フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

中世美術館から MUSEE CLUNY

2005-06-26 14:29:11 | 展覧会

今日は朝から曇り空、午後からは雨と雷が始まっている。少し涼しくなりそうだ。

昨日は午後から先週とは別の路線のバスに乗り Saint-Germain-des-Prés へ。そこからゆっくり裏路地を歩きながら街並みを楽しむ。Fond d'artichaut (アーティチョークの芯) のサラダを食べ、Musée National du Moyen Âge (Thermes & Hôtel de Cluny) には2時くらいに着く。受付に行くと、今日の4時から中世音楽のコンサートがありますよ、という。そう言えば。来る途中にポスターが出ていた。

入るとすぐに中世音楽が流れている librairie がある。これまでであれば全く興味を示さなかった本で溢れている。一通り目を通す。特に目に付いたのは、ジャンヌダルク関連の本(彼女の人生や裁判記録など)、中世を題材にした小説の類、建築・彫刻・庭園・文字など視覚を楽しませてくれる本、Georges Duby という人が書いた分厚い研究書など。少し驚いたのが、アメリカにいる時によく読んでいてその後フォローしていなかった Ken Follett (Eye of the Needle、The Key to Rebecca、The Man from St. Petersburg、Lie Down with Lions など) が中世イギリスを舞台に小説(The Pillars of the Earth; Les Piliers de la Terra)を書いていたことである。彼のホームページによると、次の小説はこの続編とのこと。時間があれば浸ってみたいものばかり。本を読むために、執筆をするために職を変える人の気持ちがよくわかる気がした。

織物が豊富に飾られていたがよく見ることができなかった。当時の生活が蘇るのだろうが。どこかが欠けたり、全体に角がとれているような彫刻が多く、それゆえにいとしさが湧いてくる。コンサートがあった salle 8 の脇にはそのような彫刻ばかりが多数並べられ、その舞台上には、胸から上が欠けた像ばかり 10 (?何と数えるのだろうか) ほどが置かれていた。

コンサートは、バカンス前最後になるものだった。
harpe ハープ (この奏者は 後ろから空気を送り込む orgue オルガンも弾いていた)、vièles (チェロを思わせる楽器。彼女はマンドリンのようなギターのような音を出す楽器も弾いていた)、ソプラノ、テナー、カウンター・テナー(歌っていない時は打楽器奏者として参加していた)、それに木管奏者(指揮者)の6名。彼は、多種の縦笛、横笛、オーボエ風の楽器動物の角から作った楽器、縦笛につながれた袋に息を吹き込み、袋を左の脇にはさんで空気を腕で押しながら送る、崩れたつぶれたような音を出すバグパイプの原型のような楽器(このような形です)、「コンドルは飛んでいく」で使われている南米の楽器に似た Frestel、ハーディ・ガーディ vielle à roue など実に多様な楽器を演奏し、最後は自分の足も打楽器にして床を大きく叩いていた。

中世の音楽を今回のコンサートから推測すると、全員が全身で音楽に参加しているという一言。歌手は歌っていない時は打楽器をやったり、楽器を弾いている人も一緒に歌ったり、弦楽奏者が打楽器をやったり。現代の音楽が専門化しすぎて、一人の人間ができる範囲が非常に狭くなっていることに改めて気付かされた。悲しい歌あり、喜びに満ちた歌ありで、これまで単調に感じていたこの時代の音楽も少しだけ息をしだしたようだ。

彼らの表情をみていると、指揮者は中世の僧侶のような顔立ちだし、他の人もなぜか現世と距離を置いているようにも感じた。終わってから一人と話をする。楽器はもちろん複製、打楽器などはmaghrébin やトルコの影響のあるものなど、当時の文化の交流を勉強できるので面白いとのこと。現代に中世音楽を演奏する意味は?と聞いてみたが、なかなか難しい問題だが、まず演奏することが第一、それを蘇らせることが第一。それから聞いている人の中に何かが生まれてくるのだろう。そこに意味を見出している、というようなことを熱っぽく語ってくれた。

帰り、Moufftard 地区の散策。Paul Verlaine (1844-1896) の終焉の家が目に入った。1階はレストランになっていたが、その親爺もメランコリックな目をしていた。コスモポリタンな感じがする界隈である。マルシェでは、果物が売られている。1 Kg/ 3ユーロのさくらんぼ。感激。そのカルティエを出てれから道に迷っているうちに古本屋を見つける。中に入ると空調もなく汗が噴き出してくる。この店では落ち着いて本を探すことができた。気になった本が3冊ほどあった。一つは紙も黄色く軽くなっている 40 年代に出たロルカの詩集。30年代の挿絵入りの本で、ページがまだ半分くらい閉じられたままになっているが、開いているところは読みやすそう。それにリルケの手紙で、70年代に出たもの。リルケの本は前回来たときにも買っている。なぜか縁があるようだ。

帰りは、何かの manifestation があり、交通がブロックされていたので歩いて帰らざるを得なかった。そう云えば中世の音楽を聴いている時に大音響のロックが聞こえきて、現代が聞こえてくるなと思っていたが、それは彼らのコンサートだったようだ。

途中、モンパルナス駅の Paul という店で Henri IV というサンドイッチを食べ、横の本屋で沿岸地帯の保護プロジェクトについてのDVD (Le littoral en liberté) が付いた Le Point を買って帰る。日本には付録は送られていないだろう。今朝見てみたが非常にきれいな映像だった。


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