おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

「発表会の曲をなかなか練習しない」生徒(第17号)

2012年07月10日 | 苦手なことがある子供たち
多くの場合、年に1度は発表会が行われると思います
その発表の場を楽しみにしていらっしゃる親御さん、そしてお孫さんの成長に目を細めていらっしゃる祖父母の方。
発表会の後、喜んでいらっしゃるご家族の姿を拝見するのはたいへん嬉しいものです。

しかし、この日を迎えるために多くの先生方は叱咤激励の日々を3ヶ月前後送られると思います。
年に一度の発表会なので普段練習しない生徒でもこの時ばかりは流石にするだろうと思っていると、そうは問屋は降ろさず、焦るのは先生ばかりなり・・というご経験をお持ちではないでしょうか。

これは16号で書きました「時間の見通し」に関係しています。
多くの生徒は発表会で弾く曲がどのくらいの時間をかけて仕上げられるものかわかっていないのです。
ずっと先のことなのにどうして今から練習するのだと不思議に思っているはずです。

私は1年程前から初級の生徒たち全員にいつも使っている教本とは別に、バロック、古典派、現代曲を集めて渡し始めました。初めに、曲の目次とその曲が終了したらシールを貼る用紙を渡し、曲が仕上がるごとに目次に従って新しい曲を渡すようにしました。徐々に楽譜が出来上がる仕組みです。

どの曲も短いものばかりです。
10小節から1ページで終わるものがほとんどです。見た目も難しそうではありません。
しかし、普段弾く曲より複雑なもの、音楽が豊かで豊かな音色やタッチが必要なものを集めました。
そして、仕上げられるまでにどのくらいの期間がかかったかをシールの用紙に書き込んでいきました。

すると、その年の発表会でかつてないことが起こりました。

生徒全員が、本番の3週間前には余裕で曲を仕上げられていたのです。
いつもなら譜読みを終えた程度で本番に出演していた生徒もいたのにです。

おそらく生徒たちは、私から渡される曲が短く簡単そうなのにすぐに弾けるようにはならないと経験を通して知ったのです。

ましてや発表会の曲です。
いつもより難しいだろうし長さもあります。
そのことについて私は誰にも一言も触れませんでしたが、生徒たちは自らそのことに気付いたのです。
早くから練習を始めないと、自分の実力ではとても間に合わないと。

発表会は1日にして成らずです!
普段から時間の見通しを持つ力を育てることが肝心だと思います。




  
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井上直幸さんが教育テレビの「ピアノのおけいこ」で取り上げられていた曲も生徒たちに渡しています。
特に現代曲は貴重です。(注:こちらの本とDVDには「ピアノのおけいこ」の曲はありません)
ストラヴィンスキー「5指のための小品」
メゼー「トッカティーナ」
カセッラ「子供のための小曲集」
はおすすめです。

「ピアノのおけいこ」の井上直幸さんの笑顔は衝撃的でした。
それまでいつも笑顔でレッスンされている先生はあの番組にはいらっしゃらなかった・・
本当に楽しそうにレッスンされていました。

井上直幸さんのDVDは私の宝物です。
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「時間の見通し」を持つ(第16号)

2012年07月01日 | 苦手なことがある子供たち
時間の見通しを持つとは、ある時間内に自分がどれだけの作業をすることができるかが分かるかと言うことです。

例えば、出掛ける時に30分以内にどの程度の作業が出来るかが分からないと、出掛ける時間になっても着替えていなかったり持ち物の準備が出来ていなかったりで遅刻をしてしまうといったことです。

「時間の見通し」を持つことは小さなお子さんには難しいことです。
就学前のお子さんの時間感覚は前後数日だそうです。
そのような生徒さんに対して1週間後のピアノレッスンの話をしてもうまく通じないはずです。

1週間後のレッスンのために1週間前から練習を始めるには経験が必要です。
その曲が自分にとってどのくらい難しいか、1日でどの程度のことが自分に出来るか,それらが分からないとレッスンのどのくらい前から練習を始めたら良いか分からないと思います。

時間の感覚がまだはっきりと分からない生徒さんには、レッスンの始まりと終わりをはっきりと示す必要があります。
特に終わりの時間が分からないと、いつ終わるかわからない無限の長さに「帰る、帰る!」ということになりかねません。

私は自閉症の生徒のレッスンでは、毎回「こんにちはの歌」と「さようならの歌」を歌っていました。小学6年生の途中からは必要ないと思うようになりましたが、何のきっかけもなく辞めるのは良くないと思いましたので、小学校卒業までは続けました。

時間の見通しを持てずルーズになる人がいる一方、必要以上に時間に縛られる人がいます。
これも時間の見通しに関係していて、先の見通しが分からないため焦りを感じるのだそうです。

見通しの効く時間の幅は、10歳前後のある時期になると飛躍的に広がるそうです。
そのせいでしょうか。私の生徒も小学5年生になるとみな練習をしてくるようになります。
何故か言葉遣いや態度まできちんとして一人前になります。

突然、「はい」などと返事をされると聞き間違えかと思ってしまいます・・

ピアノの生徒さんとは長いお付き合いになることが多いので、子供たちの成長を見ることのできる楽しみの多い仕事です。

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