのが、鍵盤を下ろすこと。

だと、思います。


鍵盤をアタックしたり、鍵盤の上で指だけ懸命に動かしていて、実は鍵盤は下ろせていない、ということは多いと思います。


ピアノの鍵盤は重くないので、少しの力で動きます。

少しの力で鍵盤を下に下げることはできます。しかし、鍵盤を下ろそうと思って下ろすのと、触ったら下りたものでは聞こえる音が違います。


何年も腕の重さを使って音を鳴らすことができない大人の生徒さんがいました。
スライムを使ったりノンレガートのメソッドを渡したりしていましたが、実を結ぶことはありませんでした。

もうその事に触れないようにしようと決めても、弾いている曲が本格的なクラシックなので触れざるを得ずでした。


それがピアセツキー先生の動画を見直して、何の力も加えずに、まず鍵盤を力みなく下ろすことから始めているのを拝見し、これだと思いました。

深く弾く前に、まずはコンと鍵盤を打つことなくただ下ろす。

それをその生徒さんにしてみました。

そうしましたら、翌週、音が変化していました。
前々から、その生徒さんがファンであるピアニストさんの弾き方が、全く力むことなく腕の重さを使って鍵盤を下ろせているから良いお手本になると話していたのですが、少し前にそのピアニストさんの来日時のN響とのコンチェルトの放送があり、それをご覧になったその生徒さんが、本当にちゃんとそう弾いている、とてもよくわかったと。

今年のいちばんの収穫は、鍵盤を下ろすことを知ったことだと。


子どもの生徒さんにも、2つのことを私はこの年末に言うようになりました。

鍵盤をただ下ろして、と、3つの骨が見えるように。


これだけで音が変わります。
深い音は出ませんが、下ろすことが先だろうと気付きました。
決してコンと打たずにただ下ろす。その音で弾き続けられるように。

鍵盤の上で指だけ動かして鍵盤が下りていない音は質が違います。
ゆっくり弾くとほとんどの生徒さんは気付くので、その意識と耳を作り直すところから来年は始めようと思います。


いつまで経っても完成しない自分にあきれつつ、発見できる喜びもあり、生徒さんがいなければ知らぬままでいたこともたくさんあり、改めてみんなに感謝です。


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連弾三昧

2023年12月25日 | レッスン

ここ数年、クリスマスシーズンは生徒さんとクリスマスの曲を連弾するのが私の楽しみになっています。

普段から連弾はしたいと思っていますが、ソロの曲を優先していくと、なかなかそこまで手がまわらずで。

クリスマスを口実に連弾をしていると言って良いかも··


連弾は楽しいですが、相手と息を合わせる、相手の音を聴く、といったことが必要です。

一緒に弾くと、呼吸を合わせる、合図を送ることが自然に身に付いている人と、間違えたと言って勝手に止まる、勝手に弾き始める人がいます。

間違えることは大した問題ではありません。間違えたと言って止まることの方が大問題です。
こんな時、私は弾き続けます。途中からでも入ってこられるはずですので。

しかし、ここから入ろうと待機するでもなく、片手だけでも弾こうとするでもなく、真っ先に諦めることを選択するのは非常によろしくないです。

流れを止めない生徒さんは、必要な音を拾って弾き続け、数小節後に完全復活します。
これはソロでも同じです。

指使いを間違えた、と止まる人がいますが、誰もそんなところを見てはいません。
流れを止めることの方が罪深いです。


音楽は時間の芸術。

始まったら呼吸も始まり、脈打っていきます。

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体の硬さ

2023年12月22日 | レッスン

体の硬さはピアノ演奏にどう影響するのだろうと思います。

実は、小1からレッスンに通っている中3の生徒がいます。

小学生の時は体の軸がいつも曲がっていて、両足が左を向いた状態でピアノを弾いていました。

自覚はないようで、指摘するとよく驚いていました。


スタッカートでカエルを前に飛ばせるようになるのに8カ月かかりました。

8カ月間毎週したわけではなく、3~4週続けてもカエルが必ず下に落ちていたので、間をあけた期間がありました。

間をあけてはまた試しで、8か月後にようやく前に飛ばせるようになったのです。

手首を前に出せば済むことなのですが、私の言い方も十分ではなかったのかもしれませんが、どうしても指だけで弾こうとするので、カエルはピアノの下へと毎回落ちていました。


その生徒さんが、自分は体がものすごく硬いと。
尋常じゃないくらい硬いと。

ふ~ん、そうなの。

と大して気にもしておりませんでした。


中学生になり、体の軸がだいぶ真っすぐになっていました。
足が斜めを向いていることもなくなりました。

レッスンで話している時に、腕の力を抜くと言うことが分からないと言うので、腕をだらんと下ろし、ゆっくりと交差させながら上半身を前に倒していくと、力が抜けた状態がわかるとやってみました。

ついでに風車も紹介しておこうとやりましたら、腕が肩からスムーズに回せず、おやおや、なんだこれは・・でした。

力を抜いて振り回せばよいのですが、肘で回そうとしている感じでした。

肩痛いの?と聞きましたら。そうではないと。
なんか回らない、と。

これは年齢的に全く逆だろうと。
私が肩が回らないは、あり得ます。整形外科で動かさないと腕が上がらなくなりますよ、と壁を使って腕を上げさせられた記憶が・・


試しに、これできる?と、よく本番前に舞台袖でやる指を後ろ向きに組んで、そのまま前に倒れていくストレッチをしてみせましたら、後ろで指は組めましたがそこ止まり。

うっ、硬すぎる・・

前屈で足の指まで手が届く柔らかさはなくとも、肩や背中は柔らかくないとピアノは弾きにくいだろうな、と思いました。

そう教えたことはないのに、肘を体に付けて弾いてしまうので、肩の硬さかが関係しているのかな、と思ったりしました。


ピアノと柔軟性について考えたことがありませんでしたが、ちょっと軽いストレッチを教えておこうかな、と思います。



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消しゴム鉛筆の使い方を改める

2023年12月21日 | 不思議な音の国

消しゴムのついた鉛筆。

イリーナ先生の教本を使っていらっしゃる先生は、この消しゴム部分をレッスンで使われていると思います。

ロシアンメソッドといわれているもので教えていらっしゃる先生は、おそらく一度は使ったことがあると思います。

なぜなら、このメソッドの生みの親ともいえるアルタバレフスカヤの作ったピアノ導入教本にその写真があるからです。



少し前に見直したピアセツキー先生のレッスンでは、この鉛筆を使う時に、生徒さんの指の下から軽くあてるだけにしていました。

そして、指の3つの骨が見えるようにして、とおっしゃっていました。

この鉛筆を使って指を強くするわけではありませんでした。
というより、そのような練習もできると思いますが、どのような指の状態でピアノを弾くかを生徒さんに知ってもらうことが先決です。

この消しゴムを力いっぱい押し付ける子どももいます。
その指でピアノは弾けない、というほど指が反り返った状態で押してしまいます。


それがあるので、実はこのアイテムは最初の数回しか、私は使っておりませんでした。

しかし、ピアセツキー先生のやり方を拝見し、早速生徒さんたちに「指には3つの骨がある。ピアノを弾く時はこの骨が見えるようにする」と1本1本の指に消しゴムをあててみました。

そうしてピアノを弾いてもらいましたら、驚いたことに全員、ピアノを弾く指で弾きました。(全員というのは、ピアノ歴3~4カ月の未就学児以外です)

関節は意識で保てるのかと、そうだったのかと、今頃知りました。


一人一人の生徒さんに消しゴムを軽く当ててみて分かったことがあります。

まず、全員3の指だけはピアノを弾く指になっていて、消しゴムを軽くあてただけで指が強くなっているのが分かりました。

他には、
2の指の第1関節が見えない生徒さんが割といる。
左手の第3関節が弱い生徒さんが多く、そこが保てないと他の関節もユルユルになりやすい。

第3関節の大事さは先生方はご存知だと思いますが、こうも指全体に影響するのかと思いました。

これでは自分の腕の重さに耐えることは出来ないので、生徒さんには、自分でもう片方の手で自分の腕を支えて練習してもらうことにしました。

支えた時の弾きやすさは全員実感できていました。
その感覚になるように支えなしでも弾けるようにします。1小節や2小節に区切って。

弾きやすくなると、音の粒もきれいに揃います。
ガタガタだったメロディーが美しくなります。


どうも私は大雑把なところがあって、その内できるだろう、と思ってしまいます。

その内はない、とこのメソッドに変えて痛感していたのに、喉元過ぎると・・です。

ピアノを弾く大元である指を作るところは、徹底してやらなければいけませんでした。


鉛筆消しゴムでレッスンをしながら、子どもは素直でいいもんだ、と思いました。
みんな、面倒くさがるかと思っていたのですが、弾きやすくなるし、音が変わることが本人たちも分かるので、嫌ではなかった様子です。


あと、不思議な音の国のチェックシートっぽいもの。
下巻も作りました。

下巻はほとんどの生徒さんが半分以上進んでいるので、作っても使わないかもと思いながら一応作ってみました。

そして、下巻を使っている生徒さんたちに渡してみましたら、案外復習に役立ちそうです。

本人たちもこれがよくわかっていなかった、というのが確認でき、私が言葉で質問するより紙に書かれたものの方が良さそうです。

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作っちゃいました

2023年12月18日 | 不思議な音の国

不思議な音の国 上巻のチェックシートのようなものを作ってしまいました。

6枚にもなってしまったので、閉じてノートのような感じにするつもりです。


思い付くまま書いていきましたら、10のステップになりました。
各ステップにいくつかの項目があり、それが全てクリアできたらそのステップは合格。


これを作った目的は、レッスン室にお入りにならない保護者さんに何をレッスンでしているかを知ってほしかったからです。

また、生徒さんが引っ越したり、曜日移動をして他の先生に変わった時に、何をしてきたかそれを見て頂ければわかるとも思いました。

さらに、先に進んだとしても、前の方で何が出来ていないかチェックすることもできます。先に進むと、やったことは全て出来ていると勘違いする生徒さんがいるので、自分が不十分であるものを認識してもらえるかと、少しだけ期待しています。


「不思議な音の国」は、他には代えがたい素晴らしい教本です。
しかし、メジャーとは言い難く、どのような内容の本かは使ってみなければわからないというのが現状だと思います。

一般的な教本は、どんな曲を弾いてきたかを見るだけで内容が分かります。

見ただけでは内容が分からないのが、「不思議な音の国」のウィークポイントかもしれません。

それ以外は、Strong Pointsしかない


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ツィメルマン ピアノリサイタル 2023/12/16

2023年12月17日 | コンサート情報

所沢ミューズでツィメルマンを聴いてきました。

プログラムは、

ショパン
ノクターン Op.9-2、Op,15-2、Op55-2、Op62-2
ピアノソナタ 第2番 Op.35

ドビュッシー 版画
シマノフスキ ポーランド民謡の主題による変奏曲 ロ短調 Op.10


何度聴いてもツィメルマンの音に私はうっとりしてしまいます。

ノクターンのOp.9-2がプログラムにあるとは、少々驚きました。
どのように演奏されるのだろうと、何か特別な意図があるのかな、と思いながら聴きました。

思いの外、メロディーはシンプルであっさり。
メロディーはショパン自身が美しく仕立てているので、あとは音色だけあればもう十分と思わせる演奏でした。

ちょうどOp.62-2(第18番)を弾いている生徒さんがいらして、私は弾いたことのない曲ですが、ツィメルマンはどう弾くのだろうと楽しみにしておりました。

やはりメロディーで聴かせるのではなく、左手のハーモニーの音色の変化で作られている感じで、左手16分音符の柔らかな波のような部分は信じられないほどの音。流石すぎる。しかもソフトペダルを使わずあの音とは・・


葬送ソナタは以前にも聴いたことがあり、その時も忘れられないほど感動しましたが、今回は私自身もその頃より耳が鍛えられている気がするので、こんなに声部を異なる音色で弾き分けているのかと、ノクターンからあったその予兆がここでクッキリ。

第3楽章の葬送行進曲の最後の方はソフトペダルをずっと使っていて、人生が終わる時はこんな感じなのかな、と思っていたら、すぐに終楽章に突入。

死んだあとは有無を言わさず忘却の川に揉みくちゃにされるのかと、厳しい川だなと思いながら、時折聴こえるメロディーの断片のようなものが、そこだけ意識があるようで、死後の世界の入り口を垣間見た気がしました。


ドビュッシーの版画は、オーケストラに編曲されたものを聴いているのかと思うほど、各声部が違う音。ツィメルマンの腕は何本あるのか・・

ドビュッシーはただ弾いても、時間軸が多層になっているのに、音色も変えていて、タッチも違うものを組み合わせているという、しかもその音が美しい。


ツィメちゃん、健在


最後のシマノフスキ。
この曲が始まった途端、この曲のために全ての情感をしまっておいたのかと思うほどでした。

ツィメルマンだからこそ、超絶技巧のこの曲を奥深く聴かせてもらえたと思います。


今日は、ツィメルマンがステージに出てきた時に、よくは見えなかったのですが、首元を閉めず開けていたので蝶ネクタイはしていらっしゃらなかったのではないかと思います。

そして、お腹のあたりも緩めている感じで、おや?と思いました。

演奏前に鼻を何度もハンカチで拭いていらしたので、風邪ひいたのかな?と思って見ていました。

アンコールは無しでした。
体調が万全ではなかったのかもしれませんが、今日できる最善の演奏を聴かせて下さったのだろうと、私は満足でした。


今年のコンサートはこれが最後です。

ツィメルマンの音と音楽を堪能でき、良き締めくくり

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ピアノを弾く時の指

2023年12月16日 | レッスン

ピアノを弾く指はクネクネしていない方が弾きやすいです。

歩く時に膝がカクカクしていたら歩きにくいのと同じです。


全ての指がクネクネする生徒さんは少なく、1,2本の指がクネッと内側に反ってしまうお子さんが多いと思います。

ピアノを弾く時の指を子どもたちに知ってもらう必要があります。


ピアセツキー先生が消しゴム鉛筆で、「この骨が見えるようにして」と3つの関節を指さしていらしたので、年中の生徒さんに同じように言ってみました。

そうしましたら、内側に反っていた指がピアノを弾く指に変身。
実際に弾く時はまだ重さを支えるだけの強さはありませんので、下から腕を支えてあげる必要があります。

プールでバタ足の練習で手を持ってあげる感じでしょうか?


スイミングに通っているお子さんは少なくないですが、スイミングはこれができたら〇級とあります。

水に顔がつけられるようになったら9級とか。


ピアノもこのようなものがあったら、どのように段階を踏んで曲の演奏に至るか分かるようになるのでは、と思いました。

不思議な音の国用にこのようなものがあっても良いかも・・

椅子に正しく座れるようになったら10級とか。


私の生徒は10級取るのに5年かかりそう・・
取っても剥奪とか・・

笑えない・・


ピアノ演奏には体の使い方があることをご存知ない保護者さんにとっては、このメソッドは何をしているか分かりにくい面があるので、保護者さん向けにクリアしてほしいものを順番に書いたものを作成しても良いかもしれません。


と思い、上巻の分を作り始めました。


1枚にまとめる気でいたのですが、とんでもありませんでした
生徒さんも自分で確かめられるように項目を作りました。

思ったより大変な作業になっていて、本当に生徒さんの役に立つのかなぁと思いつつ、とりあえず上巻の分だけ作ってみようとしています。


考えてみたら、語学学校は課ごとに何を習うか書いた表のようなものが配られていて、どこまで勉強したら何が覚えられるか分かるようになっていたな、と思い出しました。


無いよりは良いかもしれない・・

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ピアセツキー先生のレッスンから学ぶ

2023年12月14日 | 重力奏法

イリーナ先生やピアセツキー先生のレッスン動画を拝見して、旧ソ連のピアノ導入期の方法が理解出来てきました。

ピアノレッスンはまずピアノを弾く手を作ることから始める。

それは力みなく弾くことをはじめに徹底して教えるということ。

指が反り返ったり、クネッとしないように、指先を馬に蹄鉄を履かせるようにしたり、指のブーツを履かせたりと子どもが分かる言葉で何度も伝えます。

そして呼吸する手首。
ピアセツキー先生はたいへん小さな動きでそれを行い、イリーナ先生は始めは大きな動きで行うものの、手首を不用に大きく動かしすぎたり肘まで上げている時にはすかさず注意していますし、上巻が終わる頃には既に小さな動きで手首を使うようにされています。

また、お二人とも234の指のレガートを3音の上行・下行形で連続して弾く練習をさせています。
ピアセツキー先生はすぐに5音のレガートをして、しばらくの間は手を私のように支えてあげて下さいとお家の方に言っています。指を持ち上げることはせず鍵盤の深さ分下げるだけ。

自分でしてみると分かりますが、下から支えると指を下ろすだけで済みますが、支えがないと自力で手を支えなければならず結構重さを感じます。子どもはこの重さに耐えられず手がつぶれてしまいます。


移調をして弾くこともお二人ともよくされています。
ひとつの曲で様々な音から弾くだけで楽しく練習できますし、さらに音感も付きます。
グネーシンのソルフェージュでも移調させて子どもたちに弾かせています。


ピアノは音の読み方やリズムが分かれば弾けるものではなく、しかも弾き方を習わずに曲を弾き続けると、奇跡的にピアノに適した弾き方を持っていた人は別ですが、そうではない人は遅かれ早かれ行き詰ります。

ここを改善してピアノレッスンが進められたら、多くのピアノ愛好者が趣味として生涯楽しむことが可能になるはずです。


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ファン&カントロフ 2023/12/12

2023年12月13日 | コンサート情報

今年は2度もカントロフを聴けるので、この日を楽しみにしておりました。


お相手がどなたかよくわかっておりませんでした。てっきり、よく一緒に演奏しているヴァイオリンの方とのデュオだと思っておりました。

チェロの方とのデュオで、ファンさんという若いチェリストでした。

なんでもチャイコフスキーコンクールで同じ年にチェロ部門で優勝した方で、一緒に演奏するのは初めてなのだそうです。
日本のトッパンホールからお二人でいかがですか、と声を掛けたのだそうです。


プログラムはこちら。

カントロフ、やはり心臓をわしづかみされる感じで、おー、きたー!でした。
パッションの濃さが、生きてる!という感覚を呼び覚ましてくれるようで、久し振りにピアニストの演奏を聴いて自分もピアノが弾きたくなりました。

チェリストの方の演奏は私にはよくわかりませんでした。
アンコールの1曲目だけは、このチェリストの本当の声のように聞こえました。曲は《エフゲニー・オネーギン》より レンスキーのアリア。

他は、何かお行儀のよい均整の取れた演奏のように聞こえました。
カントロフともっとぶつかり合える濃さがあると良かったのかもしれません。


プログラムで知っていた曲は最後のブラームスだけでした。
この曲は、井上直幸さんのCDでワルター・ノータスのチェロで何度も聴いておりましたので、全楽章記憶にありました。

今日は、円熟したチェリストと共演していたらこのブラームスは凄まじい演奏だっただろうと、勿体なかったなと拍手をしながら思っていました。


カントロフ、見たことのないスーツ姿でした。

アンコールは4曲ありました。
最後はカントロフが「え?まだやるの?」と驚いた様子で口に手を当てて、ピアノの椅子へ。
ファンさん、カントロフとの演奏が楽しかったのかも。

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指の置き方

2023年12月12日 | 重力奏法

モスクワ中央音楽学校のピアセツキー先生の動画を、5年振りに見てみました。

2018年にブログでご紹介したものですが、当時は字幕機能が限られた言語にしかなかったのか私が気付かなかったのか、何を話されているかは全くわからない状態で拝見していました。

現在では、完璧ではなくともある程度知ることができる日本語の字幕が見られます。


私自身も2018年と言えば、このメソッドで教え始めて間もない頃で、子どもたちの癖がどのようなものかまだ分かっていない状態でした。

どのくらいで力みなく弾けるようになるか、いつ頃までには基本的な手の使い方が出来ると良いか、それらの目安さえ分からない頃でした。

字幕でご覧になられていない方がいらっしゃいましたら、是非、字幕をお使いになってご覧になって下さい。





改めて拝見して驚いたのが、ピアノの鍵盤に指を置く一番最初のことに、レッスン回数を何度も使っていることです。

消しゴム付き鉛筆を生徒さんの指の下から当てて、「押さなくていい、なんにもしなくていい」と力まないことを最初にしています。生徒さんには馬に蹄鉄(馬の靴とも)を履かせていると話しています。そして、この骨が見えるようにしてと、第1、2、3関節を指さしています。指がクニャとすると、これは蹄鉄ではない、馬は落ちる(翻訳ではそうなっていますが、転ぶではないかと思います)と仰っています。

消しゴム鉛筆の目的を私は指のどこで弾くかと捉えていました。しかし、ピアセツキー先生の動画では、指の関節を意識する、指をぐらぐらさせずにピアノは弾く、そしてそれを力まずにするのだと教えるために使っていると思いました。


3の指で鍵盤を順番に弾く時に、下におろしたあと何をしているかと手首のことを言っています。小さなため息のようなもの、と手首から僅かな動きで移動していますが、それを生徒さんに先生の手の上に手を載せてもらったり、先生が手を持って一緒に弾いたりして教えています。
お家の人には、手首で呼吸することはお子さんには言う必要はない。言うと手が緊張し始める、何も考えなくて良いと仰っています。

子どもには、感覚として分からせると理解できます。
イリーナ先生の教本もですが、理論的なこともまず感覚として掴んでもらってからそれが何であるかあとから理解する。


ピアセツキー先生、あらゆるところが力んでいる。残念ながら今はこのままでしょう。早くこれがなくなるほど良くなる。と、はっきり言っています。
手を持った時に、3ヶ月経っても指、腕、手首が力んでいるとピアノを弾くことは困難です。
できれば、音を読み始める前にこれはほぼ無くしておきたいです。

ただ、日本では先に進まなければ何をしているのだ、となりがちです。
何をしているのだは、こちらの台詞と言いたいのですが、自分の教え方のせいで生徒さんが出来ずにいると考えるのも日本の先生です。
責められずに済むレッスンを、趣味で習っているということを盾にして続けているのが日本のピアノ教育だろうと思います。

コンクールに出たり、賞をとるお子さんだけが特別なことを教わるのではなく、ピアノを習う子どもたち全てが本当の事を教わるのが当たり前になってほしいと思います。


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おとぎのくに

2023年12月11日 | レッスン

久し振りに生徒さんとの連弾を録画しました。

こちらの生徒さんは、今年の夏頃から10月まで月2回、現在は月3回のレッスンを受けられています。

他の教室で習われていましたが、ピアノの弾き方をきちんと習いたいということで私の所でレッスンを受けられるようになりました。

手のこともですが、音符を読まずに耳で覚えて弾いてきたようでしたので、色々とやり直す必要がありました。


とてもポジティブで明るく、音楽が好きな生徒さんです。
小学校高学年なので、手のことは直すのに時間がかかると思っておりましたが、しっかりと考えてピアノを弾く生徒さんなので、思いのほか直りが速いと感じます。

音の読みも初めは高さがわからず、あちこち違っておりましたが、だいぶわかってきました。

今はリズムが課題です。


今日は、連弾曲集「おとのくにへ」の最後の曲”おとぎのくに”を弾き、この曲集を無事に修了しました。
この曲集には伴奏CDが付いているので、時間がある時にはいつでも一人で復習が出来ます。




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「発達障害」と間違われる子どもたち

2023年12月10日 | 書籍紹介

ピアノ講師は、多くの子どもや保護者の方と接する職業です。

小学校1年生から電車で塾通いで帰宅ラッシュの中を帰るお子さん、
毎日たくさんの習い事に追われるお子さん。

内心、それは本当に身になることなのだろうかと思っていました。


前回ご紹介した「発達障害と間違われる子どもたち」という本。

それには、十分な睡眠時間の必要性が書かれていました。

親が最初にやるべき事は、子どもがこの世を生き延びるための脳=からだの脳をつくること。それが立派に育っていれば、その後に発達するおりこうさん脳、こころの脳もしっかり育ち、人間として社会の中で生き延びることが出来ると。

からだの脳をつくる大切な時期に、夜を徹して勉強させたり、習い事をいくつもやらせたりして、十分な睡眠時間を取らせないと、いずれ社会生活が出来なくなると。


また、家庭での親子関係についても書かれています。
自分のことが分かる力は、自ら試行錯誤を繰り返すことで成長しますが、親が先回りして失敗させないでいると、子どもが自分で感じて考え、行動する機会を奪ってしまうと。


多くのお子さんや保護者の方と接していて、これらのことはよく感じます。


発達障害に関しては、10年位前と違い、保護者の方も知っています。
以前は学校教師もよくわかっていないことが珍しくありませんでした。

しかし現在は、親御さんも言葉はご存知です。
そして、本にもありますが、その言葉に振り回されて困っているご家庭があまりに多いと。

私の所でも、お一人だけですがそのような保護者の方がいらっしゃいました。
音符の読み方がなかなかわからず、そうのような発想になってしまっていました。音符を読むことは大人が考えるほど単純なことではありません。

線と間の違い、ステップとスキップの見分け、上行下行のドレミの順番など、大人なら考えるまでもなく理解できることが、就学前のお子さんにとってはたいへん難しいことなのです。

文字を覚える方が楽だと思うほどです。

楽譜が右に進むことも就学前のお子さんにとっては混乱のひとつです。
音は、ドレミの順番には進みません。あちこち行ったり来たりします。
それをひたすら右方向に書き留めるのが楽譜です。

小さなお子さんは、ド ミの次にレを書くとなったら、ミの右隣ではなくドとミの間に書こうとします。右に進まず、戻ってドレミの順番になるように書こうとするのです。

これはよくあることです。
それをすぐに、もしかしてと考えるのは早計です。
初めはわからなかったことでも、経験を積むうちにわかってくることは沢山あります。

また、反復して練習する、書くなどの作業も必要です。
それを飛ばし、やるべきことをまだしていない内に、この子もしかしてと考えるべきではありません。

先回りしてしまう親と同様、兄弟、姉妹でも、いつも手伝ってあげる面倒見の良い兄、姉がいると、それも自分で考えたり失敗する機会を大幅に減らしてしまう原因になります。


夜更かしせず、睡眠時間をたっぷりとって、ちゃんと失敗させる。


ピアノレッスンでは、手伝い過ぎないことを心掛けようと改めて思いました。

私は生徒が分からなくて練習できなかった、どうしよう とならないようにある程度分かるようにして帰すようにしていました。

しかし、そうしたにも関わらず、忙しくて弾けなかった、ヒマがなくてピアノが弾けなかったと言われることが少なくありませんでした。

イリーナ先生のレッスンを拝見して、思ったより予習の手伝いがあっさりしているので、私も参考にすることにしました。

不思議な音の国を弾いている生徒さんに対して、新しい曲は1回音を読んだらあとは自分で弾けるようにして来て、と言ってお終い。
どう練習すると良いかとういう話もしないことにしました。

レッスンで困っていたら手伝うことに路線変更。


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脳が育つ順番

2023年12月07日 | 書籍紹介

人間の脳は育つ順番があるそうです。

からだ脳→おりこうさん脳→こころ脳

全ての人間がこの順番なのだそうです。


5歳まではからだ脳をしっかりと育てること。
からだ脳というのは、生きるために必要な機能です。

体を動かすこと、呼吸をする事、姿勢を保つこと、体温調整、起きること・寝ること、食べること、感情を生むこと。


からだ脳がしっかり育ってくれると、おりこうさん脳とこころの脳もうまく育ってくれるそうです。

おりこうさん脳は18歳くらいまでの間に時間をかけ発達し、最も育ち、使われるようになるのは6歳以降で、小中学生の時期に大きく伸びるそうです。

こころの脳は10~15歳にかけてつくられ、18歳前後まで発達し続けるそうです。


からだ脳が育つ前に早期教育でおりこうさん脳ばかり刺激すると、土台がうまく育たないことがあると。どこかでバランスが崩れ、発達障がいと勘違いされてしまうことが往々にしてあるのだそうです。

5歳まではからだ脳をしっかり育て、こころの脳は10歳以降に完成。

ピアノを教えている先生方は、このような知識がなくともその事に気付いていらっしゃると思います。


実は今、「発達障害と間違われる子どもたち」という本を読んでいます。

昔と違い、保護者の方の間にもこの言葉は広がっています。
それにより、やるべきことをやる前にそうではないかと心配されるお母様がいらっしゃいます。

ピアノ講師という職業は、クラス単位で見る学校教師と違い、お子さん、保護者の方一人一人と接しています。そして、様々な年齢層のお子さん、大人の方を見ています。

すると分かってくることが色々とあり、特にお子さんの場合、どこに問題があるか気付くことがあります。

本当に認知機能に関わることでしたら、レッスンで対応できる手段があります。
しかしご家庭にある場合、口出ししにくいのが現状です。
大人の夜型生活に子どもを巻き込んでいる場合です。

都心で見かける度に気の毒に思ってしまうのですが、夜の9時過ぎに電車に乗っているお子さん。
塾帰りの小学生もいれば、遊園地帰りの未就学と思われるお子さんもいます。遊びに行くのなら、お子さんが寝る時間を考えて帰らなければ。


この本にもありますが、発達障害もどきの原因は生活にあると。

小学生の内は夜10時には布団に入るようにした方が脳の育ちが良いそうです。

人間は昼行動物で、明るい時間に活動するようにできています。
人間の体内時計は24時間ではなく少し長く設定されているそうで、朝に太陽の光を目に入れることで朝であることを脳に知らせ、体内時計をリセットするそうです。

朝日を浴びることで幸せホルモンであるセロトニン量を増やし、セロトニン神経を育てることが大事と。

リセットしないと体内時計は、どんどんズレて行きます。


忘れ物が多い、ボンヤリしている、ケンカが多い、などで困っている時は、まず朝早く起きること。
早く起きると黙っていても夜8時には眠くなるので、睡眠時間がしっかり取れます。
3日続けるとこのサイクルになるそうです。

ノンレム睡眠とレム睡眠のサイクル(合わせて90分)を4回は繰り返さないと、人間は正常な機能が保てないと様々な研究からわかっているそうです。

夜遅くまで勉強なんて偉いね、ではなくサッサと寝て朝に勉強した方が効率が良いとのこと。


私も早く寝て、早く起きる習慣をつけた方が良さそうです・・
でも、夜10時には寝れないなぁ



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これは間違いですよ

2023年12月05日 | 重力奏法

こちらは間違った弾き方です。

手首を前に動かしながら突くように弾くのではなく、上から真っ直ぐ真下に下ろします。



こちらの動画にコメントがあったので見てみましたら、
ドイツ語で、「とても良いテクニック。良い生徒、良い先生」とありました。

3の指でノンレガートから習い始めることは大賛成ですが、これでは正しい奏法にはなりません。

ご注意ください。

イリーナ先生も次のようにコメントされています。
「The weight should drop into the keys, not to pushed out.」
(重みは鍵盤の中に落とすべきで、押し出すものではない)

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動かしすぎはNG!

2023年12月04日 | 不思議な音の国

イリーナ先生のミラちゃんレッスン動画が少し間をあけて再開されました。

下巻に入ったところで間が開いたので、上巻だけのレッスンを公開するだけなのかな、と思っておりましたが、さすがイリーナ先生。

出し惜しみしません。


下巻はノンレガートを2曲弾いた後は、まずはレガートの弾き方を覚えます。

最初は2音のレガートです。


こちらの動画は先に進み、3音、4音のレガートに進んでいます。

ここで問題になるのが、レガートは横に手首を動かせばよいと間違えて覚えてしまうことです。

隣同士の2音に関しては下げて上げるだけです。


私のところにも、やたら手を横に動かしてしまう生徒さんがいます。
グルグル方向転換させて、音がグワッ、ンニャとします。

このメソッドで教える前までは手首を使えない生徒さんが多数いました。
それがあったので、動かさないよりまだマシかと私も甘く見ていました。

2年位前からそれが気になり、その生徒さんにはここは動かさないで、と動かさないことを教えている始末です。

潜水して進む感じで弾くべきレガートはたくさんあります。

コツは腕の重さをスラーの頭でストンと載せること。
それが浅いと何度も水面に顔を出して息を吸う金魚のようになってしまいます。

水中に酸素が少ないと金魚はそうなるそうです。


最初に習うノンレガートは基礎中の基礎。
スライムを使って深く弾く感覚をつかむのも基礎。

ピアノも他の楽器のように音を出す基礎が、習い始めにきちんと行われる日が来てほしいです。


自分が教わったことが、永遠に不滅ではないと気付いてほしい、と自分のことは高々と棚に上げて偉そうに思うのです。




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