二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

西宮神社の脇で飯を食う

2014-03-21 20:18:18 | 日常

所用でえびす神の総本山である「西宮神社」付近へ行きました。
参拝すると同時に、隣にあった「中華 ひるね」で豚肉定食700円を頂きました。






ご馳走様でした。



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ヴァルハラの乙女 第8話「変化」Ⅱ

2014-03-20 19:59:11 | 習作SS

それが、いつも戦場に行く前の緊張とはまた違うとエーリカは感じた。
直感が戦友が何かを隠している気がして、気付けばエーリカは口を開いた。

「どうしたの、そんな憂鬱そうな顔をして?」
「わかるのか?」

眼を見開きバルクホルンが少し驚いたように答える。

「もう何年一緒に過ごしているから、
 そのくらいわかるよ、それこそミーナやトゥルーデの生理の周期も分かっているし」

「そりゃどうも、最後のは余計だけど」

一体いつ知ったのだか、バルクホルンは呟く。

「でさ、トゥルーデは何に悩んでいるの?」

エーリカが問う。
その問いかけにバルクホルンはやや間を空けてから答えた。

「…ネウロイの動きが少し気になってな、」
「ネウロイの動き?確かに直接ここに来るなんて珍しいけど、気になるの?」

ネウロイは夜襲や朝駆けこそしてくるが、
意図した戦術戦略は行動は基本とらず、ごくまれに迂回する程度である。
基本は質と量に物を言わせた蹂躙戦で、ブリタニアでの戦いは大型ネウロイが散発的に襲撃する程度だ。

「まあ、な。もしかするとこのネウロイは囮でないかと考えたからさ」
「囮?ネウロイが?トゥルーデは心配性だね」

そして、今回は毎度標的にされるロンドンではなく、
ここ501の基地を目指している点は確かに珍しいが深く考えることは無い。
というのがエーリカの意見である、なぜならたかが大型ネウロイ1機ならたどり着く前に叩き落すことが可能であるからだ。

その言葉に「そうだな、」と再度バルクホルンは口にした。
エーリカは戦友は未だ納得しておらず、戦友の態度から説明できない違和感を感じ取る。
そう、まるで自分だけが未来を知っていると言いたげな態度であった。

(私も考えすぎかな?)

より正確に言えば考えすぎ、
というよりそれは妄想の類だとエーリカは思った。
確かにゲルトルート・バルクホルンは周囲とは何か違っていたが、それだけだ。

だから、これは考えすぎ。
そして問題などまったくない、それがエーリカ・ハルトマンが出した結論であった。



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ヴァルハラの乙女 第8話「変化」Ⅰ

2014-03-19 21:29:56 | 習作SS

「今回ネウロイ1が真っ直ぐ、ここ501の基地を目指して進撃しています」

ミーナの言葉にやや場がざわめく。
緊張に周囲が走るが顔色を変えないミーナ、
そしてその隣で鞘に入れたままの扶桑刀を床に突き立て屹然と立つ坂本少佐。
そんな2人の様子を見た501の隊員一同の動揺は収まり、安心した。

「今回は宮藤さん、リネットさんがいるので編成を少し変えます。
 坂本少佐率いる部隊は出撃、私が率いる部隊は予備として基地で待機します。少佐、説明を」

「指揮官は私、坂本美緒。前衛はバルクホルンとエーリカ。
 後衛はシャーリーとルッキーニ、ペリーヌが私の直衛に着いてもらう」

「私、エイラさん、宮藤さん、リネットさんは待機室で待機します。
 何か質問は――――ないわね、では出撃組は坂本少佐の指揮に従い速やかに出撃してください」

一斉に起立、そして敬礼と共に了解!と声が響く。
待機組を置いてゆく形で出撃組は駆け足で格納庫へと走って行った。

「おう、ルッキーニ、ペリーヌ。競争しようぜ!」
「いいよ!シャーリー!」
「…別にわたくしは自分のペースで走りますわ」

廊下を駆け抜けつつシャーリーがルッキーニ、
ペリーヌに競争を持ちかけた、ルッキーニは乗り気であるが、
金髪金眼の少女、ペリーヌ・クロステルマンはそんな2人を呆れ気味に答え、拒絶した。
そんな態度に悪戯スイッチが入ったシャーリーは、悪い笑みを浮かべてルッキーニに話しかけた。

「ノリが悪いなー残念だぜ。どうやら残念なのは胸だけじゃないようだぜルッキーニ」
「ペリーヌは胸が残念賞だから空気抵抗が無いのにねー、残念だねー」
「な、なんですってええええーー!?」

ドヤ顔で自らの胸を揺らしたところでペリーヌの頭の何かが弾け、
米神に青筋を立ててジャッキーニのコンビを追いかけ、追いかけられる側は喜んで走った。
そしてぎゃあぎゃあ言い争いながら駆け抜けてゆく3人とは違い、エーリカ・ハルトマンは眠たげであった。

「あーもう、うるさーい。眠いーお腹すいたー」

走りながら大きな欠伸を漏らす。
起きることが極端に弱い彼女からすれば早朝に警報でたたき起こされ、
朝食を食べる暇も無く、こうして走らされることは苦行に等しいものであった。

「エーリカは何時もそうだな…これを後で食べろ」
「わぁ、さっすがトゥルーデ!ありがとうー!」

そんなエーリカを見て「またか」
と口にしつつも、隣で走っていたバルクホルンが乾パンとチョコレートを差し出した。

エーリカは歓喜し戦友であるバルクホルンに感謝の言葉を口にした。
もっとも、バルクホルンの後で食べろという忠告は聞かずに早速乾パンとチョコを口にして頬張りだす。

「走りながら食うなんて子供か?」
「ピチピチの16歳の子供だもん!」
「そうだな」

エーリカの反応に苦笑交じりバルクホルンは同意した。
しかし、エーリカは直後長年の戦友が物思いにふけたため息を吐いた瞬間を見逃さなかった。





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おススメSS 月姫転生 (月姫二次創作)

2014-03-17 18:30:01 | おススメSS

月姫転生 (月姫二次創作)

月姫憑依もので、事件の直後に遠野志貴に憑依してしまう話です。
しかも魔法使いと会えなかったため魔眼殺しがもらえず結果、眼を瞑り続ける8年を過ごしてしまいました。

以下原文


彼は覚悟を決め、口にする。本当なら決して口にすまいと、口にすることがないことを願っていた一言を。
罪悪感、後ろめたさ、自己嫌悪。言葉では言い表せない程の感情を押し殺しながら彼は口にする。

「俺は……もう、死にたくないんだ……」

遠野志貴であれば決して口にしないであろう言葉。
同時に遠野秋葉にとってはこれ以上にない意味を持つ、拒絶の言葉。

「――――」

瞬間、時間が止まる。秋葉が言葉を失い、息を飲んでいるのが分かる。
もうこれ以上言葉は必要ない。全ての事情を知った上で、自分の本当の事情を伝えられない中で選んだ最も残酷な宣告。
静寂が全てを支配する。それがいつまで続いたのか

「――――ごめんなさい、兄さん……失礼します。一目会えて、嬉しかったです」

感情を押し殺した声でそう残したまま、遠野秋葉は席を立ち去っていく。
ごめんなさい、その言葉にどれだけの意味が込められているのか。それに対して答える言葉を彼は持たない。
持てるはずもない。できるのはただ顔を下げ、俯くことだけ。

彼は生まれて初めてこの眼に感謝した。

眼を閉じていることで、遠野秋葉がどんな表情をしているかを見ずに済んだのだから。

だがそれ故に彼は気づくことはなかった。

もう一人の、琥珀色の瞳を持った少女が、自分をただ見つめていたことを――――


おまけに遠野秋葉の帰還も断り、物語はかなり変質。
良い意味でハッスルしていない琥珀がなにやら怪しい雰囲気を出しており、
今後の展開が見逃せませんし、文体も月姫らしく伝記物の懐かしい雰囲気を出しています。

ぜひみてください。





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ヴァルハラの乙女 第7話「そして来る」(完成)

2014-03-16 19:40:33 | ヴァルハラの乙女

部屋に駆け込む。
真夜中にも関わらず慌しくドアを閉める。
荒い息を整えリネット・ビショップはドアにもたれ掛かるとため息をついた。

「はぁ……」

いつだろうかと回想する。
姉にあこがれて魔女として軍に志願したのは。

そうだ、バトル・オブ・ブリタニア。欧州最後の防波堤としてブリタニア連邦の孤独な戦いが始まった時だ。
欧州大陸と同じくネウロイに明日にでも蹂躙されると日々不安な生活、空襲警報に怯え防空壕に隠れる日常。

灯火統制のため街は光を失い、物資は配給制へと移行。
身の回りの鉄は軍に供給され、周囲はカーキー色の兵士ばかり行きかう首都ロンドン。

そんな中、自分はただじっとしていることしかできなかった。
いつも周りの人間はリネット・ビショップを優しいとか、いい子とか評価するが知っている。

でも今思えばあの時から、
心の奥底で自分は臆病で引っ込み思案、
常に自信が持てないちっぽけな存在だと知っていたのかもしれない。

自己嫌悪、けど変わろうとせず。
周囲に『いい子』として評価されていることに甘え、変わることを拒んだ。
ただ、当たり前に良家の子女らしく大人しい子として一生を終える以外見ようともしなかった。

変化したのは姉が天空を自由に飛ぶ姿を見てからだ。

家族は魔女の一族として有名で、
母親は第一次ネウロイ大戦で活躍した有名な魔女であったのは知っていた。
しかし空を飛ぶ所は見たことがなく、どんなものか知らなかった。

姉のあの姿は羨ましかった。

まるで天使。
あるいは鳥のごとく空を駆ける。
どこまでも、どこまでも高く舞い上がる。

ウィッチになりたい。

初めてだった。
大人の言う事にただ従っているのでなく、
目標を以って成りたい自分に成りたいと願ったことが。

それからほどなくしてウィッチの訓練学校に進んだ。
学校生活は軍人になることが前提だったから規律と祖国の忠誠が特に叩きこまれた。
厳しい罰則に厳しい訓練、辛い日々であったが心は満たされていた。

自分から選んだ選択なら何だって耐えて見せる。

何かに変われる自分を信じた。
何かに変わろうとしていた。

訓練学校を卒業して、すぐにここ第501統合戦闘航空団へと配属が決定。
ブリタニアの戦いが火蓋を切った当初から各国のエースを集めた精鋭部隊として有名で聞いた時はしばし驚愕。
顔見知りから祝いの言葉と案ずる声、どれも聞こえない。
自分の実力が認められた嬉しさのあまり何も聞こえなかった。

それが、自惚れだと理解したのはそう時間は掛らなかった。

名だたるエース達の圧倒的な実力、存在。
比べるのも馬鹿らしいほど両者には溝があるとしか言わざるを得ない。
何より致命的だったのは、実戦でまったく訓練で習ったのができなかった。

飛行中幾度も緊張、委縮、プレッシャーでバランスを崩し掩機の足を引っ張る。
何もない場所に銃を誤って撃つ、など等散々であった。

「心配するな、始めはそんなものだ」

帰還後落ち込む自分にバルクホルン大尉がそう言った。
毎回私が失敗すれば自分を心配してくれたのが逆に辛かった。

悔しかった。
けど、どうしようもない。
私はこの程度なのかもしれない、
そして扶桑から彼女――――宮藤芳佳が現れた。

彼女の才能は素晴らしいものだった。
通常なら数ヶ月の訓練が必要にも関わらず訓練もなしに空を飛んだ。
高い魔法力、そして日を重ねるごとに伸びてゆく才能、リネットにとって何もかもが妬ましかった。

しかし、

「けど、宮藤さんは私より頑張っている」

リネットが思い出すように呟く。
たしかに彼女には素晴らしい才能を有している。
が、それで才能に胡坐をせずに毎日努力を重ねていた。

訓練ではスパルタ教育を施す坂本少佐に常に全力で取り組み、
空いた時間には座学の勉強をして、周囲に言われなくても掃除洗濯炊事。
と人一倍動き回っている事実がリネットが芳佳に嫉妬しつつも憎むことは出来なかった。

時折見せるヘッポコな所。
そして何時も明るく向日葵のような笑顔を絶やさない彼女は、
同じ新入りということもあり、周囲の歴戦のウィッチと比較すればどこか親近感が沸く。

しかし、それでも宮藤芳佳には嫉妬してしまう。
だが同時に彼女の努力する姿勢と、親しみの感情が彼女を憎めず、リネットの心をかき乱す。

(もしも、宮藤さんがあらゆる点で完璧なウィッチだったら、
 私はきっとこんな事を考えずただ宮藤さんを憎むだけで済んだかもしれない)

そうすれば、こんなに悩む必要はなかった。
あるいは、「だから仕方がない」と自分の心に諦めがついただろう。

「……っ、そんなの駄目!」

リネットは自分の黒い感情に気づき叫んだ。

「はぁ……」

再度自己嫌悪を含んだため息を吐く。
フラフラとした足取りで布団に潜り込み、
何かに逃れるように体を丸め、眼を堅く瞑る。

(明日も訓練だけど、このまま――――)

このまま明日が来なくなり、この時間が続けばいいのに。

そんな思いに浸り、しばらくじっとしていたが、
やがて睡魔の侵攻に適わず、リネットの意識は閉じられた。



※ ※ ※



早朝、太陽が昇り徐々に眩しい朝日が海と基地を照らす。
まだ鶏と夜間哨戒から帰ったばかりのサーニャぐらいしか起きていない時間帯であったが、
鳴り響く警報のサイレンで強制的に起床され、口々に言葉を発しながら動き出した。

(最近不規則になっているけど今回は予想の範囲内ね)

基地全体が慌しい雰囲気の中、
ネウロイ襲来の報告を受けたミーナの第一感想であった。

欧州大陸よりネウロイ襲来、この報告は別に珍しくもなんともない。
欧州が陥落して以来、欧州圏では島国であるブリタニアが最後の防波堤としての役割を担っている。

ネウロイは海や河といった地形に弱く、空を飛ぶタイプを除けば進行は限られる。
だから大抵わざわざ海を渡ってでも来るのは単騎で大型のものか、少数の編隊を組んだ小型と相場は決まっている。
最短距離を目指すならドーバー海峡を渡らざるを得ず、その時は自分たちの出番だ。

(でも、なぜかしら。いやな予感がするわね)

珈琲を急いで胃に注ぎながら考える。
総司令部から送られてきた情報によれば、
「大型ネウロイ、1ガ接近中」と一見すると何とでもないが、
問題はその航路である、見事にここ第501統合戦闘航空団を通過するルートであった。

「いつもの航路はロンドンなのに、ここ最近の不規則性といいネウロイに変化が?」

ネウロイは金属を取り込む習性から、
多くの金属を有する都市や工場地帯へ好んでやってくる。
そのため距離的な問題もありロンドンはよく狙われる場所である。

無論ロンドンへの航路とは別に中小の都市や村を通過するルートを通ることもあるが、
大抵ブリタニアに近づく前に501を筆頭にブリタニアのウィッチ部隊が迎撃、そして撃破している。

「ミーナ、ネウロイはどうなっている?」

執務室に坂本少佐が駆け込んできた。
かなり急いで来たようで後ろに纏めた黒い髪がやや乱れている。
しかし、汗ひとつさえかいていない様子を見ると流石ね、とミーナは思った。

「大型ネウロイ1、航路は東から真っ直ぐこちらへ向かっているものよ」
「真っ直ぐににか?珍しいな」

坂本少佐が懐疑的に呟く。
しかし、直ぐに表情を引き締め言葉を続けた。

「編成はどうする?」

「そうね、今回はトゥルーデとエーリカが前衛。
 シャーリーさんとルッキーニが後衛――――そして美緒、
 いいえ坂本少佐はその指揮を執り、直援にはペリーヌさんを配置します」

「後は?」

「私とエイラさん、サーニャさんは予備として待機。
 宮藤さん、リネットさんも同じく基地で待機してもらいます」

ミーナの上官としての命令を一通り聞き終えた後、坂本少佐が口を開いた。

「やはり、あの2人はまだ出せないか」
「ええ、流石にまだまだ早いし」

2人とは宮藤芳佳、リネット・ビショップのことである。
宮藤芳佳はその膨大な魔法力と、高い学習能力で日々成長を遂げているが、
ついこの間まで民間人でウィッチとしての訓練が不足しており、危ういところがある。

対してリネット・ビショップは訓練校から来たとはいえ、
メンタルが不安で、またこれまで散々ネウロイと戦ってきた者からすればまだまだお荷物だ。

「バルクホルンは最悪の事態には2人を出撃させる事も考えるべき、と言っていたが出来ればなりたくないものだ」
 
「そうね、軍人なら例えどんな状況でも命令に従うもの、それがどんなに未熟であっても。
 私は出来ればあの2人を出したくないけど、トゥルーデに言われなくても最悪の際にはあの2人を出撃させるわ」

坂本少佐が頷く。
いつか芳佳、リーネの2人は実戦に投入せねばならない日が来る。
しかし、それは可能ならば先の話であってほしい。
それはミーナ、坂本少佐の一致した意見であった。

「わかった、なら私はバルクホルンと打ち合わせをしてからブリーフィングルームに行って来る。詳しい話は後で」
「ええ、分かったわ。行ってらっしゃい」

そして、言い終えて間を空ける暇も無く坂本少佐は踵を返し部屋を後にした。
一人執務室に残されたミーナもまた直ぐに移動するため、飲み終えていない珈琲を香りを堪能する余裕も無く口にする。
一口で飲み終え、必要な書類を手にして立ち上がりこれから移動するさい、ミーナはふと悪寒を感じ取った。
反射的に振り返ったが当然誰もいなく、あるのは執務机と背後の窓だけだ。

「杞憂、ならいいのだけど……」

不安と共に窓の向こうの蒼い空を見上げる。
しかし、いつもと変わりが無い空はミーナの不安を和らげなかった。



※  ※  ※




少々暑いが、いい天気だ。
故郷ならこんなに晴れた日はめったにないから特にいい。
そうぼんやりとエイラ・イルマタル・ユーティライネンは思った。
故郷のスオムスは北極圏に近く、こうした太陽の恵みは何よりも貴重でありがたい。

「ふぁ……」

そのせいか朝も早いこともあり欠伸が漏れる。
顔が動いたため自慢の長い銀髪が泳ぎ、揺られ太陽の光に反射する。

『不思議っ子というより思考が男子中学生』と、
どこぞの大尉が評したが今の彼女は朝日に反射した銀髪が輝き、
ウィッチゆえに整った顔と白人から見ても白すぎる肌が合わさりその美しさが強調されていた。

エイラは気づいていないが、
そのせいか普段のミステリアスな雰囲気と合わさって周囲から注目を浴びている。
近くに座っていた芳佳は扶桑では見られないガイジンさんの容姿と合わさって思わず見惚れていたほどだ。

が、エイラは思う、

(暇だ……)

もう直ぐ作戦会議だから部屋に戻ることもできない。
サーニャは夜間哨戒から戻ったばかりだから部屋で寝ているし。
などなどと酷く現実的な問題に思考を働かせ、ただぼんやりとしているだけであった。

しかし、実戦を前にしてここまでリラックスできるのエイラもやはり常人の枠では納まらないだろう。
現に傍で座っている宮藤芳佳、リネット・ビショップの2人は見るからに緊張している。

(リーネは緊張しすぎなんだよな~、もうちょっとゆとりがあればいいのに)

常にマイペースなスオムスのエースはそんな2人について内心で呟く、
通常、新兵を使い物にするには最低3カ月は掛ると言われている。
対して芳佳やリーネが受ける訓練は明らかにすぐにでも実戦に出す勢いだ。

(まあ、最前線だから仕方がないけど)

することもなく、ぼうっと周囲の様子を観察する。
シャーリーとルッキーニは相変わらずじゃれ合い実に騒がしい。
エーリカは腕を枕に爆睡状態で、ペリーヌは眼を硬く瞑り手を妙な形で固定させていた。
ミーナ、坂本少佐、バルクホルン、サーニャの4人を除けば全員思い思いに緊張の時を過ごしていた。

(……あれって確か以前少佐がペリーヌに言っていた「ザゼン」とかいうやつか?)

扶桑に行く前に精神鍛錬として坂本少佐がしていたものだ、
異文化への興味から、ためにしにみんなでやって見たがなかなかうまく行かなかったのが実に懐かしい。

少佐が扶桑に行ってからブームが過ぎ去ったように忘れていたが、
未だしているペリーヌの坂本少佐への妄信振りに呆れるような思いをエイラは抱いた。

「…ん?」

しばらくそんな風に集中しているペリーヌを眺めていたエイラが、
何気なくポケットに手を入れえた際に掴んだ物を認識した瞬間、子供のような悪戯心が沸いて出た。

「えい」

ポケットから取り出した物体
――――消しゴムの欠片は緩やかな曲線の軌道を描き、見事にペリーヌの頭に命中した。
だが、ペリーヌは反応しない、むしろさらに意識を集中させたようであった。

(ツンツン眼鏡に反応なしか、だったら反応するまでやってみるのだな!)

そしてその対応にむしろエイラの悪戯心に火がついた。
が、今まさに消しゴムを投擲しようとした刹那、

「何をやっているいるんだ?」
「ひゃん!?」

エイラは背後から胸を揉まれ奇声を出した。
他人の胸を揉むのは好きだが揉まれるのには慣れていなかったため、
このへたれな北欧少女は無駄に心臓を鼓動させ、セクハラ犯を確認すべく振り返った。

「他人の胸を揉むのはいいが、
 揉まれることにも慣れておくことをお勧めしておこう。
 ああ、後これはこの前胸を揉んできたお返しだ、いい経験になっただろ?」

「ルッキーニじゃなくて、た、大尉かよ!?」

ゲルトルート・バルクホルンが口元に笑みを浮かべて立っていた。

「感度も柔らかさもよし、
 今後の成長が楽しみ――――と感想を述べておこう」

「うっさい!人の胸を論評するなよ!」

これ以上ないどや顔で自分の胸を評価され、
エイラは腕を交差させ胸を隠すようにして白い肌が恥ずかしさで少し赤らめる。

(くそう、ハルトマン中尉以上に大尉は苦手だ。カールスラント軍人のクセに人を弄るのを楽しみやがって)

続けてエイラは思う、
周囲の人間は自分との付き合い方があまり分かっていないようであるが、
どうもバルクホルンは自分の弱点を悉く突くかのように、あしらい方を熟知している。
これ以上弄られるのを避けるべく、次に口にする単語を選択してたがどうもその必要はなくなった。

「はいはい、じゃれ合いはそこまでよ」

ミーナがそんな2人を優しい眼で見つつ、遊びを終えるように言った。
背後にいる坂本少佐は「やれやれ」と、言いつつも微笑ましげに見ていた。
だが、直ぐに表情を改めるとその空気を察した全員が姿勢を改めミーナに注目した。

「敬礼は不要です、早速本日の作戦について説明を行います――――」

そして、また一つ【原作】が始まった。




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