「エネルギー」と題する本を読んでいて、いささか気になる
ことがあった。
作中で「トーニチ」と称する商社の名前が出るのだが、頭から
下位商社と決め付けるのは作家の勝手としても、「トーニチ」
の社員が登場する場面で、したたかな関西人との表現が
上巻の前半分だけでも二度もある。
神戸在住の者として、まことに不快に思う。
関西(それも大阪に)端を発する商社は、勝ち組に生き残った
伊藤忠も丸紅もそうであり、近代日本の工業化の先頭を
走った産業が紡績業で、その原料である綿花輸入と製品である
綿糸布の輸出が日本の貿易の主力アイテムであった時代が
あったことの証左でもある。
ひとくちに関西人呼ばわりをされて、不快に思わぬ京都人や
神戸人はいなかろう。
俊英の名が高い著者であればこそトーニチを差別する文面が
気にかかるのである。
パパゲーノ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます