おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

うぉっ、コチシュ、イケメン・・

2019年11月29日 | コンサート情報
「遊藝黒白」のシリーズを全て読み終え、その中で以前から知ってはいても、あまり聴いてはこなかったピアニストが2人います。

ポゴレリッチとコチシュです。

コチシュの才能の凄さをこの本に登場するピアニストの話から知り、少し聴き始めたところです。
その中でこのような映像を見つけました。

ラーンキも出演しています。
コチシュ、イケメンですっ

24歳頃の映像です。
クルタークの演奏を聴くと、明らかに別世界の人です。

私なぞには見えない世界を見つめている眼差しがまたイケメン具合をアップしています。

髪が基本ボサボサなのもイイ感じでイケメン度UP

KOCSIS Zoltán és RÁNKI Dezső - Kettős Arckép (1976)
こんなサムネイルになっておりますが、ちゃんと見れます。

ポゴレリッチは濃厚な演奏。
コッテリ系。いつもデミグラスソースかけてます、という感じ。

良く知られた曲をよくここまで自分なりに解釈し直したなと感心しました。
彼の演奏を聴くと曲の知らなかった面を聴くことができます。
これもたまには面白いですが、細かく描き出しすぎてカオスになっている演奏もあります。
シューマンの幻想曲終楽章は良かったです。彼の中に大切に置いたままにしてある信頼と愛情が温かく伝わってきたような気がします。
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音の高さを一致させよう作戦

2019年11月28日 | 楽譜の話題
音の高さが楽譜と一致しない生徒は必ずいます。

なぜか昔よりその数は増えています。
しかもちょっとやそっとで覚えられない・・
これも昔とは違うことです。以前は何度か説明するうちに覚えてくれていました。

無頓着と言ってしまえばそれまでです。
それは、おそらく電子楽器と関係しています。

アコースティックピアノは倍音があるので音の高さによって音色が異なります。
しかし、倍音を含まない電子楽器はその感覚が希薄になります。

電子楽器で練習しているからと言って皆がわからないわけではありません。
その違いが何から生じるのか私にはわかりません。

レッスンの度に高さが違うと注意され、それでも覚えられない。
その度に説明を繰り返し、これ以上どうすればよいのかと思っていました。

それが、少し前に買った「Piano Safari」に使えそうなものがありました。

今、それを何人かの生徒に試しています。
適当に伴奏を作り、それに合わせて弾いてもらっています。

丸覚えではなく、自分で仕組みを見つけ出せるようになってほしいと思います。

どれみ|みれど
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マリア・ユーディナ

2019年11月27日 | コンサート情報
「遊藝黒白」に登場するロシア人ピアニストから
ソフロニツキーと共によくきかれるのが、マリア・ユーディナです。

彼女は自分の信念を絶対に曲げない方だったようです。時の政権下においても。
現代音楽が禁じられていたにもかかわらず好きなだけ演奏し、反体制的言動で活動が制限されても屈しなかったそうです。
楽譜に p と書かれていても f で弾いたり、そこも彼女なりの信念があったのか・・

魂で演奏している。

Maria Yudina plays Mozart "Lacrimosa"


Yudina plays Beethoven Sonata No. 17: Tempest


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オクサナ・ヤブロンスカヤ

2019年11月26日 | コンサート情報
ヤブロンスカヤは、楽譜を手にしたらそのまますぐ弾けるのだそうです。ゆっくり弾くのではなくテンポで弾けるそうです。

アメリカに移住しましたが、ソ連ではユダヤ人差別に苦しんだそうです。

「遊藝黒白1ピアニストが語る!」にあります。
ソ連時代のユダヤ人が辛い目にあっていたことをこの本のシリーズで知りました。
しかしユダヤ人でも何もなかったというピアニストもいます。

私が子供のころ住んでいた町は、ソ連人が定期的に船でやってきていました。
4~8人くらいでいつも歩いていました。ずっとおしゃべりしているのに笑った顔を見たことがありませんでした。何を深刻な話をしているのかとよく思っておりました。

アシュケナージの本を読んでKGBにいつも見張られていたことを知りました。
あのソ連人の姿を思い出しました。

ヤブロンスカヤは中央音楽学校ではアナイダ・スンバティアン門下で、アシュケナージ、クライネフと同門だったそうです。

80歳の誕生祝のコンサートです。
Chopin Piano Concerto #2 op.21 f-minor Oxana Yablonskaya 80th Birthday Celebration concert


ニコラーエワがステージで倒れた時に身に付けていたスカーフがヤブロンスカヤがプレゼントしたものだったそうで、それを見た瞬間涙が止まらなかったと。
ニコラーエワが演奏中に倒れたことを確か日本でもニュースでやっていました。
ニコラーエワの話をヤブロンスカヤがこの本で触れています。
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エリザベート・レオンスカヤさん

2019年11月25日 | コンサート情報
こちらのレオンスカヤさんの演奏には信じられない様な裏話があります。

彼女にとっては悪夢だったようですが・・

なんでも予定していたピアニストが出演できなくなり、指揮者のマズアが彼女にピンチヒッターを頼んだのだそうです。

友達のために3日間で日本まで飛んでいくわ!
本番前にご自分でドレスにアイロンをかけていると3分後にステージに上がってくださいとステマネが言いに来たと。

レオンスカヤさんは時間を間違えてあと1時間あると思っていたそうです。

5分後、髪もとかさず、ドレスもしわくちゃ、時差ボケで朦朧とした状態で「皇帝」を弾き始めている自分に気づいたのだとか。

試しに探してみたら、あっさり見つかってしまいました・・

ベートーヴェン”皇帝”レオンスカヤ・マズア・ゲバントハウス管(1989)BeethovenPianoConcertoNo.5


拝見したところ、髪もドレスも問題なく見えます。
急いで日本にいらして下さり、慌ててステージに上がられてこんなに演奏できてしまうなんて。

この演奏を「遊藝黒白」のインタビュアー焦さんが幼い頃に見ていらして、美しいクラシック音楽の思い出になっていたそうで、その話をレオンスカヤさんにしたところ彼女からこの裏話が出てきたそうです。

昨年、東京・春・音楽祭でレオンスカヤさんがシューベルトのソナタ全曲を演奏されました。
そのうちの1日を聴きに行きました。
自然体でそれでいて品格のある演奏で、時折情熱的に歌われるフレーズが魅力的でした。

東京春祭は企画が面白い音楽祭です。
たくさんのコンサートが上野で行われます。博物館も会場になります。

今年の目玉はムーティのイタリア・オペラ・アカデミーだったと思います。指揮者のマスタークラスが開かれ、そこで受講した沖澤さんがそのあとブザンソンで優勝しています。指揮者にもオペラ歌手にも愛のムチがビシバシ飛んだそうです。

来年は1週間長く5週間開催するそうで、ムーティのアカデミーもまたあるそうです。
そして驚いたのは、ドゥダメル指揮のベルリンフィルの公演があることです。東京・春・音楽祭特別公演

レオンスカヤさんも再び登場します。ウィーンゆかりの作曲家の作品を演奏されるようです。東京・春・音楽祭プログラムリスト
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ウラディミール・ソフロニツキー

2019年11月24日 | コンサート情報
「遊藝黒白」のシリーズでロシア人ピアニストから度々名前の挙がるピアニストにウラディミール・ソフロニツキーがいます。

あまり気にも留めずにいたのですが、気付くと随分いろいろなピアニストが彼の名前を挙げ素晴らしいと言っているので、どれ、聴いてみるかと聴いてみました。

彼はロマン派の巨匠で、シューマン、ショパン、リストの演奏は最高の状態の時は神が語っているようだったと言います。スクリャービンの演奏も絶品中の絶品だと。

同級生にスクリャービンの娘がいて、16歳で知り合い3年後に結婚しています。
西側ではリヒテル以上に幻の存在だったそうです。

Vladimir Sofronitsky plays Scriabin Vers la flamme, op.72


シューマンの幻想曲を聴いてみました。
こんなに情感の伝わる演奏は聴いたことがないです。私は少し前からこの曲を再び勉強し直しているのですが、この演奏にはハッとさせられるところが随所にあります。

ソフロニツキーが8割シューマンが2割と言う気がしないでもありませんが・・
時々シューマンの声が聞こえる感じというか・・

褒めているのか褒めていないのかわからない言い方ですが、時々聞こえてくるシューマンがいい。

結局、意味不明な感想・・

ー・-・-・-・-・-・-・
じわじわ思い出しました。
スクリャービンと言えばソフロニツキーでした。
過去にスクリャービンだけ聴いて他の作曲家の演奏を聴いておりませんでした・・

ロシア人の名前は長い。
誰が誰か覚えられません・・
4文字までなら覚えられる。
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3の指

2019年11月21日 | 重力奏法
重みを掛け一番安定しやすい3の指から習い始めるロシアンメソッド。

どこにも力みなく弾くためにノンレガートから始めます。
肩で腕を支え、指の第1関節が反り返ったりぐらつかないように強く保ちます。
腰と足で身体を支えることも怠ってはいけません。

腕はリラックスさせることで重くなります。
その重量を使って演奏します。
手首は柔軟に。手首は呼吸、レガート、様々なタッチを作り出し、垂直、水平な動きで大切な役目を担います。音を出す瞬間はグラつかせてはいけません。音の芯がなくなります。音を鳴らした後は弾力性のある手首が必要です。

気を付けることは、美しく深い音で弾くこと。
そこを目指して一音を大切にします。

日本人は雑なことをしないので大丈夫だと思いますが、昨日知った海外の先生の動画で驚いたものがありました。

一つは、力みなく丁寧に弾いているかもしれませんが、深くも美しくも弾いていない。
おとなしく手を鍵盤に乗せているだけ。手首の呼吸はなし。ただ手を上下させているだけ。
これを先生がお手本で示しているのです。

もう一つは、本気でしているのかと目を疑いました。
ギリシャの先生ですが、腕の重さを使うと言って肩から腕を鍵盤に振り下ろしてピアノをバンバン叩かせているのです。

人間は皆、感覚が違うものですが、3の指でノンレガートで始めてもこんなに異なることが起きるとは驚きです。
動画だけ見てこうするのかと勘違いされると嫌なのでこちらにそれは載せません。

音楽のために美しい音を目指す。
音楽は何百年経っても作曲者の気持ちが伝わる芸術です。
それが表現できるのがピアニスト。そこまで巧みに表現できなくとも理解を手助けできるのが指導者。

ヴィルサラーゼはこう仰っています。

心から音楽を愛しているなら音楽を学びなさい。もし、音楽がなければ生きていけないと言うのなら音楽の道を選びなさい。これは才能があるかどうかということとは関係がありません。私は「美」に対する永遠の興味、驚き、感動する心を持っているかどうかだと思います。音楽的に秀でているかはそれほど重要ではありません。音楽を本当に愛していなければそういう才能を持つことはできません。
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どうしてもリズムが・・

2019年11月20日 | フォルマシオン・ミュジカル
2つの8分音符がどうしても同じ長さで、叩けない、弾けない生徒さんはいるものです。

経験によってどうにかできるものではなく、どうやってもどうにもできない。
大抵、短い-長いになります。16分音符と付点8分音符に近い感じのリズムになります。

リズムが覚えられない+音を読むのが苦手=練習しない

このような生徒さんにレッスンから帰ったら忘れないうちに復習するよう言っても、実行することは期待できないのが現状です。

リズム感の欠如に根本的な解決法はないかもしれませんが、応急処置はできます。

本来の数え方にこだわらないことです。

この方法はフォルマシオン・ミュジカルで知りました。

L'ouverture à la musique Vol.1にこのような課題があります。

これは本来、1にアクセントをつけリズム感よく叩いたり歌ったりするためにあるのだと思います。
私もはじめはその目的のためにそうしていました。
このページの前の方にもこの数え方で、ストラヴィンスキーのペトルーシュカがあります。

これで叩くとボタボタしたリズムにならずに叩けます。

こちらはFaisons de la musique en F.M.vol1にあるものですが、やはり同じ数え方で叩いてもらっています。

これを「タタ タタ タタ タン」ではなく「12 12 12 1」で数えます。
慣れたら「タタ」にしますが、最初はこちらの方がリズムのノリよく叩けます。


この曲を弾いている大人の生徒さんがいます。
2つの8分音符が短い-長いになり、年令が増すごとにリズムが取れなくなってきております。

F.M.のテキストを使い、音楽に合わせてウッドブロックで2つの8分音符を左-右と叩いてもらいました。「12」と言ってもらいながら。

それでこの曲を「1 12 1」と言いながら手で叩いて頂き、ピアノに戻りましたら上手くいきました。

小学生でゲディケのリゴードンを弾いている生徒がいますが、彼女もリズムが取れず、同じ方法でしばらくリズム打ちをしました。
そうしましたらできるようになりました。

そんなやり方をしてはいけないと考えていらっしゃる先生も多いと思いますが、どうにもならなくなった時にこの方法を思い出していただけると幸いです。
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遊藝黒白 第1巻 「ピアニストが語る!」

2019年11月17日 | 書籍紹介
第2巻→第3巻→第4巻と読み、最後に第1巻を読んでおります。

まだ読み始めたばかりですが、ポゴレリッチのショパンコンクールの真相の衝撃!

ヴィルサラーゼの胸に突き刺さる言葉!

これは読むべきです。
このシリーズは自分のために読む価値があります。

最近、私のレッスンは次の段階に進んでおります。

イリーナ先生の教本を使い始め1年10カ月が過ぎました。
初めはピアノ本来の音が鳴らせるようになってほしい、美しい響きのある音で弾けるようになってほしい、それが目標でした。

その目標は思いの外、早く実現できました。
もちろん完璧ではありませんし完璧などないのですが、思い描いていたものに近付くのに1年かかりませんでした。

スタートさえ間違わなければ子供たちはこんな風になれるのだと知りました。

今は不思議で習い始めた子供たちは、音を作り出す基本になるテクニックを学んでいるところです。
音を作り出すためのテクニック。表情のある音を作り出すための音。

これまで私は、テクニックと言う言葉は極力使ってきませんでした。
指が回ることを指す言葉だと思っていたからです。

しかし、今は違います。
音を作り出すことをテクニックというのだと考えています。

音楽は気持ちを表現するもの。
そのためのテクニックです。

少し前まで、そんなこと趣味で弾くだけの子供たちに話すことさえためらっていました。
しかし、それでは本当のことを伝えることはできません。

不思議な音の国でレッスンを始めた子供たちは初めから音を作り出すことをしているので、何のためか伝えていくことができます。

私が重力奏法で初めに使った教本は「はじめの一歩」です。
しかし、物語の力を借りずに音楽の世界を子供たちに伝える力は私にはありませんでした。

ヴィルサラーゼの「音楽を語る言葉を持つ」話、コンクールが招いたことなど深く考えさせられます。
そして、今の若い人たちは大曲に平気で挑み聴くに堪えない無残な結果になっていること。弾きたいのなら絶対に素晴らしく弾かなくてはならない。真にその作品を理解し、それを演奏で表現しなければならない。そうでなければ、弾かない方が良い。

厳しいですが、それだけ芸術や作曲家に対して謙虚で真摯であるということです。
昨年聴いた彼女の演奏からそれは十分に伝わってきました。
その精神の美しさに泣けて仕方なかったです。

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コチシュの編曲

2019年11月16日 | コンサート情報
「静寂の中に、音楽があふれる」で知ったのですが、コチシュは未完の作品を補筆したり、作曲家がピアノ曲として書いた作品をオーケストラにアレンジして途中のままになってしまったものを完成させたりしたそうです。

その中で、ドビュッシーの「忘れられた映像」

この曲をフランスのどなただったか、ピアニストが、つまらない作品と言っていて、わりとこの曲が好きな私はガッカリしましたが、コチシュは素晴らしい作品と言っています。演奏するピアニストは少ないと言っていますが・・

ラヴェルがこの第2曲をオーケストラに編曲しているので残りの2曲をコチシュが編曲したそうです。3曲そろっていればオーケストラが演奏する機会が増え、より多くの人に知ってもらえると思ったからと。

ラヴェルの「クープランの墓」はフーガとトッカータをラヴェルがオケに編曲していないので、コチシュがラヴェルへの尊敬の気持ちを込めて編曲したそうです。

とても楽しめるアレンジになっています。

11月6日はコチシュの命日だったようです。
64歳は若すぎます・・
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遊藝黒白 第4巻 #3「静寂の中に、音楽があふれる」

2019年11月15日 | 書籍紹介
ピアニストたちの言葉をいくつか。

伝統や楽派について

メルニコフ
「伝統や楽派があるかと問われたら『ない』と答えます。自分がこの楽派を代表している人物だと標榜している人ほど、その楽派について何もわかっていないものです。伝統や楽派は絶え間なく変化していて、明確に定義するのは難しいのです。自ら標榜したり、それについて語ったりするのはやめた方がいいと思います」

アヴデーエワ
「誰がどの楽派を代表するとか、真の継承者は誰かなどと言うのは時代遅れですし、危険なことだと思うのですが、ルプーの音色、表現を聴いていると彼こそロシア・ピアニズムのネイガウス派の継承者だと感じます。」

多くのピアニストが楽派は既に存在しないと話しています。ツィメルマンはそんな分類に意味があるのかと。
ー・-・-・-・-・-・-・-・-
音色について

コンスタンチン・シチェルバコフ
「音色は聴覚と関係があります。音色の色彩を聴き分ける耳を持っていれば色彩感のある音色で弾くことができるでしょう。こういう音が出したいという気持ちがあれば、イメージした音色を出すことができるでしょう。逆に頭の中に何もなければどうしようもありません」

比べてはいけませんが、そして自分もどれだけのもんだと思いますが、音色がわからない生徒は必ずいます。1年7カ月かかって本当にあきらめた生徒がいます。
ー・-・-・-・-・-・-・-・-
テクニックについて

横山幸雄
「私は基本的に鍵盤にぶら下がっているという感覚で弾いています。脱力して重力を自然に使い、音楽とともに呼吸しもっとも無駄のない動きで、手を移動させたり、ジャンプしたり、回転させる。無駄なエネルギーを使わず、自分の頭の中にある音楽をより的確に表現できるのがよいテクニックだと思います。」

生意気ですが、心強い言葉です。レッスンでよくぶら下がる感じと私も表現しているので。ただこの感覚がなかなか伝わらないのです。力を抜くことを知らなければわからないと思います。力を抜きすぎても弾けません、指先の支えと腕を持ち上げる力まで抜かれるとどう対処して良いかわからなくなります。
ー・-・-・-・-・-・-・-・-
コンクールを受ける子供たちについて

小山実稚恵
「難しいテクニックを必要とする作品を無理やり練習しているように感じ、心配になることがあります。もちろん才能のある子は弾けるようになるでしょう。でも、心と身体のバランスを考えなければ続かない気がするのです。他人より何年か早く弾けるようになることに、いったい何の意味があるのかと思います。音楽は一生をかけて追及するものです。やはりその人の人生と共に発展していくものだと思うのです。長い目で子供たちの成長を見守ってほしいなと思います」

この言葉、多くのかたに知っていただきたいです。

久し振りに、本というものは多くのことを学ぶことができて良いものだと思いました。


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遊藝黒白 第4巻 #2「静寂の中に、音楽があふれる」

2019年11月14日 | 書籍紹介
音楽家それぞれに異なる考え方もあれば、共通した思いもありでピアニストばかり集めた1冊の読み物というのも面白いものだと思います。

指導者としても活躍しているピアニストでよく話に出てくるのが、生徒たちと一緒に美術館に行ったり演劇を見たりという話です。

グネーシンで学んだリフシッツは、自身は演奏活動のスケジュールで自分がグネーシンの先生方のように生徒たちのために時間を使えないことを残念に思っていると。

リフシッツが師事した先生方はピアノ演奏を教えるだけではなく一緒に様々な録音を聴き偉大なマエストロたちについて考えさせてくれたりした。様々な作品、伝統、楽派について知識を深め、自分の頭で演奏について考えられるようになったと。

若い頃に先生に教えていただいたものはずっと覚えているものです。
私は普通高校の普通科でしたので、音楽の授業は1年生の時だけだったか2年生もあったかよくは覚えていませんが、授業でグローフェ「グランドキャニオン」、デュカス「魔法使いの弟子」、ガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」を聞かせてもらいました。

ガーシュインはその内聴くことになったとは思いますが、グローフェやデュカスはこの時に聞かなければ自分で見つけて聴くことはなかったと思います。

そう思って私はピアノのレッスンでもフォルマシオン・ミュジカルを使って生徒とピアノ以外の音楽も一緒に聴くのです。
興味の幅を広げて自分で探し出すことを将来してほしいので。

ロシアの名教師、アンナ・アルトボレフスカヤと同じ部屋に住んでいたのがアレクセイ・リュビモフ。出入口が違かっただけで部屋は同じだったそうです。どういう構造だったのか・・どれくらいの広さだったのか・・

よく生徒たちのコンサートが家で開かれていたそうです。様々な年齢の生徒たちが一緒に演奏していたそうです。よく4手、8手の連弾をさせアンサンブルの妙味と楽しさを学ばせていたと。

それから彼女は前衛的な音楽への理解が深く、きわめて自由で偏見のない視点から生徒たちを新たな音楽に導いたそうです。
リュビモフが前衛音楽を解釈できたのは彼女のおかげだと。
あと、スクリャービン博物館に貴重な音源があり、それを一番多く寄贈したのがアシュケナージだと。国外でよく演奏していたのでその度に現代音楽やソ連で禁じられていた音楽のレコードを持ち帰っていたそうです。

こんなところでアルトボレフスカヤのお名前にお目にかかるとは思っていませんでした。しかも、ヴェーベルン、シェーンベルク、ベルクなどの音楽もよく知っていたとは。

リュビモフは音色のそれぞれの個性を明確に意識して演奏しなければならない作曲家がふたりいると。
モーツァルトとヴェーベルンだそうです。

そう言い切れるほどの音楽を知っているということです。

とりあえず、ヴェーベルンを聴いてみようかと思います・・
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予想外に使える

2019年11月13日 | 楽譜の話題
小さい生徒さん用に作ったつもりが、予想外に大きな生徒さんにも使えているのがこちらの伴奏。ピアノサファリ

「ファソラシ・ワルツ」は常にドから鍵盤を探す生徒さんに使えます。
それから「ド」以外の音からだと音の順番がわからなくなる生徒さんにも使えます。「ドレミファソラシド」は言えても「ファソラシドレミファ」「ラシドレ~」などになるとわからなくなる生徒さん。

逆から言えない場合も使えます。
この伴奏は「シラソファ・ワルツ」にもできます。
歌いながら弾いてもらいます。そうでなければ意味がありません。

音の高さに無頓着な生徒さんには楽譜を見てもらいながら「ドレミ・マーチ」が使えます。

楽器の音はイマイチですが、musescoreを無料ダウンロードすると簡単にオリジナル曲を色々な編成で作成できます。
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フォルマシオン・ミュジカルってこんなことします#2

2019年11月12日 | フォルマシオン・ミュジカル
こちらのテキスト、アイディアの宝庫です。


少し前にご紹介しましたものの続きを。

こちらの聴音の課題。
初めは4分音符と4分休符の数を数えます。
かなり不意規則な数ですので集中しないとわかりません。
Olivier Greif The jew's daughter
(画面に譜面を載せました。一番下の課題です。課題をしている途中の生徒がいるので、書き込みがあります・・)

数えても答えがわからないなぁ、これで合ってるのかなぁと思っておりましたら次のページにこのような課題が。

ちゃんと答えが確かめられるようになっていました。
そしてここではユニゾンではないところを丸で囲むという課題が出されています。

さらにしばらく先に行ったところにこの曲が再び現れ、今度はユニゾンになっていないところの音を聴き取る課題が出されています。(ここでも前回の答え合わせができるようになっています)

全て短2度です。
この音程の持つ不安、痛みを聴き取ってもらえるチャンスです。

不思議な音の国下巻の音程が出てきた後やグネーシナの「ピアノのABC」を使っている生徒さんには、音を出す前にどんな感じの音が聞こえてくるか想像するよう話しています。わかるわからないではなく、想像する習慣を持ってほしいのです。
このようなカードも使っています。

白いカードはクレ読みに使います。不思議な音の国上巻の「加線」の前ページ「うたいましょう」の下にあるものを補足できます。そのあとも何かと便利に使えます。
ピンクのカードはパッと見て何度の音程か答えてもらっています。いちいち読んではもらいません。読まなくともわかるようにしたいのです。

これらはピアノの曲と関連付けてしています。
別々にやると何のためにやるか理解しにくいので。

フォルマシオン・ミュジカルのテキストは、フランスに直接注文した方が早く安いです。
L'ouverture à la musique Vol.2
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遊藝黒白 第4巻 #1 「静寂の中に、音楽があふれる」

2019年11月10日 | 書籍紹介
只今、遊藝黒白シリーズの最新刊第4巻を読んでおります。

第1巻はまだ読んでおりませんが、こうしてたくさんのピア二ストがされている話を知ると、どのピアニストもたいへんな勉強家、強い情熱、探求心、好奇心、知性、思慮深さを持ち、なんとなくこの道に進んだ人は一人もいない事が分かります。

作曲家に対する真摯な気持ちを皆さんお持ちです。
少しだけピアニストの世界を知ることができ、とてつもない世界に生きている方たちだとわかりました。

この巻も面白いです。

ほー、なるほどと思ったことを2つご紹介します。

シフの話
「音楽は打ち負かしたり征服するものではなく、その中に溶け込んで自分を表現するもの。演奏家は楽曲の解釈を呈示しなければなりませんが、余計なことはしてはいけません。フレーズをシンプルに弾くのではつまらない、表面に化粧を施すべきと思っている人もいます。しかし、すべてのフレーズでそんなことをしたら台無しになってしまいます。美食を楽しむのはいいですが、満腹になってもさらに食べ続けるなんて無理ですよね。」

この表現、わかりやすいです。

スティーヴン・ハフの話
「楽派というものが形成される鍵は、作曲家にあると思います。フランス楽派・ロシア楽派は作曲家とピアニストの相互関係によって形成されました。多くの傑出した作曲家自身が、偉大なピアニストでもありました。イギリスにはその点が欠けています。」

ハフの話はそういうことだったのかと思いました。

この本のシリーズを読んでいると、ロシアとフランスの教育が素晴らしいことが分かります。ハンガリーもそうでしたが、教育体制が変わってしまい今はそうではないそうです。シフ、コチシュ、ラーンキ等が自分たちが学んだ頃はとても良い教育を受けることができたと言っています。バルトーク、コダーイ、クルターク、リゲティ、ピアニストのドホナーニ。ハンガリーには素晴らしい作曲家がこんなにいるのに、今は活かせずにいるようです。

ドイツにも音楽史に燦然と輝く作曲家が大勢います。しかし、ドイツ・ピアノ楽派が存在しないのはナチスのことがあったので自信を持てないのだと、この本のどなたかが仰っていました。一つの考え方ではあると思います。

ピアニストがこの演奏家は素晴らしいとか、このピアニストのこの演奏が素晴らしいといった話もたくさん載っています。
ラフマニノフの演奏は多くのピアニストが、あれほどのピアニストは今も存在しないと言っています。

ラフマニノフが「パガニーニの主題による狂詩曲」を作曲した時、ひとつ変奏ができるたびにホロヴィッツに意見を求めていたそうです。
しかしホロヴィッツはこの曲も2番のコンチェルトも演奏していません。歌う要素が少ないことが理由のようで。ラフマニノフが「パガニーニの主題に~」の演奏で自分より素晴らしいと褒めたのが、モイセイヴィッチの演奏です。



ラフマニノフはホフマンに第3番のコンチェルトを献呈していますが、ホフマンは演奏しなかったそうです。ラフマニノフはホフマンの柔らかな音が素晴らしいと、自分より優れたピアニストだと思っていたそうです。ホフマンにその気持ちは届かなかったのでしょうか・・

ピアニストが語る尊敬するピアニストの話が色々あって、それも興味深いです。
ラフマニノフ、ホロヴィッツ、リヒテル、ルプーは人気です。コルトーも何気にちょこちょこ出てきます。

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