おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

アーティキュレーションを聴く

2023年10月31日 | 不思議な音の国

ミラちゃんの第22回のレッスンを拝見しました。

英語版では「ファ」は「F」なので、音のキャラクターはFrogです。

不思議な音の国上巻は全曲ノンレガートなのですが、Frogが出てきた所で動画ではスタッカートを弾かせています。


下巻で行う手首にカエルをのせて飛ばす練習はここではしておりませんが、聞き覚えで2音のレガートもイリーナ先生はここまでで既にされています。

3つのアーティキュレーションをこれで経験したことになります。

そして、この3つのアーティキュレーションの聴き取りをされています。


私は上巻の内はノンレガートしかしていないので、その奏法をノンレガートと言うことは教えておりません。

下巻のレガートが出てきた所で、今までの弾き方はノンレガートと言うとやっと教えています。


教本に沿って教えることに忠実過ぎたかな、と思っております。
ただ、私の生徒さんは上巻が終わっても、腕や手首、指先が良く使えてはいないので、ノンレガートで手一杯ではあります。

イリーナ先生のレッスンを拝見すると、手の使い方は階段の白黒丸までにはほぼ習得させ、そのあとはその生徒さんの癖を直しています。


初めてのレッスンから腕を使ったピアノの弾き方をしっかり教えることが日本にはなかったので、そのことで頭がいっぱいになっておりましたが、そのようなことは当たり前の基本で、このメソッドだから可能なことをもっと取り入れていかなくてはもったいないと思いました。



I like coffee.I like tee.は黒鍵で遊べる曲です。ピアノサファリ レベル1 レパートリーにも載っています。私は偶然持っていたドイツの導入教本でこの曲を知りました。ドクター・ファウストという題になっています。

変奏して行ける楽しい曲で、30年位前に作曲のセンスを持った年長さんが自分で作った変奏を3つ続けて発表会で演奏し、連弾で一緒に弾いたことがあります。

当時は黒鍵をノンレガートで弾くレッスンがあることを全く知りませんでしたので、ただ遊びでこの曲を弾いてもらっていました。

イリーナ先生はこの曲で1の指を使うことをされています。

同じ曲でもどう使うかで学べることが違うという・・

ミラちゃん、この曲が気に入ったようで弾くのをやめられないようで。
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ジャンプする魚!

2023年10月30日 | 不思議な音の国

ミラちゃんの第21回目のレッスン。

この事に私は気付いていませんでした。
そして、このお話に感動!


新しい強さ、mfとmpを覚える章に「川はながれる」という曲があります。

イリーナ先生は「お城の川に魚が住んでいます。魚は水の中を泳ぐだけではなく、時々飛び出してお互いを飛び越えて遊ぶのが好きです。」とミラちゃんに話します。



この曲で初めてスキップの音が出てきます。

が、

そのことに私は初めて気付きました。


この絵を見て、生徒さんの誰かが5線のようだと以前言ったことがあった気がします・・

私は随分デザインされている川の絵だ、くらいにしか思っておりませんでした。

よーく見ると、2匹の魚が線の音にいて、一段抜かし、ひとつ跳びの音になっています。

イリーナ先生はミラちゃんに、「ふつうは線・間・線・間だけど、これは線・線になっています。なにをとばしましたか?」と質問。

ミラちゃんは「間(スペース)」とちゃんと答えています。


さらにさすがだと思ったのは、ピアノでスキップ(ひとつ跳び)してみましょうと弾かせています。

私は自分で弾いて説明はしたことはありますが、この段階で生徒さんに弾いてもらったことはありません。

さらにさらに、耳でステップとスキップの聞き分けをしています。


私は、新しいことが出てきた時にひとつやるだけで精一杯だろうと勝手に思ってしまい、それに関連したことを試すことを全くしなくなっていました。

生徒さんに力を付けてやれないのは、私に問題があるからだとイリーナ先生のレッスンを拝見して気付かされています。



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みんな素直

2023年10月29日 | レッスン

姿勢が良くない生徒さんに、このように言うと良いですよ、と教えて頂いた言葉。

「身体が木で、手は枝。木は根を深くはっているので風で簡単に倒れたりしない。でも、枝や葉は風にそよいで揺れる」


早速、ピアノを弾く時は、自分の胴体を木だと思って。木は簡単に倒れない。そして腕は風にそよぐ枝のように自由に、と生徒さんたちに言ってみました。

思いの外、皆素直に受け止めてくれ、腰や背中が曲がっている時に、
「木が曲がってるよ」と言うと、笑いながらスッと直してくれました。

いつまで効果を発揮するかわかりませんが、姿勢が良くなることで弾きやすくなることを感じてもらえると、姿勢は良くなっていくと思います。

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そういう使い方か

2023年10月28日 | 不思議な音の国

不思議の教本の他に、Musical Journey のシリーズがあります。

以前は、ソロ、エチュード、連弾とロシア方式で分かれておりましたが、現在はそれらが1冊にまとまっているオールインワンがあります。

1Aが最初にでき、少し経ってから1Bが完成しました。

1Aは不思議下巻が終わってからでは内容が少し易しいのですが、音の高さは下巻では習わない音が出ています。


どのタイミングで使ってほしいとお考えなのだろうと、不思議下巻の途中でソロを使い始めた生徒さんが2人だけいたのですが、2人ともその曲集はいつの間にかやらなくなってしまいました。

エチュードは最後まで終えた生徒さんがいます。その後、ツェルニーの「やさしい20の練習曲」に進み、最近それが終わったので、同じくツェルニーの「第一課程練習曲 Op.599」に進むことにしました。

このエチュードの最後の方はツェルニー30番位か、それより少し難しい位です。音楽としては30番より第一課程の方がずっと良いです。

エチュード1Aに関しては、ゆっくり進む生徒さんには良いと思います。


使うタイミングが謎だったソロ1A。
動画を拝見していてわかりました。全て楽譜を読ませて使うわけではなく、聴いて覚え、広い音域を弾かせて腕を使えるようにすることに役立てると。

ミラちゃんのレッスンをやっと20回まで拝見しましたが、教本以外の曲は聞き覚えです。
教本より音域が広く音の跳躍も広い曲を、正しい腕の使い方、しっかりとした指先で、美しく深い音で演奏することをさせています。

きちんと弾けるまでそのような曲を複数持たせ、1回のレッスンで長い時間はかけていらっしゃいませんが、レッスン回数は決して少なくないと思いました。


イリーナ先生のレッスンを拝見して、ロシアの子どもたちのピアノの力の伸ばし方がわかってきた気がします。

何をやらせるかだけではなく、どう取り組んでいくかが綿密に考えられ受け継がれているのだと思います。


ピアノ教育の歴史、伝統の差を、彼女のレッスン動画を拝見すると嫌でも感じます。

自分が情けなくなります・・

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ありがたいご助言

2023年10月27日 | レッスン

前回書いた、ヨーロッパのお子さんの姿勢のこと。

日本では姿勢を良くすることを家庭で注意することは日常よくあることだと思うのですが、ヨーロッパではどうなのだろうと思い、イタリアで子供たちにピアノを教えていらっしゃる「不思議な音の国」をお使いの日本人の先生に訊いてみました。(この教本はイタリア語版もあります。14カ国語に訳され、90カ国で使われています。)

その先生も新しい生徒さんが入ったばかりで、前日この話をしたと教えて下さいました。


「身体が木で手は枝と想像してもらう。木は台風が来ても根っこが地面から奥深く生えているから全然揺れない。枝は風に合わせて自由にたわむ。」

このお話は実はイリーナ先生がされています。
私も聞いていたのですが、レッスンで全く使わなかったので、すっかり忘れていました。

普段の姿勢に関しては、日本と同じようにご家庭で注意をされるようです。なので、私の生徒さんの場合は、そこを気にされないご家庭ということのようで・・


自分がその立場にならないと活かせないことや、使わなければ良いお話でも忘れてしまうことがあります。

イタリアの先生はこの話で他の生徒さんにもこれまで通じてきたとのことです。たとえ姿勢に注意を向けている生徒さんでも、自分を木に例えたこの話は子どもではなくともわかりやすく、イメージしやすいと思います。

これを機に使おうと思います。


同じ教本を使う先生方の交流の場があると、教本で困っていることや、イリーナ先生の講座を受講されている先生の助言を聞くことが出来、一人で悶々とすることが少なくて済みます。

そのような場もこの教本にはあります。
各国の先生が参加されているイリーナ先生のグループもありますが、訳者の阿形先生が作られた日本のグループもあります。

私は日本のグループに参加させて頂いております。
活発な意見交換は日本ではありませんが、質問したことは誰かしら答えて下さいますので、お困りの先生がいらっしゃいましたら、まずは阿形先生にご連絡なさってみて下さい。
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練習しました

2023年10月26日 | レッスン

9月の途中からレッスンを始めた4歳10カ月の男の子。

ご両親はスペインとルーマニアのご出身。
日本語はしっかりわかり、話せます。


今日は4回目のレッスンでした。
少しずつ、外国のお子さんのレッスンの難しさを感じてきております。

勝手に椅子から降りて歩くことはしませんが、椅子にしっかり座っていられません。何度も足を組もうとしたり、姿勢が悪く、腰も背中も丸くなっています。
こんな時は大抵、腰の上辺りを手で軽く触るとスッと姿勢を直す生徒さんが多いのですが、彼には効果ゼロ。

何のことかわかっていない様子。
日本やアジアの家庭とはやはり違うのだな、と思います。

それでも弾き方はなんとか直していけるかな、と思っておりましたら、今日はヒドイ弾き方になっていました。


腕や手首が少し使えるようになってきていたはずなのに、チョンチョンと短く触って弾くだけになっていました。テンポもリズムも皆無
指先も潰れないようにペンギンで確かめても、指を伸ばしたまま弾きます。

先週の素直なあの子はどこへ行ってしまったのか。


今日は集中力にも欠けていたので、ほとんどレッスンにはなりませんでした。

レッスンが終わり、部屋の外で待っていらしたお母様に「今日は良くできませんでした」と言いましたら、「練習しました」とちょっと起こり気味の声で言われ、あらら、でした。

体験レッスンの時から一度もレッスン室に入ってレッスンをご覧になったことがないので、「レッスン室に入って頂ければ、何をしたら良いかわかる」、と話しました。

「練習しました」は鍵盤を順番通りに押さえただけで、ピアノの弾き方をご覧になっていないので、練習によって逆に全部駄目にしてきてしまったのです。


楽器も鍵盤数の少ないキーボードを買おうとされていたので、急いで買わなくて良いのでせめて鍵盤数は88鍵にしてほしいこと、キーボードはバネを押すだけのものでピアノと違いすぎるので、電子ピアノにしてほしいとお父様に話しました。

電子ピアノにしてほしい、なんて··

練習しました、と言っていたということは既に楽器を準備されたのかもしれません。次の生徒さんの時間になっていたので、訊けませんでした。


改めて思いますが、就学前のお子さんは必ず保護者の方がレッスンを一緒に受ける必要があります。
鍵盤の場所を覚えてただ押していればピアノが弾けるわけではないので。

小さくともたまに一人でレッスンを受ける生徒さんはいますが、こんなに極端なことになったのは初めてのことです。

ということは、レッスンを実際にご覧いただければ、今度は正しい方に向く可能性があるかもしれません。


あと、日本のお子さんと違うなと思ったこと。
歌を知らないことです。

お子さんは日本語は全く問題ないほどよく話せます。
保育園に通っているので、「かえるのうた」が好きという話は聞いています。「ひげじいさん」も完璧ではありませんが手を付けて歌えます。

しかし、「ちゅーりっぷ」は全く知りませんでした。
日本の歌なので知らなくとも構わないのですが、日本は音楽の授業が小・中学校とあります。高校も選択すれば受けられます。

海外は、音楽は課外活動のような場所で放課後に習う存在ということを聞いたことがあります。
国によって様々だとは思いますが、必ずしも日本のようなシステムにはなっていないと思います。

音楽に合わせて歌ったり、ピアノを弾いたりということが日本人が思うほど身近なことではないのでは、と彼のレッスンをしていて思いました。
ご両親の音楽経験が日本人のものよりずっと少ないという意味です。


今月は、中学生が合唱祭(で良いのか?)で忙しくしています。
ピアノを習っている人は伴奏を任されることが多いので、皆、頑張っています。
吹奏楽でも何かある学校があるので、ダブルで大忙しの生徒さんもいます。合唱は朝練まであるそうで・・

私の頃は音楽の授業で練習した程度で、朝練なぞしたことがありません。


日本にいると当たり前ですが、学校で生徒たちがこのような音楽活動をすること自体、貴重なことなのかもしれません。

それにしても、今の合唱の曲って良い曲が多いです。
そして、伴奏はピアノ向きではなく弾きにくい・・

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音当て

2023年10月25日 | 不思議な音の国

この所イリーナ先生のレッスン動画の話ばかりですが、とても参考になっています。

4歳のミラちゃんに、3つの黒鍵のどれを弾いたか当ててもらうことをしている場面があります。

聴音をこのように始める方法があるかと気付かされ、入門して間もない生徒さんに今度してみようと思っています。


今日は、下巻に進んだ生徒さんに同じ要領で音当てをしてもらいました。

E-durの曲が不思議下巻になるとあります。調号は使わず臨時記号で書かれています。

黒鍵の音が入ると、その場所を気に掛けるだけで耳でその音を聞こうという神経が働かない生徒さんがいます。

気持ちはわからないではありませんが、それですと家で練習する時に、黒鍵の場所がわからなかったと言って弾いてこない場合があります。

大体、耳を使わない生徒さんは練習量が足りないので耳がうまく育たないのですが・・


そこで、E,Fis,Gisの3音を選び、どれを私が弾いたかを当てるゲームをしました。
1音が全部当てられたら2音続けたものを当ててもらいます。

そうして新しい曲を予習で弾いてもらいましたら、本人は納得の表情で満足気。これなら自分で練習して来られるという顔でした。


音は読めても、その音が頭の中で鳴らない生徒さんは、レッスンで弾いて聴かせても「どんな曲かわからなかった」と言って、練習して来ないことがあります。

間違ってでもいいから弾いてきてとは言いますが、未知のものを一人の力で解明する気力はなく、親御さんも放置されてる場合が多いのでモチベーションはゼロ。

このような生徒さんは、レッスンでしたいことがたくさんあっても、ひとつのことに時間がかかってしまい、結局力を付けられなくなります。


この差は、習い始めて2年くらいで大きく出ます。

最初は皆、似たようなものです。
初めから読むこと、聴くこと、歌うこと、弾くことが全て出来る生徒さんは滅多にいません。

年齢が小さいほど時間がかかります。
しかし、親御さんが1年半~2年半練習をサポートして下されば、いつの間にか4拍子揃って出来るようになります。

一人でなかなかできない、と嘆いていらした小1の娘さんのお母様が、
「自分で両手にして弾いてるし、音も一人で読んで歌の音程も取れてるし。最近わかってきたようで、やっと」と仰っていました。

3歳10カ月の時にピアノを始めた生徒さんです。

私にはやっとではなく、音楽の力は身に付くのに時間がかかるので通常なのですが、その間、何度も娘さんと喧嘩したり、口出ししないように我慢したり、どうやってやる気を出させるか悩んだり、とお母様の奮闘ぶりも知っています。

それがあったからこその、「わかってきた」なのです。

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音が増えてくると

2023年10月24日 | 不思議な音の国

「不思議な音の国」は、真ん中のドから反進行で音が増えていきます。

ミラちゃん、ト音記号のドレミ、ヘ音記号のドシまでは割りと良かったのですが、ヘ音記号のラが加わってから少し混乱気味。

今回の動画は第18回ですが、前回からあやしくなっています。
指使いも見られなくなってきています。


これは誰にでもあることです。それにミラちゃんはまだ4歳。
ひとつずつ音が増え、鍵盤のドレミの位置もちゃんと覚えられていて、そしてかなり丁寧にレッスンが進められ、何度も過去に弾いた曲を復習していても、楽譜を読むことがこの年齢のお子さんには容易なことではないことがわかります。

前回から更にイリーナ先生は丁寧に音の読みをレッスンされていますが、この回もそうされながら一言注意されています。

「私はあなたが考えてから答えてくれることをいつも望んでいます。まず質問に集中して下さい。当てずっぽうがときどき当たることもありますが、それは正しい答を覚えていないからです。」

4歳のお子さんにこの言葉を言いたくとも、「まだ小さいから」と私は言えないことがよくあります。そして、どの先生もあると思うのですが、自分の教え方が良くないのだろうと。

そうして、そのうち分かるようになる、と思っていると分からないことが山積みになって行くのです。

言うべき事は言わなければ、と動画を拝見していて思いました。
小さなお子さんでも赤ちゃん扱いされることを嫌う欧米と、子供の方は自分はもうお兄ちゃん・お姉ちゃんだっ、と思っていても親がそう扱わない日本では状況が異なるかもしれませんが、一人前として認める態度は必要です。

英語版では、ミはEagle 、ラはAntにキャラクター設定されています。英語の「E」「A」は発音が似ているので少し混乱するのかもしれません。

日本版は「ミミズク」と「ライオン」です。

丸の位置の認識と文字の認識、発音の認識がピタリと揃うと本人が分かってくるのだと思います。



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しだれやなぎとペンギンのあたま

2023年10月23日 | 不思議な音の国

8月と10月に、新しくピアノを始める小さな生徒さんが入会されました。小さなお子さんはとても久し振りです。

「不思議な音の国」に教本を変えた5年前には、変えられる生徒さんは途中からでも変えましたので、一音一音レッスンをするのにヘトヘトになっておりました。

今は逆に、小さなお子さんのレッスンをする機会が減り、少々さみしく思っておりましたので、新しい生徒さんたちのレッスンが来る日を毎回楽しみにしています。


ピアノは腕を使って弾く楽器で、指だけでチマチマとそろばんをはじくように弾く楽器ではありません。
指だけで弾くと、音は鳴りませんし、指は動きませんし、綺麗な音も出ません。そのような状態ではすぐにピアノが嫌になってしまいます。

ピアノを初めて弾く時から、ピアノの正しい弾き方を身に付けてもらう。
それは難しい話ではありません。


ピアノ導入教本「不思議な音の国」を作ったイリーナ先生は、それを子供がわかりやすいように工夫されています。

子どもがわかりやすい言葉だったり、楽しいグッズだったり。


腕をリラックスさせることを「しだれやなぎ」に例えたり、大きな腕の動きを「虹」に例えたり、近くの鍵盤に移動する時には「蝶々」に例えたり。

腕をリラックスさせる感覚をつかむための体操もあります。
「しだれやなぎ」「風車」「鷲」「マリオネット」

深く打鍵する感覚を掴むのは「スライム」、指先の支えは「消しゴム付き鉛筆」「指ぬき」

レガートで重さを横移動させるのは「お猿」のぬいぐるみ。
手首には「蝶々」のグッズもあります。


目的は腕をリラックスさせ、腕の重さを使い、美しく歌う音でピアノを弾き音楽を表現すること。


子供に使える言葉が多く、以前は色々と私も言葉を使わせてもらっていましたが、今はよく使う言葉は導入段階では少なくしています。

その方が小さなお子さんはわかるので。

そこで使っているのが、
「しだれやなぎ」と「ペンギンのあたま」

一音弾く前と後には「しだれやなぎ」、弾く時には指先は「ペンギンのあたま」

「しだれやなぎ」は”息吸って~、吐いて~”をやっておくと通じます。メロディー姫がピアノが上手く弾けなかった時に、しだれやなぎに教えてもらったピアノを弾く前の体操として。これで腕をリラックスさせ重くし、肩から下ろせるようにします。

「ペンギンのあたま」はこちらの消しゴムです。


消しゴム付き鉛筆より使いやすく、生徒さんの印象にしっかりと残るので、指先伸び放題、ひっくり返り放題を直していけます。


週1回、もしくは2週に1回しか会わないこともあるので、あまり多くの言葉を使わない方が何のことか子どもたちは理解できると思います。

もう少ししたら、「スライム」も参戦


ご自身でピアノを弾くことは大丈夫でも、子どもにそれをどう教えたら良いか悩んでいる先生に、イリーナ先生の動画や教本は必ず参考になると思います。

そして、学ぶだけで終わらせず、生徒さんに実際にレッスンなさってみて下さい。

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足で体重を支えて、指先に体重を載せて

2023年10月22日 | 不思議な音の国

ピアノを最初に習う先生に、ピアノの音の出し方を教わった日本人はどのくらいいるのだろう、と思います。

少なくとも私は教わりませんでした。

教わったのは20歳の時が初めてです。
その先生は、最初のレッスンで「体の使い方を知ったらもっと音が鳴るようになる」と仰いました。

私は音が弱いとか、指が弱いとか、そのようなことは言われたことはなく、その先生がおっしゃった本当の意味をその時は理解できていませんでした。

本当に理解したと思えたのは、それから30年以上経ってからです。


こちらのイリーナ先生のレッスン。
受講しているのは4歳の生徒さんです。(実はこのミラちゃんという生徒さんは、イリーナ先生のお孫さんなのだそうです)

深く弾くことを何度も仰り、足で体重を支えてとも。
足がぶらぶらしているから、手もヨロヨロするということも仰っています。

良い音を探しましょう、と。


立っている時は足が体重を支え、座っている時は指が体重を支えるのを助ける、と。


小さな子供に体の重さを使ってピアノを弾くことを教えられる日本人の先生はまだ多くないかもしれません。

イリーナ先生のレッスンを拝見していると、東欧でのピアノ教育の歴史を感じます。

どの教材を使うかを論じる前に、ピアノを学ぶ学生さんやピアノを教える講師は、ピアノという楽器にとって必要不可欠なことを学ばなければいけないと思います。

そのようなことを知らずに、長い間ピアノを教えてきたのが私です。

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移調で音感

2023年10月20日 | 不思議な音の国

このような方法から音感を付けて行くのは、グネーシンの動画でも見ることができます。

移調して行くのです。

難しい説明は一切必要ありません。

イリーナ先生は全ての白鍵で家で試してみてと。そして、正しく聞こえない時には黒鍵が白鍵の代わりになるかもしれないことを覚えておいて、とヒントを出しています。

動画を拝見すると、こうよ、とすぐに答えを教えていません。
両手の間に鍵盤がいくつある?ときいたり、本人が見つけるよう横から歌うだけにされています。

また、どの動画もそうですが、本人に決めさせています。
この曲を弾いてみたい?とか、どうですか?この音から試してみてみますか?とか。
付箋の色を選ぶのさえ本人に決めさせています。

本人の意思を尊重することもありますが、意思を持たせることをレッスンを通して育てていると感じます。




グネーシンもそうですが、最初は長·短2度~3度の音程からです。
ここでは短3度です。
フランスのフォルマシオン·ミュジカルの聴音の導入は、半音の聞き取りから始まります。



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しだれやなぎ体操

2023年10月19日 | 不思議な音の国

腕の力みはピアノを弾くには大敵です。

ピアノを弾いている生徒さんの前腕の内側に軽く触れると、ガチガチになって弾いていることがあります。

重さの移動ができておらず、指だけで弾くとこうなります。


初めからこのメソッドで習っていても、途中から習い直しても、前腕ガチガチは出てきますが、お猿のスイングで横移動したことを思い出してもらうと大体すぐに直せます。

しかし、この経験なく習ってきた生徒さんは、その場で直すことはまず不可能です。


さて、初めてピアノを習う生徒さんは、一音弾いたら腕をリラックスさせて、という動きからレッスンを始めています。

それでも指でとにかく鍵盤を押さえなければ、と思っている生徒さんは前腕に力みが出ます。

しだれやなぎでリラックスが先で、それから腕を鍵盤に下ろして音を出すのです。
ただ、小さい生徒さんは腕がリラックスした状態が自分ではわかりません。


そこで、しだれやなぎ、風車、鷲、マリオネットのエクササイズを使います。

しだれやなぎと風車は旧ソ連で作られた教本に載っています。(下の写真)
この教本は今も現役です。
ウクライナ出身のアルタバレフスカヤが作りました。

イリーナ先生がされていることもここから来ていると思います。また、ご自身もこのように習われたのだと思います。


楽器店の教室が非常に狭いので、これらのエクササイズはしてこなかったのですが、腕が固くなる年長さんがいるので、先週初めてしだれやなぎをしてみました。

これでしたら狭くともできそうでしたので。

やってみましたら、予想外に効果が現れ、そのあと綺麗な音になりました。


メロディー姫がキレイな音でピアノが弾けるようにしている体操があると言い、これはあのしだれやなぎの木さんが教えてくれた、という話にしています。

やっとこの教本のキャラクターや物語性を活かせるようになってきたかな、と思います。



イリーナ先生のレッスンでのしだれやなぎ


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カントロフ ピアノリサイタル 2023/10/17

2023年10月18日 | コンサート情報

あの音と音楽に心が満たされました。

そこはかとなく湧き出る音にゾクゾクし、多彩な色彩にワクワクし、終始音楽の中に流れていた歌にのせられました。

彼の演奏は私にはピアノを感じさせません。

ピアノで表現している感覚が聴いているとなく、ピアノだけれど歌を聴いているようでもあり、ピアノなのにオーケストラのようでもあり、一人で弾いているのにアンサンブルを聴いているようでもあり。

たった一台のピアノを一人で弾いているのに、そう聴こえない凄さがあります。


プログラムもとても良かったです。

ブラームス:ピアノソナタ第1番
J.S.バッハ/ブラームス:シャコンヌBWV1004

~休憩~

シューベルト/リスト:さすらい人
水車小屋と小川
春への想い
街(白鳥の歌から)
海辺で(白鳥の歌から)
シューベルト:さすらい人幻想曲


さすらい人幻想曲のために組んだ曲目かと思うくらい、そこへ到達する過程がとても充実し、自然な流れで聴けました。

最初のブラームスで歌が流れ始め、祈りのようなシャコンヌ、「海辺で」でピアニスティックになり始め、「さすらい人幻想曲」で来た!でした。

なんてヴィルトゥオーゾなシューベルト。
そのような曲ではありますが、リストではなくシューベルトでそれを聴けた面白さ。

シューベルトにこのように脚光を当てることは簡単なことではなく、なんて上手く考えられたプログラムだろうと思いました。

最初にブラームスのソナタがあったことも、後半のリスト編曲の歌曲を活かしたと思います。

構築性がありオーケストラ的な作品で始まった中にも、予告のように歌があり、歌曲王シューベルトの本物の歌曲をリストが編曲した作品があり、最後にピアニスティックな予想外のシューベルトという感じで、裏切り方が最高!


今回は近くで聴いてみようと思い、パイプオルガンの前の席で聴きました。
以前にもガブリリュクやブレハッチをそこで聴いて、思ったより聴きやすかったのでそうしました。

端の席でしたが、細やかな音色の変化がとてもよく聞こえてきました。
前回3階の一番前で聴きましたが、今回の方が聞こえてくるものが多く良かったです。

腰から上がよく見える席でした。
華奢な人だと思っていましたが、肩周りや鎖骨下が結構がっしりしていました。

速いパッセージは余計な動きが全くありませんでした。
逆に頭が結構動いていた時にもの凄く音が膨らんでいき、どうしてそうなるのかと不思議に思いながら何度かジーッと見てしまいました。

首の後ろが固くなると音が鳴りにくかったり、手が開きにくかったりするので、あのそこはかとなく鳴る音は、首の後ろや背中の皮が突っ張らないように弾いているのもあるのでは、と思いました。

ちょっとマニアックな聴き方・・


聴き終えたばかりなのに、またすぐ聴きたくなってしまいました。

彼の音楽には魔力があります。

でも、12月にデュオでまた聴けます
ソロとは違う魅力が聴けることを楽しみにしています。

ソロでは、来年11月30日にサントリーホールが決定しているそうです。

来年の楽しみが既にあるなんて、嬉しすぎ


アンコール
サン=サーンス(ニーナ・シモン編):オペラ「サムソンとデリラ」から デリラのアリア「あなたの声に私の心は開く」
ストラヴィンスキー(アゴスティ編):バレエ「火の鳥」から フィナーレ
シューベルト/リスト:万霊節の日のための連祷 S.562-1
リスト:「超絶技巧練習曲集」から 第12番「雪かき」

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ミャーォ

2023年10月17日 | 不思議な音の国

ひとつの音ではなく、繋ぐと美しくなるものがあると2音のレガートを教えているのが第13回。

教本の上巻ではまだレガートの曲はありません。
しかし、お猿を使い全音符で腕を横に開き、伸びのある音を作り出すことを「さあ、ねましょう」でしたところでこれをされています。

ミャーォ、と言いながら。

正しいイントネーションを初めから身に付ける。
これはとても大事なことです。レガートで弾くこともここでは必要ですが、後ろの音が重くならないようにすることも必要です。

初めてやるからこそ、最初から正しいイントネーションを覚えてもらうのです。


ここを見逃してレッスンを進める先生が少なくないと感じます。

日本人は特に言葉のアクセントの感覚が弱いので、2つの8分音符で裏拍が重かったり、2音とも同じ強さでまっ平らという人が多いです。

特に後者が多いと感じます。
教える方もそう教えている可能性があります。リズム感の良い演奏はこのようなことの積み重ねだと思います。



イリーナ先生は、イントネーションが正しくないときちんと直されています。
滑らかに弾く時は指を高く上げない、という注意もされています。

彼女のレッスンを見ていると、あとで直せばいいはありません。
もちろん、生徒さんが出来るまでその時に言い続ける、という意味ではなく、教える側がきちんと伝えるということです。

そして、すぐに出来なくても良いとか、そのうち出来るようになる、といった言葉も決して仰いません。

教師が満足する所まで到達していなかったとしても、笑顔で「Good job !」と仰っています。
そのあとのレッスンで何度も復習をして、正しく身に付くように進めてもいますが、「これはママと一緒に練習してね」と保護者の方へのご協力も求めています。


日本人の忖度で後回しにすることがレッスンではあると思います。
今これを要求するのは悪いかな、趣味だしそこまで求めていないかな、と。

私にはこれがあります。
保護者の方もすぐに出来ない、覚えられないことは趣味だからと逃げる傾向があります。

全員がそうではありません。趣味だとしても本物を身に付けたい、知りたいという人も珍しくありません。

彼女のレッスンを拝見する中で、下手な慰めの言葉は必要ではないと知りました。
「よくやった」「練習してさっきより良くなった」で良いなと。

「よくやった」が日本語ではどれが妥当なのでしょう。

最低限のことはできている意味だと「がんばった」?
本人が特に頑張ったわけではないのにそう言われたら、「こんなもんでいいの?」になるし··

言葉を選ぶのは難しい

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入れ物の問題ではなかった

2023年10月16日 | 不思議な音の国

ピアノの鍵盤を深く弾く感覚を掴むために、スライムを使うイリーナ先生のアイディア。

これはピアニストのホフマンが、熟れた苺に苺をつぶさないように指を深く埋めるように弾くと深く美しい音が出ると言ったことを、子供に分かりやすく伝えるために考えられたものです。


子供でなくともスライムを使うことは有効です。
私自身もこれによってそれまで自分の中にはなかった感覚を身に付けることができ、タッチの種類が増えました。


さて、このスライム。指を入れれば良いのではなく、入れ方があります。
表面を触っただけの音ではなく、腕の重みで押し下げられた深い音が欲しいことが目的なので、力でグイグイ押しては逆効果です。

ゆっくり腕の重みで沈めていくようにします。

ところが私の生徒はグイグイと力任せに指を突っ込む子が多く、百均で買ったものをそのまま使っているので入れ物が大きいからかと思っておりましたら、この回のミラちゃんを見るとそういうことではないようで··




気持ちはわからないでもないですが、ゆっくりとです。

以前、70代の方でいきなりスライムに指をグサッと刺した方がいらっしゃいました。
ピアノはこう弾くものだと思っていたと仰いました。

性格ってあるな、と思ったのでした。


今回参考になったことは、ソの音を見つけて弾く時に生徒さんが不注意に間違えたり、雑に音を出した時に、注意をはらっていないですね、とか、良い音で弾きましょう、と4歳の子供にきちんと言っていることです。

強く注意はされていませんが、見逃してはいません。
私なぞは、まだ小さいから仕方ないかと何も言わないことが少なくないのですが、このような積み重ねが、集中力や音を大切にすることに繋がるのだなと思いました。

ミラちゃんは音をソソソソと連続してよく雑に弾きますが、それをイリーナ先生はonly one note と注意するだけにしています。

これをやられると結構イラッと来るものなのですが、注意はしても叱りはしない。

今回も学びました。


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