フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

Stella Maris = 吉野 建

2005-04-27 20:17:14 | パリ・イギリス滞在
                 "Rue de Paris. Temps de Pluie."
                  Gustave Caillebotte (1877)

昨日届いた Le Point にパリのレストラン 「ステラ・マリス(Stella Maris)」 のシェフ、吉野建 Tateru Yoshino さんが un japonais étincelant として、« Le dernier samouraï » の中で紹介されていた。étincelant という言葉の響きも、意味 (= brillant, vif: esprit étincelant きらめく才気) も素晴らしい。なぜか嬉しくなる。

パリ、料理に詳しい方はよくご存知だと思いますが、私がこのレストランを知るようになったのは、3-4年前のこと。よく顔を出していたレストランのシェフ (HH) が、もしパリに行くのなら一度行ってみてはいかがですか、と勧めてくれた時に始まる。HHさんはパリで7-8年働いていて、シラク大統領にも料理を出したこともあるという人で、最初はフランス語を教えてもらったりしていた。目に入る情報が増えるに従って、吉野さんはその道では名の通った料理人であること、若いときにパリで勉強した後日本で成功するが、それに飽き足らず再びパリで研鑽しようとする (Le succès ne l'empêche pas de revenir en stage à Paris.) 求道の人であることを理解する。Michelin の星がなかなか手に入らないらしいが、料理も星の数では計れないだろう。Le Point の記事でもその点は好意的に扱われている (Michelin ne lui accorde que deux fourchettes. Mais toute la critique est sous le charme.)。

数年前に初めて、凱旋門近くにあるそのレストランに立ち寄った。丁度横に座ったイスラエルからのご夫婦 (昔アメリカの大学で働いたが、今は悠々自適の生活をしているという) と気持ちのよい会話の時間を持つことができたことを思い出す。そんなにパリが好きだったらきっと気に入るだろう、と言って"Paris to the Moon" (by Adam Gopnik) という本を紹介してくれた (邦訳も 「パリから月まで」 としてアプオンから出版されている)。不思議なことに、その本をその時読み始めていたのだ。

帰りに吉野さんの奥様から、本 (「星をつかむ料理人」 新潮社) が出たこと、NHK-TVの 「ようこそ先輩課外授業」 に出演することなどを教えていただいた。本の方はまだであるが、「課外授業」 は幸運にも見ることができた。どの料理人も子供の時に経験した味が基本にあるということを改めて感じた。

前回の滞在では時間が取れず、行けなかった。この夏にパリを訪れた時には、是非もう一度味わってみたい。財布に余裕をもって。Le Point によれば、Les prix, eux, ne font rire personne. Mais ils sanctionnent la qualité. とのことなので。

7 juillet 2005 吉野 建
10 septembre 2006 マルモッタン美術館
コメント
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