おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

楽譜を見ること~大人編(第6号)

2012年03月29日 | 苦手なことがある子供たち
楽譜を見ることについて大人の方の話を付け加えたいと思います。

最近は携帯電話やパソコンを四六時中見ている大人が増えています。
顔を上げて視野を広く使っていないので、大人でも目がしっかりと動かせない人がいます。

楽譜を見ながら演奏する時は、弾いている所より少し先を見て弾きます。
ところが、目を先へと進めたいと思っても、その意志に反して目がついて行かないという方がいらっしゃいます。

目の筋力が衰えているのでは?というお話をして、大人の方でも逆あみだや迷路を試してみても良いと思いますが、他に次のような方法の方が大人の方には受け入れられやすいと思います。

あごが上がらないように片手で軽くあごを押さえ、もう一方の手で空中に大きく丸や四角を描き、それを目で追う方法です。
一方向だけでなく逆方向も行います。

目がよく動かせなくなっている方は、ご自分の顔より一回り大きい程度のもので「これが限界です。これ以上は見えません」とおっしゃいます。

丸や四角を大きく描けても、少し見にくいと感じる部分があるかもしれません。
私は左上が見にくいと感じました。そういえば楽譜は、D.C.やD.S.、リピートがない限り左上に目を素早く動かすことはないと、これを行って気付きました。

若い時と違い、放っておくと色々と衰えてくるお年頃です・・・。
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トヴェイト 名誉ある出迎え Geirr Tveitt : Femti Folkatonar frao Hardanger

2012年03月22日 | 楽譜の話題
ノルウェーのピアニスト、Leif Ove AndsnesさんのCD「長い長い冬の夜」に、Geirr Tveitt(ゲイル・トヴェイト)の「ハルダンゲルの50の民謡 作品150」より<名誉ある出迎え>という曲が収められています。

1度聴いただけで忘れられなくなるような、憂いと透明感のある曲です。
何度か聴いている内にどうしてもこの曲の楽譜がほしくなり、出版元であるノルウェーのNorsk Musikkforlagのホームページを見てみました。

いきなり、見たこともない文字が並んでいてひるみましたが、これがノルウェー語かとジーッと見渡していると、「作曲家」らしき言葉を発見。そこでTveittを検索してみると、GeirrではないTveittさんが出現。ミドルネームかもと思いましたがどうやら別人のようで、お目当てのGeirrさんは見つけられませんでした。

どういうことだろう?と思いながら、楽譜業者をあちこち検索してみましたが、どこも「在庫切れ」「取り扱いなし」の表示が・・
これは絶版ということかとあきらめかけていると、1件だけ楽譜の金額が表示されている楽譜販売サイトを発見。本当にあるかわからなかったものの注文してみました。

すると、長い長いドイツ語のメールが送信されてきました。
辞書を引き引き読んでみましたが、あるともないとも書かれておらず、結局よくわからない内容で、これは絶版になっていると書かれているのだろうと勝手に解釈し、この楽譜のことは仕方なく諦めることにしました。

それから約1カ月後、「本日発送致しました。」との1文だけの短いメールが送られてきました。
待つこと8日・・待ちに待った楽譜が到着しました。

開けてみると、楽譜とは思えないスケッチブックのようなデザインに、高級なスケッチブックを取り寄せたのかと一瞬めまいがしましたが、中を開けるとあの旋律が目の前に・・


             

 
1曲目が<名誉ある出迎え>です。
この曲集の37曲目に<長い長い冬の夜>があります。


           
切手がかわいらしかったので写してみました。

よくぞ探して下さったと、感謝しています!


名誉ある出迎え / トヴェイト
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「音が読めるようにならない」子供たち3(第5号)

2012年03月15日 | 苦手なことがある子供たち
目を動かせるようになるために、逆あみだと迷路をするとよい話を書きました。
もう一つ、もっと広い範囲のものを見て目を大きく動かすトレーニングがあります。

<表神経衰弱>です。

2組のトランプを表向きに並べ、数の大きいものとか小さいものとか順番を決めて同じカードを探します。
子供たち同士でこのような遊びをすることはできると思いますが、レッスンで先生と生徒さんがこの遊びをするのは少し抵抗があるかもしれません。

私はこれを音符カードで行っています。音の読み方は分かっているけれど、まだ速く読めない生徒さん向けです。
一音ずつ音が書かれた2組の音符カードを使用します。

初めは5枚程度のカードを1組だけ並べ、もう1組は私が手に持ちます。
私が手にしているカードを1枚ずつ生徒に見せます。最初はそれを見て同じものをただ探してもらうだけです。
次は私が持っているカードの音を読んでもらい、それから同じものを探してもらいます。
それができたら2組すべて並べ、私が指定した音のカードを探してもらいます。

生徒は2枚目がなかなか見つからない時に、自分が持っている1枚目のカードを見ながら同じものを探しています。

ひと粒で2度おいしいです。(・・・・)

今月はここまでです。
来月は、「まん中のドが探せない」ことについて書かせていただきたいと思います。 
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「音が読めるようにならない」子供たち2(第4号)

2012年03月14日 | 苦手なことがある子供たち
目を上下左右に動かすことがスムーズに行われないと、本を読む時に行を飛ばしたり同じところを読んでしまったりします。
探し物をすることも苦手です。

音符は五線の中で上下の動きを使い音を書き表しています。それを右にどんどん続けて読んでいきます。
一度に二音以上の音を読むことも珍しくありません。しかも、左手の音は別の段に書かれています。

それらを同時に読むのです。

さらに、音楽は時間の芸術ですので、一定のテンポの中でそれらをスムーズに行う必要があります。
自分が読めるところは速く、読めないところは遅くでは都合が悪いのです。

結構難しいことをしています・・

難しいことができるようになるには、訓練と時間とコツが必要です。それから励ましも・・

「音が読めるようにならない」のは、目を上下左右に動かすことに慣れていないからということがよくあります。
それまで生活の中で眼球を動かすことが少なかったため、音符の丸の位置がよくわからないのです。
昔の子供より遊ぶことが少なくなったことも関係しているのではないかと思います。
  

このような生徒さんには、次の方法を取り入れるとうまくいきます。

<逆あみだと迷路>です。

音楽に関係のないことなのでガッカリされた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、音楽の中だけで解決できないこともあります。

逆あみだとは、普通は上からするあみだを下から行うものです。目は下から上へ動かした方が記憶力が増すと聞いたことがあります。また下から上げる方が意識がはっきりするように思います。そのことと関係があるのかもしれません。
逆あみだは手を使わずに目だけで行います。

線がたくさんあった方が楽しいだろうと、縦に5本の線を作りその間に横線と斜めの線を書き込んだものを初めに作りました。これを小学1年生の男の子に見せたところ、見た途端「わっ、いやだ」と言われてしまいました。

多ければいいというものではなさそうです・・

翌週、縦3本で横線も少ないものを作り、「これならいい?」と言うと、「うん」
よかった。。。

さて、もう一つの迷路。
道を辿っていくのですが、何やら邪魔をする線が所々に書き込まれています。その線に惑わされて進めなくなる生徒もいます。
これも目だけで行います。一つの線をしっかり目で追う訓練です。
迷路図はインターネットで検索をすると出てきますので、参考になさるとよいと思います。

この2つをレッスンの時に「目の体操!」と言ってサッとやってもらうだけで驚くほどスムーズに音が読めます。
これを週に1回程度のレッスンで3~4ヶ月続けると、この「目の体操!」は必要なくなります。

これを15人ほどの小学生の生徒に行いましたが、3~4ヶ月続ける必要があったのは4人だけでした。
中には予想に反して驚くほどのスピードで目を動かすことのできる生徒もおりました。

この生徒が音を読めない原因はここにあらず・・
原因はホントの練習不足・・?

ちなみにこの生徒は、その後譜読みがとても速くなり、元々発想が豊かで熱中するタイプなのでメキメキと腕を上げています。


音が読めるようにならない」子供たち3へ 続きます。

     ー・-・-・-・-・-・-・-・--・・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
追記 2017年1月

<眼球運動について>

眼の動きには大きく分けて2種類あるそうです。

「追従性眼球運動」
特定のものを見続ける目の動き。
本を読む時やものを観察する時に働く眼球の運動機能。動きが良くないと対象から視線が外れやすくなり、読みとばしや手先の不器用さの問題が生じる。

「跳躍性眼球運動」
あるポイントから別のポイントへ素早く視点を移す動き。
視点を動かす眼球運動が機能していないと、何を見ていたかわからなくなり混乱しがち。

~トレーニング法~

・グネグネした線をなぞる
・2つの線にはさまれた間をなぞったり、線に触れないように間に線を書く。
・迷路ゲーム

視覚機能は一度鍛えるとずっと働き続けるそうです。
1~3か月で改善の兆しが現れ、4~6カ月で視覚が適切に働き始めるそうです。
定着させるために1年ほどトレーニングを続けた方が良いとのことです。









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「音が読めるようにならない」子供たち1(第3号)

2012年03月12日 | 苦手なことがある子供たち
音が読めるようになるには、五線のどこに丸があるかを見ることができなければいけません。

習い始めの子供には、線と間(かん)に丸を書いてもらったり、ドレミの順番を覚えてもらったりします。これらは小さなお子さんには少し難しいことです。音楽が頭の中に流れないと、たいへん抽象的だからです。

これが、小学校に上がると五線の仕組みを理解することがグンと楽になります。
ところが、小学2年生、3年生になっても音が読めない子供がいます。

1小節目の2拍目を過ぎると目が泳ぎ始めてどこを見てよいかわからなくなり、文字や絵が書かれている所を真剣に見つめたり、眼球がものすごいスピードで左右に動き後ろに倒れそうになったり・・

この子供たちに何が起きているかもわからず、私はひたすら線や間に丸を書いてもらったり、色をつけてもらったり、ドレミの順番を逆から、途中から、そして一つ飛びでも言えるようにしたりと思い付くものをあれこれと試していました。

しかし思うような成果は得られず、時が解決してくれるのだろうかと考えたりもしました。

私がこのような生徒に出会うようになったのは、実は7年程前からです。それ以前は出会った記憶がないのです。気付いていなかっただけかもしれませんが・・

同じ頃に自閉症の生徒にも出会っていました。
自閉症の生徒は初めてでした。彼女に会うまで私は発達障害のことを全く知りませんでした。

そこで、図書館から本を借りて勉強し始めました。初めの内は自閉症のことで頭がいっぱいでした。
彼女のレッスンでは,どんなことをどのようにしたら受け入れてくれるのか、そしてできるようになるのか。それを知るまでに2年程かかりました。さらに、彼女が成長する時間を待つ必要もあったように思います。
私の成長もでしょうか・・
自分の力のなさに打ちのめされ、やり直しの連続に虚しくもなりましたが、じきに彼女に会うことが楽しくなり、私の方が元気にさせてもらうようになりました。
彼女のレッスンが落ち着いてきた頃、次第にLDにも目が行くようになりました。

色々と本を読む内に、目を上下左右に動かすことが器用にできない子供がいることを知りました。

これはあることを行うだけで案外簡単にできるようになります。


「音が読めるようにならない」子供たち2へ 続きます。

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空間認知力と運動能力(第2号)

2012年03月12日 | 苦手なことがある子供たち
ピアノを弾く時には、空間認知力と運動能力をかなり使うようです。

空間認知とは、その場にないものを推量する力です。物の形、時間の流れ、量感などです。
物の形を認識する力が弱いと文字の読み書きが苦手になります。これは上下左右の概念がうまく働いていないために
起こるようです。

運動能力とは、体の複数の動きをコントロールしたり、指先、腕、脚などに力を入れたり抜いたりをコントロールする力です。
これらがうまくできないことを不器用ということもあります。
不器用だと細かい作業が苦手になります。ボタンをかけたり、紐を結んだり、洋服をたたんだりといったことがうまくできず、一応の動作はできても速すぎたり動きが雑だったりします。

「音が読めるようにならない」
「まん中のドをいつまでたっても探せない」
「どちらの手を動かしているかよくわからない」

このような生徒さんはいらっしゃいませんか?

私は、これらの症状はこの2つの能力に関係していると思っています。
そしてこの2つに着目した方法をレッスンに取り入れました。

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謎の生徒さんたち(第1号)

2012年03月11日 | 苦手なことがある子供たち
子供の頃からピアノの先生になることが夢でした。
幸運にも、今その夢は叶えられています。

長年この仕事をしていますが、今でも教えることは難しいと思います。

その難しいことの中でも、どうしたら良いのだろうと悩んでしまう生徒さんに出会ってきました。

「音が読めるようにならない」
「まん中のドをいつまでたっても探せない」
「どちらの手を動かしているかよくわからない」

「音が読めない」というのは、音符の丸の位置がよくわからないということです。
音は五線を使って、線と、線と線の間に丸を書くことでドレミファソラシを書き表します。

その丸の位置がどこにあるのかよくわからない子供がいます。
「この丸とこの丸、どっちが上?」と聞いてもよくわからなかったり、逆に答えたりします。
音符と文字の区別もついていない様子です。

私の中にある指導法ではどうにもならずにいました。

ところが、数年前に自閉症の生徒さんに出会い発達障害について知ることになりました。
色々と本を読んでいる内に、謎が解けてきました。


これらのことは、どうやらLD(学習障碍)と関係がありそうなのです。

日本では、LDはlearning disabilities(障害)の略です。
しかしアメリカでは、learning disorders(混乱)です。
Dの意味が異なります。実際は障害と言うより混乱の方が近いように思います。
なぜならLDはやり方を教えることで、出来るようになっていくものだからです。
混乱を解いていくのです。
混乱を解くにはその糸口を見つけてくれる人が必要です。
糸口が見つかりにくいお子さん、糸口は見つかったものの、中でいくつもこんがらかっているお子さんもいるかもしれません。

私の役目は、ピアノを弾く時に混乱している生徒さんの糸口を見つけほどいていくことです。
この先私が書くことは、混乱している生徒さんだけに通用することではありません。
習い始めの生徒さん、コツをつかむことが少し苦手な生徒さんにも通用すると思います。
 


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「発達障害の子どもたち (講談社現代新書)」講談社
この本は私が一番最初に読んだ発達障がいの本です。
発達障がいにどのようなものがあるかを知るのに役立ちます。


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