おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

ロシアのテキストあれこれ#2

2018年07月30日 | 楽譜の話題
初級の生徒さんに使えるテキストをご紹介します。
初めてスケールを弾く生徒さんやタッチによる音のニュアンス、音の響きを良く聴くことの第一歩として使っています。

「 Школа игры на фортепиано 」
「ピアノの学校」というテキストです。
183ページ目からあるスケール、和音、ブロークンコード、アルペジォを生徒にやってもらっいます。
ハノンはスケールのあとに付いているカデンツで手こずる生徒が多く、頑張った割に曲に活かされることもなくどうにかならないものかと思っておりました。しかしこのテキストではスケールのあとに主和音を転回させます。こちらの方が初級の生徒には役立ちます。転回形の指使いがいい加減な生徒がいるのでここで覚えてもらうと一石二鳥です。

(ロシアのテキストあれこれ#3にあるドイツの「Die Russiche klavier Schule」がこちらの楽譜をもとに編纂されているように思います)

「фортепиано азбука」
以前ご紹介した「ピアノのABC」です。
(記事はこちらロシアのテキスト「ピアノのABC」
ポリフォニーで書かれたものが多く、しかもアーティキュレーションが細かいのでたいへんな集中力が必要です。譜読みのたいへんさはありませんが正確に弾くことは容易ではありません。初級の生徒に最初に渡したロシアのテキストがこれでした。苦戦者続出で全員これは休止中です。私が弾いても疲労します。初見で正確に弾けない曲もザラにあります。

ダン・タイソンのレッスンを霧島で度々受講している知人が、ダン・タイソン先生がロシアに子供のテキストで良いものがあるとおっしゃていた。名前はよく覚えてないけど「なんとかアズ・・アブ・・?」と言ったので「フォルテピアーナ・アーズブカ?」と言ったら「あー!それ!」と言っておりました。
いくつか「ピアノのABC」は存在するのでこのテキストの事をダン・タイソンさんがおっしゃっていたかは定かではありませんが・・
фортепиано азбука PDF
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ロシアのテキストあれこれ#1

2018年07月29日 | 楽譜の話題
インターネット普及のおかげで遠い国の情報も得ることができる世の中になりました。

しみじみ・・

さて、2015年のチャイコフスキーコンクールでマスレエフが優勝したおかげで私はロシアの音楽教育に興味を持つことになりました。

マスレエフのあの多彩な音色とそっと訴えかけてくる抒情性に魅力を感じ、コンクール以外の演奏ももっと聴きたいと検索している内にロシア語の動画が出てくるようになり、そこで聴いた子供たちの演奏がこれまた驚く世界だったのです。

とにかく音が子供の音ではなく、音楽にも幼さがない。
これはそうできる教育法があるとしか考えられない!と思い、かねてから気になっていたロシアンメソッドに足を突っ込むことになったのです。

テキストに秘密があるのではと思い、初めの内はそちらを探しました。確かに良いテキストはあります。

結局は奏法に秘密があったわけですが、奏法がわかってくるとやはり次はテキストになるわけです。

今、生徒たちのレッスンもロシアンメソッドに変え、習い始めの生徒さんにはロシアンメソッドのテキストを使うことで足りていますが、少し進んだ初級の終わりや中級の生徒たちに何をやらせるかです。

ただ、その位まで進んだ生徒さんに奏法としてロシアンメソッドを通常のテキストでレッスンしていくことに問題はありませんので悩むことはあまりありませんが、私がロシアの秘密を探索していた頃に見つけたテキストで良いものがありますので、それをご紹介します。

まずはこちらの2冊。

「Гаммы и Арпеджио для фортепиано」
以前チラリとご紹介をしたことのあるテキストです。
「ピアノのためのスケールとアルペジォ」といいます。
ハノンより実用的で集中力が必要なので面白いです。自分でもこの中から選んで毎日20~30分弾いています。これもやってみようとやっていると45分位あっという間に経ってしまいます。生徒には反進行スケールとアルペジォをコピーして渡しています。
プレスラーの本にもこのテキストを参考にしていると思われる話が載っています。
Гаммы и Арпеджио для фортепиано.
(скачатьをクリックするとダウンロードできます)

「хрестоматия мапенького пианиста」
「小さなピアニストの教本」という意味だと思います。
ロシアンメソッドの母ともいえるアンナ・アルタボレフスカヤのテキストです。エチュードのところが使えます。ツェルニー、シッテ、ゲディゲ,ベーレンス、ベルコヴィッチ等の短いエチュードが載っています。
まだ子供には試していませんが、これの代わりとしてツェルニー「第1課程練習曲op.599」が使えると思います。「125のパッセージop.261」も短い曲が多いので練習時間があまり取れない生徒さんに良いと思います。しかも色々な形のパッセージ練習を左右の手に等しく与えています。短いので数曲同時に練習もできますし復習するのも苦にならないと思います。

「125のパッセージ」最初にある曲です。
Piano Lesson in Progress. Czerny - Germer. Etude



ツェルニー 125のパッセージ練習曲 (ピアノライブラリー) 楽譜 – 2005/12/12
楽譜をクリックしていただくとAmazonのサイトをご覧いただけます。

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生徒さんに人気の曲⑤ / Toccata in F Minor

2018年07月25日 | 楽譜の話題
カッコよさナンバーワン!

❮Robert Vandall / Toccata in F Minor❯
今年、男子5人に弾いてもらいました。
昔からジャズがやりたいと言っていた生徒はとても気に入ったようです。

構成もシンプルなのでめんどくさがりな男の子には合っていると思います。

Robert Vandall / Toccata in F Minor / youtube

こちらの楽譜に載っています。
Alfred Music
「Toccata in F Minor」
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生徒さんに人気の曲④ / Mazurka in F

2018年07月22日 | 楽譜の話題
パリの香りを感じます!
マズルカですが・・

❮E.Rocherolle / Mazurka in F❯
中学生、高校生、20代、70代の生徒さんに「この曲、いかがですか?」と聴いてもらいましたら皆さん一目惚れ状態です。若い男子も珍しく「あ~、いい曲ですね」と目がキラキラしておりました。

音色の変化が美しい曲ですので音を作り出すところまでレッスンできたらと思っております。
余裕を持って演奏できるようにまだ上級者にしか渡しておりません。

E.Rocherolle / Mazurka in F / youtube

こちらの楽譜に載っています。

「A Touch of Romance」
(楽譜をクリックしていただくとAmazonのサイトをみられます)

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生徒さんに人気の曲③ / op.8-1 Prélude

2018年07月21日 | 楽譜の話題
小品ながらこの深み・・

❮パフルスキー / op.8-1 Prélude ❯
まだ中学3年生以上の生徒さんにしか渡しておりませんが、初めて聞く作曲家の名前に「誰この人?」と思いながら曲を聴くと一気に心奪われてしまうようです。

彼はポーランド出身で帝政ロシアで活動したピアニスト、作曲家、音楽教師です。
チャイコフスキーのパトロンとして知られるメック夫人の領地の森番の息子だそうで、そのご縁あってワルシャワ音楽院、モスクワ音楽院で学び、卒業後はモスクワ音楽院で教鞭をとったそうです。

チャイコフスキーの多くの作品を連弾用に編曲し、交響曲第4,5,6番はチャイコフスキーにも評価されているそうです。

Henryk pachulski / op.8-1 Prélude / youtube
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生徒さんに人気の曲 ② / Sand Castles

2018年07月19日 | 楽譜の話題
特に女子に人気です!

❮Martha Mier / Sand Castles❯
小学3年生~初級の大人の方に弾いていただいております。 
波が優しく打ち寄せるように始まり、夏にピッタリ。

ピアノを始めて10カ月の50代の生徒さんが、「この曲に憧れてしまう」とおっしゃていました。同感です。ときめいていた若かりし頃を思い出すような曲です。

子供の生徒さんはまだそのような感覚はわかりませんので、季節はいつだと思う?とか、どの時間帯?とか話しながら情景を思い浮かべて弾いてもらっています。

Martha Mier / Sand Castles /youtube

こちらの楽譜に載っています。

「Romantic Impressions, Book 1」
(楽譜をクリックしていただくとAmazonのサイトを見られます)

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生徒さんに人気の曲 ①

2018年07月11日 | 楽譜の話題
今年3月の発表会後、レッスンでの選曲を大改革致しました。

これまでは発表会以外は使用テキストの曲をこなしてきただけでした。

余裕のある生徒さんには時機を見ていつもより難しめの曲を時々渡しておりました。
あとは好きな曲だけ弾きたいと言う生徒さんには本人に任せておりました。

これではいつまで経っても自分たちが知っている曲やさほど苦労なく弾ける曲から脱却できません。

私がお預かりしているのは全て楽器店の生徒さんで、私に習いたくて入会された生徒さんではありません。
稼働先も全て別の拠点に行っているので、曜日や時間が合わなくなった時は他の先生に引き継いでいただくか退会するかです。

しかし、このまま本当のレッスンをしないままピアノ講師を終えるのは後悔しか残らないと思いました。

そこで生徒さんや保護者の方にどこまで受け入れてもらえるかわかりませんが、私が音楽として本当に弾いてほしいと思ったものを大人の上級者以外の全員に渡すことにしました。(大人の生徒さんはご自分で選曲されることが多いので)

優しさや温かみのある曲、不安や悲しみの伝わる曲、優雅で美しい曲、憧れを抱く気持ちを思い出させる曲、愉快でノリの良い曲など。

技術を学ぶとか楽典的なことを学ぶことを目的に書かれたものではなく、音楽として純粋に美しい、楽しい、面白いと思える曲です。

通常より音が難しい、リズムが難しい、すぐには理解出来ないといった曲もあります。
しかし、それらが苦にならず復習もしたくなるように短い曲を選びました。
復習はレパートリーとして確立するために大事です。
新しい曲の練習ができない時でも習った曲を復習することでピアノを弾く時間ができます。

次回からそのような曲をご紹介したいと思います。
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100年前の奏法を教えるのはもう・・

2018年07月08日 | 重力奏法
ピアノを初めて習う生徒さんに「不思議な音の国」でレッスンを始めて1カ月が経ちました。

ロシアンメソッド自体は10カ月前から生徒のレッスンで始めておりましたが、その時はまだ「はじめの一歩」を使っておりました。
曲は通常のテキストを使いましたので、指の番号を変えたりスラーなしにしたりで、楽譜に忠実でないことに抵抗を感じておりました。

「不思議な音の国」を使うきっかけになったのは5カ月前に他の教室から移ってきたピアノ歴1年の生徒さんです。
固定5指ポジションの典型的な弾き方をしておりましたので、これはゴリン先生のテキストを試してみたいと思いました。

その後、私が初めから教えている生徒にもゴリン先生のテキストを使うようになりました。

しかし初めてピアノを習う生徒さんに初めからゴリン先生のテキストを使う機会はなかなか訪れませんでした。
それが楽器店の稼働の関係で新入会の生徒さんが一気に6人入会され、年齢も4~7歳でしたので全員ゴリン先生のテキストを使うことにしました。

少しだけ手の力みがある生徒はおりますが、経験者の力みに比べたら心配はないと思われる程度です。

6月から始めた生徒さん4人、7月からが2人。

6月からの生徒さんは「消しゴム付き鉛筆&スライム」で指先の支えと深い打鍵ができてきました。

7月からの生徒さんでも本日2回目のレッスンを終えた生徒さんは、初めは浅い音でしたが「スライム」で打鍵の深さが変わり、指先と手首は元々悪くありませんでしたので補助しながら弾いてもらってるうちに1人でも良い音がいくつか出せるようになりました。
この生徒さんのお母様も良い音の時に「今のいい音!」とその都度褒めて下さいました。本当に良い時に褒めて下さっていたのでありがたかったです。なんでも褒めるは困るのですが・・

この新しくピアノを始めた生徒さんたちに共通していることは、”鍵盤を押しつけない”ということです。

ロシアンメソッドで始めるとこんな風になるのだと知りました。

やはり弾きづらい1の指から始めると、音を外さないようにしようと思う子ほど押しつけて弾くようになるのだと思います。

体験レッスンで3の指で黒鍵を弾いてもらうと「ド」から始めないのかと不思議がられます。それは100年前の方法で昔と教え方が変わってきているとお話します。
3の指から始める話を同僚のピアノ科講師にしましたら「ミ」から始めるのかと言われ驚きました。
順番を重んじる日本人にロシアンメソッドが浸透するのはいつの日になることか・・

中村紘子さんが留学した頃に既に100年前の奏法で古いと言われ全て直すことになり、それを知ってほしいと思い浜松のアカデミーを作ったと読みました。

ピアノ指導者にさえ浸透していない現実・・

この先どこまでいけるかは私もまだ分かりません。
どんな問題が待っているのかもわかりません。

楽しみでもあり、自分がどこまで対応できるのか心配でもありますがやってみようと思います。
(西城秀樹さんが闘病の中で、どこまで行けるかわからないけどやる!とおっしゃっていました。子供の頃からヒデキファンだった私の支えになっている言葉です。生徒のレッスンだけでなく自分自身のことに対してもこの言葉を日々思い返しています。うっ・・ヒデキ~
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気付いたこと

2018年07月05日 | 重力奏法
ロシアンメソッド歴は浅いもののわかったことがあります。

現在、初めてピアノを習う生徒には全員ロシアンメソッドでレッスンをしています。
そしてピアノ経験がある小学3年生以下の生徒もロシアンメソッドに変えられる生徒は変えました。

これまでピアノは弾いているうちに指先は強くなるとか、練習量が増えれば音質が良くなるとか考えてきました。

ただ、圧倒的に電子ピアノで練習する生徒が多いので限界はあります。
せめてピアノの鍵盤を凝視する癖は付けないでもらいたいと木製鍵盤を勧めたり(プラスチックだと触った感触が全て同じで私が弾いても分からなくなります)、それも高価だと断られる場合は音は上から聞こえるのでスピーカーが上に付いたものを選んでほしいとお願いしてきました。

しかし、アップライトピアノの中古が買えるお値段の電子ピアノで練習しても残念ながらピアノは弾けるようになりません。

そのようなことから、出来るところまではやろうと思いつつ、正直なところほぼ期待を失ったレッスンをしておりました。

話をロシアンメソッドに戻します。

指先の支え、深い打鍵は時間がかかるとか、ピアノがないと出来ないと考えて参りました。
しかし、レッスンを始めて3回目の生徒さんたちでも保護者の方の協力でそこそこ出来るとわかりました。

本人任せのご家庭は全く出来ません。
3カ月経っても直らないままできないままで、これまで以上に他の生徒とはっきり差がつくのがわかります。

レッスン室に一緒に入ろうともしない保護者の方もいらっしゃいます。
レッスン後説明はしますが、30分かけてしたことを瞬時に伝えきれるわけがありません。
このようなご家庭は本物を求めているわけではないと理解して接します。

レッスンを始めて1カ月程の生徒で指の支え、深い打鍵がそこそこできている生徒は皆、消しゴム付き鉛筆と百均で探して来たスライムのエクササイズを家でもしています。

遊び感覚で効果抜群!
保護者の方には第1関節の支え方を説明して、できそうなら練習の時に支えて下さいと言ってあります。


どこの文房具屋さんにもある消しゴム付き鉛筆
Seriaで見つけたスライム(程よい硬さとくっつき感)
導入期に欠かせないちょうちょう(手首に付けて音と音の間をブレス&リラックスさせます。小道具セットにあった蝶は負傷し再起不能の為フェルトをギュッと絞って手作り。どの生徒の手首のサイズにも合うようにリボンで巻き付けるように)

こちらは「音楽との初めての出会い」にある写真です。

消しゴム付き鉛筆が右上の写真に。(見えてませんが
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うっかりしていました

2018年07月04日 | コンサート情報
今年はドビュッシー没後100年であることを全く忘れておりました。

ドビュッシーは好きな作曲家の一人です。

学生の頃は全く興味がありませんでした。
しかし、クリスティアン・ツィメルマンのリサイタルでドビュッシーの前奏曲集第1、第2集全曲を聴き、弾いてみたいと思いました。

それ以来ドビュッシーは常に弾いております。
なのに記念すべき年を忘れていたとは・・

ドビュッシーは何度弾いても凄い作曲家だと思います。
よくぞこの音楽を残してくれたといつも思います。

大気、空気、香り、光、樹々のざわめき、葉ずえの声、揺らぐ水面、遠くの鐘の音・・
情景をイメージするのが楽しく、音を作り出すのが楽しく、しかしイメージした音が作り出せないのが悲しく・・

ヴァカンスに行ってネタを仕入れて来たいです。

エマールの演奏です。屋外で弾いています。
いいなぁ、こんなところで弾けるなんて・・
Pierre-Laurent Aimard joue Debussy en concert privé à Grenade
(しばらく待つとエマールのビデオになります)
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