杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・「女性活用小国のカルテ」(朝日)の記事から

2009-11-27 09:26:03 | 女性
今週火曜日(2009年11月24日)の夕刊から、朝日新聞にて「女性活用小国のカルテ」という連載記事が始まっています。竹信三恵子編集委員の執筆です。

このなかにでてくるいくつかを拾って、考えてみました。

・国連機関が公表している女性の活躍度を示す「ジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)」で今年、日本は109カ国・地域中5位=表。キルギスの下。

     ※ GEM統計は95年、北京で開かれた第4回世界女性会議をきっかけに、女性の意思決定への参加度を見える形にするため始まった。国会議員や管理職、専門・技術職の女性比率、男女の賃金格差などをもとに指数をはじき出し、国際ランキングにして毎年、発表する。


 内閣府男女共同参画会議の専門調査会委員だったパナソニックの桂靖雄専務が、委員に就任したばかりの05年、資料として提出されたGEM順位の低さに驚き、「何かの間違いでは。政府は国連に働きかけて誤解を解くべきだ」と思わず声
を上げた、 と。

・ 7月。女性差別撤廃条約の日本の実施状況を審査した国連の委員会では、男女の賃金格差などの改善度の遅さに「日本政府は、条約を拘束力のない宣言と思っているのでは」といらだちに似た声まで上がった。

・また、これまでの女性の登用のされ方に対して問題もある。
「小沢ガールズ」と囃(はや)されながら、女性候補の当選が全体で過去最多の54人となった8月の政権交代選挙を、政治ジャーナリストで元都議の三井マリ子さん(61)は、「89年の参院選は『マドンナ・ブーム』で社会党が躍進。05年の郵政選挙は『小泉チルドレン』『刺客』といわれた。でも女性議員の増加は、政党トップの意向次第。ブームが去れば元に戻る、の繰り返しだった」
と指摘されています。


結局、その力を認められ生かされているのではなく、話題づくりに使われるだけで、そのことの意味のなさを次ぎに生かしてはいないわけです。


・ 女性の活躍度指数「GEM」の国別順位で日本が低い大きな要因
は、国会議員の女性比率の低さだと指摘されています。今回の選挙で衆議院議員の女性比率が初めて2ケタ台に乗ったが、「列国議会同盟」(IPU)の 順位を見ると、4割前後が並ぶ北欧諸国には遠く、隣国の韓国の14%よりも低いのが現状です。

・ だが、「そんな新しい芽を生かし、女性議員を増やし続けていく安定した仕組みがない」と指摘するのは、民主党の小宮山洋子衆院議員ですが、この仕組みとして海外では、候補者の一部を女性にする「クオータ制」を導入する国が100を超えるなど、政策的に女性議員の増加を図る国が増えていることは参考にすべきです。また、女性国会議員の割合が高めの国は比例代表制を採用しているケースが多い、というIPUの調査結果もある、
ということです。


現状では、積極的な是正策(アファーマティブアクション~積極的な差別是正策,積極的な優遇措置の意。少数民族や女性など,これまで長い間差別を受けてきた人々に対し,差別的待遇をやめ雇用や昇進,入学などにおいて積極的な措置をとること。)をとることで、法律を作って強制的に議員比率を変えて、社会を一度別の位置から見てみる必要があるのではないでしょうか。
私たちも、自分たちの一票で自民党政権を民主党政権に変更することができた力を実感していると思います。
そして、何が起こるかと、皆が注目していると思います。これも、一歩踏み出して、これまでと違う場所に立ってはじめて経験できたことだと思います。


この視点でも、記事は続きます。
・ そんな悪循環を断ち切ろうと、企業の多様な人材活用を促すNPO「J-Win」などが9月、ノルウェーの「女性取締役育成プログラム」を学ぶセミナーを都内で開いた。女性取締役が4割を下回らないことを罰則付きで義務づけた同国から体験者を招いてノウハウを学び、日本企業をトップから変えようとの発想だ。
 「女性取締役の効用」を認めるのは、元内閣府男女共同参画局長で朝日生命やアサヒビールの社外取締役を務める坂東真理子・昭和女子大学長(63)だ。「役員会でトップに直言できるので、社外から働きかけるのとは段違いの速さで登用が進む」。女性社員比率が高い朝日生命の05年の女性管理職は22人。それが09年4月時点で74人に増えた。

・ 厚労省の局長から資生堂に入り、08年に代表取締役副社長に起用された岩田喜美枝さん(62)は「追い風は株主の声。私の登用もこれがきっかけ」と言う。消費者に受け入れられる商品作りには、女性の声が意思決定に反映される仕組みが不可欠。企業利益に敏感になった株主たちがこれに気づき、あちこちの会社で声を上げ始めていると話す。

・ 10月末、東京証券取引所の斉藤惇社長は記者会見で、株主保護のため、上場企業に対し、経営者の意向にとらわれない社外取締役の確保を求めていくと表明した。「全国社外取締役ネットワーク」の田村達也代表理事は「この措置で社外取締役を置く企業が増えれば、女性取締役の増加につながる」と見る。


このように具体的に考えた先に、問題点も新たに見えてきます。

・ だが、登用に即効性を発揮する「トップダウン作戦」も、万能ではない。一般の女性社員が自身の評価や賃金を点検し、声を上げられる仕組みなしでは、不公正の是正は難しいからだ。記事は、その仕組みについて今後考えていくことにすると続きます。

期待して読んでいきたいです。




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1 コメント

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女性の就業 (多摩)
2009-12-13 23:58:54
また本題と違ってしまって、すいません。
侵略を受ける前のイラクには色々と政治的に問題がありました。しかし、一方でイスラム文化圏の中で、女性の社会進出が一番進んでいたのだそうです。フセインは元々イスラム色の薄い為政者でした。晩年には、アメリカとの対抗と言う側面からイスラムを利用していましたが、大勢としては女性の社会進出に積極的だった様です。
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