作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

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【 淡路の人 (二) 】

2008-05-25 14:02:33 | 02 華麗な生活

ボクの叔父(父の弟)は声楽家として、かなり有名な人であった。
戦前に上野の音学校(今の東京芸大)を卒業して、終戦時は
今の大阪教育大で音楽特に声楽を教えていた。
年にニ回の個人リサイタルを御堂筋の北御堂でやっていたから、
結構なノドであったんだと思う。

この大学へも願書を出すという友人に付き合って、池田まで行き
叔父を呼び出してもらった。
叔父はボク等に付いて来いと言って、池田駅の辺りまで戻り、
親子丼を注文して、食べなさいと言い、食べ終わるやトナリの喫茶
に入ってコーヒーを頼んだ。
その時はじめて叔父はボクを認め「何だ、キミか」と言った。

叔父はそれまでボクという甥っ子が来たとも思わず、ただ淡路の
後輩が訪ねて来たと思って、丼とコーヒーを奢ってくれたのだった。
変わってるなぁ~と、普通なら思う。叔父はそんな人であった。

あの時の親子丼が、ボクが生まれて初めての丼モノだった。




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