作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

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【 富良野への旅 】

2012-08-17 15:33:53 | 02 華麗な生活

前回に書いた富良野への旅は97年のことだった。
新富良野プリンスホテルに五連泊もする客は珍しかったようで、
長谷川さんという総支配人さんが、宿泊中のソフトドリンクを無料に
して、毎日冷蔵庫をいっぱいに入れ替えるサービスを行なってくれた。

富良野へは札幌からの高速バスの方が便利だと後で知った。
情報不足のボク等は、当時の東亜国内航空の老朽化した飛行機で
旭川まで飛んで、地道をゆったりと富良野まで行ったのだった。

長谷川総支配人は、到着日に行なわれた「ヘソ祭り」に、ホテル従業員
で作ったチームの先頭に立って踊り、みごと優勝された。
当時はまだ北海道拓殖銀行も健在で、踊りのチームを出していた。

ホテルでは、翌98年に放映された「北の国から・時代」の撮影中で、
脚本家の倉本聡氏も居たし、成人した純役の吉岡秀隆も、同じレストラン
の近くの席で食事を摂っていた。

尿毒症の末期症状だったボクには辛い旅であった。
街で一番人気の蕎麦屋に入っても、蕎麦つゆの香りを嗅ぐとむかむかするのだ。
ホテルで食べたカレーライスも、食べている間は美味いと思えたのに、後から
胃の中の強烈な匂いに、むかむかする。

翌年放映された、「時代」では純は宮沢りえと恋愛関係にあったが、ホテルでは
吉岡はいつも女性マネージャーと一緒で、宮沢りえを見ることは無かった。

倉本氏が書いた「北の紳士録」に登場する、富良野の有名人たち、チャバたちにも
全く出会うことは無かった。キタキツネも寄ってくることはなく、ラベンダー畑も、
美瑛の丘も、さして感動はしなかった。

倉本氏は、その後も延々と「北の国から」を、同じ俳優を使い続けて大長編を描き
上げた。純も蛍もあどけない幼児が、それぞれ成人し、不倫も行なって父の五郎を
苦しめる。登場人物はみんなが不幸になる。

脚本家は根がイジワルなんだろうか。五郎が別れた妻を演じた石田あゆみも亡くなるし、
だから純も蛍も母の無い子になってしまう。

親戚の草太兄ちゃんは、明るい性格で女好きだが、頼りになる存在だ。
倉本氏は草太まで最後は殺してしまう。

そして五郎の頼りの綱である中畑木材の材木置き場から出火して大損害を与える。
最後には中畑の妻が末期ガンで亡くなる。
五郎に妻のガンを知らせる、地井武男の男泣きするシーンが話題になった。
実は地井の実の奥さんが、撮影の一ヶ月前にガンで亡くなっていた。

話題になった地井の名演技は、現実に奥さんを亡くしたこととダブった地井の哀しみで
あったのだと思う。倉本氏には、東京赤坂の東急ホテルの二階通路で、すれ違った事も
あった。脚本家は俳優に酷な役割を演じさせる。


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