おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

続・ロシアンメソッドに変えて起きた悲しいこと

2018年09月30日 | 重力奏法
前回たどり着けなかった本題を。

ロシアンメソッドを生徒さんや親御さんに受け入れていただけるかという不安。

これは始めてみましたら思いの外スンナリでした。


と・・・

ホッとしておりましたらある地域ではほぼ全滅という事態を引き起こしました。

他のお友達はそんなことをしていないと・・

入会を見送った親御さんは「ド」の音から始めないのはおかしいと皆そのようにおっしゃていたそうです。(スタッフ談)
この「ド」はおそらく「1の指」の事を意味しているのだと思います。
このこと自体が何を意味しているかお分かりの先生は少なくないと思います。

指の番号で音を読む・・
固定ポジションの弊害の一つです。

「3の指」が一番腕の重みを支えやすいのでこの指から習い始め、慣れてきたら「2」「4」も使えるようにする、最初に真ん中の3本の指を使い最後に「5」と「1」を加えます。

と説明し「そうなんですか」と納得されていたと思ったのですが、そうではありませんでした。

悲しい・・

私も考えまして、ロシアンメソッドと言う言葉を一般の方にいきなり使うことはやめようと。
従来のものとの違いを説明しても従来のもので何がいけないのかと思っていらっしゃる方には通じません。

体験レッスンではあえて「ド」を弾く曲をやろうとヤマハのピアノスタディにある「ぺんぎんのおやこ」を弾いてもらうことにしました。(3の指で弾いてもらいます。一番しっかりとして弾きやすい指なのでと言って。他の説明はしません。)
このことが起きる前までは不思議な音の国にある3つの黒鍵で弾く「イーアイ イーアイ オー」を弾いてもらっておりました。

「ぺんぎんのおやこ」でもちゃんとロシアンメソッドで出来ますので問題はありません。

椅子の座り方、音の高低・上行下行の聴き取り、2つの黒鍵・3つの黒鍵(ボールを使い手首から移動)、指番号、リズム打ち。
これで「ぺんぎんのおやこ」をピアノらしく弾くことができます。
余力がある生徒さんのみプラスして「イーアイ イーアイ オー」をやります。

このメニューで現時点で未入会はなくなりました。

( ̄∇ ̄;)ハハハ

さてさて、もう一つ悲しいことがあります。
それは短期間で生徒さんが辞めてしまったことです。

押さえつけて弾く、力んで弾くことがピアノの弾き方になってしまっている生徒さんでした。
癖が強く親御さんの協力が必要にも関わらず、親御さんはレッスン室に入られませんでしたので私だけの力では直すことができませんでした。私の手を振りほどいて自分でやるというタイプでもありました。

結局しびれを切らし辞められました。

ロシアンメソッドは書いてある音をただ弾けばよいものではないので小さなお子さんだけでレッスンを受けるのは無理があります。
10歳まではご家族のどなたかについていただく必要があると思っています。私見ですが・・

ですので、1人でレッスンを受けなければいけない状況なのか確認をしてロシアンメソッドは始める必要があるかと思います。小学2年生以上でしたら癖が強くなければ1人でも何とかなりそうですが、それ以下は私の場合は難しいと感じます。
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ロシアンメソッドに変えて起きた悲しいこと

2018年09月29日 | 重力奏法
ロシアンメソッドに変えることで最も懸念していたことは、生徒さんや保護者の方に「受け入れていただけるか」でした。

子供の頃からそのメソッドで習ってきたわけでもなく、私の場合は独学のようなものですし、これでレッスンができるのかと偽物色満載の自分に「大丈夫か?」と問いかけつつ、それでもこのメソッドはおそらく本当のピアノ奏法であろうとの思いは日増しに確固たるものになりました。

もちろん生徒さんに教える前に自分で試しました。

私は12年前から奏法を直し始めておりました。
シャンドールのピアノ教本は大変参考になりました。
しかし文字で読むだけでは理解できないこともありました。

それがロシアの子供たちが演奏する姿やレッスンで先生が指摘されていることを見ているうちに徐々に謎が解けてきました。

謎が解け始めるとそれは何と自分が学生の頃、恩師に教えていただいていたことだとわかりました。

恩師はよくご自分の手の上に私の手を載せさせて手首や腕の使い方、私の腕の上で弾いてどのようなタッチで弾くか、重さで弾くか、どう重さを移動させていくかを伝えて下さいました。

その頃は「ホ~」と思ってもそれを再現できず、前よりは身体を使って弾けるようになったかな・・程度でした。

卒業後何度かヨーロッパにレッスンを受けに行きました。

そこで言われたことで忘れられない言葉が2つ。

「音楽はいいけど、音が・・」(1994年の話)
「すぐには直せないと思いますけど・・」(2007年の話)

1994年の先生はミケランジェリの孫弟子だそうでご自分も先生からよく音の響きの事を言われたそうです。
そんな高度なことを私に?
いえいえ、今思うとものすごく気を遣っておっしゃて下さったとわかります。音が良くないのに音楽は良いということはありえません。

2007年の先生はHPにある先生のCDの音源を聴いた時に、「これは私が出したいと思っていた音だ!」と思い経歴も読まずにレッスンを申し込みました。現地でオーディションがあったので行ってもレッスンを受けられないかもと思いましたが、最期の日にレッスン受けたかった・・無念・・と後悔するのは嫌でしたので落ちても聴講はできると思い受けに行きました。

運よく受かりレッスンは受けられましたが、言われたことが何一つできずどう直したらよいかもわからず、練習室で途方にくれました。
最初のレッスンで言われた「すぐには直せないと思いますけど・・」は本当にその通りになりました。言われた時は直していけると思ったのに。

その直せなかった理由が今はわかります。
奏法が違かったのです。

日本で多少なりとも通用していた私の音はヨーロッパでは全く通用するものではありませんでした。

その経験があったので私はロシアンメソッドで生徒たちにレッスンをしたいと思ったのです。

長くなりましたので続きは次回に。


ちなみに2007年の先生の経歴を帰国後読んでみましたら、リリー・クラウスにピアニストになったら?と言われピアニストになられたそうで・・
青ざめました。自分は大変なチャレンジャーだったと知りました。

リリー・クラウスのさすらい人幻想曲を高校生の頃よく聴いておりました。もちろんモーツァルトも・・

私がその先生に最初に見ていただいたのがモーツァルトのソナタでした。先生は夢のような音で弾いてくださいました。ふわりとした音がサラウンドで聴こえてきて、どこかにスピーカーでもあるのかと音の聞こえる方を「へっ?」と何度か振り返ってしまいました。

HPをよく見たら私の好きなラザール・ベルマンと一緒に写っている写真もあり驚きました。

勝手にご縁を感じております。

もひとつついでに、私の日本の恩師はヴェラ・ゴルノスタエヴァ先生のレッスンを東独で受け、ヴェラ先生のご推薦で現地のオケとチャイコのコンチェルトを演奏されています。とても小柄な先生です。

こんなに本物の実力ある先生のレッスンを受けながら10年も20年も30年も経ってやっと教えていただいたことに気付くという・・
遅いっ!!

でも、気付いてよかった・・と、自分を慰めております
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ロシアンメソッドに変えて嬉しかったこと

2018年09月26日 | 不思議な音の国
その生徒さんを引き継いだのは昨年の春でした。
小学1年生でした。

今年3月の発表会で初めて気付きました。
前年の発表会で偶然に同じ部で、先生との連弾でほとんど聞こえない音で弾いていた生徒さんだったことを・・

引き継いでみると毎回遅刻、「お腹が痛い」「頭が痛い」と休む。
来ないなと思って電話をすると電話の向こうで「行きたくなーい!!」と大声で泣き叫ぶ声がする。

4月に引き継いでGW後にはこの状態でしたのでよっぽど嫌われているとガックリきました。
ただ学校もこの調子で行きたくないというお話でした。

レッスンですぐそばに座っていらっしゃるお母様が「やったでしょ?」「忘れちゃったの?」「ちがうでしょ?」と頻繁に反応していらっしゃったので、1人でレッスンを受けてもらうことにしました。月に1度だけ一緒に入って下さいとお願いして。

あとは宿題やりなさいではなく一緒にやって下さいとお願いしました。
「ちがうでしょ?」ではなく、一緒に音を読んだり、リズムを叩いたり、練習をそばで聴いてあげるだけで良いと。

なにせ彼女は自信を全く失っていたので、できるんだという経験を積まなければレッスンさえまともに受けられません。

そして今年3月の発表会。

蚊の鳴くような音で弾きました。

それを聴いてあの生徒さんだったのかと気付いたのです。

これは初めから全てやり直そうと思いました。

そこでゴリン先生の「ものがたり 不思議な音の国 上巻」を使い始めました。
ピアノ歴3年目でまたゼロに戻ってやり直しました。

テキストに抵抗感は持たなかったので助かりました。
初めの内はなかなか進まず上巻だけで1年かかるかもしれないと思いました。

しかし、来月おそらく修了できます!
(7カ月で終われます。本来は6カ月で終わるそうです。)

8月頃から分かる、できるで自信が持てるようになってきたようで音にも自信があらわれてきました。

宿題をしてこないことが多かったのですが、ゴリン先生のテキストはレッスンで一緒に予習をして家で復習をして弾けるようにして来るように作られています。

時機に予習を丹念に一緒にやらなくとも一人でできるようになってきますが、上巻の内は一緒に予習をした方が良いと思っています。

この生徒さんのお父様が(お会いしたことはないのですが)どうやら一緒にテキストを読んで下さっているようなのです。

読むだけではなく一緒に覚えて下さっているようで「パパ、これ知らなかったから教えてあげた」とよく言っています。

ゴリン先生のテキストは初めから楽譜は出てきません。
徐々に楽譜の形になります。

大カッコ、終止線、小節線、リピート記号、拍子記号、ト音記号、ヘ音記号などが少しずつ書き加えられます。

リズムは黒丸(短く伸ばす)、白丸(長く伸ばす)の2種から。やがてリズム王子の発明によって4分音符、2分音符、全音符、付点2分音符が登場します。休符はいじわるなグランベリーノ閣下によって出現。

音は階段に丸が並んだものから5線に移行します。5線は大譜表のお城という設定で、そこに住む住人の部屋がそれぞれ割り当てられていて音の高さもそこに結びついています。
上下巻で真ん中の「ド」から1オクターブ上の「ド」と1オクターブ下の「ド」までの2オクターブの音を覚えます。
ここが完璧に覚えられればその上や下の音域もわかるはずです。

というわけで、ひとつずつ付け足されていく「ものがたり 不思議な音の国」はピアノの音の出し方を覚えるだけではなく、どこかでわからないまま進んでしまい自信を失ってしまった生徒さんにも使うことのできるテキストです。

彼女は遅刻しなくなり時間より前に到着して待つようになりました。
本人もお母様も表情が穏やかになり、お母様も変わってきたとおっしゃっていました。
本当の気持ちで褒めていらっしゃるのも本人が嬉しそうにしているのも、見ていて幸せになります。

でも、このテキストはロシアンメソッドの音の出し方(腕全体を使う、手首を柔らかに使う、指先を強く保つ)を知ってから使う必要はあります。
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ロシアンメソッドで分かった事

2018年09月24日 | 重力奏法
ピアノは身体の使い方が分かりそれが実践できると誰でも美しい音で音楽的に演奏することができるといいます。

もちろん、どの位できるかは個人差があります。

さて、その個人差。

これは最初のレッスンから(実際には体験レッスンから)明らかになります。
ここで言う明らかの意味は、単純に身体の使い方のことです。

ピアノを習う前から既に指や手首が力む人と全く癖のない人がいます。

癖があるとそれを取るのに3カ月位かかります。
経験者は多くの場合それ以上かかります。

ロシアンメソッドに変える前は、力みの原因は練習量の不足で余裕がないとか、直す気がないとか、教え方が良くないとか思っておりました。

しかし、レッスンを始める前からそれは存在しているのだと知りました。

その事に似ってどこまで求めるかというレッスンの加減が調整できるようになりました。
生徒さんの手を持つことが多くなったので、性格やその子の心理状態も以前より伝わってくるようになりました。

と、単に勘違いしているだけかもしれませんが・・

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ロシアンメソッドで変わった事

2018年09月23日 | 重力奏法
生徒のレッスンをロシアンメソッドにかえて変わったと思うことがいくつもあります。

一部の生徒をロシアンメソッドでレッスンし始めたのが2017年9月でした。
初めてピアノを習う3人の生徒さんを対象にさせていただきました。

その時すでに今では必ず使っているイリーナ・ゴリン氏の「ものがたり 不思議な音の国」は自分で持ってはおりましたが、使いこなす自信がなく生徒さんには使えずにおりました。

ですのでその3人の生徒さんには「はじめの一歩」を使いました。
そのテキストは良かったのですが併用するテキストがどうしても必要になります。
それをこれまで使ってきたテキスト「あたらしいピアノのおけいこ 子供のための音楽教室編(音友)」か「ピアノスタディ レパートリー1(ヤマハ)」のどちらかで併用しました。

バスティン、トンプソン、グローバー、アルフレッド、ピアノランドも使ってきましたが、最終的に落ち着いたのが自分が初めてピアノを習った時に使った「あたらしいピアノのおけいこ」と比較的新しいテキスト「ピアノスタディ」でした。

しかしロシアンメソッドを想定して作られたものではありませんので、早くからレガートや1と5の指を使わなければなりません。

やはりこの組み合わせでロシアンメソッドでレッスンすることは困難です。

それで2018年2月からゴリン氏の「不思議な音の国」に完全に移行しました。

現在「不思議~」でレッスンをしている生徒さんは上、下巻合わせて17人います。
来月2人新しく始める生徒さんがおり、下巻から始めようと思いメソッドに慣れてもらっている生徒さんが3人おります。

ただ、この他に2人の生徒さんがしびれを切らし辞めて行かれました。2人とも経験者です。
早い段階でピアノを辞めて行かれる生徒さんが現れたのは寂しいことです。

これまで私の所には1年未満でレッスンを辞めてしまう生徒さんが幸いなことに滅多におりませんでした。
できていなくとも、分かっていなくとも進んでいくうちに何とかなるだろうでは進めないロシアンメソッドはこの点では覚悟が要ります。

腕をリラックスさせて第1関節で重みを支え、ゆっくりと深い打鍵をする。
この事を毎回、ピアノを弾く間中(たった1音でも)意識してもらいますので、どうでもいいから知っている曲の音が弾ければ満足の生徒さんや保護者の方には通じないと言えるかもしれません。

しかし中には、初めは怪訝そうでしたが「変えて良かった」と3カ月くらい経っておっしゃっていただけたご家庭、

他の楽器店から移動していらして「同じヤマハでも違うんですねぇ」と度々おっしゃっていた保護者の方が、6カ月経って「こちらに移ってきて良かった。本人も前とは違い楽しそうに弾いている」とおっしゃっていただけ、夏に参加したコンサートで会場の音響のおじさまに「滑らかに弾けていてよかった」とおっしゃていただけたそうです。その生徒さんは一音一音しっかりと弾くレッスンを受けていらしたので滑らかさとは正反対のところにおりました。
それでゴリン先生の「不思議な音の国 下巻」を使ったのです。

私にとっても「不思議~」を使った最初の生徒さんです。
その生徒さんの保護者の方がレッスンを録画して下さり協力的でしたので私も生徒さんのレッスンをロシアンメソッドに完全に切り替えられたのだと思います。

なんでも裏と表があります。

自分が本物だと思うことをやり続け、やり通す。
その意志の強さが、まだ多くの方に認知されていないことを始める時には必要になります。

まさかピアノのレッスンでこのような経験をするとは想像しておりませんでしたが・・

今回書きたかったことはそのことではなく・・・

レッスンで毎回自分が口にする言葉が、
「深く、肩からの腕の重みをピアノに埋め込むように」(スライムこの時、必ず登場)
大人の方には
「深い音は、腕をリラックスさせてゆっくり鍵盤に沈めると出ます」

4歳の生徒に深い音を求めるなんて・・
初心者の大人の方に深い音の出し方を教えるなんて・・

自分がこんなことをレッスンで口にするようになるとは夢にも思いませんでした。
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アレクサンダー ・ガヴリリュク ロシア3大協奏曲 2018年9月12日

2018年09月13日 | コンサート情報
東京芸術劇場コンサートホール(1999席)が満席でした。

一晩で3曲のピアノコンチェルトをガヴリリュクは演奏しました。

昔、アシュケナージが一晩でブラームス第1番とラフマニノフ第3番を演奏し、ラフマニノフの途中で弦が切れ(確か第1楽章)、第2楽章に入る前にステージ上の全員が一旦袖に引っ込み、調律師さんが登場し皆の注目を浴びながら応急処置をされたことがありました。

一晩で複数のコンチェルトを一人で演奏するのを聴くのはそれ以来です。

プログラムは
チャイコフスキー第1番
プロコフィエフ第3番
ラフマニノフ第2番

チャイコフスキーを聴きながらこの曲を生で聴くのは30数年ぶりだと思い出しました。
聴いていて、ロシア色満載な曲だと今更ながら思いました。
ガヴリリュクの艶やかな音からロシアの風土、文化が伝わってきました。
純粋にロシア音楽を堪能できました。
ただ、オケが随分と慎重で少々不満を感じましたが、曲の最後の最後でテンポも音量もアップし、この時のために押さえていたのかとも思いましたが、そんなに押さえなくともガヴ殿は大丈夫ですけど・・と思ったりしました。

プロコフィエフはオーケストラがノリノリでした。
もう少しオケの音のごわつきがなければスッキリとしていたと思いますし(もっとシャープでドライな方が良かった。木管の音の重なりが厚ぼったかった。)、ピアノとの音量のバランスも指揮者がもっと押さえてくれても良いのでは?と思いながら聴いておりました。

ラフマニノフはガヴリリュクの音に一番合っていると思いました。
美しく滑らかな音が内面の葛藤を描き出すのにピッタリでした。
(でも昨年のBBCプロムスの第3番の方がもっと良かったです)

もちろんガヴリリュクは心地良い音だけではなく悪夢をも描き出す音を持っています。

学生の頃、ジェシーノーマンのリサイタルを聴きに行ったピアノ科の知人が「彼女は音楽のためなら汚い音も出す。でも自分はまだそれができない。」と話していたことがあります。
その知人は足りないものがないくらい素晴らしい演奏をする人でした。その彼女のこの言葉は私には衝撃でした。私はそんな風に音楽を捉えたことがありませんでしたので。

ガブリリュクの演奏を聴くと知人のその言葉を思い出します。
しかしガヴリリュクは決して汚い音は出しません。人間の声とピアノの音ではリアルさに違いがあり、ピアノで本当に汚いとされる音を出してしまっては芸術ではなくなると思います。

ガヴリリュクの凄さのひとつは天国の音も地獄の音も出せることだと思います。その到達度が凄い・・

2018-2019のシーズンは、フィルハーモニア管、シカゴ響、ウィーン響、バーミンガム市響との初共演があるそうです。

コンチェルトは相手あってのものなので、音楽の深さを共有でき、さらに触発される機会が徐々に増えてきていることをとても嬉しく思います!

もっと早くメジャーなオケと共演していても不思議ではないピアニストだと思っています。
共演者へのリスペクトもガヴ殿は素晴らしいです!
数々の経験が将来とてつもない花を咲かせてくれることでしょう。

その日が待ち遠しい・・


全く知りませんでしたが、いただいたチラシの中にギルトブルグのチラシが・・
今年の11月2日にトッパンホールで演奏します。
仕事を休みにして行きます!先程チケット買いました!
今年のイベントはガヴリリュクで終わる予定でしたので11月までは頑張れそうです。
11月27日のヴィルサラーゼも行くことにしました!

わーい!!
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フォルマシオンミュジカルってなに?⑩

2018年09月12日 | フォルマシオン・ミュジカル
フォルマシオン・ミュジカル。

この言葉が初耳だった方も、そして聞いたことはあるけれど、
「あ~、フォルマシオン・・なんでしたっけ?」だった方も、
今では「フォルマシオン・ミュジカルですね。知っていますよ。フランスの音楽教育ですよね」と答えられるほどになっておられることと存じます。

私はフォルマシオン・ミュジカル(F.M.)のおかげでこれまで聴いたこともなかった曲、全く知らなかった作曲家の作品を知ることができました。
音楽は長い歴史を持つ過去の遺産ではなく、現在進行形で新しいものがどんどん生まれているものだと実感致しました。

さて、J.S.バッハよりも前の時代から現役の作曲家まで、これまでたくさんの作品をF.M.聴音で生徒さんと行ってまいりましたが、私が最も驚いた課題をご紹介したいと思います。

それは、ストラヴィンスキー作曲「兵士の物語」のナレーションです。
歌でも楽器の演奏でもない、ナレーターが朗読するあのナレーションのリズムの聴き取りです。

「兵士の物語」は、休暇に故郷に帰る兵士が悪魔に出会い、兵士のヴァイオリンと悪魔の持つ富を得る本を交換する話です。悪魔に騙され大切な故郷と婚約者を失い、最後は兵士の魂が悪魔の手中におちるといった内容です。
全てを持つことはできないという戒めを含んだ話です。

さて、課題は兵士が故郷に帰る第1部にある「兵士の行進」という部分です。
ナレーションは原作通りフランス語です。

「Entre Denges et Demezy,Un soldat qui ・・・・・」
いきなり「はぁ?」でした。

ナレーターが好きなように語っているそれを聴き取るのかと、あまりのユニークさに驚きました。

しかし、譜面をよく見るとちゃんと拍子があって、2拍子から3拍子、再び2拍子とあります。

気を取り直して良く聴いてみると、ちゃんと存在するリズムでナレーターは語っておりました。

リズム聴音の常識が崩れ落ちました・・
これをリズム聴音の課題にしようという発想にも驚きました。

フォルマシオン・ミュジカルのおかげで発想の自由さに触れ、柔軟で自由であることが新しいことを生み、人をワクワクさせるということを知りました。

さて、これまで10回に渡り書かせていただいた「フォルマシオン・ミュジカルってなに?」は今回を最終回にしたいと思います。

これまでお読み下さりありがとうございます。
レッスンや人生のお役に立てると(大袈裟すぎ?)嬉しいです。
では、またいつか。(=^・^=)

(注:楽器店での連載を終えただけです。当ブログではまだ続けるつもりでおりますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。)
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フォルマシオンミュジカルってなに?⑨

2018年09月11日 | フォルマシオン・ミュジカル
「オー イヤ― イタ クク ワイエ~、
オー イヤ― イタ クク ワイエ~」

当ブログにお越し下さりありがとうございます。

さて、冒頭の「オ― イヤ―」
おお、これは!と思われた方はいらっしゃいますか?

流石!!

これは西アフリカにあるギニアの「KUKU」という民謡です。
遥か彼方の地、アフリカの民謡です。

F.M.のテキストに聴音の課題として載っておりまして、それで私は知りました。
初めて聴いた時は衝撃でした。

パーカッションの演奏から始まるのですが、それが長々と続きいつ歌が始まるのかと思っていると40秒くらいして地元のおばさんと思われる女性の声で「オー イヤ―」と始まります。

たいへん味わい深い演奏です。
ピアノにはない音程がチラホラ聞こえます・・
聴音というのはわかりやすく演奏されたものを聴き取るものだと思っていたので、初めて聴いた時は唖然としました。

しかしこれがF.M.なのだと、この時知りました。

地元のおばさんと思われる女性の歌を3~4人の若いと思われる娘さんたちが復唱するスタイルで曲は繰り返されます。
伴奏はパーカッションのみです。

途中でパーカッションによる長い間奏が入り、再び歌が繰り返されます。

このパーカッションが偉くカッコいいのです!
6~7個の楽器の音が聞こえますので、歌と合わせると総勢10名で演奏していると思われます。

歌詞の内容は「心配事は踊って忘れてしまおう!」というものです。

このリズム感、ホレボレします。
聴音のことなど忘れてリズムにノリノリの生徒さんもいました。
まさに「心配事(聴音)は忘れてしまおう!」です・・

レッスンで生徒さんと音楽を聴く機会がF.M.を始める前までは、ほぼありませんでした。
しかし今は、生徒さんと一緒に音楽を聴いて「この曲、いい曲だね」とか「この歌声、癒されるね~」といったひと時を過ごすことができます。
これもF.M.の良さだと思います。
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フォルマシオンミュジカルってなに?⑧

2018年09月11日 | フォルマシオン・ミュジカル
さて、どんな楽器でも「聴音」は大事です。
特にピアノは一度にたくさんの音を一人で出しますので、メロディしか聴き取れていないよりは伴奏も聴き取れていた方がより良いわけです。
ついでに対旋律とか内声とか言われているものも聴き取れた方がさらに良いわけです。

ピアノを弾く人ってスゴイと思われるかもしれません。
しかし、ピアノを弾く人の多くはピアノ以外の楽器の音の聴き取りが苦手です。
弦楽器や管楽器の経験がない人は特にそうです。(それは私の事ですが・・)

F.M.ではどんな楽器を習っている方でも、様々な楽器編成、様式の作品を聴音の課題にします。

私が使っているテキストの「音の聴き取り」の1曲目は、
R.コルサコフの「ロシアの復活祭 序曲」です。
オーケストラ作品です。

最初の主題をフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットがユニゾンで奏でます。そのあと同じ主題を1オクターヴ高く第1ヴァイオリンとその1オクターヴ下でヴィオラが奏でます。第2ヴァイオリンは和声を作り出す音を担当しています。木管楽器と弦楽器で演奏される最初の主題を聴き取るのが課題です。

聴音といえばピアノで行うものと思って育った私には初めから「へ?」でした。

なかなかわからない時もあって「まずい・・」と思うこともありますが、人間の耳はちゃんと慣れていきます。若くなくても・・(これも私の事です;)

この課題は小学生の生徒さんもしています。
「ロシアの復活祭」と聞いて、みんなロシアが復活する意味だと思うので、卵に絵を描く「イースター」のことだと話すと「あっ、そっちね」とちょっと拍子抜けした顔をします。



なんだか、ドラマティックな話じゃなくてスミマセンという気持ちになります・・

ところで、なんと!大学の音楽学部の入試の聴音がF.M.になった学校がいくつかあるそうです。聴音の課題をピアノを使わずに行うそうです。

音楽本来の姿で課題を行わなければ意味がないということです。

私がこちらのブログでご紹介している話が「古いっ」と言われる日がいよいよ近付いてまいりました。

既にそうなっているかもしれません・・
が、もう少しだけお付き合いください。

では、また。(=^・^=)
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フォルマシオンミュジカルってなに?⑦

2018年09月09日 | フォルマシオン・ミュジカル
最近はフォルマシオン・ミュジカル(F.M.)をご存知の方が増えてまいりました。
私の話が「古いっ・・」と言われる日も近いかもしれません。

少しばかりの哀愁を感じつつ今回ご紹介をするのは、小さな生徒さんたちに人気の「5文字のリズム」です。

CDの音楽と一緒に<4分音符>と<8分音符>のリズムを叩くエクササイズです。
ノリよくアクセントをつけて叩きます。
2つの8分音符がベタついたり、ただの拍手にならないように気を付けて。

この課題の最後に5文字の言葉に合わせてリズムを叩くものが出てきます。
(「Faisons de la musique en F.M.vol.1」/ H cube)

テキストには「靴下を履く」とか「帽子を被る」とか「コートを着る」などとありますが、日本語では字余り過ぎて使えませんので、生徒さんたちに考えてもらっています。

私も考えまして、「チョコレート」「モンブラン」「いちごパフェ」などを用意しているのですが、生徒さんたちはそんなものでは満足せず自分で考えます。

例えば・・
「き・ん・し・ちょ・う」
「そ・う・ぶ・せ・ん」

さすが江戸っ子!

他には、
「コンサート」「ひこうせん」「プリンセス」
「かんきせん」(なぜ思いついたのやら)

そして私にとってのヒットは、
「わ・す・れ・も・の」

保育園で何があった?と心の中で問いかけたのでした。

では、また。(=^・^=)
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フォルマシオンミュジカルってなに?⑥

2018年09月09日 | フォルマシオン・ミュジカル
下の写真、なにがおかしいでしょう?



どちらも同じF.M.のテキストのシリーズです。
「CHANTONS EN F.M.」(Editions Lemoine)と言います。
その第1巻と第3巻を並べてみました。

再び、上の写真はなにがおかしいでしょう?

「CDの顔がこわい・・」

確かに少しこわいです。
でもおかしくはありません。

実は、手前のテキストはCDがウラ表紙側に付いています。
しかし、奥にあるテキストはCDがオモテ表紙側に付いています。

おかしいところはまだあります。

手前のテキストはCDの入っている袋が斜めに貼り付けられています。

まだあります。

よく見ないとわかりませんが、CDの袋の口が手前は上に、奥は右にあります・・

文句を言っているのではありません。
フランス人は自由だなと思っているだけです。
袋の口が下を向いていたり、袋がほぼ裂けていたりとうこともあります。
日本では「あってはならぬ」事態です。

自由なフランス人が作ったF.M.のテキストは、結構細かいところから音楽の基礎力を付けて行きます。

聴音を例に挙げると、半音と全音、順次進行と跳躍進行、上行形と下行形。このような聴き取りから始めます。

しかもオーボエの音であったり、ファゴットだったり、チェンバロだったり、ハープだったり、声だったり。

キリがありません・・
楽器の音も初めから覚えていくことができるのです。

次第に音程を聴き取るものに発展していくのですが、これが演奏に役立ってきます。

ドとかレが分かっても2つの音の音程がどのような意味を持つのかを感じ取れなければ音楽にはなりません。

音楽の為の音楽の基礎がF.M.です。

では、また。(=^・^=)
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フォルマシオンミュジカルってなに?⑤

2018年09月08日 | フォルマシオン・ミュジカル
さて、皆さんは「ドレミ」の起源をご存知ですか?

「ドレミファソラシ」という音の名前、いつの間にかそのような呼び名になったのではなく、ちゃんと起源があるのです。


それは約1000年前に遡ります。


グレゴリオ聖歌「聖ヨハネ讃歌」の歌詞がその起源です。


各フレーズの最初の音が「ドレミファソラ」となっていて、
各フレーズの歌詞が「Ut Re Mi Fa Sol La S」の言葉から始まっています。


ん?歌詞には「ド」がない・・

何でも、発音しにくいので「主」を表わすDominusのDoに変更されたのだそうです。

「シ」は最後のフレーズにあるSancte IoannesのSとIを合わせたものです。
これ、聖ヨハネですかね・・
「シ」って神聖な音なのですね・・


この歌がF.M.のテキストに載っていて、初めの3フレーズを音名で暗記しましょうとあります。

暗記する前にCDでどんな音楽か聴くことができます。

跳躍進行(隣の音に進行していないこと)を丸で囲みましょうとか、
順次進行しかないのはどのフレーズ?とか、
初めの3フレーズをヘ音記号で書きましょうといった問題が出されています。

ひたすら丸暗記ではなく、このように考えるという事をするのもF.M.です。


初めの3フレーズはこのようなメロディです。拍子はありません。

ドレファレミレ レレドレミミ ミファソミレミドレ


覚えてみましょう!


では、また。(=^・^=)
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フォルマシオンミュジカルってなに?④

2018年09月08日 | フォルマシオン・ミュジカル
フォルマシオン・ミュジカルに少し興味が湧いてこられましたか?

「まだ、ぜんぜんです。」 
というあなたのために、今回は親しみの湧くものをご紹介致します。
こちらをご覧下さい。



これはフランスで作られたテキストです。
(「La dictée en musique vol.1(Editions Lemoine)」)

なのに、

読める文字があるではありませんか!!

「うさぎ」

このテキストの第1曲目は日本の歌「うさぎ」なのです。
海外で知られているとは思いませんでした。

課題の内容は、どんなリズムで演奏されているかを答えるものです。
どんな音かは書かれています。
いきなり音とリズムの両方を聴き取るところから始めなくてよいのです。

ただし、歌声の聴き取りで伴奏も聞こえます。
一般的なソルフェージュと違い、聴き取ってほしいものだけ聞こえてくるのではありません。
合唱、弦楽器、管楽器、打楽器などピアノ以外の楽器の聴き取りが当たり前です。

これがF.M.です。
音楽本来の姿で音楽の基礎力を付けて行くのです。
レッスンでは何の楽器で伴奏されているかも答えてもらっています。
曲によっては作曲家やその時代についてもお話しています。

1つの課題でいくつかのことを知ることができるのがF.M.の特徴でもあります。
私も勉強しないと・・です。

さてこの課題、どんなリズムか歌を思い出しながら書き取ってみて下さい。
「十五夜お月様、見てはーああねーる~」の曲です。

では、また。(=^・^=)
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フォルマシオンミュジカルってなに?③

2018年09月07日 | フォルマシオン・ミュジカル
F.M.の内容とは関係ありませんが面白いものがあるので今回はそれをご紹介します。



これは「L’ouverture à la musique vol.1(Editions Lemoine)」というテキストにあるページです。

このページは1拍目にアクセントをつける練習と4分音符、4分休符を覚えること、

それから同じテンポを保つことを身に付けるためにあると思われますが(CDの音楽と一緒に行います)、

今回はその話ではなく・・・

その上をご覧下さい。


「そ」?

生徒さんは皆さん不思議そうに、「そ?」と言います。

外国のテキストなのに突然の日本語。

丁寧に書き順まで・・・知ってるよ・・


お気付きですね。

「4分休符」です!


日本では下から書くのが一般的だと思いますが世界共通ではなかったのですね。

こんな発見もあるF.M.です。

では、また。(=^・^=)

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フォルマシオンミュジカルってなに?②

2018年09月07日 | フォルマシオン・ミュジカル
楽しみながら音楽の基礎になる力を付けてしまうF.M.

音符がスラスラ読めたり(読譜)
リズムがバッチリわかったり(リズム)
耳コピできたり(聴音)
初めて見る曲でも歌えたり、弾けたり(新曲視唱、初見)

こんな力、できればほしいですよね。ひとつでもほしい!ですよね。

昔からこのような力を付ける基礎訓練はソルフェージュと言われて行われてきました。

しかし、
きれい!とか、感動する!という課題に出会うことは滅多にありません・・
そして多くの場合、それはピアノを使って行われます。

そこがF.M.は違うのです!

ルネサンス期から現代までの約500年もの間に作られた器楽曲、声楽曲、室内楽曲、
オーケストラ作品などをそのまま課題に使って、「音楽の基礎力」なるものを付けて行くのです。
大作曲家たちが「音楽の基礎力」を付ける手伝いをしてくれるわけです。

クラシック音楽だけではなく、民謡やジャズまであります。yay!



この写真は「La dictée en musique(Editions Lemoine)」(音楽の聴き取り)という聴音のテキストです。

聴き取るところだけの音が聞こえるのではなく、音楽作品としてそのまま演奏されています。(CDを使います)
その中から必要な音を聴き取るのです。
これがF.M.の特徴です。

では、また。(=^・^=)
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