おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

ラフマニノフ前奏曲Op.23を10人のピアニストで

2023年07月31日 | コンサート情報

ヴェルビエ音楽祭で面白い企画がありました。

ラフマニノフ生誕150年という意味でだと思いますが、前奏曲Op.23の10曲を10人のピアニストで演奏するというもの。

若手、ベテランの混合チーム。

私は真央君の演奏に聴き入ってしまいました。
もしかしてロシアっぽさが一番あったかも。高音の澄んだ汚れなき音が救われる思いがしました。
とても丁寧に表現されていて、真央君だ~でした。

トリフォノフも良いと思いました。
この人はやはり音色の人だなと、彼の魅力はこういうことかと思いました。

カントロフも彼っぽい。
まとわりつくような音で、歌を聴いているよう。

それぞれのピアニストの特徴がクッキリです。


プレトニョフ、何度か聴くとジワジワ良くなってきます。
後ろに引っ張られていくようで前に進まない感じがするのですが、メロディーの絡ませ方が上手い。余裕です。伴奏のディミヌエンド加減もやはり上手い。浮遊する感じで、例により押し付けがましくなく、それなのにその音楽に引き込まれていきます。

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何気に思い出し

2023年07月29日 | コンサート情報

そういえばこんなかわいらしい演奏があったと思い出しました。

なんという曲かさっぱりわかりませんが、こんな風に生徒たちにピアノを面白いと思ってもらえたら良いですね。

子供同士で連弾が出来るようになると、とても楽しい はず。

選曲のセンスがステキ



こちらを最初に拝見したのは2018年3月です。
この時は、こんな子供さんが大人っぽい曲を弾くのかと少々驚きました。日本だったらジブリやディズニーを弾きたがると思い、カルチャーの違いを感じたものです。

それから5年が経ち思うのは、生徒さんに曲を知ってもらうのは教える側の役目だということ。
生徒さんたちは曲を知らないだけで、何もしなくとも耳に入ってくる曲しか知らないのでそれを弾きたい曲だと思ってしまう。

子供でも大人でも「この曲どうですか」と紹介すると案外気に入ってくださいます。
どうしても知っている曲でなければダメという人も何人かはいらっしゃいます。特に大人の方。その場合は、その時が来るまで待つことです。

私は食わず嫌い大王なので、これまで損をしてきたと思うことしばしば。
大人の生徒さんたちを見ていると、やってみようという気持ちを持っていらっしゃる方が沢山いらして、いつも見習わなければと思います。

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ロシアンメソッドと重力奏法

2023年07月27日 | 重力奏法

ロシアンメソッド、重力奏法。

ピアノを弾く人や教える人がよく耳にするこの二つの言葉。


人によって捉え方にばらつきがあるかもしれません。

ここにロシアピアニズムが入ってくると更に区別がつかなくなってくるような具合で··


私個人の見解ですが、自分では次のように整理しています。


ロシアピアニズムに関してはピアノ初心者が行える世界ではありません。
また、ロシアで学んだり、ロシア人に師事し勉強した人たちでなければその表現法は教えることはできないと思います。

なので、それを求める人はそのような先生を探す必要があります。但し、ロシア人だから全て同じように弾くわけではないと理解しておく必要もあると思います。


その表現の基礎に当たるものが重力奏法です。
これはピアノの一般的な奏法です。

この奏法を身に付けるのに効率よく考え出されたのが、ロシアンメソッドと理解して良いのではないでしょうか。


以下は私のホームページに載せてあるものです。宜しければ参考にお読み下さい。


◆◆◆◆


ピアノはとても大きな楽器です。

その楽器を鳴らすにはとても指だけでは鳴らすことは出来ません。腕の重さを使うことが必要です。

この腕の重さを使って弾くことを重力奏法と言います。これはピアノを演奏するための一般的な奏法です。


腕は腕の根元である肩甲骨から使います。

肩甲骨から大きく腕を使えるようにすることから習い始めるものをロシアンメソッドと言っています。

 
このメソッドは、「3の指」で「ノンレガート(一音ずつ繋げずに弾く)」から始めます。​
この時に講師が生徒さんの腕が力みなく、柔軟な手首で、そして指の関節がぐらつかないように手を支えます。


ノンレガートのあとは、レガート、スタッカート、アクセント、テヌートという音の発音法を短い曲の中で覚えていきます。
これはピアノ演奏の公式の様なもので、基本的な手の使い方があるのです。


これらが気持ちの伝わる演奏へとつながります。
これは​プロになるために行う特別な導入法ではありません。
効率よく身体を使い、表情のある音を生み出すこと。

曲から受け取った想いを、聴いている人に届けることができるように。


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水の中にもぐる感じ

2023年07月24日 | レッスン

スラーと呼吸について生徒さんにはこの言い方がピンと来ると最近発見しました。


「スラーが続いている時はずっと水に潜ってるの」

「スラーが切れたら水面に顔を出して息を吸うの」


”スラーの始めで息を吸って、スラーの終わりは手首で抜いて”、などと言うより水に潜る例えの方が子供も大人もずっとスラーの意味が理解しやすいようです。

今頃こんな発見をしたのは私くらいなものかもしれませんが・・


長いスラ―の途中で手首を上にプカプカ動かすと、その度に水面に口を出して息を吸っていることになります。

手首の横の動きで重さが逃げないように弾いていくと、潜ったまま泳いでいけます。音色や技術的な意味で手首を上にスッと上げる程度のことはスラーの間でも有りです。本当に力(重さ)を抜いてしまうのとは別のことです。


力は重さのこと、重さは腕を上げて鍵盤に下ろせばれば誰でも載せられます。肩甲骨から使えるようにしっかり上げると音が変わるのがよく分かります。


鍵盤は1cmくらいしか下がりません。
それを指で押すだけでしたら本当に1cmの距離でしか勝負できません。

しかし、鍵盤の上にはその何十倍もの空間が存在しています。
それを利用すれば良いわけです。


ピアノは多くの人が弾く姿を見たことがある楽器だと思います。
それが問題で、こんな風に弾くんだと先入観が生まれやすい楽器でもあります。

鍵盤の場所を覚えて、そこを押せばピアノは弾ける。
指さえ早く動かして鍵盤を高速で押せればピアノはプロ並みに弾ける。

それが一番多い先入観ではないでしょうか。そして、それが最も酷い間違いです。


正しいものを見ていないことや、正しいものを見ても正しく見ることが出来ないことで誤解されていることが色々とあると思います。

ピアノレッスンはそれを解くことから始めなければいけない。

レッスンが始まる前からゼロスタートではないのがピアノレッスンかと思います。


誤解されていることを、習っている生徒さんから解いて行って、彼らに正しいものを広げてもらいたい。

日本人は伝統を重んじるので、過去の教育は正しいと思い込んでいる人が少なくないかもしれません。

だから未だに今どきそんな奏法はない、ということを大切に教え子供たちに伝えている傾向があるように思います。

教本も同様です。
自分が習った教本が、現在では必ずしも良い奏法を身に付けられるとは言い難いものもあります。

しばらくト音記号しかないとか、まんなかのドを1の指で弾くために間違った身体の使い方が身に付いてしまうなど。


過去に習ったことをそのまま教え続けることを少し考えてみることが必要だと思います。

それは昔のように厳しい先生ではなく、友達のような先生になると言う意味ではありません。

奏法も指導法も進化し変化しています。
教える人は学び続けること。

と、自分にも言い聞かせています。


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嬉しい

2023年07月23日 | レッスン

昨日のレッスンで嬉しいと思うことがありました。

「みみをすます2」で二人の生徒さんが移調のページをしました。

ひとつの線を別の音に設定して読むことで移調ができるというものです。


それぞれ別のページの課題でしたので曲も調性も別の曲です。

3つの調で弾くのですが、一度に3つは大変かと思い、一人は2つまで、一人は1つまでしか宿題にしておりませんでした。


この課題には素敵な伴奏がついています。
素敵すぎて単純な伴奏ではないので、移調した伴奏がちゃんと載っています。(助かる)

さて、この二人。
良く弾けていました。

宿題にしなかった調もできそうでしたのでやってみましたら、見事に弾けました。

嬉しかったのは単に良く読んで弾いていたことではなく、音楽を感じて弾いていたことです。

音楽を感じ、音楽に乗って弾いていました。
一緒に連弾をしていて楽しい と思いました。

音楽の言葉が通じた感じです。


二人とも「不思議な音の国」出身。
そして毎月一人の作曲家を聴くシリーズも2年10カ月欠かさず続けています。

やっと、目指していた世界にやってこれたと思いました。
入り口の扉を開き、一歩踏み入れた感じです。

この内の一人の生徒さんに、不思議下巻修了後「はじめの一歩3」を使ったのですが、少し難しかったようで、その時に「まだ一歩でもない」と本人が言っておりました。

今、確実に音楽の一歩を踏み出しました。

ちなみにその生徒さんは、はじめの一歩3も赤いクマさんの本もしっかり終えています。


二人共、同じ学年なのですが親御さんがきちんとサポートしてくださっています。
レッスン室にはもう入られませんが、レッスンの終わりには迎えに来られ、レッスンでしたことやどんな様子だったか聞いて帰られます。

一人の生徒さんは自分で自分のことを面倒をみるのが少々難しいところがあるので、カバンの中に必要な物しか入れないように毎回お家の方が整理されている感じです。

よくある、カバンの中がゴチャゴチャで必要な本を忘れても気付かずにレッスンに来るなんてことは二人にはありません。


子供一人の力で最初からなんでもできる、などということはあろうはずもなく、習い事は親御さんの状況が影響するとよく思います。

音楽を楽しんでほしい気持ちを本当にお持ちなら、それなりの手間がご家庭にも必要です。

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子供にピアノを教える先生

2023年07月17日 | 重力奏法

キーシンの先生や上原彩子さんの先生、最近ではドヴガンの先生、ジョージアのツォトネ・ゼジニジ君の先生。

皆さん女性の先生です。

女性の先生は名教師が多いように思います。

飴と鞭を上手く使い分けていらっしゃることもあるかもしれませんが、体格の面で子供に教えることのできることが多いのでは、と思います。


ピアノは腕を根元から使い体を大きく使えた方が、音が鳴り表現力が豊かになると思います。

体が小さいと腕をしっかり動かさないと音が鳴りません。
鳴らないと指が弱いと考えてしまい、そちらを鍛えようと無理な練習に走ってしまう。これは昔の日本人です。


先日、河村尚子さんのラフマニノフ2番のコンチェルトの動画をご紹介しました。

腕はこう使うというのがよく分かります。


同じ曲で、清水和音さんの演奏が自動で出てきましたので、どう演奏されているか拝見しましたら、ほぼ腕は動いていません。

動かなくとも、肩幅があり、手の平に厚みがあり、指が太く、腕もおそらく太く、胴体も太いと思われるので、そのような方は腕をただ下ろすだけで音は鳴るわけです。


男性のピアニストや先生はそのような条件を持っていらっしゃる方が女性よりずっと多いと思います。

動かさなくとも勝手に音が鳴る人と、動かさないと鳴らない人では教える時に差が出ます。


趣味で習っている人たちは、男女にかかわらず専門家のようにピアノを長い時間弾いているわけではないので、椅子に座ったまま体を上手く使うことが上手にできません。

なので、音が鳴らない人が少なくないのです。
だから余計に、腕を大きく使うことをまずは身に付けてほしいと思います。


腕は上に上げれば肩甲骨は必ず動きます。
それを下ろせばいいだけです。スラーの始まりの音でまずは必ず実行すること。離れた音も横にずらすのではなく、上に上げて移動する。

下ろし方は先生にちゃんと教わる必要があります。叩いて良いという意味ではありませんので。

曲が複雑になると、スラーの開始が左右で異なるものの連続になります。
それが両手同時のタイミングになったら、同じ方向を向いて音楽が進みだしたということです。

長いスラーになったら重さをなくさないように弾いていきます。
途中で下手に手首を動かすと、水中から何度もプカプカ口を出して息を吸う金魚のようになってしまいます。

(金魚が上の方に上がって口をパクパクさせるのは水中に酸素が足りない酸欠状態で、水中でゆっくり口パクパクは酸素が足りているのだそう。ピアノ演奏は重さ=酸素と考えると分かりやすいかもしれません。)


冒頭の所を比べてみて下さい。



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中級の楽譜

2023年07月15日 | 楽譜の話題

60代の大人の生徒さん。

きちんと練習され、練習が間に合っていない時はレッスンを欠席されるほどです。


クラシック志向で、ソナチネアルバムに載っているモーツァルトのC-durのソナタやショパンのノクターンOp.9-2を弾かれていました。

元は他の先生の生徒さんなのですが、先生が体調を崩されお預かりしている内にその先生が退職され、そのまま私の所に残られることになりました。


初級(バイエル程度)ということでお預かりしておりましたが、私のいる楽器店では先の2曲は上級です。

初級のまま昨年秋から見ておりましたが、少し前に久石譲さんのInnocentをお渡ししたら弾けましたので、これはせめて中級に進級させて頂こうとお話ししましたらOKということで無事進級。


初級で選曲となると厳しいなと思っておりましたが、中級となるとかなり自由が利きます。

Innocentと一緒にキャサリン・ロリンさんの連弾曲を渡しておりました。

その曲を気に入って下さり、キャサリン・ロリンさんを知って頂くことが出来ましたので、この路線をメインにロシェロールとヴァンダールも紹介してみましたらこちらも気に入られた様子。


曲を紹介していて思いました。

アメリカには中級から上級初めの大人の方が楽しめる曲集が随分そろっていると。

子供たちもこれらの曲は好きですが、大人の方も同様に楽しめます。子供っぽさがないからです。


日本はこの辺りの曲となるとアニメやゲームの編曲ものが多くなります。

アニメやゲームの曲でも綺麗なものはたくさんあります。私も嫌いではありませんが、正直なところ内容はあまりありません。


ピアノのテクニックも学べ、音楽的にも難し過ぎないけれど内容がほどよくあるのがアメリカの教育作曲家たちの作品。

日本は子供も大人も共通で使える曲集がない気がします。

それで大人の方にブルグミュラーやギロックを仕方なく使ったりして・・
どちらも私は好きですが、趣味の大人の方には何かしっくり来ないものを感じます。

久石譲さんのピアノストーリーズのシリーズのような曲集がもっと増えてくれると有難いのですが・・


本格的な曲ならクラシック曲があるのでそれを弾けば良いのかもしれませんが、そこに達する前に子供も大人も音楽的に楽しめるセンスの良い曲集が日本には少ないように思います。

無くても、今の時代は海外の楽譜が入手しやすいので良いかと思っておりましたが、円安でドルもユーロも高くなっているので、そうも言っていられなくなりました。


子供にはこういうもの、大人にはこういうものではなく、両方に通用するものが日本にも増えてくれることを願っています。

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腕を使っているのがよくわかる

2023年07月13日 | 重力奏法

河村尚子さんのこちらの演奏、ピアノは腕全体を使って弾く楽器だと言うことがよくわかります。

こんな風に音が鳴らせたら、たくさんのアイディアが浮かんできそう。


楽しいだろうなぁ
いいなぁ


体が大きく使えると小さくも使えるので、表現の幅が広くなります。

いいなぁ


腕は細いより太い方がお得。

これだけは私も負けてない






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総復習しようとしたら

2023年07月12日 | レッスン

オリジナルの連弾曲集「おとのくにへ」

昨年夏頃から使い始めました。

毎回きちんと練習してきてもらえれば、1回で終わらない曲があったとしても3カ月くらいで1冊終えられます。

曲は10曲。多くはありません。


この曲集を1年かけて終えた生徒さんがいます。

先週全曲終えて、「頑張ったね」などと褒めていたのですが、今週のレッスンで不思議な音の国の教本を忘れ、家に置いてきても良いこちらの連弾曲集を持って来ていました。

レッスン時間がたっぷりありましたので、「じゃ、全部順番に弾いて行こう」と総復習を始めました。


と・ところが、弾けない・・

音の読みがあやふや、というかCD伴奏のテンポについていけていません。

手も、指先でちょんちょん弾いている程度で、不思議上巻とこの曲集で腕を全部使ってピアノの音を鳴らすことを散々したにもかかわらず、尚且つ下巻でもそれをしているのに、全く活きていない・・

なぜ1年もかかったかは想像が付くと思いますが、それにしても何を学んできたのかとガックリきました。


結局、音楽は美しいと思う感性がないと何をやっても始まらないのだろうと思います。


この連弾曲集は、自分で編曲をしておいて自分で言うのも大変おこがましいのですが、しかし、子供たちの作ったメロディーはどの曲も私は本当に好きです。

通して聴くと、「あ~、いい曲だな」としみじみ思います。


不思議の上巻をイリーナ先生が総復習で全曲通して弾いてもらっている動画がありますが、30分レッスンではとても全曲は出来ません。

しかし、この10曲の連弾曲集でしたら可能です。
CDをかけて全曲通すことは自宅でもできます。自宅でのちょっとしたリサイタルです。


こんな使い方があったと、実は今日初めて気付いたのでした。

これからの生徒さんたちにやってみよう、っと。

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美しい音

2023年07月10日 | レッスン

音を美しくするためには、どうしたら良いでしょう?


運に任せる!
違います


とにかく練習する!
間違いではありませんが、正解とも言えません


音符が読めてスラスラ弾けたら、その内綺麗になる!
そのような人もいるかもしれませんが、そうではない人もたくさんいます


ピアノは指だけで弾く楽器ではないことをはっきりと認識することです。

そして、曲の音符だけわかれば弾けるというものではないので、どう身体を使って音を鳴らすかを、出来るだけ親御さんもレッスン室に入ってご覧になることです。

音符が読めないからレッスン室に入ってもわからない、と思っていらっしゃる親御さんが少なくないのですが、そんなことは関係ありません。

腕の動きや姿勢は見れば誰でもわかります。
そして、それをご自宅の練習で修正するのは親御さんの役目です。


講師にすっかりお任せでどうにかしてくれるなどということは、不可能です。

ピアノのレッスンは多くの場合、週1回のレッスンです。
水泳やバレエは週3回あることが珍しくありません。

レッスンが少ないことで、ピアノは週1回のレッスンでも弾けるようになるものだと勘違いされているかもしれませんが、そのような意味ではありません。1週間というのは、次のレッスンまでに出来るようにして行く、その猶予の期間です。

1週間で出来るようにして来る前提で、レッスンは行われるのが通常です。

2~3日で課題を全てこなして来れれば、週2回でも3回でもレッスンを受けられるということです。


最初の話から逸れましたが、人を頼りにするだけではどんなことも身に付きはしません。

週1回、もしくは2週に1回しかないレッスンで学ぼうと思ったら、自分でやらなくてはいけないのです。


鉄腕ダッシュという番組が昔から好きなのですが、農地を耕したり、無人島を開拓したり、蜂蜜を作るために蜂を集めたり、海をきれいにして魚が住めるようにしたり、時間のかかることをする番組です。

TOKIOのメンバーは20年以上もそのような作業をする中で、たくさんの知識と知恵を身に付けました。

自分で経験して、失敗して学んで行くのは時間がかかります。
しかし、それは誰にも奪うことのできないもので、新しい人たちに分け与えていくことまで出来ます。

時短こそ人間の英知のような世になってきていますが、時間のかかることは人間を豊かにします。

人間が必要なくなる世界を人間は拒まなければいけない、と世の流れを見ていて思います。
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ふすまや障子

2023年07月09日 | レッスン

先日、大人の生徒さんのレッスンで、

ふすまや障子を両手でバッと開けると肩甲骨を使っているのがわかると言ったあと、「でも、日本人はそれはお行儀が悪い、マナー違反ということでやりませんね」と自分で言ってそうかと思いました。

障子やふすまは、両手を添えて静かに少しずつ開けます。

体を大きく使えないのは、日本人の生活習慣や気質が関係しているからか、と気付きました。


ピアノは西洋で作られた楽器です。
体の使い方が日本人のままでは、やはり上手く行きません。

先月、上原彩子さんと松田華音さんのDuoを聴きましたが、ステージの横の席でしたので、演奏者の背中がよく見えました。

上原さんがベアトップドレスを着ていらしたので、肩甲骨の少し上から肩が見えていました。その時に、筋肉質だなと思いました。だからあのような音になるのかと思いました。使っている筋肉が違うのだなと思います。


今の学校では鉛筆は2Bを使うそうです。

文房具屋に鉛筆を買いに行くと、キャラクターものではなくとも2Bが多く、何だろうと思っておりましたらそういうことのようです。

子供たちが指先しか使わなくて済む生活になり、筆圧が弱くなっているからだそうです。

塗り絵が好きな生徒さんは結構筆圧が強いです。
レッスンの後、お迎えを待っている生徒さんに塗り絵をして待ってもらっている所があります。

スタッフの方が色々な塗り絵を用意して渡して下さっています。

楽器店の良い所は、複数の人で生徒さんに関われることです。
いつも助けていただいています。
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音が下がり過ぎ

2023年07月08日 | 重力奏法

メソッドを変えて教えるようになったのは、生徒さんに美しい音で弾いてほしかったからです。

豊かな音色とか、軽やかなタッチとか、そのような本格的なことを望んで始めた訳ではありませんでした。


生徒さんの出すスカスカで何も伝わってこない音には気が滅入っていました。
趣味で弾く子供はこれが普通だろうと思っていても、この苦痛は年数を増すごとに蓄積されストレスになっていました。


それがある時、小さな子供が大人のような音で弾いている動画に出合いました。
ロシアの子供たちです。

なんだこれは ?

ロシアンメソッドというものは聞いたことがある・・

最初はテキストの差だろうと思い、それを調べました。
確かに質の良い作品を子供の頃から弾くようになっています。

しかし、それだけで生徒たちは上手くなるはずはありません。


なんだろう?と過ごしている内に、趣味で弾いている子供さんたちで、さらに先生がとても優しく教えていらっしゃるのに、生徒さんたちが皆、美しい音で弾いている動画に出合いました。

それがイリーナ·ゴリンさんの動画です。
良い音で音楽的な演奏をどの生徒さんもされていました。

その秘密を探るべく夜な夜な、彼女の動画を見続けました。


そして、偶然にも彼女の作った教本の日本語版の存在を知りました。
それを知ったのは、日本語版ができて半年位経った頃だったようです。


彼女のレッスン動画からはたくさん学ばせて頂きました。

現在も彼女の教本を使い、レッスンを進めております。


私のストレスは以前より大幅に減り、思いの外、音のニュアンスを作り出し音楽を表現するレッスンが成り立ってきています。

初級の内は何度も言い続けなければいけないことがありますが、これは音を良くするためで、楽器のレッスンでは当たり前のことです。
むしろこの事がレッスンできるようになっただけでも喜びです。


さて、本題。

腕をリラックスさせ、上からしっかりと下す。
これにより本来のピアノの音が出せるようになるはず。


ところが、気付けば音が下がり過ぎ。

ダラリとしてだらしない音がします。
特に手首が下がる生徒さんはそうです。

下げてばかりでは、いけなかったのだと思います。

支えを作らなければいけなかったと思います。


だからイリーナさんは、小さな生徒さんの腕と手首をいつも支えていらっしゃるのだと思います。

音を出す力は肩甲骨から送り、腕を持ち上げる意識は鎖骨。
この2箇所を意識すると音はすぐに上げられます。

しかし、小さな子供にはそのような話をしてもわからないので、イリーナ先生はいつも支えていらっしゃるのだろうと思います。


手首の動かし過ぎと音の下がり過ぎには注意です。
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手首動かし過ぎ

2023年07月07日 | 重力奏法

メソッドを変えて教えるようになって6年目を迎えました。

小学校でしたら6年生です。そう考えるとけっこう大きくなりました。

初めからこのメソッドで習っている生徒さんは一番大きくて小学5年生です。
もっと上の年齢の生徒さんは途中から「不思議な音の国 下巻」を使ったり、先に進んでいた生徒さんは曲を弾きながら奏法を直していきました。


この途中から直した生徒さんたちに少々気になる傾向があります。

なにせ私は、音が鳴らせるようになることを第1目標にこのメソッドに変えましたので、腕をリラックスさせ鍵盤を下にしっかり下ろすことをしてきました。

その結果、どうなったかは次回に書くとして、今回は別の気になることを書きます。


手首です。

以前は手首を使う意識を持たない生徒さんばかりでしたので、このメソッドで手首の横の動き、縦の動きに注意を向けることが出来るようになりました。

ただこれは、音を最後まで聴く、どう音を終わらせるかをイメージする力が関係します。聴くことをお粗末にする人はいつまで経っても身に付きません。


さて、本題です。

途中からメソッドを変え、現在中学生になっている生徒さんたち。

私が手首のことをよく言っていたので、本人たちは実はそれがどのような効果を生むかを正しくは理解していなかったようで、とにかく動かせばいいになっている様子が見られます。

必要のない所で、方向を変えるように手首をいちいち動かしていたり、インヴェンションや古典派ソナチネ・ソナタで、手首だけで歌わせようとして急にグワンとした全くその時代に合わない音で弾いたりと、これはこれで厄介な問題が発生しています。

本人たちは無意識にしていることが多く、簡単には直せません。


手首は使えば良いというものではありません。
特に音を出す時に手首から前に動かすと安っぽい音になります。

手首から動かすのは音を離す時が最も多いと思います。
音の切り口を丸くしたい時です。

横に動かす時は手首だけが誘導しているわけではありません。手首だけグルグルしていては音は浮き上がって行きます。重さの移動が伴わなければなりません。


というわけで、表情のある音を求めて手首を使うことを教えてきましたが、思わぬ方向に向いてしまい、どうすれば良かったのかと思っています。

手首が不必要な所で上がると、流れている水が止まったり漏れたりします。

水道管の補修工事が必要。漏水を止めなければ・・


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ロシアンメソッドとは?

2023年07月06日 | 重力奏法

ロシアンメソッドとは、腕の重みを力みなく使い、美しく歌う音で弾けるようにするために、どのように教え始めるかを考えたメソッドです。

音楽は音が全てです。
美しい音で演奏するという、音楽の大前提にたって作られたメソッドです。

ピアノは触るだけでは本物の音は鳴らない楽器です。
触っただけで出てくる音は音楽になる音ではありません。
ピアノが持っている美しい音、自分が持っている音を引き出すために、まずは腕の大きな動きから習い始めるのがこのメソッドの特徴です。


゚・*:.。. ☆☆.。.:*・゜゚


このメソッド(ピアノ導入法の意)では、日本で一般に行われている鍵盤の中央に手を固定し1の指(親指)でドの音を弾くことからは始めません。

黒鍵を使ったり離れた音を弾くなど、腕全体を大きく動かすことから始めます。
3の指(中指)を使い、一音一音を離して弾くノンレガートという奏法を大きな腕の動きで弾いて行きます。

真ん中のドから音を繋いで弾くレガートをすぐに始めてしまうと、固定された腕で指だけで音を無理やり繋げることになり、それは美しい音が出せないばかりか場合によっては手を痛める原因にもなってしまいます。


゚・*:.。. ☆☆.。.:*・゜゚


腕の根本(肩甲骨)から弾けるようになると細かなタッチも習得しやすくなります。
その細かなタッチが音楽を伝える助けになり、心の中にあるものを表現する演奏へとなります。


ノンレガート習得後は、レガート、スタッカート、アクセント、テヌートといった音の発音法を習得していきます。

これらのアーティキュレーションは短い曲の中で覚えていきます。
アーティキュレーションの手の使い方は、ピアノ演奏の公式のようなものです。基本の使い方があり、それにより音を作っていきます。

それらを習得するための曲がロシアンピアノスクールの教本には豊富にあります。


゚・*:.。. ☆☆.。.:*・゜゚


このメソッドは初めはすぐに知っている曲を弾くことはできませんので、遠回りをしているように感じるかもしれません。

しかし、正しいピアノ奏法を習い始めから身に付けることは、生涯の宝になるはずです。


但し、正しい奏法が身に付くように復習を繰り返して下さい。


このメソッドは、良い音でピアノが弾けるようになりたい人、長くピアノを弾き続けたい人のためのものです。

その気持ちがあれば、誰でも始めることが出来ます。


゚・*:.。. ☆☆.。.:*・゜゚



腕を大きく動かします


深いタッチと手首の使い方


生徒さんの手の支え方


ロシアンメソッドは旧ソ連のピアノ教育者が考え出したピアノ導入法です。
アルタボレフスカヤが中心となり考え出されたと言われています。彼女は現在のウクライナ出身です。上の動画の先生もウクライナ出身で現在はアメリカ在住です。彼女が作った子供の導入教本「不思議な音の国」(原題はTales of a Musical Journey)は日本語に翻訳されたものが自費出版されています。
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気付きませんでした

2023年07月05日 | レッスン

40代の大人の生徒さん。

毎回よく練習され、最近はレッスンの時に小さなノートに注意することをメモもされています。

できないと悔しいと仰り、一週間でよくここまで弾けるようにされてきたなと毎回驚きます。こんなに毎回頑張られていては続かないのではと心配になるほどです。

ピアノを始めて3年目になります。
ただ、頑張られている成果が音になかなか表われません。

音はきちんと読まれてきますし、止まらずに弾いてこられますが、音が鳴らない。

男性の生徒さんですが、ずっと音がスカスカで腕の重みが鍵盤に乗りません。
指が力んでいる様子はなく、手首は下がり気味ですが固まってはいません。

どうしてだろう··


肩甲骨から弾けていないのかな、鎖骨もユルユルで腕の支えが甘いのかな。
それもありますが、何かピンとこないものがありました。


色々している内にご本人が「腕は締めないのですか?」と。

「いえ、肘を張りはしませんが胴につけることはしません」と答えると、
「ずっとここが胴から離れちゃいけないと思っていました」と上腕を指し仰いました。


そういえば、腕と胴の間が狭めだなと、やっと違和感に気付きました。

胴にピッタリとくっついているわけではないので、そこまで意識的に腕が開かないようにしているとは思っていませんでした。

もちろん、音域により上腕が胴体に付くようにはなります。
中音域や、右手が低音域にある時、左手が高音域にある時はそうです。

習い始めに真ん中のドから始めていつまでもその辺の音域を弾くデメリットはここにあります。
腕を使って弾くことを知らずに進んでしまうからです。

だから、ロシアンメソッドは黒鍵だけを使ったり、広い音域を大きく腕を拡げて弾くことから始めるのです。



私は楽器店で教えていますが、レッスン室が狭く、いつもすぐ真横でしか見れず、後ろに回るにもスペースがない部屋でドアを開ける時も毎度椅子を動かし、子供の場合は足台をピアノの奥に入れないとドアを開けられないという部屋でレッスンをしています。

楽器店の部屋はどこも似たり寄ったりですが、この生徒さんの教室は特に横も後ろもスペースがない所です。後ろからも生徒さんの演奏する姿を見なければいけないことを忘れていました。


部屋が狭いと、生徒さんも講師の指しか見ないようになってきます。あと何度言っても、ドアを開け閉めするのに椅子をピアノの方に寄せるので、自分が座るときにピアノと自分の間が狭くならないように椅子を後ろに動かさなければいけないのですが、置いてある椅子の間にお行儀よく挟まるように座る子供が多くなります。

自宅での練習でも物が後ろに置いてありスペースがなくそのように座って弾いている場合があります。
(この話とは異なりますが、練習できなかったという理由に、電子ピアノの上にお父さんが仕事のものを置いてあって使えなかった、という話を聞くことがあります。お母さんが洗濯物を置いてあったという話も聞くことがあります。親が楽器を物を置く場所という扱いにしては楽器も音楽も子供が大事にするわけがありません。)


ピアノの横と後ろにはスペースがしかっりほしいものです。
それから、講師は後ろからも生徒さんの演奏する姿を見ることを忘れずに。

反省、反省

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