二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

501統合戦闘航空団の戦いⅡ-Ⅱ

2011-04-29 12:43:45 | 習作SS

視点:バルクホルン

「にしても、あれは何だったんだろうな・・・。」

人型ネウロイと交戦からおおよそ15分、
最大戦速で移動中の沈黙に耐えられずシャーリーが言葉を零す。
言葉に人物名詞がない。つまり抱えた不安をこの場の全員と共有したがっているのだろう。

「さあ?スオムスで出たって噂は本当だったんだな~。」

シャーリーの言葉に真っ先に反応したのはエイラあった。
私の隣を飛ぶ彼女は毎度のクセになる棒読みとマイペースな表情をしている。
そういえば、この子はスオムスに居たからいらんこ中隊が遭遇した人型の噂は直に聞いたことがあっただろう。

「あれ、会いたくない。」

この拒絶反応はルッキーニ。
まあ、12歳そこらの子供にあれはグロすぎたしな。
もし私が同じ年頃に3Dでなくあのリアルホラーに遭遇したら確実に漏らしたかもしれん。
その点、ルッキーニはエライと思う。

「でもさあ、またあんなのを相手にしなきゃならないのかな?」
「んなコト私に聞くなよな~。」

シャーリーとエイラがああでもない、こうでもないと会話のキャッチボールをする。
内容こそ軍事上の敵に関するもので十代の少女に相応しくないもの。
けれど、イントネーションや口調はやっぱり年頃の少女らしい。

しかし、人型ネウロイ、か。


1939年、東プロイセン
「敵は攻めてこない」そう言われて決定された戦力移動。
元を正せば我々が一度ネウロイの集結地をルーデル隊と共に襲撃、これをせん滅したことに尽きる。
大抵人類は防衛する一方ゆえにネウロイもまさか仕掛けてくるとは思っていなかったのか完璧な奇襲となった。

結果、最低2週間は散発的なのを除き、大規模攻勢はありえないと司令部は判断。
これを機に52戦闘航空団の一部は(実際はミーナをはじめとして原隊バラバラで混ぜ混ぜ、定員割れだったが)今一度戦力の回復のため後方へ移動。
ミーナ、エーリカは離れ残った私が残存部隊の指揮を取ることに。

飛行隊長を務めることになった。
空軍で飛行隊長の職務は航空団司令の次に偉く、最もやりがいのある仕事ゆえに大変興奮した。
明日やっと避難できるから今のうちに会いたい。という理由で会った妹のクリスも私を祝福してくれた。

故郷を巻きこんだ末期戦だったが希望はあった。
何せ6年後、最終的には人類の勝利が約束されていたし、
前世では考えたこともなかったが、まさかの私は当時50機撃墜のエースであり自信に満ち溢れていた状態。

怖いことや死にそうなめにあったことはなくはない。
名誉の戦死を遂げた同僚を見たこともあったが、それでも私は何とかなると思っていた。

驕り、そして到来した破局。

3日も経たずに突然の大規模戦爆連合(ラロス改、爆撃機)の夜間攻撃。
39年当時の夜、今のようなレーダーがなく聴音器と目視頼りの防空設備では先手を打てず、先を取られる。
戦力差は約10対300と話にならない差で、死闘を演じた。

次々と落ちる部下たち。
投下された爆弾が故郷をオレンジ色と赤い色に染め上げてゆき、熱風が舞い上がる。
己の無能を突き付けられ、もはや残ったの自分とロスマン軍曹のみ。

弾が切れて降りて補給する事もできず、お互い必死に逃げ回るのに専念。
そんな中、クリスが炎の街に居るのを見つけて助けようとしたその瞬間。

<原作>の人型ネウロイが現れ。
友好的態度もなく迷わず奴の光線がクリスティアーネ・バルクホルンの心臓を貫いた。
それが私と人型ネウロイとのファーストコンタクトであった。


「なあなあ、大尉はどう思う?」

人型ネウロイの目的は何か?
<原作>では描かれなかったが<ファンブック>では結局ウィッチをまねた「兵器」にすぎないと定義してたような。
だとすると、ネウロイと人間は永久に分りあえない存在で生存を賭けて戦い続ける以外ないわけだ。

「大尉ー?」

私のような転生憑依者は大抵事前知識を生かして良い方向へと行動するものだが、
たった一人で、数十万人いる軍人の内の新米将校かつ10代そこらの小娘で一体全体何ができる?何もできない。
精々空戦戦法を小細工程度に工夫、進言するほかない。

「バルクホルン大尉ー?」

所詮現実はこんなものさ。
憑依や転生して大活躍しても中世ならいざ知らず近代の時代、
100万単位の軍人が動員される戦いでは個人の武勇が戦局をひっくり返すなど夢のまた夢。

<原作>の501によるガリア解放は軍事上、本当に本当に奇跡の代物なのだ。
なぜなら、そうホイホイネウロイの巣を11人で破壊できるなら戦争など、39年の内に終わっていた。

「大丈夫か・・・大尉?」
「・・・っと、スマン。気が抜けていた。」

怪訝そうな顔をするシャーリーに謝罪する。
いかんな、例え敵がいなくても基地に着陸するまで戦闘が続くのに指揮官である私が抜けていては。

「んじゃ、あらためて聞くけど大尉はあのネウロイをどう思う?」

あの死体利用型ネウロイ、ね。
そうだな、視聴的に会いたくない相手だが。

「興味がある、可能ならもう一度接触したい。」

「うへぇ、マジかよ。
 あれか?新型ネウロイについて報告する義務がある~とか。」

「おおむね」

バルクホルンもやっぱりカールスラント軍人だなー、とシャーリーは続けて言う。
あのな・・・ウィッチである以前に軍人として当然の責務だろうが。
大尉クラスになると普通にこういう事は嫌でもやらなきゃならない物だと分らんのか。
まあ、シャーリーも16其処らの少女(胸部装甲除く)だからしかたがないかも知れん。

「大尉ー!基地が見えたよ。」

緩んでいた空気が再び緊張したものに変化。
基地が襲撃されたと思っているからいよいよ再びネウロイと交戦するかもしれないからだ。

「周囲に警戒しろ」

そこで私が下すのは至極単純明確。
その一言だけでガールズト―クは止み、全員戦士へと切り替える。

「いくぞ」

4本の飛行機雲が真っすぐ基地へと延びていった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする