小樽のパパの子育て日記

日々のできごとを徒然なるままに2006年から書いて18年目になりました。
ヤプログから2019年9月に引越し。

小樽市保健所 三号市 保健所政令市

2024-06-02 04:51:09 | 小樽
小樽市の保健行政 令和5年度版
こんな冊子があるのですね。
保健所の沿革が載っていた。

明治2年 兵部省小樽役所病院を設立とある。
へえー。
兵部省なんて役所があったのですね。
初めて聞いたよ。



旧保健所法の制定が昭和22年、それを受けて、昭和23年に道立小樽保健所が小樽市に移管され、小樽市保健所として誕生したのだな。
小樽市医師会など関係する団体も、当時は相当な力があったのだろうと推測する。

素朴な疑問がわいてきた。
そもそも保健所って、何をする役所なんだろう?
グーグル先生に尋ねてみたところ、地域保健法第6条及び第7条に規定されていた。
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地域保健法
第六条 保健所は、次に掲げる事項につき、企画、調整、指導及びこれらに必要な事業を行う。
一 地域保健に関する思想の普及及び向上に関する事項
二 人口動態統計その他地域保健に係る統計に関する事項
三 栄養の改善及び食品衛生に関する事項
四 住宅、水道、下水道、廃棄物の処理、清掃その他の環境の衛生に関する事項
五 医事及び薬事に関する事項
六 保健師に関する事項
七 公共医療事業の向上及び増進に関する事項
八 母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項
九 歯科保健に関する事項
十 精神保健に関する事項
十一 治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病により長期に療養を必要とする者の保健に関する事項
十二 感染症その他の疾病の予防に関する事項
十三 衛生上の試験及び検査に関する事項
十四 その他地域住民の健康の保持及び増進に関する事項

第七条 保健所は、前条に定めるもののほか、地域住民の健康の保持及び増進を図るため必要があるときは、次に掲げる事業を行うことができる。
一 所管区域に係る地域保健に関する情報を収集し、整理し、及び活用すること。
二 所管区域に係る地域保健に関する調査及び研究を行うこと。
三 歯科疾患その他厚生労働大臣の指定する疾病の治療を行うこと。
四 試験及び検査を行い、並びに医師、歯科医師、薬剤師その他の者に試験及び検査に関する施設を利用させること。
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「地域住民の健康の保持及び増進の事項について、企画、調整、指導及びこれらに必要な事業を行う」
守備範囲ひろっ!
地域保健、栄養、食品衛生、環境衛生、医事薬事、保健師、公共医療、母性・乳幼児・老人保健、歯科、精神、難病、感染症、衛生試験検査、
と所掌する事務は、多岐にわたる。
この多岐にわたる事務を所掌する保健所は、基本的には都道府県、政令指定都市、中核市に置かれるのだが、それ以外の市にも例外的に設置できるようだ。
地域保健法第5条にそれが規定されている。
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地域保健法
第五条 保健所は、都道府県、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市、同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市その他の政令で定める市又は特別区が、これを設置する。
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どこの市に保健所を置くかは、政令に委任されている。(つまり内閣が決定できる)
その政令をみてみる。
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地域保健法施行令
(保健所を設置する市)
第一条 地域保健法(以下「法」という。)第五条第一項の政令で定める市は、次のとおりとする。
一 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市
二 地方自治法第二百五十二条の二十二第一項の中核市
三 小樽市、町田市、藤沢市、茅ヶ崎市及び四日市市
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原則的には、都道府県のほか、政令市、中核市までが保健所設置市となる。
北海道の場合には、札幌市、旭川市、函館市がそれに当たる。
しかし、いわゆる「さんごーし」として全国に5市だけが指定されており、その内の一つが小樽市だ。
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(ウィキペディアより)
現在は、地域保健法施行令第1条で、政令指定都市(第一号)、中核市(第二号)、第三号で個別に北海道小樽市、東京都町田市、神奈川県藤沢市、同茅ヶ崎市及び三重県四日市市が指定されている。これらのうち、第三号によって指定されている市(以下「三号市」とする)に限り「保健所政令市」と呼ぶ場合もある(狭義)。

三号市については、当初は工業都市などにおいて公害・労働災害が深刻化し、都道府県レベルではなく市の単位できめ細やかな対応が必要とされたために設けられるケースが想定されていた。四日市市、兵庫県尼崎市、同西宮市、福岡県大牟田市などが該当したが、このうち尼崎市・西宮市は中核市に移行し、大牟田市は2020年(令和2年)4月1日に指定解除された。近年は人口増や住民サービス向上を理由とした指定が増えており、町田市、藤沢市、茅ヶ崎市などがこれに該当する。
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現在、小樽市に保健所が設置されていることは、全国的にみれば異例なのだと分かる。
昭和22年に保健所法が制定された当時、小樽市は全国でも有数の人口を誇る都市であった。
伝染病の流行などがあり、港町という特有の事情も考慮されたに違いない。
保健所を置くことにより、きめ細かな住民サービスにつながるものの、一方で、これを維持する経費は、それなりにかかるだろう。
高齢化により生産年齢人口が減少し、財政基盤が脆弱な小樽市にとって、保健所を維持し続けることは、市民に負担を強いることにもなる。
しかし、保健所がなくなれば、一層過疎化が進んでしまうだろう。
非常に難しい問題だ。
小樽市と同じ3号市であった福岡県大牟田市は、令和2年に保健所を返上した。
それに関するレポートを見つけて読んでみた。
市町村と都道府県の事務配分② -<大牟田市における「保健所政令市」指定解除の事例から-
https://www.toshi.or.jp/app-def/wp/wp-content/uploads/2022/03/report198_07.pdf

このレポートの一節を紹介する。

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保健所は、いうまでもなく地域住民の健康を守る重要な拠点であるが、これを設置・維持し続けるためには、一定以上の都市規模、財政規模が必要となる。もっとも、都市自治体がこれらのコストを負担しても、基礎的自治体として一元的かつより細やかな保健福祉サービスを提供するために、保健所を設置することの意義は十分にあるものと思われる。一方で、住民の生命に直結するがゆえに、十分な体制を構築できるという見通しがないということであれば、今後の市保健所のあり方を抜本的に検討することにも意義があるともいえる。保健所は、日常的な業務にくわえ、予見しがたい感染症等への対応も担うことから、専門性をもつ人員の確保等については一定の「冗長性」も必要となろう。
大牟田市の事例はあくまで一例であるが、新型コロナウイルス感染症は、今後の都市自治体が保健所を設置する意義の再検討を迫っているようにも思われる。保健所を設置する各都市自治体においては、今後の保健福祉の需要に対応するために、どのような体制整備が可能であるのかを検討することが求められよう。

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簡単に言えば、こう言っている。

保健所は専門機関なのだから、人員確保など冗長性を持った十分な体制構築が必要。
それができる見通しがない小さな市では、保健所を持つべきではない。

小樽市に保健所が設置されている意味を、存在意義を、小樽市民は、改めて考える必要があるのかもしれない。



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