娘が父のことを想って建てた湧水の碑
県道698号線を田ノ頭から仙頭屋敷に向かって行くと
途中で 「 温所湧水 」 と書かれた看板が目に入った。
温所とかいて 「 ぬくどころ 」 と読むそうである。
温所湧水の由来と書かれた看板があり、
そこには下のように記されていた。
長谷部音吉さんは、その先祖の清右衛門さんの三代の子孫である。
法名は龍音。その人の性格は、度量が大きく小事にこせこせせず、
庶民の生活の実情や人情によく通じていて、
明治四十三年に転居してきた。
この地にきれいな水が湧き出ており、ここを温処と称し、
この浄水を掬う人おり、そして旅の疲れを癒していた。
音吉さんは、憤然と立ち上がり、投資して茶屋と道標を建設し、
そして旅情の慰め ( 行き交う人の助け ) とした
この善行は賞すべきことである。
昭和四年二月二十六日に六十四歳で亡くなった。
ああここに、その娘の喜さんが、
昔を懐かしんでこの碑を建てようと考えた。
思うに根本にかえって、その恩に報いようとする志、
親をおもう心は称賛すべきことである。
昭和十年一月上旬 「 玄妙 」 という坊さんが書き記す。
赤石自治会