二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

おススメSS 歴女(ハウスシェア・転載)

2016-05-28 08:00:01 | おススメSS

歴女(ハウスシェア・転載)

ガールズ&パンツァーに登場する歴女チームのカバさんチームのSSです。
戦車道が復活する直前に出会った時の話と、カバさんチーム視点から見た大洗の戦車道が描かれています。

話の展開としては日常系で、まだ3話だけですが今後に期待できます。


「砲塔が回らないな」

「象みたいぜよー」

「ぱおーん」

「たわけ! 三突は冬戦争でロシアの猛攻を押し返したすごい戦車なのだ! フィンランド人に謝りなさい!」

「「「すみません」」」

なお、正しくは冬戦争ではなく継続戦争で、
このことを帰ってからなんとなく不安になって資料を見なおして気付いたエルヴィンは、夕食時にみんなに謝罪して訂正した。

指差していた方は南だったが、これは特に訂正しない。
地球は丸いのだから、どこを指してもそう間違いではあるまい。だいたい船の上なのだし。

こうして見つけた三号突撃砲を(エルヴィンにとっては念願のドイツ戦車である)我がものとし、
翌日の練習試合で初めて戦車を動かした彼女らは、
いよいよ戦車道を本格的に始めることになるのだが、その前に決めなければならないことがあった。

「いや、意外と戦車道、奥が深いぜよ」

学園艦の浴場でのんびり湯に浸かりながら、おりょうが声を響かせた。浮き上がる胸を左衛門佐が横目で見る。

「ポジションとリーダーを決めろって、教官が言ってたが……どうする?」

「えーと、三突は4人で動かすなら、車長、操縦手、砲手、装填手、だったな」

「さすがエルヴィン。詳しいな。車長はエルヴィンでいいんじゃないか? 戦車、一番詳しいだろ?」

「まぁ……そうかもしれないが。戦車道で使う戦車は二次大戦のものまでだし」

「異議なしぜよ」

「うむ。初代ローマ皇帝も、適材適所の人材配置をしてローマ帝国を作り上げたのだ」

「では謹んで拝命するが……でもリーダーはカエサルがやってくれ」

「ええ?」

帽子の代わりに手ぬぐいを頭に載せたエルヴィンが言って、カエサルは顔をしかめた。

「嫌か」

「嫌ってわけじゃないけどさ……」

「戦車道取るときにも、
 カエサルはちょっと歯切れ悪かったよな。何か気がかりなことでもあるのか?」

左衛門佐が湯船を泳いでカエサルの肩を抱く。

「気がかりっていうか……私、実は昔、
 ちょっとだけ……一日だけくらいだけど、戦車道覗いたことあるんだよ」

「へぇ」

「その時さ、ホラ、戦車道って一応体育会系だろ?
 で、車長の指示で動くわけでさ、命令には絶対服従ーみたいなこと言われたんだ。それが嫌ですぐやめちゃったんだけど」

カエサルは口元までぶくぶくと湯船に浸かる。
あまりいい思い出ではない。

そういう競技だよ、と言われたが、
親友が誰かの指示に従っているのが、当時の幼い鈴木貴子には面白くなかったのだ。

もちろん、車外の様子を把握できるのは車長で、
操縦手や砲手は独自の判断ができるほど外の様子を知ることができない以上、
当然の役割分担だとは思う。そのくらいは解るのだが。

「私ら、そういうの、やだなって」

カエサルは言ってから、なんだかせっかく戦車道で盛り上がっていたところに水を差した気がして、湯船に潜った。
しかし、カエサルは、やっとできたこの3人の親友に、友情以外のものを持ち込みたくなかったのだ。
それほど彼女は、この4人組を大切に思っていた。

一年を同じ家で過ごして、生徒会のイベントにも一緒に参加して、
庭で七輪を出してサンマを焼いたり、テレビのチャンネル争いで喧嘩をしたり、お菓子をわけあったり。

せっかく築いたものが変化してしまうことを、鈴木貴子は恐れたのだ。
苦境は友を敵に変える、とガイウス・ユリウス・カエサルは言った。嫌いな言葉だ。








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