おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

真ん中の3本の指

2024年07月10日 | 重力奏法

ピアノは腕の重みを鍵盤に載せることができないと上手く弾けません。
重みは力を抜くことで生み出せます。

まずはこれが出来るようになること。


この時にもうひとつ大事なことがあります。

力を抜くだけではダラリとした音になってしまいます。腕を少し持ち上げ、腕を支えた状態で弾く必要があります。


ピアノでは当たり前となっている重力を使う奏法。重力奏法と言いますが、それを誰でも身に付けられるように考え出された東欧を中心とした指導法は、3の指(中指)のノンレガートからレッスンを始めます。ロシアを筆頭に東欧は素晴らしいピアニストを多数輩出しています。

その次は2の指(人差し指)、そして4の指(薬指)と進みます。

東欧ではありませんが、私の手元にあるドイツの導入教本も黒鍵を234の指で弾く所からレッスンが始まります。


アメリカ、日本で多く見られる固定5指奏法は、1の指(親指)から習い始めます。
特に日本人は順番通りが好きな国民なので、1の指から習い始めることが当たり前の事と思っていると思います。



さて、234の指から習い始めるとどのようなメリットがあるかと言うと、
・腕を支えやすい(親指や小指で腕を支えてみて下さい)
・腕の重さを載せやすい(肩から真っ直ぐに指先に重さが流れていきます)
・手首が使い易いので、音を離す時に自然に音を減衰させられる


では、1の指から習い始めるメリットは何でしょう。
・ドに1の指を置いておくと指の番号を見るだけで曲が弾ける(音符が読めなくとも弾ける)
・鍵盤から指を離さなくて済むので、間違わない安心感がある


東欧のメソッドではノンレガートでレッスンを始めます。そのメリットは、
・広い音域の曲が弾ける(それにより腕を使うことを覚えられます)
・高音域の曲、低音域の曲を無理なく弾ける(耳が育ちます)
・すぐに黒鍵の曲が弾ける(腕を支えることが自然に身に付きます)

固定5指デメリットは正しいピアノ奏法を身に付けることが難しくなる、ということです。
・指を置いておく曲から習い始めるので、音域がなかなか広がらない
・指を置いておくことで、腕や手首の使い方を覚えられない
・腕の重みを使いにくいので音の鳴りが良くない
・楽器の奏法を身に付けることを目的にしていない


固定5指で習い始めても、進みが非常に早い場合はこのデメリットの影響は少なくて済みます。

固定5指の教本で教えたとしても、鍵盤に指を置いたままにせず、音の動きに合わせて手を左右に動かすことを教えることは出来ます。私はそうして30年以上教えてきました。

しかし、腕の重みを載せる感覚はそれだけではできませんでした。上手く手の移動が出来ている割に音の鳴りは足りず、耳障りではない音は出せてもピアノが十分に歌ってくれる音にはならず、物足りない演奏をずっと耳にしてきました。


だから東欧のメソッドを知った時に、この方法に変えたのです。


東欧メソッドデメリットを挙げるとしたら、指使いで音符を読むことが出来ない、習い始めは聴いて覚える曲を弾くので記憶力が必要、音をよく聴く集中力が必要、手の使い方を覚えなければならない、癖を直さなければならない。

気軽にピアノを弾きたいだけの人には面倒なことが多いと思います。


楽器演奏は本来簡単なものではなく、身に付くのに時間がかかり、知的作業が多いものです。



日本にはヤマハ、カワイといった世界的に有名な楽器メーカーがあります、そのせいか、日本はアジアの中でピアノではトップを走っていると思われているかもしれませんが、もうだいぶ前から韓国の方がずっと実力あるピアニストが多く育っています。

日本のメーカーが音楽教室も経営している所に問題の起因のひとつがありそうな気がします。
楽器を売るために「音楽は楽しい」という概念を刷り込んでいるように感じます。


日本人の気質や楽器業界の影響で失われるものがあることは悲しいことです。
本物を見抜く目を私自身も付けたいですし、生徒たちも付けてほしいです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エントランスには椅子

2024年07月08日 | 不思議な音の国

真ん中のドには加線が必要ですが、これを書き忘れる生徒さんもいれば、逆に他の音にも書く生徒さんもいます。

他の音にも書く生徒さんの方が多いかもしれません。


こちらの音のマンション。



真ん中のドはマンションの玄関です。つまり入口、かっこ良く言うとエントランス

エントランスの椅子で王様とドラゴンはいつも寛いでいます。
この管理人はマンションのオーナーでもあり、ラグジュアリーなマンションでリッチに暮らしながら音たちとのおしゃべりを楽しんでいます。


このマンションは何せラグジュアリーでリッチなので、エレベーターを降りたら各階ともすぐに部屋の玄関です。ワンフロアで一世帯。
なので、椅子なんて必要ありません。

おぉ、憧れる~


ただ··

エレベーターは5線を越えると無くなります。そこから先は階段を使って下さいになります。
加線のことです。


教本にある王様の椅子を上手く活かせませんでしたが、これで活用できそうです。


私が絵が描けたらエントランスのラグジュアリーさ加減を描いて生徒に伝えられるのに··

クッ··



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

真ん中のドは玄関

2024年07月07日 | 不思議な音の国

音のマンション。これが結構役に立っています。


「不思議な音の国」の教本に沿って並べた音たちが住むマンションです。


真ん中のドには「ドラゴン&王様」がいます。

レッスンで使っている内に、この真ん中のドはマンションの玄関になり、高い方に行くのはト音記号のエレベーターに乗り、地下の低い方へはヘ音記号のエレベーターに乗るということになりました。


教本ではト音記号とヘ音記号の看板ということになっていますが、私はエレベーターになりました。こちらの方が子どもたちは身近なようです。

「あなたは上の方に住んでいるからト音記号のエレベーターに乗って~」と王様が案内してくれるのです。


王様はその内「管理人」になると思います・・

降格・・?



実際のピアノの鍵盤も真ん中のドは「ここが玄関」になりました。

真ん中のドは入口であって、特別に難しいものではないと思ってくれると良いと思います。そして、入口がどこかわからなければ音たちの部屋に遊びに行けないのです。


ここを確実に覚えてほしいです。

5線では入り口はどう書くか、それがピアノではどこにあるか。


王様はいつでも「いらっしゃい」と出迎えてくれます。

王様に挨拶をしてからエレベーターに乗ってくださいね、です。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

作曲家を知ろう!スペインの作曲家 ②

2024年07月01日 | 作曲家を知ろうシリーズ

今月生徒さんに聴いてもらう作曲家は、先月に引き続きスペインの作曲家たち。

先月はアルベニス、グラナドス、ファリャでしたが、今月はサラサーテ、タレガ、ロドリーゴです。

ピアノではお目にかからない人たちです。


先月は私の予想ではファリャの火祭りの踊りが聞きやすいと思っておりましたが、生徒さんたちが関心を示したのは、アルベニス「アストゥリアス」とグラナドス「オリエンタル」でした。

確かにどちらも良い曲です。特にオリエンタルは私も好きです。

案外、表面的に聴いてこれがイイとはなっていないのだと感心しています。


今月はギターがメインです。皆、どんな反応を示してくれるか楽しみです。

今回初めて知りましたが、ロドリーゴはピアニストでギターは全く演奏しなかった人だと。しかも日本にリサイタルのため来日しています。

へぇぇ

ロドリーゴと言えばアランフェス。てっきりギターの名手だと思っていました。


生徒たちに好評だったオリエンタル。

このような音楽が表現できる力をつけてほしいので、この曲に関心を示してくれたことを嬉しく思います。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ピアノと弦楽器

2024年06月29日 | 重力奏法

声楽や管楽器は息を使い音を出します。

弦楽器は直接音を出すのは弓です。
左手は弦を押さえ音程を作り出し、右手は弓を持ち弦をこすります。

その弓の当て方で音の良し悪しが決まるようです。どこに当てるとか細かなことはあるようですが、最初に必要なことは弓に腕の重みを載せられるようにすること。

左手で速いパッセージを頑張って動かせたとしても、その音を届けるのは右手の役割です。


さてさてピアノはと言うと、音程を作るのはピアノ自体がしてくれます。それは調律師さんという特別な方のお仕事とも言えます。なので、ピアノ演奏は一人では完結しないのです。

音を鳴らすことに絞って話を進めると、ピアノは鍵盤を下に動かすとダンパーが上がりハンマーが弦を叩いて音を出してくれます。

どう鍵盤を下げてもハンマーが弦に触れるところまで上がってくれると音は出ます。


不用意にちょっと触っただけでも音は出てしまいますが、その音では音楽としては適したものになりません。物に軽くぶつかっただけですので、何かにぶつかった音を集めても音楽にはなりません。これは雑音と言います。

ではしっかり叩いてはっきりした音にしよう!これもあり得ません。人はこれを騒音と言います。
ガンガン叩いた音を集めても大迷惑です。


だからピアノは腕や体の重みを使って音を出します。そうするとコントロールの効いた良い音が鳴ってくれます。

弦楽器は両手の役割分担が目に見えますが、ピアノは両手で同時にそれをしています。
鍵盤を押さえ、音を鳴らす。

しかも道具を直接使って奏者が弾いているわけではないので、それが非常に分かりにくい。


重さは力を抜くことで得られます。力が入っているとキツく固い音になり、そして音自体が鳴りません。
指の力みが音の固さに直結する楽器です。速いパッセージが弾けないというだけではないのです。

力んでも速いパッセージが弾けるよう無理な練習を続けると手を痛めます。
まだ速いパッセージが弾けない小さなお子さんでも、力んだ指の音は痛々しく気の毒になります。ピアノはそのような指で弾くものではありません。


腕を自由に使うためには体を支えなければいけません。だから体を安定させられる姿勢が必要なのです。腰と背中と足で体を支えます。

重さはリラックスさせた腕から生まれます。
その腕は肩と指先で支えます。

これがピアノという楽器の最初の一歩です。

そこを飛ばしてレッスンを始めてしまうことが浸透しすぎています。
教える方もそう習ったからですが、もう気付いても良いと思います。本当にどうにかならんのかと思います。


因みに、ヴァイオリンのかたが弓に重さを載せる感覚を掴むのに次のような事が書いてありました。

「机の前に座って、机の上に手のひらを置きます。このとき、手首の関節から腕よりの部分(前腕と上腕)は机に付かないようにします。この状態で手の力を抜いていくと、腕の重みが手のひらに乗るようになりますね。この状態が基本だと思います。

次に、腕の重みを手のひらにのせた状態で、手のひらを左右に滑らせてみます。そのときに、腕の重みを軽くせず、重みがそのまま乗っているようにするのがコツです。これをやってみると、予想外に手のひらに重みが乗っていることに気づくと思います。」


私はピアノの上で説明のためにこの動きをすることがよくあるのですが、実際に生徒にしてもらったことはないので、今度机の上かピアノの蓋を閉じて椅子を少し高くして試してみようと思います。


上の文章はこちらにあります。

弓に腕の重みを乗せる練習 | バイオリン弾きが考えること

楽器からしっかりした音を弾き出すためには、弓に腕の重みを乗せる必要がありますね。しかし、これは結構難しいものです。というのも、弓が弦に触れる点を腕で直接押...

バイオリン弾きが考えること

 


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする