おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

フォルマシオン・ミュジカル ~La dictée en musique Vol.1 リズム編~ ①

2013年09月14日 | フォルマシオン・ミュジカル
la dictéeとは聴音書き取りのことです。
前回ご紹介した「La dictée en musique Vol.1」にあるリズム聴音をご紹介します。
全部で13曲あります。

1.「うさぎ」4分の4拍子

第1曲は日本の歌です。この曲のおかげで生徒たちはさほど抵抗なくこのテキストを受け入れてくれています。
鉄琴と琴で伴奏されています。琴の音で一気にお正月気分に・・?
しかし、生徒たちの多くは日本の伝統楽器「琴」を知りません。
「なんの楽器かわかる?」と質問すると、「・・・・わかりません。」と言う生徒がほとんど。「ギター?」と言う生徒も何人かいます。

琴を知らないとは驚きでした。口で説明しても私の説明もよくないのかピンとくる生徒がいないので、琴の写真を用意することにしました。
すると、ほとんどの生徒は「あー、知ってる」でした。
楽器の姿と音色が一致していないのです。
このテキストは単にリズムや音を考えるだけではなく、楽器や作曲家、言葉、歴史、その国についてなど学べることがたくさんあります。

さて、「うさぎ」ですが、1回目を聴いてもらう時には何も言わず聴いてもらっています。
そして使用楽器や拍子について質問をします。

2回目は拍子をとりながら聴いてもらいます。
最初の内は4拍子の指揮を振ってもらっていたのですが、その方法ですと4拍子の形を振ることに一生懸命になり何拍目に何の音が演奏されているかがわからないようでしたので、指を折って数えてもらう方法に変えました。
この方法ですとほとんどの生徒はわかります。

この曲に一か所だけ使われている2つの8分音符につられて指を5本折る生徒がいます。
生徒の数え方を見ていると、その生徒が普段どのようにリズムを捉えているかわかります。
これをきっかけに、ピアノレッスンでもリズムが一人で取れない生徒には、指を折って数えてもらいながらその部分を歌ったり、ターンタなどとリズムを言ってもらうことにしました。
この方法の方が生徒は自力でリズムが取れるようになります。


2.「UNE JEUNE FILLETTE」4分の4拍子

「若い娘」というフランスルネサンス期の世俗的声楽曲です。
約450年前のポピュラーソングというわけです。
修道院に入れられた若い娘が聖母マリアに深い悲しみを訴えるという内容のようです。

フランス語で歌われている上に、クラヴサンの伴奏で複数の人が歌っています。
この曲で生徒たちに、「無理・・」と思われてしまってはこのテキストを使い続けることは難しいと思っていたので、使い始めの頃は私も不安でした。

生徒たちには「うさぎ」ができた後に今度こんな曲を聴くからと言って、予告の意味で「若い娘」を1回だけ聴いてもらっています。
そして、「1回聴いただけじゃわからないでしょ?全然知らない曲だし・・なにこれ?でしょ。
でも、大丈夫。私も知らない曲だから一緒に聴いて1小節ずつでもいいからどんなリズムか考えて行きましょう。」と言って終えます。

翌週のレッスンではもう1度聴いてもらい、そのあとで拍子と何拍目から始まっているかを質問します。
4拍目から始まるアウフタクトです。
フレージングを説明し、CDを聴いてもらいながら私が横で「ここが始まり」と指さしたりブレスを大きくとって歌ったりします。そして、フレーズごとにCDを止めてリズムを答えてもらいます。

リズム聴音の2曲目ですし、多少戸惑いながらも生徒たちは最後まで答えてくれます。
今のところできなかった生徒はおりません。

クラヴサンの写真を見せピアノの歴史も少し話します。
ピアノの為に書かれた作品がJ.S.Bachには1曲もないことを知って、生徒たちは驚きます。


3.「XIAO ZUTI GUAI GUAI」4分の4拍子

「小さなウサギ」という中国の民謡です。前の2曲と違いテンポの速い曲です。
そのことに生徒はまず驚き焦ります。

オオカミ、小さなウサギ、ウサギの母親の3匹が登場します。
3匹の子豚のような、赤ずきんちゃんのような内容の歌詞です。

ここではシェンという日本の笙のような楽器が伴奏しています。
笙は奈良時代に唐から伝来したもののようです。

テンポが速く8分音符が多い曲なので、少し遅いテンポにして私が歌います。
苦手意識を持たれては元も子もないので、テンポを遅くしたりヒントを出しながら、決してこちらから答えを言うことなく生徒に答えてもらうようにしています。
また、CDとピアノの音が半音くらいずれているものもあるのでピアノでも弾かないようにしています。

この辺りまで来るとこちらの心配をよそに、生徒は案外スラスラと答えてくれます。
このままリズムだけを続ける必要もないと思うので、この曲の後にメロディーの課題をしています。
レッスン時間が30分だけなので毎回1問ずつしかできませんが、時間が余った時には通常のリズム打ちや視唱をしています。


テキストはこちら。
http://www.henry-lemoine.com/en/catalogue/fiche/28440
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フォルマシオン・ミュジカル

2013年09月13日 | フォルマシオン・ミュジカル
フォルマシオン ミュジカルという言葉をご存知でしょうか。
フランスで勉強された方には馴染みの言葉かと思います。

しかし、私がこの言葉を知ったのは半年ほど前です。
<Formation Musical>と書きます。

直訳すると<音楽のトレーニング>です。
<音楽の教育>、<音楽の養成>と訳されてもいます。

これは、音楽理論、音楽史、ソルフェージュを統合したもので、実際の音楽作品から抜粋して聴音や視唱等の教材として使用し幅広い音楽的基礎力の習得を目指すというものです。

実際の音楽作品を使用することが特徴です。
グレゴリオ聖歌から現代曲、民謡、ジャズまで課題になります。
テキストによっては作成者のオリジナル曲が課題になることもあります。

音楽作品として作られたものを課題にしますので多くの場合CDを使用します。
アゴーギグがありますし様々な楽器で演奏されます。
聴音では必要な音だけが聞こえるのではありません。
全て音楽本来の姿で登場します。

音楽教育のガイドラインを国が決めているフランスでは、1978年頃からフォルマシオン・ミュジカルは導入されているそうです。

そのフランスで作られた教材「La dictée en musique Vol.1(Editions Henry Lemoine)」を生徒のレッスンで使い始めました。
第1巻~第7巻まで発刊されています。

第1巻~第3巻は第1課程でDebut Milieu Finと分かれています。(日本式に言うと上中下でしょうか。徐々に難しくなります。)
第4巻~第6巻は第2課程で同じように分かれています。
第7巻は第3課程でこれは1冊だけです。

各巻はリズム、メロディー、ハーモニー、音色、ミックス、間違い探しから構成されています。
(但し、第1巻にはハーモニーと音色はありません)

「リズム」は、音は書かれているもののリズムは書かれていないのでそれを聴き取ります。

「メロディー」はその逆です。リズムは書かれているので何の音かを聴き取ります。

「ハーモニー」は、終止形、調性、和音度数を答えるものです。

「音色」は、何の楽器で演奏されているかを答えます。オーケストラ作品を聴き、何段にも分かれたスコア譜を見ます。

「ミックス」はこれらが合わさったものです。ある部分はリズム、ある部分はメロディー、ある部分は楽器を当てるなどです。

最後の「間違い探し」は、譜面とCDの演奏の異なるところを見つけ出すものです。間違いは音やリズムにとどまりません。楽譜に書かれているもの全てを見る必要があります。



さて、収録されている作品はルネサンスから現代曲、民謡、ジャズまで本当に幅広い作品がピックアップされています。

CDが付いていてそれを聴きながら問題に答えます。
私には初めて聴く曲も少なくありません。
結構、すてきな曲が入っていて音源が目次に記載されていますので1曲通して聴いてみたい方にも対応しています。(ほとんどの課題は曲のごく1部しか使われていません。)

対象年齢は6~7歳から大人まで。
1年程度は普通に行われているソルフェージュの訓練が必要かと思われますので、全く初めて楽器を習う生徒さんにいきなり使うことは難しいと思います。

これから教材の内容を少しばかりご紹介していきたいと思います。

教材を入手したい方はこちらEditions Henry Lemoinehttp://www.henry-lemoine.com/en/catalogue
をご覧下さい。(左上にla dictee en musiqueと入力してください。)
normalで1週間程で届きます。



(Amazonでのご購入はこちら)
「La dictée en musique Vol.1」Editions Henry Lemoine
聴音のためのテキスト。
ルネサンス期から現代までの作品が集められています。
声楽曲やピアノ以外の器楽曲が多いことが特徴です。



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フォルマシオン・ミュジカルの記事を書き続けております。
他の記事もご参考にして頂けますと幸いです。
是非、生徒さんに実際にレッスンで使ってみて下さい。
子供の生徒さんだけではなく大人の生徒さんにも楽しんでいただけることと思います。
2017年1月
「カテゴリー フォルマシオン・ミュジカル」は こちら
 

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