「ぐっ――――!」
シオンの叫びと同時に魔力を放出。
身体に突き刺さっているであろうエーテライトを無理やり取り除く。
そして、後ろに跳躍する。
が、間に合わず両腕がエーテライトで切断された。
飛び散る腕、そして血が志貴の部屋を汚してしまう。
「しっ!」
申し訳ないと考ええるよりも先にシオンの第ニ撃が迫る。
腕がないから鋭い蹴りを体を捻ることで避けるけど―――駄目だ!
「がっ!?」
次の一撃をまともに受けてしまったっ…!!
その細い体から出せたとは思えない程重い正拳突きだ。
骨が軋む、いや肋骨が折れた。
肺から強制的に空気が排出され意識が飛ぶ、痛いっ!!
「さつき!」
一連の出来事が終わった直後、志貴が立ち上がる。
けど、多分ボクを助けることは、
「遠野志貴、貴方はそこで止まっていなさい」
「な、何を言っているんだシオン!大体―――な、動け、ない!?」
やはり無理だ。
魔術回路もない志貴ではエーテライトで簡単に体を操られてしまう。
で、こっちは吸血鬼が苦手な朝な上にとっくにダメージを受けていると来た。
状況は極めて悪い。
「弓塚さつき。貴方はここで亡くなるべきだ。
貴方という存在がタタリを強化させ、手に負えない存在にしてしまう。
逆に貴方が亡くなればタタリへの勝算は最低3パーセント向上するのですから」
さっきまでラブでコメっていた人間とは思えない程淡々とした声で彼女は言葉を綴った。