ボクの腰痛は左足の神経痛から始まった。
キャリアは長く、60年代後半にはすでに痛んでいた。足首と
ふくらはぎの双方に出てくる痛みを、壁に向かって手をつき
足を伸ばすストレッチで伸ばしながら、テニスコーチレッスン
に参加していた。
「今日は足の痛みはどうですか?」
「今日も立派に痛いです」
「レッスン大丈夫ですか」
「やってもやらんでも痛いんだから、やらんと損です」
連日そんな会話をコーチと交わしながら、ボクはテニスコートを
前後左右に振り廻されていた。神経痛が治まらぬ左足を
ひきずりながら。それが五年前までのボクの日常であった。
左足の神経痛の原因が、腰椎の第四番と第五番の間にある
椎間板の損傷とスベリにあると複数の整形外科医の診断で
分かっていた。いわゆるヘルニアである。
その悪化が進行していた。
06年の2月のある夜だった。圧倒的に女子が多い社員たちに
声をかけ、最寄のちょっとはイケるイタリアーノで一騒ぎして
帰途につこうとした。
皆とは六甲ライナーの駅に向かう地点で別れ、ひとりマイカー
を止めてある場所へと足を向けた。
2月のそれも特別に冷え込んだ夜だった。ボクの左足がついに
反乱を起した。簡単に説明がつかない異常な激痛に襲われて、
人通りの無い場所でボクはのたうちまわっていた。
パパゲーノ
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