作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

歴史・エッセイ・小説・時事ニュース・・・なんでもござれのブログです。どうぞよろしく。

【 働かないサラリーマン (2) 】

2006-10-27 17:01:39 | 12 幼き日々のこと


かく言うボクだって最後の一年二ヶ月ぐらいは、
只で給料・ボーナス貰ってました。

ウイーンから呼び戻されて、50代の先輩数名の
業界お付き合いの仕事をみんな取上げろ。
そうすれば連中は会社に居残る理由がなくなる。

それがボクの仕事と聞いてカッとなった。

会社がそこまで苦しいのなら、じゃボクが辞めましょう。

驚いた常務が翻意を促した。
「誰がキミに辞めろといった。キミはまだ40前半
 じゃないか。帰国以後さしあたりの仕事として、
 日本商工会議所とか日本貿易会の委員会とか、
 そうした任務についてくれと言っただけじゃないか」

「辞めろって言われたのと同じことでしょう。あの人たち
 皆ボクの先輩ですよ。ゴルフ教えてくれた人。飲みに
 連れて言ってくれた人。そんな先輩の足を引っ張る
 非人情なことボクにはできません。辞めるしかない」

いろんな人が常務の命令か依頼か知らないが、ボクの慰留
にやってきた。過半は頼まれたから仕方なく来たと顔に
描いてあった。

数人は本気で慰留してくれました。ボクもぐらっときたこと
何度かあります。

後に専務まで昇格した第1本部長は、ボクの手を取り
「友達じゃないか」と涙をこぼし、ボクも泣きました。
だけどオトコがいったんクチにしたこと引っ込めるワケ
には行かない。

常務は意地でも辞めさせんという。ボクはオトコだと
突っぱねる。

じゃあ会社には来ませんからと、トータル14ヶ月出社しな
かったが、給料はちゃんと振り込まれ続けた。
あれは立派にサボタージュでした。

ボーナスも2回もらった。「査定はお気に召さないでしょうが」
と人事部長の添え書きがあった。

今思い出したがボクは結局「辞表」を出していません。




                                       パパゲーノ


≪前へ                目次へ             次へ≫



最新の画像もっと見る

コメントを投稿