おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

鬼一法眼 = 文楽9月公演 第一部

2009年09月23日 | 文楽のこと。
鬼一法眼三略巻 = 文楽9月公演第1部 @ 東京国立劇場

 いやぁ、めちゃめちゃ楽しかった~♪ 「これぞ、エンターテインメント」という、何度でも見たくなる作品です。

9月公演は「沼津」「酒屋」という超メジャー演目&人間国宝大量出演の第二部の人気が沸騰して、即日完売・連日大入り満員。その反動なのか、第一部は休日でも100枚ぐらいチケットが売れ残っていたらしく、空席が目立ったが残念でした。

もちろん、第二部の住師匠、簑師匠、勘十郎さまの素晴らしい芸は、「ああ、生きててよかった~」と思えるぐらい幸せな気持ちになれます。でも、私的には、作品全体の「楽しくって、ワクワク!」な感じは、圧倒的に第一部の方が上回ってました。人間国宝の会ばかり見ている方々、絶対に、もったいないですよ~!!!

で、その「楽しくって、ワクワク!」の8割ぐらいを担っていらっしゃったのが、鬼若(後の弁慶)の玉也さん。 不覚にも、私は、5月の相生座公演まで、お名前と顔が一致しておりませんでした。夏祭浪花鑑で勘十郎さまと共演の義平次の生き生きとしたお姿に「えっ~、この人形遣いさんは誰? めちゃめちゃカッコイイ~!!」とハートに火が付いてしまいました。

今回の鬼若も、可笑しみがありながらも、後に弁慶として活躍する大器を予感させるスケールのあるお遣いぶり。硯やら、書のお手本をぶん投げ、大筆や薙刀を振りまわし、見せ場もいっぱいあって、何度も笑ったり、心の中で大拍手を送ってしまいました。しかも、会場の笑いを誘う場面でも、玉也さんは超クールなお顔つきのままで、それも、またステキでした。

三味線も充実してました。寛治師匠のまぁるい、優しい音に、津駒さんの張りのあるお声がよくあっていて、うっとり。中休み後の喜一朗さん、燕三さんは、寛治師匠とはタイプが違いますが、若さとエネルギーがじわっと感じられるような音色。そして、三味線5人揃いで、元締め役の富助さんの音色は、やっぱり、華とキレがあっていいですねぇ。嶋師匠・富助さんの破局(?)は、ファンとしてはめちゃめちゃ残念ではありますが、でも、嶋師匠と別れても、富助さんの音の素晴らしさに変わりはありません。

ストーリーも単純で、わかりやく、本当に、気楽に見られます。なにしろ、牛若丸と弁慶が出会うまでの前段の物語。最後の五條橋の場面は、子ども向けの昔話にも登場するので、大抵の人は知っているのではないでしょうか。笑わせどころも、色々と盛り込まれていて、本当に楽しかったなぁ。

本筋からははずれますが、玉女さんと鬼一法眼のお人形、あまりにソックリなのが気になってしかたありませでした。まるで親子のようでした。