おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

苦戦しています その2

2018年04月28日 | 重力奏法
習い始めて半年~1年の経験がある生徒さんを今年3人引き継ぎました。

4歳、5歳、小学3年生です。

小学生の生徒さんはレッスンを始めて3カ月目ですが、お母様が必要な所をメモに取ったりスマホで録画して下さっています。
しかしレッスンで最初に弾く時はほぼ毎回、一音一音しっかりと弾いてしまいます。
手首を使って弾くことやスラーの終わりまでひと呼吸で弾き切ることがまだ一人ではできません。

指でカツンと音を出すこともクセになっています。
しかし初めの頃より力みは少なくなっています。

初めは手を持って鍵盤に近付けると反射的に指と手首が固くなっておりました。
しかし今思うとそれは驚くほどでもなかったのかもしれません。

何故ならその後驚くほど力む生徒が現れたからです・・

4歳と5歳の生徒です。

小さいのにどこにこんなに力む力があるのかと驚きます・・

手を持った時から力んでいて「力抜いて~」と振ってもガチガチ。
手を持って鍵盤に近付けると自分で音を出そうとしてその時の力にはちょっと驚きます。

「なにもしなくていいから」と手を持って振り、何とか力が抜けた時に鍵盤に近付けると反射的に指がガチガチに。そのうち手首まで硬くなってきて終いには私の手をふりほどき手首のスナップを効かせて叩くように弾き始めます・・

それを見て「ヘタに弾き方を直さない方が良かったかな・・」と後悔する気持ちがよぎります。
しかしこの力んだ弾き方では先が見えています。
先延ばしにするほど直せなくなります。

何でも小脳の臨界点(急激に変化するの意味だと思います)は8歳なのだそうです。
それまでに覚えた体の使い方は生涯残るのだそうです。
(ついでに12歳までは本物を見たり聴いたりさせるのが良いそうです。)

直せるまで同じ曲を弾いてもらっていてはイヤになります。
どこで妥協して次に進めばよいのか、どの位の期間で正しい弾き方ができるようになると良いのか疑問を抱えてレッスンしております。

何でも人間は慣れるのに66日かかるのだそうです。
ゴリン先生のガイドブックに2カ月で軌道に乗せなければいけないとあったように思います。

4歳と5歳の生徒は今月から引き継ぎましたのでまだ始めたばかりですが、直せるものかと不安に思っている所です。
さらに新たなる間違えた弾き方を習得してしまうのではとの不安もあります。

音を聴くことに気が付くと私がしていることが単にピアノの音が聞こえればいいのではないということがわかるのだと思いますが。

半年という短い期間ピアノを習っただけでこのような状態になってしまうことに驚いています。
恐らく3人ともよく練習してきた生徒さんです。
私が初めから教えている生徒は決して教え方が良かったのではなく、練習量が少なく無理やり弾いていないだけだったのだと思います。
ただ、「もっとはっきりした音で弾いて」とは言わないようにしていました。

複雑・・
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マリア・ジョアン・ピリス デュオリサイタル 2018年4月26日

2018年04月27日 | コンサート情報
ピリスの日本での引退最終公演に行って参りました。

お弟子さんとの連弾2曲を含むプログラムです。
プログラムは変更になりました。

モーツァルト:4手のためのピアノ・ソナタ ハ長調 K.521
      :ピアノ・ソナタ 二長調 k.576(グレゴリアン)
休憩
      :ピアノ・ソナタ ハ長調 k330(ピリス)
シューベルト:幻想曲 ヘ短調

アルメニア出身のグレゴリアンとの連弾ではピリスがプリモを務めておりました。
ペダルはピリスが踏んでおりました。

最初のモーツァルトが聴きたくてこのコンサートに行きました。
もっとオーケストラのような掛け合いが楽しめる曲だと思いますが今一つ楽しめませんでした。
ただソフトペダルが効果的に使われており、セカンドが踏んでいると思っていたのでグレゴリアンさんよくやっているなと思っておりました。

次のグレゴリアンのソロの時はステージ上に置いた小さなテーブルの席に飲み物を置いてピリスは聴いておりました。
会場とステージ上のピリスが一緒にお弟子さんの演奏を見守っている感じでした。
演奏は正しく良く弾けておりましたが、その雰囲気のせいか学生さんの演奏を聴いているような気がしました。

ピンとこない気持ちで休憩を過ごし、後半のピリスのソロが始まった途端にその音楽に引き寄せられやっと演奏会を聴きに来た感覚になりました。
やはり違います。
全然違います・・

キャンバスに自由に色を置いていっているようでした。
音楽の推進力が比較にならないくらい違います。
そしてわかりやすく形作られておりました。
ダンパーペダルとソフトペダルの使い方が多彩でこれは盗みたい!と耳をそばだてて聴きました。
この時に最初の連弾とぺダリングがそっくりでしたのでピリスが踏んでいたのだと気付きました。
できればあと何度かピリスの生演奏を聴きたいとこの時思いましたが残念ながらこれで最後です・・

最後のシューベルトは聴き応えがありました。

偶然二日前に彼女たちのこの曲の演奏をYouTubeで聴いておりまして良い演奏だと思っておりました。
まさか生で聴けるとは思っておりませんでした。
セカンドのグレゴリアンもピリスによくついて行っておりました。

ピリスの色調の変化にグレゴリアンも同調しておりました。
ピリスのソロのリサイタルでシューベルトを聴いた時に、時間を行き来している感じがしてそれがシューベルトの転調とマッチして時の無常さというものが胸に迫り、ピリスの引退とも重なりこみ上げてくるものがありました。

それがこの色調の変化によるものだったのだと今回の演奏で気付きました。
音楽に対する真摯な姿勢といい、やはり素晴らしい演奏家です。

アンコールは当初のプログラムにあったモーツァルトの子供の頃の作品(9歳)K.19dでした。
この曲ではピリスがセカンドを務めました。
改めてセカンドが上手いと違います・・
セカンドで指揮者がオーケストラを操るように多彩な音と音楽が聞こえてくるとグンと奥行きと立体感が増します。
低音部から音楽が溢れ出ていました!

ピリスの演奏はずっと心の中に残りそうです。

ソロのリサイタルもデュオもドレスがかわいらしかったです。
自然な色合いで華美ではないナチュラルな感じがお似合いでした。
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苦戦しています その1

2018年04月26日 | 重力奏法
習い始めの生徒のテキストをゴリン先生の「不思議な音の国」に替えられる生徒は替えているところです。

少々苦戦中です。

偶然かもしれませんが、他の教室で半年~1年習っていてこのテキストに替えた生徒のレッスンはなかなかたいへんです・・

もちろん私が初めから教えている生徒でもスンナリとはいきません。

ピアノを始めて4ヶ月の5歳の男の子に「はじめの一歩」を使っておりました。
音の出し方をシンプルなものから覚えてもらおうと思いそのようにしました。

しかしこのテキストは奏法の基礎を覚えるためのものです。
音の読み方や音楽の基礎的知識を覚えるためには他のテキストが必要です。

そこでゴリン先生のテキストを使うことにしました。

「はじめの一歩」で音の出し方はしておりましたが、指を1本だけ出して弾く癖や音を出すときに指が斜めになる傾向があり課題は多々ありました。
期待を込め「不思議な音の国」を使い始めましたら、予想外に良くない癖が出続けており少々驚いております。

何故だろうと考えてみました。
「はじめの一歩」は動きが少なく、最初は同じ音しか弾きません。しかも長く伸ばします。動いても順次進行で上がるとか下がる、離れた音でも1オクターブの間隔で上下行するといった具合いに動きのパターンがつかみやすく作られています。それから白鍵を多く使います。

「不思議な音の国」は曲を弾きながら音の出し方を覚えます。
最初に弾く曲は3つの黒鍵を使って「マクドナルドおじさん」の<イーアイ・イーアイ・オー>の部分を弾きます。
次の曲は「まるいパン」です。これも3つの黒鍵で弾きます。

2曲とも短い長さで横に動くことと「はじめの一歩」にはなかった黒鍵を使うことで生徒の手に緊張が走るのではないかと思います。

それでもこの生徒は、指がカチカチに力んだり手首が固まったりはしません。
打鍵後に手首から持ち上げられなくなってきて徐々に指が伸び、なぜか1本指になっていきます。
黒鍵に慣れる時間が必要なのかもしれません。

さて、問題は途中で私に変わった生徒さんたちです。
なぜこんなに指が力むのか、手首の使い方が間違えてるのか・・

私もこれまで生徒に3の指から始めて重さを使った弾き方をする奏法を教えてきたわけではありませんが、生徒の手を持って教える中でここまで力む生徒はいないのでどうしてこんなことになったのかと戸惑っております。

途中で替わった生徒が3人います。
3人ともそうです。
偶然かもしれませんが・・

続きは次回に致します。
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ルース・スレンチェスカ ピアノリサイタル 2018年4月21日

2018年04月22日 | コンサート情報
1925年生まれ、東京で演奏するのは初めてという93歳のスレンチェスカさんの演奏をサントリーホール大ホールで聴いて参りました。

客席は満席に近く、このピアニストを皆さんどのようにして知ったのかと思いました。

私は知人から「ホロヴィッツが本番前にいつも聴いてもらっていたピアニストで、岡山でしか弾いたことがなかったが初めて東京で演奏する」と聞き、聴きに行きました。

プログラムは
ショスタコーヴィチ:『24の前奏曲とフーガ』より第5番 Op.87-5
J.S.バッハ:『24の前奏曲とフーガ』より第5番 BWV850
ブラームス:3つの間奏曲 Op.117
ブラームス:2つの狂詩曲 Op.79   
       休憩
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番 「テンペスト」
ラフマニノフ:絵画的練習曲 Op.33-7
ショパン:練習曲 Op.25-12



ピリスと同じくたいへん小柄な方でした。
しかし歩くスピードは速めで、袖に引っ込んでもすぐに出てきてお辞儀されていました。

音に重みがあり、現代のピアニストに多く見られる細やかで繊細な音作りはほぼないにも関わらず、しかもロマン的な香りも感じられませんでしたが、骨太で大きな音楽には圧倒されるものがあります。

プログラムの中ではブラームスが一番心に残っておりますが、Op.117が始まった途端ブラームスが弾いているような気がしました。
これだけの人生を生きてきた人に見える世界。
苦しみも悲しみも幸せもあきらめも後悔も全て抱えて生き続けているような。
晩年にそれらが昇華されるのではなく、全て抱えたまま人間は生きていくものだと。

彼女なら今でもブラームスのコンチェルトが弾けるだろうなと思わせるほどの体力と技術でした。
あの骨太で重量感のある音楽と音を作り出せるピアニストは現代ではそうそういないのではないでしょうか。



聴くことができて幸運です。
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マリア・ジョアン・ピリス ピアノリサイタル2018年4月17日

2018年04月17日 | コンサート情報
ピリスの引退公演に行って参りました。

舞台袖から現れたピリスは本当に小柄でした。
ピアノまでトットコ歩いているのにすぐに辿り着かない。

そして迎えた聴衆の拍手がなんと温かかったか。
あんな拍手の音は聞いたことがありませんでした。

プログラムは
モーツァルト:ピアノソナタ 第12番 ヘ長調 K.332
      :ピアノソナタ 第13番 変ロ長調 k.333
シューベルト:4つの即興曲 Op.142 D935

どの曲も素晴らしかったです。

モーツァルトはきっと子供の頃から何十年も弾いてこられて、何百回、何千回とステージで弾いてこられた曲だと思います。
それでも真摯に音楽に向き合っている姿が印象的でした。

シューベルトは本当に素晴らしかった。
特に3曲目。
ロザムンデの旋律がテーマになった変奏曲です。
タッチのパレットの豊富さ、精神の幅の広さ。

ピリスの演奏家としての人生がシューベルトの音楽と重なってきて、「また聴きに来れる」はないんだなと急に悲しくなってきました。

引退公演を聴くのは初めての経験で、演奏を聴いていてこれまで味わったことのない気持ちになりました。

最後の第4曲はヘ短調のハンガリー風舞曲を思わせる曲です。
右手の長い下行するスケールで曲は終わります。
単音のF音で終わります。

プログラムの最後がこの1音で終わるとは・・
余計に悲しい・・

しかしピリスはアンコールを弾いて下さり、さらに素晴らしい演奏を聴かせて下さいました。
3つの小品 D946 第2曲 変ホ長調です。

お別れのあいさつをしているんだなと思いました。
全力の演奏でした。
演奏後ピリスは左目の涙をスッとぬぐいました。

聴衆は多くの方がスタンディングオベーションでした。
ピリスと共に歳を重ねてきた方たちの姿が多く目につきました。

多くの方に愛されたピア二ストなんだなと思いました。

日本での本当の最終公演となるデュオのコンサートにも行くので、今日はまだ本当の最後ではないと自分に言い聞かせておりましたが、デュオのコンサートの日はタオルハンカチを持って行かなければ・・
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ロシアン・メッソド バレエのリトミック

2018年04月13日 | 重力奏法
ロシアではピアノのレッスンの日にソルフェージュとリトミックのレッスンも行われるそうです。
全ての地域でということではないかもしれませんが。

リトミックはバレエのリトミックと聞いたことがあり、どのようなものかと思っておりました。
そうしましたら、なんとモスクワ中央音楽学校が最近アップした動画にその様子が紹介されておりました!

マルチェンコ先生の生徒さんの姿も見えます。

音と音の間、最後の音が終わった後の動き。
こうしてあの長いフレーズをたっぷりと歌う感覚が育まれていくのかと思いました。
そして対旋律に合わせて足を運ぶ動き。
実際に体を動かしてそれらを理解し体に覚えさせていくようです。
優雅な動きです。

ЦМШ. Золотые страницы истории. Выпуск 16 – музыкально-теоретический.

進行役のピアセツキ―先生とステージでお話されている5人の女性は中央音楽学校の先生のようです。
ベテランの先生方が子供たちの教育をされていることに感激!


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この音の鳴りよう!

2018年04月06日 | 重力奏法
10歳の生徒さんです。
モスクワ中央音楽学校のマルチェンコ先生がエカテリンブルクという町のグリンカ音楽学校で公開レッスンをされた様子です。

生徒さんのこの腕の使い方。
このように使えると音は鳴りますし歌うことができます。
曲はリャードフのバルカローレOp.44とJ.S.バッハの平均律Ⅰ巻d-moll。

マルチェンコ先生は音色の変え方がお上手だといつも思います。
細かな所のアドヴァイスが多く、音楽家はこのような感覚が絶対に必要だと我が身の大雑把さ加減を情けなく思います・・

24.03.2018 Mira Marchenko' master-classes, Olga Rasskazova (10 y.o.), Yekaterinburg


それにしてもロシアは高さ調節のできない椅子を使うことが珍しくないようで・・
クッションで調節しているようです。
それもない時には椅子を2つ重ねて使っています。
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エリーザベト・レオンスカヤ 東京春祭 2018年4月4日

2018年04月04日 | コンサート情報
1945年生まれ、ジョージア出身ウィーン在住のレオンスカヤのシューベルト・チクルスの第1日目を聴いて参りました。

6日間でシューベルトのソナタ(未完の3曲を除く)全曲+さすらい人幻想曲を演奏されます。

遺作のソナタ2曲のプログラムだけでも大変なことだと思うのですが、ソナタ全曲とはたいへんな偉業です。

本日の曲目は、
ピアノ・ソナタ 第1番 ホ長調 D157
ピアノ・ソナタ 第4番 イ短調 D537
ピアノ・ソナタ 第17番 ニ長調 D850

シューベルト特有の「死」を予感させる曲目ではありません。
そばで歌っていたと思ったらいきなり遠くへ行ってしまい、戻ってきた時には厚い和音になり付点のリズムで踊り、これで終わるのかと思っていると新たな旋律がひょっこりやってきてさらに続き、こうしてシューベルトのソナタは長いものになるのだなと思いながら聴いておりました。

正直な所これらの作品は全楽章を通して完成度が高いわけではなく、レオンスカヤの演奏だから集中して聴き続けられたと思います。

彼女の持ち味でもある重みのある音、柔らかで品のある弱音、落ち着いた呼吸、必要な時に見せる若さある情熱。作り込まない自然さ。

第17番は40分かかる大曲です。
演奏後立ち上がった彼女の頬は紅潮しておりました。

70代の女性がシューベルトのソナタ全曲を生で演奏されるその情熱と体力。
当然ですが、ロシアン・メソッドですので無理のないリラックスした奏法で演奏されています。

アンコールでシューベルトの即興曲Op.90-4 変イ長調を演奏して下さいました。
低音で奏でられた深く息の長いフレーズと中間部で見せた瞬間的にほとばしる情熱。

今日のプログラムはそのような要素の少ない曲かと思いましたので、遺作のソナタを是非聴いてみたいと思いました。
(聴きに行けないのですが・・)
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